香典袋には外袋と中袋があります。お札を入れる内側の袋が中袋、それを包む外側の袋が外袋(香典袋)です。外袋には表書きと名前を、中袋には金額や住所、名前を記入します。必ず薄い墨やインクを使用して書きます。金額は大字(旧字体)で書くのが正式なマナーです。
「香典」の読み方は「こうでん」です。 「香典」の意味は「香の代わりに死者の霊前に供える金品」です。 「香典」は「香奠」と書くのが正式ですが、「奠」は常用漢字ではないため「香典」と代用して書くのが一般的です。 「香」には「仏前で焚く香料」という意味が、「奠」には「神仏などへの供え物」という意味があります。 「香典」は元々仏教用語です。仏教以外でも「香典」といいますが、正式には「不祝儀(ぶしゅうぎ)」といいます。 しかし「香典」の方が広く知られているため、仏教以外の宗教でも便宜上「香典」を用いることが多いのです。 弔事で使用する封筒のことを「不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)」と言います。「香典袋」と言うこともあります。
一般的な不祝儀袋(香典袋)は基本的に下記の3点がセットになっています。
上包みとは、一番外側の封筒で表書きや名前などを書く封筒です。 外包み・香典袋・外袋・表袋とも言います。 中包みはお札を包む内側の封筒で、包み紙タイプと封筒タイプの2種類があります。 封筒の場合は中袋や内袋とも言います。 水引きは和紙でできたヒモのようなものです。封筒に印刷されている場合もあります。
不祝儀袋(香典袋)には下記の項目を記入します。 ●上包み
●中包み・中袋
書き方の詳細は後ほど解説します。
基本的に不祝儀(香典)に新札は使いません。 新札だと前々から用意をされていたようで失礼な印象を与えるからです。 汚れが目立たない古いお札を包むのが一般的ですが、新札の方が清潔で失礼がないという理由から新札を使用する人も増えつつあります。 新札を使う場合はわざと折り目を入れて包みます。
香典(不祝儀)を包む際、「4」・「9」・偶数(枚)は避けましょう。 「4」や「9」という数字は「死」や「苦」を連想させ縁起が悪いとされているためです。 また偶数は「数が割り切れる=縁が切れる」と連想させるためこちらも避けるべきです。 しかし最近では数字をあまり気にしない人も多くいるので、相手や状況に応じて判断をしましょう。
不祝儀袋(香典袋)を書き始める前に知っていただきたいことがあるのでまず最初にご紹介します。
不祝儀袋(香典袋)を用意する際は必ず薄墨を使用しましょう。 薄墨とは文字通り「薄くすった墨」のことです。 「悲しみの涙で墨が薄れる、突然のことで墨をする時間がない」という意味合いが込められています。 最近では薄墨の毛筆ではなく薄いインクを使用した弔事用の筆ペンを使うことが一般的となっています。 弔事用の筆ペンはスーパーやコンビニなどでも購入可能です。 手元に慶事用の筆ペンがある場合はペン先を水に浸し薄墨にして使用することも可能です。 基本的には全ての記入事項を薄墨の毛筆や弔事用筆ペンで書くのがマナーですが、金額や住所を相手にわかりやすく書くために中包みはボールペンで書くのも良しとされています。 また葬儀後の法要で持参する供物料の不祝儀袋(香典袋)も薄墨で書くのが基本ですが、普通の黒色で書いても構いません。
基本的に不祝儀袋(香典袋)は手書きするのがマナーとされています。 しかし最近では表書きや氏名などを印刷したり、スタンプを使ったりする人も増えているようです。 毛筆や筆ペンを使って書くのが苦手、自分の手で書く時間がないという場合は、印刷やスタンプを使うことも可能です。 印刷やスタンプを利用する際は文字の色が薄くなっているかどうかを確認しましょう。 通常の印刷やインクでは黒が濃くなってしまうため、弔事には不向きと言えます。 遺族によっては良い印象を持たない人もいるため注意が必要です。
不祝儀袋(香典袋)の表書きの書き方は故人の宗教や宗派によって異なります。 一般的に使われる「御霊前」などの言葉を使わない宗教・宗派もあるので注意が必要です。 不祝儀(香典)を用意する前に喪主や遺族に宗教や宗派の確認を行いましょう。 また宗教や宗派によって使用する不祝儀袋(香典袋)も異なります。 表書きの書き方は後ほど詳しくご紹介します。
不祝儀袋(香典袋)に記入する際は、文字の大きさや配置にも注意が必要です。 文字の大きさですが、上包みの表書きより氏名は小さめに書きます。 会社名は氏名よりさらに小さめに書くのがマナーです。 「表書き>名前>会社名、役職名」と覚えておくと良いでしょう。 文字の配置にも考慮して書きましょう。 上包みの表書きと氏名は包みの中心に位置するように記入します。(連名の場合は配置が変わります。) 上包みの上部と下部は一文字分スペースをあけ、また表書きの文字と文字の間をあけるとバランスが良くなります。
不祝儀(香典)を複数人で包むこともあるでしょう。 複数人の名前を並べて書く場合、最大3名までにするのが一般的です。 連名が4名以上の場合は上包みに代表者のみ氏名を記載し、左側に「外一同」と書き添えます。 全員の氏名は白無地紙(半紙や奉書紙など)に記入し中包みに入れます。 氏名を並べる順番は、目上の人が一番右側です。 特に上下の区別がない場合は五十音順で右から左へと記載します。
中包みには包んでいる金額を記入します。 金額は大字(だいじ)で書くのが正式なマナーです。 例えば5,000円であれば「金 伍仟圓」、10,000円は「金 壱萬圓」と書きます。 大字での金額の書き方は下記の表でまとめましたのでご参考になさってください。 金額に大字を用いるのは数字の書き直しなどのトラブルを防止するためです。 しかし最近では普通の漢数字を使って書く人も多いため、略式でもかまいません。 記入欄が印刷されているタイプの不祝儀袋(香典袋)では金額を横書きする場合もあります。 その際は算用数字を用いて金額を記入します。
漢数字 | 大字 |
---|---|
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
四 | 肆 |
五 | 伍 |
六 | 陸 |
七 | 漆・質 |
八 | 捌 |
九 | 玖 |
十 | 拾 |
百 | 陌・佰 |
千 | 仟・阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
金額 | 書き方 |
---|---|
3,000円 | 金 参仟圓 |
5,000円 | 金 伍仟圓 |
10,000円 | 金 壱萬圓 |
20,000円 | 金 弐萬圓 |
30,000円 | 金 参萬圓 |
50,000円 | 金 伍萬圓 |
100,000円 | 金 壱拾萬圓 |
住所は中包み裏面、縦左半分の中心寄りに縦書きで記入します。 氏名よりも小さめの字で書きましょう。 住所を書く理由は、遺族が香典返しを贈るためです。(後ほど詳しくご紹介します) 郵便番号は算用数字を用いて横書きする場合と、漢数字で縦書きする場合があります。 また「〒」の記号は使っても使わなくても良いです。 住所が長く一行に収まらない場合は二行で書いても構いません。 また故人と同郷の場合は都道府県名は省略することもあります。
氏名は中包み裏面の縦左半分の左側、住所の左隣に縦書きで記入します。 住所よりも大きめの文字で書きます。 旧姓を書く場合は氏名よりも小さめの字で括弧書きで(旧姓 ○○)と記入します。
不祝儀袋(香典袋)によっては、中包み(中袋)がついていないものもあります。 中包み(中袋)がついていない場合は、代わりにコピー用紙や半紙を用いるもしくは上包みに直接お札を包みます。 また地域によっては中包みや中袋を使用しない場合もあります。 袋が重なっていることから「不幸なことが重なって起こってしまう」と縁起が悪いことだと捉えられるからです。 その場合不祝儀袋に付属されている中包みや中袋は使わず、不祝儀袋(上包み)の裏面に左側の中央寄りに住所を、そして住所の左側に金額を書きます。
不祝儀(香典)の金額が少額などの場合で香典返し(香典のお礼として遺族が弔問者に贈る品物)を辞退する場合は、中袋の裏面もしくは一筆箋にその旨を記載します。
などと一言添えれば問題ありません。
上包みに記入する表書きは、故人の宗教や宗派によって異なります。 ここでは表書きの書き方を宗教・宗派別にご紹介していきます。
仏教(仏式)」の表書きは、
などがあります。 忌明けの四十九日法要まではまだ御霊(みたま)としてこの世にいらっしゃるという考えから「御霊前」を表書きとして使うことが多いです。四十九日の法要後に「御仏前(御佛前)」を使います。 仏教の一つである浄土真宗に限っては例外です。 浄土真宗では、亡くなった人はすぐ仏様になるという考えから「御霊前」は使わず不祝儀(香典)で「御仏前(御佛前)」を使用します。
表書き | 表書きの説明 |
---|---|
御霊前 (ごれいぜん) |
通夜・葬儀〜四十九日の法要までの期間 ※浄土真宗では使用しない |
御仏前(御佛前) (ごぶつぜん) |
四十九日の法要後〜 ※浄土真宗では通夜・葬儀から「御仏前(御佛前)」を使う |
御香典 (おこうでん) |
宗派、期間問わず使用可能 |
御香料 (ごこうりょう) |
宗派、期間問わず使用可能 |
御供料(ごくうりょう) | 宗派、期間問わず使用可能 |
神道(神式)の表書きは、
などがあります。 仏式のように期間ごとの使い分けは特になく、「御榊料」「御玉串料」「御神撰料」などと書くのが一般的です。
キリスト教は大きく分けると
の2つの宗派があります。 それぞれの宗派で表書きが異なります。 カトリックの場合は
プロテスタントの場合は
などの表書きを使います。 なお「御花料(お花料)」と「御白花料」は宗派問わず使用可能な表書きです。
宗教・宗派 | 表書き |
---|---|
キリスト教共通 | 御花料(お花料)・御白花料 |
キリスト教(カトリック) | 御ミサ料・御霊前 |
キリスト教(プロテスタント) | 忌慰料 |
故人が無宗教、もしくは故人の宗教が不明な場合は、
の表書きを使うと良いです。 ただし「御霊前」は浄土真宗とプロテスタントでは使いませんので注意が必要です。 そのため「御花料」や「御供物料」と書くのがベターでしょう。
香典袋(不祝儀袋)に書く名前は、香典を包む人の名前です。送り先の名前(宛名)は書きません。 上包みの名前は基本的にフルネームで記入します。 上記でご紹介したように、名前は表書きよりもやや小さい字で書きます。 文字の間隔は均等にあけて書きます。 名前の下は一文字分のスペースをあけるように書くと良いです。
氏名だけでは遺族がわからない可能性がある場合や、故人が職場関係者の場合は上包みに会社名や役職などを記入します。 氏名よりもやや小さい字で氏名の右側に添えます。 ちなみに不祝儀(香典)は経費精算が可能です。 領収書がない場合がほとんどなので、会葬礼状をしっかり保管し日付と金額を記録しておく必要があります。
学生時代の友人や恩師など故人が結婚したことを知らない場合は現在の姓と合わせて旧姓も記入します。 旧姓の書き方は主に2パターンあります。
という方法があります。 いずれの方法でも旧姓は括弧書きで記入します。
夫婦で通夜や葬儀に参列する場合は、
の2パターンがあります。 基本的には夫婦連名で問題ありませんが、地域や家庭によっては夫婦別々に香典を用意する場合もあるようです。 夫婦連名の場合は中心より右寄りに夫の氏名を、その左に妻の名のみを記載します。 故人や遺族が結婚したことを把握していない場合は、妻の名前の左に括弧書きで旧姓を書くと良いでしょう。
上記でもご紹介しましたが、連名の最大人数は3人までとされていることがほとんどです。 3人の名前を並べる際は、上包みの中心に2人目の名前が来るように書きます。 3人連名の場合の注意点は
です。
連名が4人以上になる場合もあると思います。 その場合は上包みには代表者のみのフルネームを記載し、全員の名前は別紙に記入します。 代表者の名前の左側に名前より小さい字で「外一同(ほかいちどう)」と書きます。 全員の氏名は半紙や奉書紙などの白無地紙に、目上の人順に右側から名前と住所を書き中包みに入れます。
会社や学校など団体として香典を包む場合は、 上包みに部署名を書き全員の氏名は別紙に記入します。 「○○部一同」「○○会社有志」などと書きます。 全員の氏名は半紙や奉書紙などの白無地紙に、目上の人順に右側から名前と住所を書き中包みに入れます。
何かしらの事情で通夜や葬儀に参加できない場合、代理で不祝儀(香典)を渡してもらうこともできます。 その場合は不祝儀袋(香典袋)には代理依頼人の氏名を記載し、代理人本人の氏名は記載しません。 受付で代理で来た旨を伝え、芳名帳に依頼人の氏名を記載します。 氏名の下に配偶者の代理の場合は「(内)」、それ以外の人の代理は「(代)」と書きましょう。 名刺を渡すときは依頼人の名刺に「弔」、代理人の名刺に「代」と書きます。 名刺が縦書きの場合は右上に、横書きの場合は左上に記載します。
不祝儀(香典)の金額は故人との関係性や立場、また自身の年齢で異なります。 特徴としては、自身の年齢が上がるにつれて、また血縁関係が近いほど不祝儀(香典)の金額が高くなります。 金額に迷う時は自分と同じような立場の人と相談して決めると良いです。 次の場合は、想定していた金額よりも多めに出しましょう。
金額は「4」や「9」は「死」や「苦」を連想させるため避けましょう。 またかつては「奇数は吉、偶数は凶(数が割り切れることが縁が切れると連想させるため)」と言われていたため、金額やお札の枚数を偶数にするのも避けるべきです。 しかし最近では数字をあまり気にしない人も多くいるので、相手や状況に応じて判断をしましょう。 金額の相場を下記の表にまとめましたのでご参考になさってください。
贈り先 | 金額相場 |
---|---|
祖父母 | 1万〜3万円 |
親 | 5万〜10万円 |
子供 | 10万円前後 |
兄弟姉妹 | 1万〜5万円 |
子供の配偶者の親 | 3万〜5万円 |
孫 | 1万〜3万円 |
おじ・おば | 1万〜3万円 |
いとこ | 1万〜3万円 |
上記以外の親戚 | 5千円〜2万円 |
職場関係(上司、同僚、取引先) | 5千円〜1万円 |
友人・知人 | 3千円〜1万円 |
隣人 | 2千円〜1万円 |
通夜や葬式で包む金品を「不祝儀、香典」と言うのに対して、葬式後の四十九日(仏式)や追悼ミサ(キリスト教)などの法要で包むお金は「御供物料(おくもつりょう)」と言います。 よく法要で包むお金を「香典」と言う人がいますが、これは厳密には誤りになります。 法要に招かれ参加する場合は、線香や果物などの「供物(くもつ)」もしくは供物料を持参します。 法要の際に包む供物料は、不祝儀(香典)で包んだ金額の約半分を目安にすると良いです。 御供物料の包み方は香典(不祝儀)と同じです。 上包みに書く表書きの書き方が変わりますので下記で詳しく解説します。
不祝儀袋(香典袋)には様々な種類があります。 選ぶポイントとしては主に2つあります。 ①宗教・宗派 ②金額 ここでは不祝儀袋(香典袋)の種類と選び方を詳しくご説明していきます。
不祝儀袋(香典袋)は故人の宗教や宗派に合わせたものを用意しましょう。 選ぶポイントは①上包み(外袋)の柄、②水引きの色、③表書きです。 仏教(仏式)の場合は菊や蓮の花が印刷された不祝儀袋(香典袋)を使います。 そして水引きの色は黒白もしくは双銀を用いるのが一般的です。 神道(神式)の場合は無地の不祝儀袋を使用するので、仏教用の不祝儀袋は使えません。 水引きの色は白一色が一般的ですが、黒白や双銀でも可能です。 キリスト教の場合は百合の花もしくは十字架が印刷された不祝儀袋(香典袋)か白封筒を使います。 キリスト教では水引きは使用しません。 表書きに関してはすでに印刷されているタイプと自分で書き込むタイプがあります。 印刷されているタイプを購入する際は、故人の宗教や宗派に適した表書きかをしっかり確認しましょう。 下記の表にまとめてみましたのでご参考になさってください。
宗教・宗派 | 柄 | 水引き | 表書き |
---|---|---|---|
仏教(仏式) | 菊の花・蓮の花 | 黒白・双銀 | 御香典・御霊前・御香料・御供料・御仏前
※「御仏前」は浄土真宗のみ、「御霊前」は使わない |
神道(神式) | 無地 | 白一色 (黒白・双銀も可) |
御榊料・御玉串料・神撰料・供物料・御神前・御霊前・御供物 |
キリスト教 | 百合の花・十字架 | つけない | 【カトリック】御ミサ料・御霊前 【プロテスタント】忌慰料 【共通】御花料(お花料)・御白花料 |
無宗教 | 無地 | 黒白・双銀・双白 | 御霊前・御供物料・御花料・志 ※「志」は会費制の場合に用いる |
不祝儀袋は故人の宗教・宗派に合わせたものを使用する必要があることは上記でご紹介しましたね。 それに加えて、包む金額に見合った不祝儀袋を選ぶことも大切です。 不祝儀袋は大きく分けると2つの種類があり、水引きが印刷されている「印刷多当」タイプと、水引きが印刷でなく付属されている「金封」タイプがあります。金封タイプには4種類があり、これらの不祝儀袋の違いは、袋の大きさ、水引きの種類や色、そして包む金額です。 金額が1万円以下の場合は印刷多当を、1万円以上の場合は金封の袋を使用します。 1〜3万円の場合は水引金封、10万円以下の場合は中金封、10万円〜100万円以下の場合は大金封、100万円以上の場合は特大金封を使用します。 水引きの色は宗教や宗派によって異なりますが、〜3万円までは黒白、それ以上の額は双銀のものを使うのが一般的です。
不祝儀袋の種類 | 特徴 | 水引きの色 | 包む金額 |
---|---|---|---|
印刷多当 | 表書きや水引きが印刷されているもの 一般的なサイズ |
黒白 | 〜1万円 |
水引金封 | 水引きが印刷でないもの 一般的なサイズ |
黒白 | 1万円〜3万円 |
中金封 | 水引きが印刷でないもの 一般的なサイズ |
双銀 | 5万円〜10万円 |
大金封 | 水引きが印刷でないもの 一般的なサイズより少し大きめ |
双銀 | 10万円〜 |
特大金封 | 水引きが印刷でないもの 一番大きいサイズ |
双銀 | 10万円〜100万円 |
奉書紙や半紙、コピー用紙などの1枚の紙でお札を包む方法をご紹介します。 中包みでお札を包む際のポイントとしては、
になるように包みます。 詳しい包み方はイラストを参考になさってください。
封筒にお札を入れる場合、封筒の表に対してお札が裏を向くように入れ、人物の顔が底を向くように入れます。 お札の人物像を伏せるように入れることで、故人に対する悲しみやお悔やみなどの気持ちを表します。 遺族の手間を考え、中包みや上包みは糊付け(のりづけ)したり「〆」のシールを使って封を閉じる必要はありません。
中包みや中袋が付属されていない場合や使わない場合もあります。 中包みや中袋を使わない理由としては、地域や宗教、家庭によって二重の封筒が「不幸が重なる」と捉えられるためです。 中包みや中袋を使わない場合は上包み(香典袋)に直接お札を包みます。 上包み(香典袋)の表に対してお札が裏を向くように入れ、人物の顔が底を向くように入れます。
中包みや中袋に包んだ後は上包みにそれを包みます。 一般的な上包みは1枚の紙を折り返すタイプになっています。 上包みの表面に中包みや中袋の表面が重なるようにして配置します。 弔事では「悲しくてうつむいている」という意味で、上の折返しが上面にきます。(上の折返しを最後に折ります) 結婚などの慶事では「幸せがたくさん入ってくるように」という意味で、下の折返しが上面にきます。(下の折返しを最後に折ります) 折返しの向きを外から見て「喜びは上向きに、悲しみは下向きに」と覚えておくと便利です。
通夜や葬儀に不祝儀袋(香典袋)を持参する際は袱紗(ふくさ)を使用します。 袱紗とは、祝儀袋や不祝儀袋を包む布のことを指します。 弔事ではグレーや紺、濃い緑などの寒色系の袱紗を使用します。赤やピンクなどの暖色系は慶事専用の袱紗となります。 紫は慶事・弔事兼用ですので、使い勝手が良いです。 袱紗が無い場合は小さい風呂敷やハンカチでも代用が可能です。 袱紗を折る順番は右→下→上→左です。 袱紗につめが付いている場合は、つめが左側にくるように広げます。 ポケット(台付き)タイプの袱紗の場合は、左開きの状態で不祝儀袋(香典袋)を入れます。
不祝儀(香典)は通夜や葬儀、告別式の受付で渡すのが基本です。 通夜や葬儀、告別式の両方に参列する場合、最初に弔問する通夜に不祝儀(香典)を渡すのが一般的です。 その場合葬儀や告別式で再度不祝儀(香典)を渡す必要はなく、受付で芳名帳への記帳だけを済ませます。 急な知らせで不祝儀(香典)の準備が出来ない場合は、告別式に渡しても問題ありません。 不祝儀(香典)をお供えする際、袱紗に包んだまま渡すのはNGです。 相手から袱紗が返ってくることを「不幸が返ってくる」として捉えられるためです。 必ず袱紗から取り出して渡すようにしましょう。 受付での不祝儀(香典)の渡し方の流れは、 ①不祝儀(香典)を袱紗から取り出し袱紗を手早く畳む ②畳んだ袱紗の上に表書きの正面を相手に向けてのせる ③「ご霊前にお供えください」「この度はご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」など御悔みの言葉を添えて両手で渡す です。 受付がない場合は、焼香の際に霊前にお供えするか遺族に直接渡します。 遺族に手渡しする時も相手に表書きの正面を向け、「ご霊前にお供えください」などと述べ両手で渡します。 祭壇にお供えする場合の流れは下記の通りです。 ①遺影に向かって一礼する ②不祝儀(香典)の正面を自分に向けて両手で置く ③焼香をする 焼香の後に遺族が霊前に向けて不祝儀(香典)を置き直すため、お供えする際は表書きの正面を自分に向けて置きます。 なお焼香は不祝儀(香典)を供える前に行っても構いません。
何かしらの都合で通夜や葬儀、告別式に参列できない場合、不祝儀(香典)は後日直接遺族にお渡しするもしくは郵送で送ります。 仏式の場合だと、四十九日までの間に弔問を約束しお参りをさせてもらいます。 その際遺族に葬儀に参列できなかったお詫びをし、不祝儀(香典)をお供えします。 郵送で不祝儀(香典)を送る際の注意点は下記の通りです。
お悔やみの手紙を書く際の注意点は下記の通りです。
お悔やみの手紙には下記の内容を記します。 ①訃報を聞いた驚きや悲しみ ②故人の冥福 ③遺族への慰めと励ましの言葉 ④参列できないことへのお詫びの言葉 ⑤末文 後日弔問に伺う場合でも、実際に弔問する前にお悔やみの手紙を送ると丁寧です。 お悔やみの手紙の文例は下記の通りです。
<お悔やみの手紙例> お父様の突然の訃報に接し、ただただ驚いております。 ご家族の皆様の悲嘆いかばかりかと心中拝察申し上げ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 お力落としとは存じますが、お体を損なわれることのないよう、どうぞご自愛くださいませ。 本来なら何をおいても参上してお焼香させていただくべきところですが、やむを得ない事情によりお伺いすることができず、誠に申し訳ございません。 いずれ機会を見てご挨拶に参りたいと考えております。 とり急ぎ書中をもって、お悔やみ申し上げます。 合掌
<お悔やみの手紙例> ご尊父様のご逝去の報に接し、ただ驚いております。 ご入院中とはうかがっておりましたが、ご家族様のご心中もいかばかりかと存じ、心よりお悔やみ申し上げます。 本来ならば、お参りさせていただくところですが、あいにく、遠方のため、伺うことがかなわぬ失礼をお許しください。 心ばかりのものを同封いたしますので、御霊前にお供えくださいますようお願い申し上げます。 お父上様を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
●香典(不祝儀)の基本
●香典袋(不祝儀袋)の書き方の注意点
●中袋|金額・名前・住所の書き方
●上包み|表書きの書き方
●上包み|名前の書き方
●香典(不祝儀)の金額相場
●不祝儀袋(香典袋)の種類と選び方
●香典(不祝儀)の包み方・入れ方
●香典(不祝儀)の渡し方