香典は通夜・葬儀で霊前に供える金品のことです。香典マナーは地域や宗教、故人との関係性によって違います。香典の金額相場、香典袋の選び方・渡し方・タイミング、表書きや連名の書き方、お札の入れ方、郵送方法、香典返しに関して徹底解説いたします。
「香典」の読み方は「こうでん」です。 「香典」の意味は「香の代わりに死者の霊前に供える金品」です。 「香典」は「香奠」と書くのが正式ですが、「奠」は常用漢字ではないため「香典」と代用して書くのが一般的です。 「香」には「仏前で焚く香料」という意味が、「奠」には「神仏などへの供え物」という意味があります。 お通夜や葬儀で渡す金品のこと「香典」といい、四十九日などの法要で渡す金品は「供物(くもつ)」や「供物料」といいます。
「香典」の語源は仏教用語に由来します。 「香典」の発生には諸説があり、元々は故人にお香を焚いて供えていた、お香は仏教的に「仏様の食べ物」とされており、それがが転じて食料になったという考えなどもあります。 昔は葬儀のために米や野菜、香などの品物は全て弔問者が持ち寄っていました。 現在では葬儀に関する全てのものを故人の遺族が用意するため、弔問客はその料金として現金を供えるようになりました。 現在でも地方や地域、人によっては米や線香などを贈る場合もあります。
上記でご紹介したように、「香典」は仏教用語です。 通夜や葬儀などで贈る現金のことを仏教以外でも「香典」といいますが、正式には「不祝儀(ぶしゅうぎ)」といいます。 しかし「香典」の方が広く知られているため、仏教以外の宗教でも便宜上「香典」を用いることが多いのです。
香典(不祝儀)の金額は故人との関係性や立場、自身の年齢によって決まります。 特徴としては、自身の年齢が上がるにつれて、また血縁関係が近いほど香典(不祝儀)の金額が高くなります。 金額に迷う時は自分と同じような立場の人と相談して決めると良いでしょう。 次の場合は、想定していた金額よりも多めに出した方が無難でしょう。
金額は「4」や「9」は「死」や「苦」を連想させるため避けましょう。 またかつては「奇数は吉、偶数は凶(数が割り切れることが縁が切れると連想させるため)」といわれていたため、金額やお札の枚数を偶数にするのも避けるべきです。 しかし最近では数字をあまり気にしない人も多くいるので、相手や状況に応じて判断しましょう。 金額の相場を下記の表にまとめましたのご参考にしてください。
贈り先 | 金額相場 |
---|---|
祖父母 | 1万〜3万円 |
親 | 5万〜10万円 |
子供 | 10万円前後 |
兄弟姉妹 | 1万〜5万円 |
子供の配偶者の親 | 3万〜5万円 |
孫 | 1万〜3万円 |
おじ・おば | 1万〜3万円 |
いとこ | 1万〜3万円 |
上記以外の親戚 | 5千円〜2万円 |
職場関係(上司、同僚、取引先) | 5千円〜1万円 |
友人・知人 | 3千円〜1万円 |
隣人 | 2千円〜1万円 |
金額はあくまで目安で、地域による慣例も考慮する必要があります。
通夜や葬式で包む金品を「不祝儀」または「香典」というのに対して、法要(四十九日や一周忌など葬儀の後に行う儀式)で渡す線香や果物などの品物のことを「供物(くもつ)」、現金のことを「供物料(くもつりょう)」といいます。 法要は、遺族や親族など身内だけで執り行うことが多いですが、場合によっては知人や友人が招かれることもあります。 法要で包む金品を「香典」という人がいますが、これは誤りです。 法要に招かれ参加する場合は、線香や果物などの供物を持参します。 法要の際に包む供物料は、香典(不祝儀)で包んだ金額の約半分を目安にすると良いでしょう。
弔事で使用する封筒のことを「不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)」または「香典袋」といいます。 一般的な香典袋(不祝儀袋)は基本的に下記の3点がセットになっていて、スーパーマーケットやコンビニなどで購入が可能です。
香典袋(不祝儀袋)は故人の宗教や宗派に合わせたものを用意しましょう。 選ぶポイントは①上包み(外袋)の柄、②表書き、③水引きの色です。 下記の表にまとめてみましたのでご参考になさってください。
宗教・宗派 | 柄 | 水引き | 表書き |
---|---|---|---|
仏教(仏式) | 菊の花・蓮の花 | 黒白・双銀 | 御香典・御霊前・御香料・御供料・御仏前(御佛前)
※「御仏前」は浄土真宗のみ、「御霊前」は使わない |
神道(神式) | 無地 | 白一色 (黒白・双銀も可) |
御榊料・御玉串料・神撰料・供物料・御神前・御霊前・御供物 |
キリスト教 | 百合の花・十字架 | つけない | 【カトリック】 御ミサ料・御霊前 【プロテスタント】 忌慰料 【共通】 御花料(お花料)・御白花料 |
無宗教 | 無地 | 黒白・双銀・双白 | 御霊前・御供物料・御花料・志 ※「志」は会費制の場合に用いる |
「熨斗( のし)」とは、贈答品につける飾り物のことを指します。 結婚などの慶事のみに使い、弔事では不要です。 熨斗には「伸ばす」という言葉を重ね相手の繁栄を祝うという意味合いがあります。 「悲しみを引き伸ばす」ということになってしまうため、香典袋(不祝儀袋)に熨斗は付けません。
香典袋(不祝儀袋)は故人の宗教・宗派に合わせたものを使用する必要があることは上記でご紹介しましたね。 それに加えて、包む金額に見合った香典袋(不祝儀袋)を選ぶことも大切です。 香典袋(不祝儀袋)は大きく分けると2つの種類があり、水引きが印刷されている「印刷多当」タイプと、水引きが印刷でなく付属されている「金封」タイプがあります。金封タイプには4種類があり、これらの袋の違いは、袋の大きさ、水引きの種類や色、そして包む金額です。 金額が、1万円以下の場合は印刷多当を、1万円以上の場合は金封の袋を使用します。
を使用します。 水引きの色は宗教や宗派によって異なりますが、〜3万円までは黒白、それ以上の額は双銀のものを使うのが一般的です。
香典袋(不祝儀袋)の種類 | 特徴 | 水引きの色 | 包む金額 |
---|---|---|---|
印刷多当 | 表書きや水引きが印刷されているもの 一般的なサイズ |
黒白 | 〜1万円 |
水引金封 | 水引きが印刷でないもの 一般的なサイズ |
黒白 | 1万〜3万円 |
中金封 | 水引きが印刷でないもの 一般的なサイズ |
双銀 | 5万円〜10万円 |
大金封 | 水引きが印刷でないもの 一般的なサイズより少し大きめ |
双銀 | 10万円〜 |
特大金封 | 水引きが印刷でないもの 一番大きいサイズ |
双銀 | 10万円〜100万円 |
通夜や葬儀に香典袋(不祝儀袋)を持参する際は袱紗(ふくさ)を使用します。 袱紗とは、祝儀袋や不祝儀袋を包む布のことを指します。 弔事の場合はグレーや紺、濃い緑などの寒色系の袱紗を使用します。 赤やピンクなどの暖色系は慶事専用の袱紗となります。 紫は慶事・弔事兼用ですので、使い勝手が良いです。 袱紗が無い場合は小さい風呂敷でも代用が可能です。 その場合も寒色系のものを使うようにしましょう。
表書きや氏名などを記入する際は必ず薄墨を使用しましょう。 薄墨とは文字通り「薄くすった墨」のことです。 「悲しみの涙で墨が薄れる、突然のことで墨をする時間がない」という意味合いが込められています。 最近では毛筆ではなく薄いインクを使用した弔事用の筆ペンを使うのが一般的となっています。 弔事用の筆ペンはスーパーやコンビニなどでも購入可能ですが、手元に慶事用の筆ペンがある場合はペン先を水に浸し薄墨にして使用することも可能です。 基本的には全ての記入事項を薄墨の毛筆や筆ペンで書くのがマナーですが、金額や住所を相手にわかりやすく書くために中包み(中袋)はボールペンで書くのも良しとされています。 また葬儀後の法要で持参する供物料の香典袋(不祝儀袋)も薄墨で書くのが基本ですが、普通の黒色で書いても構いません。
基本的には自分の手で表書きや氏名などを書くのがマナーとされています。 しかし最近では表書きや氏名などを印刷したり、スタンプを使ったりする人も増えているようです。
という場合は、印刷やスタンプを使うことも可能です。 その際の注意点ですが、文字の色が薄くなっているかどうかを確認しましょう。 通常の印刷やインクでは黒が濃くなってしまうため、弔事には不向きといえます。 遺族によっては良い印象を持たない人もいるため注意が必要です。
「表書き」とは、上包み(外の封筒)の表面に書く「御霊前」などの言葉です。 表書きは故人の宗教や宗派に合わせて書く必要があるため、事前に遺族に確認を取りましょう。 一般的に広く使われる表書きは「御霊前」「御供料」「御花料」などです。(しかし浄土真宗やキリスト教のプロテスタントは「御霊前」は使わない) そのため故人の宗教や宗派が不明な場合は、宗派を問わない「御花料」と書くと良いでしょう。 「御悔(おくやみ)」という表書きもありますが、あまり一般的ではないので避ける方が良いでしょう。 表書きを表にまとめましたのでご参考にしてください。
宗教・宗派 | 表書き |
---|---|
共通 | 御花料・御供料・御霊前(浄土真宗を除く) |
仏式 | 御香典・御霊前・御香料・御供料・御仏前(御佛前)
※「御仏前」は浄土真宗のみ、「御霊前」は使わない |
仏式(浄土真宗) | 御仏前(御佛前)・御香料 |
神式 | 御榊料・御玉串料・御神撰料・供物料・御神前・御霊前 |
キリスト教共通 | 御花料(お花料)・御白花料 |
キリスト教(カトリック) | 御ミサ料・御霊前 |
キリスト教(プロテスタント) | 忌慰料 |
無宗教 | 御霊前・御供物料、御花料、志 ※「志」は会費制の場合に用いる |
仏式では故人が亡くなられてから忌明けの四十九日法要まではまだ御霊(みたま)としてこの世にいらっしゃるという考えから「御霊前」を使い、それ以降に「御仏前(御佛前)」を使います。 仏教一つの宗派である浄土真宗では、亡くなった人はすぐ仏様になるという考えから「御霊前」は使わず「御仏前(御佛前)」を使用します。
香典袋(不祝儀袋)に書く名前は、香典を包む人の名前です。送り先の名前(宛名)は書きません。 名前は表書きよりもやや小さい字で書きます。基本的にはフルネームで記載します。 香典袋(不祝儀袋)を旧姓で書く場合は、上包み(外袋)に現在の氏名を書き、左側に(旧姓 ○○)と記載するか、上包み(外袋)には現在の氏名を書き中包み(内袋)には旧姓で氏名を書くという方法があります。 連名は最大3名程度にしましょう。 氏名を並べる順番は、目上の人が一番右側です。特に上下の区別がない場合は五十音順で右から左へと記載します。 夫婦連名の場合は中心より右寄りに夫の氏名を、その左に妻の名のみを記載します。 連名が4名以上の場合は上包みに代表者のみ氏名を記載し、左側に「外一同」と書き添えます。 全員の氏名は白無地紙(半紙や奉書紙など)に目上の人順に右側から書き中包み(内袋)に入れます。
お札を包む紙もしくは封筒のことを「中包み(なかづつみ)」や「中袋・内袋」といいます。 奉書紙か厚手の半紙でお札を包むやり方が正式ですが、現代では封筒を用いることも多くなりました。 中包み(中袋・内袋)には、金額、住所、氏名を記載します。余白に余裕があれば電話番号も添えるとより丁寧です。 封筒に記入欄がある場合は、欄に沿って記載していきます。 上記でもご紹介したように、薄墨の毛筆や筆ペンを使って書くのが一般的ですが、ボールペンなどでも可能です。 弔事の場合、封筒の表には何も書かないのが一般的です。 封筒の裏面の右側(上か下)に金額、左側に住所と氏名を縦書きします。 金額は大字(だいじ)で書くのが正式なマナーです。 大字とは漢数字の「一・二・三」などの代わりに用いる「壱・弐・参」などの漢字のことです。 主に改ざんを防ぐ目的で使われる漢字です。 最近は漢数字を使って書く人もいるようですが、厳密にはマナー違反になりますので注意しましょう。 また金額を書く際に「也(なり)」をつける必要はありません。 「也」は銭単位のお金を使っていた時代に、それ以下の端数のないことを表す際に使われていたものです。
漢数字 | 大字 |
---|---|
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
四 | 肆 |
五 | 伍 |
六 | 陸 |
七 | 漆・質 |
八 | 捌 |
九 | 玖 |
十 | 拾 |
百 | 陌・佰 |
千 | 仟・阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
香典袋(不祝儀袋)によっては、中包み(中袋)がついていないものもあります。 中包み(中袋)がついていない場合は、代わりにコピー用紙や半紙を用いるもしくは上包みに直接お札を包みます。 また地域によっては中包みや中袋を使用しない場合もあります。 袋が重なっていることから「不幸なことが重なって起こってしまう」と縁起が悪いことだと捉えられるからです。 その場合香典袋(不祝儀袋)に付属されている中包みや中袋は使わず、上包み裏面の縦左半分の中央寄りに住所を、そして住所の左側に金額を書きます。
個人としてではなく会社として香典(不祝儀)を用意する場合は、封筒の中心より右寄りに会社名を、中心に氏名を記載します。 会社名は氏名よりも小さめに書きます。 会社やグループの場合は「○○部一同」「○○会社有志」と記載します。 全員の氏名は別紙に記載し、中包みに入れます。 目上の人順に右から、もしくは五十音順に右から氏名を並べます。 ちなみに香典(不祝儀)は経費精算が可能です。 領収書がない場合は会葬礼状を保管し、日付と金額を記録する必要があります。
何かしらの事情で通夜や葬儀に参加できない場合、代理で香典(不祝儀)を渡してもらうこともできます。 その場合は香典袋(不祝儀袋)には代理依頼人の氏名を記載し、代理人本人の氏名は記載しません。 受付で代理で来た旨を伝え、芳名帳には参列できない依頼人の氏名を記載します。 そして氏名の下に配偶者の代理の場合は「(内)」、それ以外の人の代理は「(代)」と書きましょう。 名刺を渡すときは依頼人の名刺に「弔」、代理人の名刺に「代」と書きます。 名刺が縦書きの場合は右上に、横書きの場合は左上に記載します。
香典(不祝儀)の金額が少額などの場合で香典返し(香典のお礼として遺族が弔問者に贈る品物)を辞退する場合は、中包みの裏面もしくは一筆箋にその旨を記載します。
などと一言添えれば問題ありません。
葬儀などの弔事には新札は使いません。 新札だと前々から用意をされていたようで失礼な印象を与えるからです。 香典(不祝儀)には古いお札を包むのが正式なマナーです。 ただしあまりにも汚れやシワが目立つお札は避けましょう。 昨今では新札の方が清潔で失礼がないという理由から新札を使用する人も増えつつあります。 新札を使う場合はわざと折り目を入れて包みます。
香典(不祝儀)を包む際はお札の向きにも決まりがあります。 お札は人物の肖像画が印刷されている面が「表」とされています。 奉書紙や半紙などでの包み方は上記のイラストを参考にしてください。 弔事では包んだ紙の三角の部分が右下にくるようにするのがポイントです。 封筒にお札を入れる場合、弔事では「顔を伏せる」ように入れるのが一般的とされています。 封筒の「表」に対してお札が「裏」を向くように入れますが、その際人物の顔が底を向くように入れます。 お札の人物像を伏せるように入れることで、故人に対する悲しみやお悔やみなどの気持ちを表します。 複数枚お札がある場合は、お札の向きを全て揃えて入れます。 遺族の手間を考え、中包みや上包みは糊付け(のりづけ)したり「〆」のシールを使って封を閉じる必要はありません。 なおお札の入れ方は、地域や宗教によって異なる場合があります。
水引きの本数は、「凶」とされる偶数(2、4、6)本と決まっていましたが、最近では慶事兼用で「吉凶」とされる5本が主流となっています。 水引きの結び方には主に「結び切り」と「蝶結び」の2種類があります。 弔事など一度切りで二度と起こってほしくないことには「結び切り」を使います。 結び切りには「淡路結び(あわじ結び)」や「老いの波」などの応用編があります。 淡路結びは慶弔どちらにも使うことができますが、一般的には香典(不祝儀)では使わず基本の真結びを使用します。 水引きの色が2色の場合、右に濃い色、左に薄い色がくるように結びます。 なお最近では、予め結ばれた状態で封筒にくぐらせるだけのタイプが販売されていることも多いです。
上包みの折り方は慶事と弔事で異なります。 弔事では「悲しくてうつむいている」という意味で、上の折返しが上面にきます。(上の折返しを最後に折ります) 結婚などの慶事では「幸せがたくさん入ってくるように」という意味で、下の折返しが上面にきます。(下の折返しを最後に折ります) 折返しの向きを外から見て「喜びは上向きに、悲しみは下向きに」と覚えておくと便利です。
香典袋(不祝儀袋)を持参する際は袱紗(ふくさ)という1枚の布を使います。 袱紗の折り方も慶事と弔事で異なります。 布を折る順番は右→下→上→左です。 袱紗につめが付いている場合は、つめが左側にくるように広げます。 ポケット(台付き)タイプの袱紗の場合は、左開きの状態で香典袋(不祝儀袋)を入れます。 袱紗が無い場合に風呂敷を代用する時も折り順は同じです。
香典(不祝儀)は通夜や葬儀、告別式の受付で渡すのが基本です。 通夜や葬儀、告別式の両方に参列する場合、最初に弔問する通夜に香典(不祝儀)を渡すのが一般的です。 その場合葬儀や告別式で再度香典(不祝儀)を渡す必要はなく、受付で芳名帳への記帳だけを済ませます。 急な知らせで香典(不祝儀)の準備が出来ない場合は、告別式に渡しても問題ありません。 香典(不祝儀)をお供えする際、袱紗に包んだまま渡すのはNGです。 相手から袱紗が返ってくることを「不幸が返ってくる」として捉えられるためです。 必ず袱紗から取り出して渡すようにしましょう。 受付での香典(不祝儀)の渡し方の流れは、 ①香典袋(不祝儀袋)を袱紗から取り出し袱紗を手早く畳む ②畳んだ袱紗の上に表書きの正面を相手に向けてのせる ③「ご霊前にお供えください」「この度はご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」など御悔みの言葉を添えて両手で渡す です。 受付がない場合は、焼香の際に霊前にお供えするか遺族に直接渡します。 遺族に手渡しする時も相手に表書きの正面を向け、「ご霊前にお供えください」などと述べ両手で渡します。 祭壇にお供えする場合の流れは下記の通りです。 ①遺影に向かって一礼する ②香典(不祝儀)の正面を自分に向けて両手で置く ③焼香をする 焼香の後に遺族が霊前に向けて香典(不祝儀)を置き直すため、お供えする際は表書きの正面を自分に向けて置きます。 なお焼香は香典(不祝儀)を供える前に行っても構いません。
何かしらの都合で通夜や葬儀、告別式に参加できず香典(不祝儀)を渡せない場合は、後日直接遺族にお渡しするもしくは郵送で送ります。 仏式の場合だと、四十九日までの間に弔問を約束しお参りをさせてもらいます。 その際遺族に葬儀に参列できなかったお詫びをし、香典(不祝儀)をお供えします。 郵送で香典(不祝儀)を送る際の注意点は下記の通りです。
後日弔問に伺う場合でも、実際に弔問する前にお悔やみの手紙を送ると丁寧です。 お悔やみの手紙には下記の内容を記します。 ①訃報を聞いた驚きや悲しみ ②故人の冥福 ③遺族への慰めと励ましの言葉 ④参列できないことへのお詫びの言葉 ⑤末文 お悔やみの手紙を書く際の注意点は下記の通りです。
お悔やみの手紙の文例は下記の通りです。
<お悔やみの手紙例> お父様の突然の訃報に接し、ただただ驚いております。 ご家族の皆様の悲嘆いかばかりかと心中拝察申し上げ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 お力落としとは存じますが、お体を損なわれることのないよう、どうぞご自愛くださいませ。 本来なら何をおいても参上してお焼香させていただくべきところですが、やむを得ない事情によりお伺いすることができず、誠に申し訳ございません。 いずれ機会を見てご挨拶に参りたいと考えております。 とり急ぎ書中をもって、お悔やみ申し上げます。 合掌
<お悔やみの手紙例> ご尊父様のご逝去の報に接し、ただ驚いております。 ご入院中とはうかがっておりましたが、ご家族様のご心中もいかばかりかと存じ、心よりお悔やみ申し上げます。 本来ならば、お参りさせていただくところですが、あいにく、遠方のため、伺うことがかなわぬ失礼をお許しください。 心ばかりのものを同封いたしますので、御霊前にお供えくださいますようお願い申し上げます。 お父上様を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
家族葬など小規模の葬儀が主流になっている、また故人の意向などの理由で遺族が香典(不祝儀)の受け取りを辞退する場合もあります。 その場合は無理に渡すのは控えるべきです。 それでも故人や遺族に気持ちを伝えたい場合は、香典(不祝儀)以外の形でお供えをするという方法があります。 遺族に相談し、供花や供物などをお供えすることが可能です。 しかし遺族がこれらの受け取りも辞退するようであれば、無理に贈らないようにしましょう。
「香典返し」とは香典(不祝儀)のお礼として品物を贈ることを指します。 冒頭でご紹介したように、元々は弔問者が香典として米や野菜などを持ち寄っていました。 不幸のあった家族を助けるという意味合いがあったため、本来香典返しは不要だったのです。 しかし最近では、故人に代わって遺族が感謝の気持ちを込めて香典返しを贈ることが一般的になっています。 また香典返しは元々仏教のみのしきたりでしたが、最近では仏教以外でも香典返しを行う人が多くいます。 香典返しとしての品物は挨拶状とともに弔問者に贈られます。 しかし、故人の遺志や遺族の方針で香典返しをせずに団体や基金などに寄付することもあります。 その場合品物は贈られず、挨拶状だけが弔問者へと送られます。
香典返しの品物は香典の3分の1〜半額程度にするのが相場といわれています。「半返し」ということもあります。 例えば一万円をお供えしてくださった方には3,000〜5,000円程度の品物で香典返しをします。 香典の額には幅があることが予想されるため、段階に応じた香典返しの品物を贈ると良いです。 しかし最近では、香典の金額に関わらず同じ金額の品物を贈るケースも増えています。 参列者全員に同じ品物を渡し、高額な方に関しては忌明けに別途返礼する流れとなります。
香典返しは葬儀場や百貨店で準備します。 あとまで残らない消耗品を選ぶのが基本とされています。 代表的な品物の例は下記の通りです。
香典返しを贈るタイミングは大きく分けて「当日返し」と「忌明け返し」の2種類があります。 「当日返し」は通夜や葬儀の当日に香典返しを渡す方法です。「即日返し」や「その場返し」ともいいます。 当日返しの場合、参列者が帰るタイミングで香典返しの品物を渡します。 「忌明け返し」は忌明け(喪に服する期間が終わること)に香典返しを送ります。 「忌明け返し」が一般的ですが、最近では発送の負担が軽減するなどの理由から当日返しをすることが多くなっています。 また忌明けのタイミングは宗教によって異なります。
香典返しを贈る際は挨拶状を添えます。 手紙には下記の内容を記します。 ①香典(不祝儀)へのお礼の言葉 ②故人の納骨や法要がすんだ報告(忌明け返しの場合のみ) ③香典返しの品を贈る旨 ④書中で挨拶することへのお詫びの言葉 ⑤末文 挨拶状では句読点や忌み言葉を使わないことが注意点です。(句読点をつけることは相手を子供扱いすることに繋がるため) 手紙例をご紹介しますので、ご参考になさってください。
<香典返しの挨拶状の文例> 謹啓 先般 母○○永眠の際の際にはご多用のところご丁重なご弔詞(ご芳志)を賜りまして誠にありがとうございました 四十九日法要を営みました 供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたのでお納めくださいませ 書面にて失礼ではございますがお礼かたがた挨拶申し上げます 敬具 令和○年○月○日 涌井太郎
香典返しの際は熨斗(のし)がない掛け紙を用います。 黒白、双銀、黄白(関西)のいずれかのむすびきりの水引きに表書きと喪主の氏名を書きます。 一般的な表書きは「志(こころざし)」で、喪主の氏名(フルネーム)または姓のみを記載します。 宗教別の表書きとしては、
などがあります。
香典返しを受け取った際のお礼は、「不幸が重ねて起こらないように」という理由から控えるのが一般的です。 ただし品物を受け取ったという報告であればはがきで簡潔にすませることが多いです。 あくまで香典返しを受け取った報告なので、「ありがとうございました」と書かないようにしましょう。 親しい間柄であれば、励ましの電話などもよいでしょう。
<香典返しを受け取った報告の手紙例> 拝復 このたびはご丁寧にご芳志の品を賜り、恐縮存じます。お送りいたしました品、○月○日に届きましたことをご報告させていただきます。 その後、皆様はいかがお過ごしでしょうか。悲しみが癒えるまでは時間がかかるかと存じます。 ご家族の皆様には、どうかご自愛のほどお祈り申し上げます。 敬具
<香典のまとめ> ●香典の基礎知識
●香典(不祝儀)の金額相場
●香典袋(不祝儀袋)の選び方
●香典袋(不祝儀袋)の書き方
●香典(不祝儀)の入れ方・包み方
●香典(不祝儀)の渡し方
●香典返し