一周忌は「満」で数えますが、三回忌からは亡くなった日を一回忌とし数えで数えます。したがって三回忌は一周忌の翌年に行います。満2年の祥月命日に三回忌を行うのが正式ですが、平日で開催が難しい場合は命日より前に行います。「悲しみを引き伸ばす」のはタブーですので延期することは避けます。
「法要」とは仏教用語で、死者の冥福を祈り霊を慰めるために行う儀式のことを指します。 「法事」は「法要」と同義で使われることが多いですが、特に四十九日法要を「法事」という説もあります。 法要は初七日から百回忌まで全18回です。 初七日から百か日までの法要を追悼(忌日)法要、一周忌から百回忌までの法要を年忌法要といいます。 「忌日(いみび)」とは、故人の命日から四十九日までの間にある、7日目ごとの法要を営む日のことです。 本来は初七日後、7日目ごとに追善供養を行うことが正式なのですが、初七日は葬式とともに済ませることが多く四十九日の法要までは省略されることも増えています。 法要の中でも初七日、七七日(四十九日)、一周忌、三回忌の4回の法要は、僧侶や近親者、友人、知人などを招いて盛大に行うのが一般的です。 最後の年忌法要を「弔い上げ(とむらいあげ)」といいます。最後の法要をもって故人の霊は先祖霊になるといわれています。 本来は百回忌まで法要を行うことが正式ではありますが、最近では三十三回忌や五十回忌で切り上げ「年忌明け」とすることが一般的になっています。 その背景には高齢化があり、故人が高齢で亡くなる場合施主も高齢になり法要の実施に負担がかかるためです。 仏教の法要(法事)は下記の通りです。
法要の名称 | 死後日数・年数 | 参列者 | 内容 | |
---|---|---|---|---|
追悼(忌日)法要 | 初七日(しょなのか) | 7日目 | 近親者・友人・知人 | 葬儀や告別式当日に繰り上げて行うことも多い。 |
二七日(ふたなのか) | 14日目 | 遺族のみ | 最近では省略することも多い。 | |
三七日(みなのか) | 21日目 | |||
四七日(よなのか) | 28日目 | |||
五七日(いつなのか) 三十五日 |
35日目 | 地域や宗派によってはこの日が忌明けとなるため僧侶に読経をしてもらう。 | ||
六七日(むなのか) | 42日目 | 最近では省略することも多い。 | ||
七七日(なななのか) 四十九日 |
49日目 | 近親者・友人・知人 | 追悼(忌日)法要で最も重要な法要で、この日をもって忌明けとなる。僧侶による読経や法話などを行う。四十九日法要と合わせて納骨式や会食(お斎)を行うことが多い。 | |
百か日 | 100日目 | 遺族のみ | 「卒哭忌(そつこくき)」ともいわれ、泣くことをやめ悲しみに区切りをつける日ともいわれている。 | |
年忌法要 | 一周忌 | 1年目の祥月命日 | 近親者・友人・知人 | 僧侶に読経してもらう。 |
三回忌 | 2年目の祥月命日 | |||
七回忌 | 6年目の祥月命日 | 遺族のみ | 僧侶に読経してもらうのが基本だが、身内だけで供養することも多い。 | |
十三回忌 | 12年目の祥月命日 | |||
十七回忌 | 16年目の祥月命日 | |||
二十三回忌 | 22年目の祥月命日 | |||
三十三回忌 | 32年目の祥月命日 | 近親者・友人・知人 | 僧侶に読経してもらう。 | |
三十七回忌 | 36年目の祥月命日 | 遺族のみ | 法要を省略することが多い。 | |
五十回忌 | 49年目の祥月命日 | |||
百回忌 | 99年目の祥月命日 |
三回忌などの法要のしきたりはインド本来の仏教説ではなく、中国六朝時代の民間信仰「十王」に由来するといわれています。 「十王」とは冥土(死者の霊魂が行く道、世界)で故人の生前の罪の軽重をただす10人の王のことを指します。 十王の名前は秦広王(しんこうおう)、初江王(しょこうおう)、宋帝王(そうていおう)、五官王(ごかんおう)、閻魔王(えんまおう)、変成王(へんじょうおう)、泰山王(たいざんおう)、平等王(びょうどうおう)、都市王(としおう)、五道転輪王(ごどうてんりんおう)です。 初七日に秦広王の庁(王の居場所)に至り、以下順次に二七日、三七日、四七日、五七日、六七日、七七日、百箇日、一周年、三周年に各王の庁を過ぎて生前の罪の裁断を受け、これによって来世に生まれる場所が決まるといわれています。 三回忌法要は最後の裁きとなるため、大切な法要となります。 親族を招いて盛大に法要を営むのが本来のしきたりですが、最近では身内だけで小規模の法要を執り行うことも増えています。
三回忌とは上記でご紹介した年忌法要の一つです。 三年忌ということもあります。「三周忌」という表現は誤りとなります。 故人の死から満2年(数えて三年目)の命日、またその法要(法事)のことを指します。 「三回忌」という名称ですが、故人の死から丸3年目(満3年)に行う法要というわけではありませんので注意が必要です。 仏教には浄土真宗や真言宗など様々な宗派がありますが、ほとんどの宗派で満2年に三回忌を行います。 2つ以上の年忌法要を同時に営むことを「併修(へいしゅう)」や「合斎(ごうさい・がっさい)」といい、命日の早いほうに合わせて行います。 一周忌と三回忌を一緒に開催しても良いのかと思う人もいると思いますが、四十九日や一周忌、三回忌などは故人の記憶が強く残っているため、単独で行うのがよいとされています。 七回忌からは1年のうちに2つ以上の年忌法要が重なる場合は一緒に開催してもよいでしょう。
年忌法要で混同されやすいのが「一周忌」と「三回忌」の計算の仕方です。 「一周忌」は故人が死亡した翌年の祥月命日に行う法要で、「満」で数えます。 「三回忌」からは死亡した年を含め「数え年」で数えるため、一周忌の翌年に行います。 七回忌は6年目の祥月命日、十三回忌は12年目の祥月命日に行っていきます。 また忌日(きにち:命日のこと)の数え方は関東と関西で違うことがあります。 関東では亡くなった日を1日目と数えるのが一般的ですが、関西では命日の前日から数えることがあります。 これには「お逮夜(おたいや)」という関西特有の習慣が関係しているといわれています。 お逮夜とは初七日や四十九日などの忌日法要の前日の夜に行われる法要で、夜に読経をします。そのため、例えば四十九日法要を48日目にあたる日に行うこともあります。
「三回忌」は仏教の追善供養です。 上記でもご紹介したように三回忌は故人の死から満2年に行います。 神道でも「三年祭」という儀式がありますが、これは故人の死から3年後(満3年)に行います。 キリスト教にはカトリックとプロテスタントの2つの宗派があります。 カトリックでは毎年の祥月命日に「追悼ミサ(命日祭)」を行います。 プロテスタントでは故人の死から3年後(満3年)に「召天記念日」を行います。 無宗教の場合は、故人や遺族の意向に沿った儀式を行いますので、供養がある場合とそうでない場合があります。
ここでは三回忌法要の当日のスケジュールをご紹介します。 三回忌法要の所要時間は約1時間〜です。
施主、遺族、参列者が着席し次第、僧侶が入場・着席します。 施主は僧侶のすぐ近くになるように着席しておきます。
下座に移動し、三回忌法要の開始のあいさつを参列者への感謝の言葉を添えて行います。 長く話す必要はないので、手短に済ませ僧侶のそばの自席へと戻ります。 挨拶の例は後ほど詳しくご紹介します。
僧侶による読経は、約30分〜1時間程度です。 読経が始まったら静聴します。僧侶が合掌礼拝するタイミングで参列者もそれにならって合掌礼拝をします。 僧侶が読経をしている間に参列者は焼香を行います。 詳しくは次でご紹介します。
僧侶が読経を行っている間、参列者は焼香を行います。 焼香の方法は立礼と座礼の2種類があります。 主な焼香のやり方は、 合掌→一礼→お香を右手親指・人差し指・中指でつまんで香炉に落とす→合掌→一礼 となります。 お香を香炉に落とす回数は基本的には3回とされていますが、厳密には宗派によって異なります。
宗派に問わず時間に限りがある場合は司会者から「焼香は一回にしてください」などと指示あるので従いましょう。
僧侶による読経や参列者の焼香が終わり次第、僧侶の法話が始まります。 法話とは、仏教に関する話のことを指します。 僧侶が故人の人柄を偲びながら話します。 法話が終わったら参列者全員で合掌をし一礼をします。 法話の後、僧侶は一度退場をします。
開始のあいさつと同じように下座に移動し、三回忌法要が無事に終わった旨を手短かに述べます。 施主のあいさつをもって三回忌法要自体は終了となります。 法要後にお墓参りや納骨、会食(お斎)と続く場合は、その案内も述べましょう。 参列者は施主の案内に従って移動をします。
三回忌法要までに遺族が準備することをご紹介します。 準備期間は1〜2ヶ月が目安です。
施主(せしゅ)とは、法要の主催者のことを指します。 基本的には通夜や葬儀で喪主を努めた人がそのまま施主になることが多いです。 三回忌の参列者が大人数になることが見込まれる場合は、当日の役割分担を決めておくと良いでしょう。 身内が担当するのが理想ですが、人手不足場合の友人や知人に事前に依頼をします。 当日の世話役には、
などがあります。
三回忌は故人の死後丸2年めの祥月命日に行うのが正式なルールですが、当日開催が難しい場合は日程をずらして行ってもよいです。 「慶事は引き延ばしても、弔事は繰り上げる」という言い伝えがあるため、延期するのではなく前倒しで開催します。 祥月命日が平日の場合は、後ろ倒しするのではなく命日前の休日に行うようにします。 三回忌を開催する時期ですが、大安、友引、仏滅などの六曜は仏教の考えにはないため気にする必要はありません。 命日がお正月前後の場合、松の内(元日〜7日までの間)は法要は行わないのが一般的です。 年末年始は慶事のイメージが強く、また慌ただしい時期なので、11月末〜12月初旬頃に繰り上げて三回忌を行うことが多いです。
三回忌では僧侶に供養を行っていただく必要があるので、事前に寺院に連絡をし僧侶の予定を確認しましょう。 菩提寺(先祖代々のお墓があり葬式や法要を行う寺)がある場合は、菩提寺の僧侶に供養をお願いします。 菩提寺がない場合や不明な場合は、葬儀会社や僧侶手配サービスなどを利用し、僧侶を紹介してもらいましょう。
開催日程を決める同じのタイミングで、法要会場も決めていきます。 会場の候補としては自宅、寺院、斎場、ホテル、お墓(墓前法要)などがあります。 参列者の人数、アクセスや設備の良さ、サポート体制などを考慮して会場を決定しましょう。 寺院や斎場、ホテルなどで開催する場合は、なるべく早めに相談すると良いでしょう。 特に休日などは混み合う所も多いので、いくつか日程と時間の候補を考えておくことをおすすめします。 また法要後の会食(お斎)を法要会場とは別で行う場合は、会食会場の手配も忘れないようにしましょう。 飲食店側には人数や予算、用途を事前に伝えておきましょう。
日時と会場が決定したら、誰を招待するかを決めます。そして参列者へ送る案内状の準備をします。 上記でご紹介したように、三回忌は年忌法要の中でも重要な追悼法要とされているため、大々的に行うことが多いです。 そのため三回忌法要には、近親者・友人・知人・勤務先の関係者などを招待しますが、最近では身内だけで執り行うことも増えているようです。 案内状は三回忌法要の1ヶ月前(大規模の法要の場合は2ヶ月前)までに送ります。近親者に対しては電話やメール連絡でも可です。 封筒に返信用はがきを同封したり、往復はがきで相手がすぐに返事を書ける状態にして郵送するのがマナーです。 案内状を準備する際の注意点は下記の通りです。
三回忌法要当日の衣装も事前に準備をします。 一般的に、三回忌法要では施主は正喪服(正礼装)それ以外の遺族や参列者は準礼装(準喪服)もしくは略礼装(略喪服)を身につけることがマナーとされています。 通夜や葬儀から少し時間が経っているので、喪服一式が揃っているか、シワや汚れはないかなどを確認しましょう。 新たに喪服の用意が必要になる場合は、なるべく早めに呉服屋などで購入しましょう。 服装に関しては後ほど詳しくご説明します。
会食実施の有無を決定し、開催する場合は料理の手配を進めます。 法要当日に会食(お斎)の席を設けない場合は、その代わりとして渡すお弁当やお酒を用意しておきます。 会食の食事を手配する際は必ず法要用の料理を注文しましょう。 会食費用の目安は1人5,000円前後(3千〜1万円)とされることが多いです。 また会食に関しては寺院や斎場などが手配してくれることもありますので、事前に確認をしましょう。 参列者が食品アレルギーや避けている食材などがある場合は必ず事前に伝えておきましょう。 法要当日、仏壇には「陰膳(かげぜん)」を用意します。 陰膳とは、故人のために供える食膳のことを指し、故人の好物を供えます。
三回忌法要の参列のお礼として引き出物(手土産)を用意します。 引き出物の金額目安は3,000円といわれていますが、地域などによって異なります。 金額にランクは設けず、会場から持ち帰ってもらうことになるため軽くてかさばらない消耗品などを選ぶと良いです。 引き出物に関しては後ほど詳しくご紹介します。
三回忌法要と合わせて卒塔婆(そとば)供養を執り行う場合は、卒塔婆を用意します。 卒塔婆とは墓の後ろに立てる長い板のことで、僧侶が戒名や経文を書き込むものです。 事前に必要な本数を僧侶に伝えておきましょう。必要な本数が不明な場合は事前に寺院に相談をしましょう。 費用は寺院や地域によって異なりますが1本3,000円〜が目安です。 費用は法要当日に「御卒塔婆供養料」として僧侶に手渡しをします。 浄土真宗に関しては卒塔婆供養はありませんので準備不要です。
三回忌法要に向けて仏壇やお墓、位牌をきれいに掃除しておきましょう。 仏壇飾りや祭壇の準備も進めておきます。(仏飯、花、香炉、高坏、鈴など) 仏壇やお墓がない場合は四十九日までに用意するのが理想ですが、間に合わない場合は、一周忌や三回忌までには準備をしておきます。(納骨を行う必要があるため) 仏壇やお墓は宗派によって種類が異なるので、寺院や仏具店などとよく相談をすることを推奨します。 仏壇を購入したら、東向きか南向きに置くのが一般的です。三回忌法要に先立って、僧侶に開眼供養を行ってもらいましょう。 お墓を新しく建て方場合に必要な費用は約70〜400万円といわれています。 墓地の永代使用料や管理費は地域や管理団体によって大きく差があります。また墓石の大きさやデザインなどによっても金額に差が生じます。 お墓の準備ができたら、石材店に戒名の彫刻を依頼しておきましょう。
三回忌法要と合わせて納骨を行う場合は、納骨に必要な書類も準備しておきます。(本来納骨は四十九日までに行うことが多いです。) 納骨をするためには、埋葬許可証と墓地使用許可証が必要になります。 埋葬許可証とは、火葬場が発行する火葬許可証に認証を押したもので、骨壷をおさめる白木の箱に入っていることもあります。 墓地使用許可証とは、お墓の権利書のことで、購入した際に渡されるものです。 書類と合わせて印鑑が必要になる場合もあるので、印鑑も用意しておくと良いでしょう。
三回忌にかかる費用をしっかりと把握しておきましょう。 事前に支払うもの、当日に支払うもの、そして後日支払うものと支払うタイミングが異なることが多いです。 特に、当日現金で支払うお布施などの謝礼の準備は入念に行いましょう。 詳細は後ほど解説していきますが、僧侶へのお礼等は当日現金で支払いますので、新札の準備を行います。 当日お札が不足しないように多めに用意しておくと良いでしょう。 お布施の表書きは「御布施」と書きます。 薄墨ではなく通常の黒色の墨を使います。 お布施を渡すタイミングは、法要が始まる前です。 施主が僧侶に挨拶をする際に手渡しします。
<費用の目安> 会場費:1~5万円程度(寺院で法要を営む場合)、5~10万円前後(斎場やホテルなど) 会食費:1人3千〜1万円 引き出物:1人3千円 謝礼:5万円〜
三回忌の法事が平日に執り行われる場合は、仕事を休む必要があります。 仕事を休むこと自体は可能ですが、慶弔休暇や忌引き休暇を適用することはできませんので注意しましょう。 基本的に慶弔休暇 (忌引き休暇)は、親族が亡くなった時に取得できる休暇とされています。 取得できる日数は故人との関係性や会社によって異なり、1〜10日前後であることが多いです。 三回忌に参列する場合は有給休暇を取得して休む形となります。 三回忌法要の開催が決まったら早めに上司や担当者に相談しましょう。 会社の規則に従い休暇申請を提出すれば問題なく法要に参列できるでしょう。
三回忌法要を自宅以外の場所で行う場合は、忘れ物のないように当日の持ち物を事前に確認しておきましょう。 当日持っていく物の主な例は下記の通りです。
三回忌法要に招かれたらできるだけ参加するようにしましょう。 案内状が届いたら、速やかに出欠の返信を出すのがマナーです。 返信用はがきを出すとともに、電話で一言挨拶をするとより丁寧です。 参列する場合は「当日はご一緒にご供養させていただきます」など一言添えると良いでしょう。 弔事のため「ありがとうございます」など感謝の言葉は避けましょう。 欠席する場合は欠席の理由やお詫びの言葉を添えて返信しましょう。 参列できない場合は、案内状の返信とは別にお詫びと慰めの手紙や電話をし、供物や供物料を郵送します。 もしくは施主や遺族の都合に合わせて、三回忌法要の前にお参りさせてもらうという方法もあります。
〈出席する場合の返事例〉 ごていねいな案内状をいただきまして恐れ入ります 当日はご一緒にご供養させていただきます 〈欠席する場合の返事例〉 本来ならばお伺いすべきところ やむをえない事情により叶いませんことを大変申し訳なく存じます
三回忌法要に参列する場合は、法要当日に香典(供物、供物料)を持参するのがマナーです。 法要当日までに包むお札や香典袋、掛け紙などを用意しておきましょう。 香典の金額相場や香典袋の書き方などは後ほど詳しくご紹介します。
三回忌法要に参列できない場合は、供物や供物料を郵送します。 基本的には、法要当日より前に届くように手配するのがマナーです。 上記でご紹介したように、法要に参列できない場合は手紙を添えて送ると良いでしょう。 供物料を郵送する場合は必ず現金書留で送ります。 現金書留用の封筒は郵便局の窓口でのみ販売されています。 また欠席する場合は弔電(電報)を送ると良いです。
〈欠席する場合の手紙例〉 ○○様の三回忌法要のご案内をいただきながら、ご法要に出席できないこと、まことに心苦しく思っております。 父の体調が優れず、一日も家をあけられなくなってしまいました。どうかお許しください。 なお心ばかりのお香料ではございますが、同封いたしましたので、御仏前にお供えくださいませ。 当日はこの地より、皆様とともに心を込めて合掌させていただきます。
<弔電(電報)の例>
三回忌法要に参列する場合は慶事休暇(忌引き休暇)の適用はできません。 したがって、仕事を休む場合は有給休暇を取得する必要があります。 親族や友人などの三回忌法要の日程がわかったらすぐに上司などに相談をしましょう。 またアルバイトなどで休みを取得したい場合も、職場に理由を伝えましょう。 例えば「祖父の三回忌法要が○月○日にあるため、有給休暇をいただきたいです」などと伝えます。
諸説ありますが、出産間近の妊婦や子供の三回忌法要への参列は避けるべきといわれています。 無理して参列をするとかえって遺族に気を遣わせてしまう可能性もあります。 弔問を控える場合は、先程ご紹介したように弔電を打って弔意を伝え、香典は郵送します。
三回忌法要当日は、法要開始時刻の30分前には会場に到着するようにしましょう。 到着後に施主への挨拶と供物や供物料のお供えを済ませ、自分の席に着きます。 当日何かしらの事情で遅れる場合は、速やかに施主や遺族などに連絡をしましょう。 途中から参加する際は、進行の妨げにならないように気をつけましょう。
三回忌法要の後に会食(お斎)の場を設けてあることがあります。 会食では遺族や僧侶、参列者が集まり、故人を偲んで食事をします。 会食の目的はあくまで故人を偲ぶことです。 故人と無関係の話に夢中になったり、お酒を飲みすぎたり、騒ぎすぎたりしないように過ごしましょう。 また遺族や世話係が準備や片付け等で忙しそうにしていたら、手伝う気遣いをするとより丁寧です。
三回忌法要で渡す「香典」は正式には「供物(くもつ)」または「供物料(くもつりょう)」といいます。 「香典」とは、通夜や葬儀で渡す金品のことのみを指すため、三回忌法要で供える金品を「香典」とよぶのは厳密には誤りとなります。 供物料を持参する場合は供物は必須ではありませんが、供物料と供物を一緒にお供えすることもあるようです。
三回忌で包む香典(供物、供物料)の金額相場は、通夜・葬儀で持参した香典の約半額といわれています。 故人との関係者や立場によっても異なりますが、通夜・葬儀で包んだ香典の金額よりも低い額を包みます。 特徴として、故人との関係が近いほど包む金額は高いという点があります。 親族(親、祖父母、孫、いとこなど)の場合は1万円〜5万円、友人や知人の場合は3,000円〜1万円が目安です。 香典(供物、供物料)について、遺族から「心配は無用」との申し出を受けたら、香典の約2〜3割の額を包むと良いでしょう。 供物料を包む際、「4」・「9」の数字は「死」や「苦」など縁起の悪いことを連想させるため避ける方が良いです。 また2万円などの偶数やお札が偶数枚数になることも避ける方が良いです。「数が割り切れる=縁が切れる」と連想させるためです。 しかし最近では数字をあまり気にしない人も多くいるので、相手や状況に応じて判断をしましょう。
三回忌法要に持参する香典袋(不祝儀袋)の絵柄は、蓮の花もしくは無地の袋を使用します(仏教の場合)。 水引きは黒白や双銀の結びきりを使用します。関西などの地域によっては、黄白の水引きを使うこともあります。 通夜や葬儀の香典袋(不祝儀袋)は薄墨で書くのが基本ですが、三回忌の場合は普通の黒色で書いても構いません。 予め日程がわかっており、すでに忌明け(忌み慎んでいた期間が終わること)でもあるためです。 三回忌法要に持参する際の表書きは「御仏前(御佛前)」と書きます。他に「御供物料」「お香料」などと書くこともあります。 香典袋(不祝儀袋)の名前は表書きよりもやや小さい字でフルネームで記載します。 連名は最大3名程度にしましょう。氏名を並べる順番は、目上の人が一番右側です。特に上下の区別がない場合は五十音順で右から左へと記載します。 連名が4名以上の場合は上包みに代表者のみ氏名を記載し、左側に「外一同」と書き添えます。全員の氏名は白無地紙(半紙や奉書紙など)に目上の人順に右側から書き中包み(内袋)に入れます。 夫婦連名の場合は中心より右寄りに夫の氏名を、その左に妻の名のみを記載します。 旧姓で書く場合は、上包み(外袋)に現在の氏名を書き、左側に(旧姓 ○○)と記載するか、上包み(外袋)には現在の氏名を書き中包み(内袋)には旧姓で氏名を書くという方法があります。 金額は大字と旧字体を使って書きます。基本的な書き方は「お金」という意味を持つ「金」を添えて「金 ○○圓」という形です。 例えば一万円は「金 壱萬圓」となります。金額の後に「也」をつける必要はありません。(「也」は円以下の単位のお金があった時代に使われていたものです。)
三回忌法要に現金(供物料)ではなく、品物をお供えするケースもあります。お供えする品物は「供物」といいます。「茶の子」という地域もあります。 同じような花や品物が数多く重なる可能性があるため、三回忌法要では現金(供物料)を持参するのが理想的ですが、地域や宗教、遺族によっては供物をお供えすることもあります。 供物をお供えする場合は、
などを用意して参列しましょう。 仏教では肉や魚などの生臭物は供えません。 供物には黒白または双銀(関西は黄白)の水引きの掛け紙をかけて送ります。 表書きは「御供」や「御供物」などと書きます。 弔事なので熨斗(のし)は不要です。
供物や供物料を持参する際は袱紗(ふくさ)や風呂敷など1枚の布を使います。 弔事の場合はグレーや紺、濃い緑などの寒色系の袱紗を使用します。 赤やピンクなどの暖色系は慶事専用の袱紗となります。紫は慶事・弔事兼用ですので、使い勝手が良いです。 袱紗の折り方は慶事と弔事で異なります。 布を折る順番は右→下→上→左です。 袱紗につめが付いている場合は、つめが左側にくるように広げます。ポケット(台付き)タイプの袱紗の場合は、左開きの状態で香典袋(不祝儀袋)を入れます。 供物や供物料は三回忌法要が始まる前に渡します。 相手から袱紗が返ってくることを「不幸が返ってくる」として捉えられるため、袱紗に包んだまま渡すのはNGです。 必ず袱紗から香典袋を取り出して、表書きの正面を相手に向けて「御仏前にお供えください」と一言添えて手渡しします。
三回忌法要は親族や友人などを招いて盛大に供養するのが本来のしきたりでしたが、昨今は身内だけで執り行うことも多いようです。 三回忌に呼ばれていない場合に、供物や供物料は送るべきかどうか迷う人が多く見受けられます。 呼ばれていない場合の供物や供物料は必須ではありません。 故人との関係が深かった場合や、故人が親戚の場合は供物や供物料を贈るとよいでしょう。 ただし招待されていないのにお供え物を送ってしまうと、かえって気を遣わせてしまう可能性もあります。 どうしても気になるようでしたら、遺族に確認を取った上で直接弔問に伺うもしくは郵送をしましょう。
三回忌法要では喪服を身につけることが正式なマナーとされています。 喪服には下記の3種類があり、それぞれの違いは格式です。 喪服には和装と洋装があります。和装と洋装で格式の差はないのですが、一般的に和装の方が格式が高いという印象を与えることが多いです。 したがって正喪服以外では和装ではなく洋装を選ぶのが一般的です。
三回忌法要では施主や近親者は正喪服(正礼装)を、それ以外の遺族は準喪服(準礼装)を着るのが一般的です。 家族だけの三回忌法要の場合は全員で準喪服(準礼装)や略喪服(略礼装)を着用することもあります。(略喪服については参列者側でご紹介しています。) 正喪服(正礼装)の和装は黒羽二重の染め抜き五つ紋つき羽織と着物に仙台平(または博多平)の袴です。 なお喪章は和装には本来つけません。 正喪服(正礼装)の洋装はモーニングコートです。黒の上着と縞のズボンが一般的です。 ネクタイ、靴下、靴、ポケットチーフ、バッグなどの小物は全て黒で統一します。 準喪服(準礼装)は、和装ではなく洋装を着用するのが一般的です。 準喪服(準礼装)は、ブラックスーツです。ブラックスーツとは色は漆黒に近い黒色で光沢や艶がない冠婚葬祭用のスーツのことを指します。 ビジネススーツ(リクルートスーツ)として売られている黒色のスーツは準喪服(準礼装)には該当しませんので注意が必要です。 夏場の三回忌は、通気性の良い夏専用のブラックスーツがおすすめです。ポロシャツなどはカジュアルになりすぎるので避ける方が良いでしょう。 ネクタイピンは不要で、カフスボタンや腕時計などのアクセサリーは黒やシルバー系のものを身に付けます。 ゴールドなど派手な色のアクセサリーは弔電では身に付けません。
女性の正喪服(正礼装)は、和装は黒無地の染め抜き五つ紋付きの着物に黒喪帯です。 帯、帯揚、帯締、バッグなどの小物は黒で統一します。 正喪服(正礼装)の洋装はブラックフォーマルドレスです。 肌の露出がないよう、襟元が詰まっていて袖は長い袖のものを着用します。スカートはひざ下丈〜くるぶし丈が正式です。黒の手袋もつけます。 女性の正喪服(正礼装)でパンツスーツはマナー違反とされていますので注意しましょう。 女性の準喪服(準礼装)も和装ではなく洋装を選ぶのが一般的です。 準喪服(準礼装)は、男性と同様に冠婚葬祭用のブラックスーツを着用します。 正喪服(正礼装)ではパンツスーツはNGとされていますが、準喪服(準礼装)ではパンツスーツの着用も可です。 女性はスーツ、ワンピースやアンサンブルを身につけます。袖丈は5分袖・7分袖・長袖でスカートはひざ丈のものを身に着けるのがマナーです。 ストッキングは黒色が原則です。パンプスも黒色でピンヒールやフラットシューズは避けます。 化粧は薄いメイクにし、マニキュアやネイルアートをしている場合は落として参列します。髪が長い場合はまとめ髪にします。 アクセサリーは控えにします。婚約指輪や結婚指輪はつけていても構いませんが、石がついている場合は石を手の内側に向けて石が見えないようにします。 ネックレスは一連のもののみを身に付けます。(二重以上は不幸が重なることを連想させるため) ピアスとネックレスは石を合わせるとよいです。(パール、黒曜石、黒オニキスなど)
準喪服(準礼装)は、上記でもご紹介しましたが冠婚葬祭用のブラックスーツです。漆黒に近い黒色で光沢や艶がなく柄も無地のものを着用します。 遺族から「平服でお越しください」と案内があった場合や、身内だけの三回忌などでは略喪服(略礼装)を着用することもあります。 略喪服(略礼装)とは、準喪服より日常の服装に近い喪服のことを指します。 辞書に載っている「普段着」という意味ではなく冠婚葬祭では略喪服(略礼装)のことを指します。 私服は喪服には含まれませんので、ジーンズやパーカーなどの軽装で参列することはマナー違反となります。 男性の略喪服(略礼装)は、 ダークスーツです。冠婚葬祭用以外のスーツのことを指します。 色は黒以外に濃紺やグレーのもの、細いストライプ柄などのスーツも可です。 準喪服(準礼装)と同様に、略喪服(略礼装)でも和装より洋装を着るのが一般的です。
女性の準喪服(準礼装)は遺族と同様に冠婚葬祭用のブラックスーツです。 スーツ、ワンピース、アンサンブルのいずれかを身に着けますが、袖や丈は長めのものを身につけるのがマナーです。 女性の略喪服(略礼装)は、ブラックフォーマル以外の地味な色のワンピースやスーツ、アンサンブルです。 濃紺やグレーなどダークカラーの色のものを着用します。(緑や茶色はなるべく避けます。)
子供が三回忌法要に参列する場合は、学校の制服を着用するか、ない場合は暗い色の服を着用します。 子供の喪服には正喪服などの種類は設けられていません。 幼児園児や中学生、高校生などで学校の制服がある場合は、制服を着て三回忌法要に参列をします。 制服の色や柄が派手で法要に適さない場合は、制服以外を身につける方が良いでしょう。 スニーカーはマナー違反となりますので、黒の革靴を履きましょう。 小学生や大学生などで学校の制服がない場合は、地味な色の服を着用します。 色は黒、紺、グレーなどのダークカラーのものが好ましいです。 男児の場合は、白シャツにブレザーやズボンが一般的です。 女児の場合は、白ブラウスにブレザーやスカート、ワンピースなどを身に着けます。 靴下は白もしくは黒、靴は革靴が理想です。 派手な柄や装飾がついた服は法要には適さないので避ける方が無難でしょう。
三回忌法要で施主が挨拶をするタイミングは主に4回です。
それぞれの挨拶は手短で構いません。 僧侶や参列者への感謝の気持ちや故人を偲ぶ気持ちを述べます。 挨拶の例は下記を参考にしてください。
〈三回忌法要開始時の挨拶例〉 本日はお忙しいところ、ご参列を賜り、ありがとうございます。 只今より、○○○○(仏名)の三回忌法要を執り行わせていただきます。 〈三回忌法要終了時の挨拶例〉
〈会食(お斎)開始時の挨拶例〉 本日はお忙しい中をお集り頂きましてありがとうございました。 おかげさまで滞りなく法要を営むことができました。 大したおもてなしもできませんが時間の許す限り存分に故人の思い出話などをしていただきたく存じます。 本日はありがとうございました。 どうぞ召し上がってください、献杯。(※法要の会食では乾杯ではなく献杯を使います。) 〈会食(お斎)終了時の挨拶例〉 皆様、本日はお忙しい中最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。 名残はつきませんが、これにてお開きとさせて頂きたいと存じます。 これからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。 お帰りの際には、どうかお忘れ物の無いようお帰りください。 本日は誠にありがとうございました。
参列者が施主や遺族に挨拶をするタイミングは、法要会場に到着し供物や供物料をお供えする時です。 袱紗から取り出し、一言あいさつを添えて渡します。 施主や遺族にかける言葉の例は下記の通りです。
挨拶で「ありがとうございます。」という言葉は避けるのがマナーです。「ご冥福をお祈りします」とも言いません。
三回忌法要では僧侶を招待し供養を行ってもらうため、寺院や僧侶に対する謝礼を用意する必要があります。 感謝の気持ちで包むものですので、薄墨ではなく通常の濃さの毛筆や筆ペンで書きます。 表書きは謝礼の種類によって異なります。包む金額や住所、電話番号なども書きます。 金額は「お金」という意味を持つ「金」を添えて「金 ○○圓」という形で書きます。例えば「10万円」は「金 壱拾萬圓」となります。 また謝礼で包むお札は古札ではなく新札が好ましいです。事前に新札の用意をしておきましょう。 奉書紙もしくは白封筒にお札を包みます。水引きは不要です。 儀式が始まる前に渡すのが基本で、施主が僧侶に挨拶をする際に手渡しします。 儀式の前で僧侶が準備に追われている場合は、儀式の後に渡しても問題ありません。
お布施とは、主に読経に対する謝礼です。「おふせ」と読みます。 表書きは「御布施」と書きます。「御礼」と書くこともあります。 お布施の金額の目安は3〜10万円といわれています。 曹洞宗や浄土真宗、真言宗、浄土宗など様々な宗派がありますが、基本的には同じような金額です。 地域や寺院などによって相場が異なる可能性がありますので、事前に確認することを推奨します。 お布施を渡すタイミングは、法要が始まる前です。 施主が僧侶に挨拶をする際に手渡しします。
僧侶が自ら会場へ出向いた場合に渡す謝礼です。自家用車で僧侶の送迎をする場合は不要です。 表書きは「御車代」と書きます。 御車代の目安は5千〜1万円程度です。 お布施とは別の奉書紙や白封筒に包み、法要が始まる前に渡します。
僧侶が会食を辞退する場合に渡します。僧侶が会食に参加する場合は包む必要はありません。 表書きは「御膳料」と書きます。 御膳料の目安は御車代と同じ5千〜1万円程度です。 法要が始まる前、もしくは法要が終わり僧侶が帰られる際に渡します。
卒塔婆供養を行った場合にのみ渡す謝礼です。 表書きは「御塔婆料」や「御卒塔婆供養料」と書きます。 金額の目安は卒塔婆1本あたり3千円とされていますので、事前に寺院に相談をしましょう。
三回忌でいただく供物や供物料に対するお礼の品は「引き出物」です。 よく「香典返し」という人がいますが、「香典返し」とは、通夜や葬儀で渡した香典に対する御礼品のことを指します。 引き出物の金額相場は3千円程度が目安です。 高額な供物料をいただいた場合は後日別途返礼品を送るなどして対応します。
引き出物は後に残らない消耗品がよいとされています。 引き出物の例は下記の通りです。
引き出物には熨斗(のし)がない掛け紙をつけます。 水引きの色は黒白もしくは双銀の結びきりのものを使うのが一般的です。 掛け紙の表書きは「志(こころざし)」「粗供養(そくよう)」、「三回忌 志」と書き、施主の名前を名字のみもしくはフルネームで書きます。 併修や合斎で三回忌法要と執り行う場合の掛け紙は、表書きの右側に「亡○○七回忌」「亡△△三回忌」と亡くなった順番に右から書きます。 ただし上記でもご紹介したように、三回忌までの法要は単独で行う方が良いとされています。
引き出物は三回忌法要当日に渡すのが一般的です。 会食を設ける場合、対象の参列者の膳の前に最初から置いておくか、会食(お斎)がお開きに近づいたころ接待係や遺族が手渡しします。 会食を設けない場合は、法要が終了した後に渡します。 なお引き出物は僧侶にもお渡しをするのがマナーです。 参列者と同じ引き出物で構いませんので「御本尊様にお供えください」と一言添えてお渡しします。
いかがでしたか? 今回は三回忌の開催時期やマナーなどについて詳しく解説しました。 記事の主な内容は下記の通りです。