香典に5,000円を包む場合は「金 伍阡圓」と書くのがマナーです。改ざん防止の目的で大字(旧字体)を使います。できるだけ5,000円札を1枚包む方が良いとされています。香典袋の金額記入欄が横書きの場合は算用数字を用いて「金 5,000円」と書きます。故人が親族や職場関係の人であれば5,000円以上包むのが一般的です。
香典(不祝儀)に5,000円を包む際、
のいずれかで迷うことが多いと思います。 明確なルールはありませんが、遺族や受付・会計係が金額を確認する手間を少しでも省くために5,000円札を1枚包む方が良いとされています。 しかし通夜や葬儀まで時間がなく手元に1,000円札しかない場合は、1,000円札を5枚包んでも構いません。
葬儀などの弔事には新札は使いません。 新札だと前々から用意をされていたようで失礼な印象を与えるからです。 香典(不祝儀)には古いお札を包むのが正式なマナーです。 ただしあまりにも汚れやシワが目立つお札は避けましょう。 昨今では新札の方が清潔で失礼がないという理由から新札を使用する人も増えつつあります。 新札を使う場合はわざと折り目を入れて包みます。
香典袋(不祝儀袋)には包んだ金額を書きます。 5,000円を包む場合は「金 伍仟圓」と中包み(中袋)に記入します。 金額は大字(だいじ)で書くのが正式なマナーです。 大字とは漢数字の「一・二・三」などの代わりに用いる「壱・弐・参」などの漢字のことで主に改ざんを防ぐ目的で使われる漢字です。 「五」の大字は「伍」、「千」の大字は「仟・阡」となります。 「円」は旧字体の「圓」を 圓を使います。 「お金」という意味を持つ「金」を添えて「金 ○○○圓」という形で書きます。 「金」と金額の間は少しスペースをあけると見やすくなります。 また金額を書く際に「金 伍仟圓也」と「也(なり)」をつける必要はありません。
不祝儀(香典)の金額は故人との関係性や立場、また自身の年齢で異なります。 特徴としては、自身の年齢が上がるにつれて、また血縁関係が近いほど不祝儀(香典)の金額が高くなります。 香典で5,000円を包むケースとしては、故人や友人や知人、隣人などの場合です。 故人が家族や親族、職場関係の人であれば5,000円以上を包むのが礼儀とされています。 金額に迷う時は自分と同じような立場の人と相談して決めると良いです。 次の場合は、想定していた金額よりも多めに出しましょう。
金額の相場を下記の表にまとめましたのでご参考になさってください。
贈り先 | 金額相場 |
---|---|
祖父母 | 1万〜3万円 |
親 | 5万〜10万円 |
子供 | 10万円前後 |
兄弟姉妹 | 1万〜5万円 |
子供の配偶者の親 | 3万〜5万円 |
孫 | 1万〜3万円 |
おじ・おば | 1万〜3万円 |
いとこ | 1万〜3万円 |
上記以外の親戚 | 5千円〜2万円 |
職場関係(上司、同僚、取引先) | 5千円〜1万円 |
友人・知人 | 3千円〜1万円 |
隣人 | 2千円〜1万円 |
「表書き」とは、上包みの表面に書く「御霊前」などの言葉です。 表書きは故人の宗教や宗派に合わせて書く必要があります。事前に遺族に確認を取りましょう。 仏教(仏式)では「御香典」や「御霊前」と書くのが一般的です。 忌明けの四十九日法要まではまだ御霊(みたま)としてこの世にいらっしゃるという考えから「御霊前」を使い、それ以降に「御仏前(御佛前)」を使います。つまり「御仏前(御佛前)」は御供物料の表書きとして使います。 ただし仏教でも浄土真宗は、亡くなった人はすぐ仏様になるという考えから「御霊前」は使わず「御仏前(御佛前)」を使用します。 神道(神式)では「御玉串料」「御榊料」「御神撰料」などの表書きを使います。 「御霊前」も使用することができますが神式の場合は「みたまえ」と読みます。 「玉串(たまぐし)」とは神前に供える榊(さかき)の枝に紙や布の垂(しで)をつけた供物のことを指します。 「神撰(しんせん)」は神に供える飲食物の総称です。 キリスト教のカトリックでは「御ミサ料」「御霊前」、プロテスタントでは「忌慰料」の表書きを使います。 宗派が不明な場合は「御花料(お花料)」もしくは「御白花料」と書きます。 無宗教や宗教が不明な場合は「御花料」や「御供料」と書くのが無難です。 「御悔(おくやみ)」という表書きもありますが、あまり一般的ではないので避ける方が良いでしょう。 表書きを表にまとめましたのでご参考になさってください。
宗教・宗派 | 表書き |
---|---|
宗教・宗派問わず使用可能 | 御花料・御供料・御霊前(浄土真宗、プロテスタントを除く) |
仏式 | 御香典・御霊前・御香料・御供料・御仏前(御佛前)
※「御仏前」は浄土真宗のみ、「御霊前」は使わない |
仏式(浄土真宗) | 御仏前(御佛前)・御香料 |
神式 | 御榊料・御玉串料・御神撰料・供物料・御神前・御霊前 |
キリスト教共通 | 御花料(お花料)・御白花料 |
キリスト教(カトリック) | 御ミサ料・御霊前 |
キリスト教(プロテスタント) | 忌慰料 |
無宗教 | 御霊前・御供物料、御花料、志 ※「志」は会費制の場合に用いる |
香典袋(不祝儀袋)に書く名前は、香典を包む人の名前です。送り先の名前(宛名)は書きません。 基本的にはフルネームで記入します。 上包みに書く名前は表書きよりもやや小さめの字で書きます。 結婚したことを知らない相手に香典を包む場合は旧姓も合わせて書くと良いです。 上包みに現在の氏名を書き、左側に(旧姓 ○○)と書くか、上包みには現在の氏名を中包みには旧姓で氏名を書くという方法があります。 香典袋(不祝儀袋)の上包みに書く連名は最大3名程度にしましょう。 氏名を並べる順番は、目上の人が一番右側です。特に上下の区別がない場合は五十音順で記載します。 連名が4名以上の場合は上包みに代表者のみ氏名を記載し、左側に「外一同」と書き添えます。 部署などの団体で香典を包む際は「○○部一同」「○○会社有志」などと上包みに書きます。 全員の氏名は白無地紙(半紙や奉書紙など)に目上の人順に右側から書き中包み(内袋)に入れます。 夫婦連名の場合は中心より右寄りに夫の氏名を、その左に妻の名のみを記載します。
名前の書き方 | 説明 |
---|---|
個人 | 基本的にはフルネーム。表書きよりもやや小さめの字で書く。 |
夫婦連名 | 中心右寄りに夫の氏名、左に妻の名のみを記入する。 |
連名(3名の場合) | 目上の人が一番右側に来るように、上下関係がない場合は五十音順で右から記入する。 |
連名(4名以上の場合) | 代表者のみ氏名を記入し左側に「外一同」と書き添える。 全員の氏名は白無地紙に目上の人順に右側から書き中包みに入れる。 |
旧姓 | 上包みに現在の氏名を書き左側に(旧姓 ○○)と記載する。 もしくは上包みには現在の氏名を中包みには旧姓で氏名を書く。 |
団体・グループ | 上包みには「○○部一同」「○○会社有志」と書く。 全員の氏名は白無地紙に目上の人順に右側から書き中包みに入れる。 |
上記でもご紹介したように、金額は大字(だいじ)で書くのが正式なマナーです。 最近は漢数字を使って書く人もいるようですが、厳密にはマナー違反になりますので注意しましょう。 金額は中包み(中袋)の裏面に書きます。 最近では遺族が見やすいようになどの理由で金額を表面に書く人も多いようです。 裏面に書く場合は右側の上か下に縦書きします。すでに記入欄が印刷されている場合は枠内に金額を記入します。 中包み(中袋)を使用しない場合は、上包みの裏面縦左半分の左側に金額を記入します。(縦左半分の右側には住所を書きます。) 香典袋の金額を横書きで記入する場合は大字や漢数字ではなく算用数字を使います。 例えば5,000円であれば「金 5,000圓(円)」となります。 算用数字を使う際は、3桁毎にカンマで区切ることも忘れないようにしましょう。 金額を書く際に「金 ○○圓也」と「也」をつける人がいますが、現在は「也」は不要です。 「也」は円以下に銭(せん)や厘(りん)というお金の単位があった時代に、それ以下の端数のないことを示す際に使われていたものです。 現在では円以下の単位はないので「也」はつけなくても問題はないのです。 主な金額の書き方を下記の表でまとめましたのでご参考になさってください。
金額 | 書き方 |
---|---|
3,000円 | 金 参仟圓 |
5,000円 | 金 伍仟圓 |
10,000円 | 金 壱萬圓 |
20,000円 | 金 弐萬圓 |
30,000円 | 金 参萬圓 |
50,000円 | 金 伍萬圓 |
100,000円 | 金 壱拾萬圓 |
300,000円 | 金 参拾萬圓 |
500,000円 | 金 伍拾萬圓 |
1,000,000円 | 金 百萬圓 |
5,000,000円 | 金 伍百萬圓 |
10,000,000円 | 金 壱仟萬圓 |
住所は中包み裏面、縦左半分の中心寄りに縦書きで記入します。 中包み(中袋)を使用しない場合は、上包みの裏面縦左半分の右側に住所を記入します。(縦左半分の左側には金額を書きます。) 住所は氏名よりも小さめの字で書きましょう。 住所を書く理由は、遺族が後日礼状を贈るためです。 郵便番号は算用数字を用いて横書きする場合と、漢数字で縦書きする場合があります。 また「〒」の記号は使っても使わなくても良いです。 住所が長く一行に収まらない場合は二行で書いても構いません。 また故人と同郷の場合は都道府県名は省略することもあります。
上包みにも名前は記入しますが、紛失等のトラブルを防ぐために中包み(中袋)にも名前を書きます。 中包み(中袋)に書く名前は中包み裏面縦左半分の左側に記入します。(名前の右隣には住所) 氏名は住所よりも大きめの文字で書きます。 中包み(中袋)に旧姓を書く場合は氏名よりも小さめの字で括弧書きで(旧姓 ○○)と記入します。
不祝儀(香典)を包む際はお札の向きにも決まりがあります。 お札は人物の肖像画が印刷されている面が「表」とされています。 奉書紙や半紙などでの包み方は上記のイラストを参考になさってください。 弔事では包んだ紙の三角の部分が右下にくるようにするのがポイントです。 封筒にお札を入れる場合、弔事では「顔を伏せる」ように入れるのが一般的とされています。 封筒の「表」に対してお札が「裏」を向くように入れますが、その際人物の顔が「底」を向くように入れます。 お札の人物像を伏せるように入れることで、故人に対する悲しみやお悔やみなどの気持ちを表します。 複数枚お札がある場合は、お札の向きを全て揃えて入れます。 遺族の手間を考え、中包みや上包みは糊付け(のりづけ)したり「〆」のシールを使って封を閉じる必要はありません。 なおお札の入れ方は、地域や宗教によって異なる場合があります。
水引きの本数は、「凶」とされる偶数(2、4、6)本と決まっていましたが、最近では慶事兼用で「吉凶」とされる5本が主流となっています。 水引きの結び方には主に「結び切り」と「蝶結び」の2種類があります。 弔事など一度切りで二度と起こってほしくないことには「結び切り」を使います。 結び切りには「淡路結び(あわじ結び)」や「老いの波」などの応用編があります。 淡路結びは慶弔どちらにも使うことができますが、一般的には基本の真結びを使用します。 水引きの色が2色の場合、右に濃い色、左に薄い色がくるように結びます。 最近では、予め結ばれた状態で封筒にくぐらせるだけのタイプが販売されていることも多いです。
上包みの折り方は慶事と弔事で異なります。 弔事では「悲しくてうつむいている」という意味で、上の折返しが上面にきます。(上の折返しを最後に折ります) 結婚などの慶事では「幸せがたくさん入ってくるように」という意味で、下の折返しが上面にきます。(下の折返しを最後に折ります) 折返しの向きを外から見て「喜びは上向きに、悲しみは下向きに」と覚えておくと便利です。
不祝儀袋(香典袋)を持参する際は袱紗(ふくさ)という1枚の布を使います。 袱紗の折り方も慶事と弔事で異なります。 布を折る順番は右→下→上→左です。 袱紗につめが付いている場合は、つめが左側にくるように広げます。 ポケット(台付き)タイプの袱紗の場合は、左開きの状態で不祝儀袋(香典袋)を入れます。 袱紗が無い場合に風呂敷やハンカチを代用する時も折り順は同じです。
不祝儀(香典)は通夜や葬儀、告別式の受付で渡すのが基本です。 通夜や葬儀、告別式の両方に参列する場合、最初に弔問する通夜に不祝儀(香典)を渡すのが一般的です。 その場合葬儀や告別式で再度不祝儀(香典)を渡す必要はなく、受付で芳名帳への記帳だけを済ませます。 急な知らせで不祝儀(香典)の準備が出来ない場合は、告別式に渡しても問題ありません。 不祝儀(香典)をお供えする際、袱紗に包んだまま渡すのはNGです。 相手から袱紗が返ってくることを「不幸が返ってくる」として捉えられるためです。 必ず袱紗から取り出して渡すようにしましょう。 受付での不祝儀(香典)の渡し方の流れは、 ①不祝儀(香典)を袱紗から取り出し袱紗を手早く畳む ②畳んだ袱紗の上に表書きの正面を相手に向けてのせる ③「ご霊前にお供えください」「この度はご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」など御悔みの言葉を添えて両手で渡す です。 受付がない場合は、焼香の際に霊前にお供えするか遺族に直接渡します。 遺族に手渡しする時も相手に表書きの正面を向け、「ご霊前にお供えください」などと述べ両手で渡します。 祭壇にお供えする場合の流れは下記の通りです。 ①遺影に向かって一礼する ②不祝儀(香典)の正面を自分に向けて両手で置く ③焼香をする 焼香の後に遺族が霊前に向けて不祝儀(香典)を置き直すため、お供えする際は表書きの正面を自分に向けて置きます。 なお焼香は不祝儀(香典)を供える前に行っても構いません。
何かしらの都合で通夜や葬儀、告別式に参加できず不祝儀(香典)を渡せない場合は、後日直接遺族にお渡しするもしくは郵送で送ります。 仏式の場合だと、四十九日までの間に弔問を約束しお参りをさせてもらいます。 その際遺族に葬儀に参列できなかったお詫びをし、不祝儀(香典)をお供えします。 郵送で不祝儀(香典)を送る際の注意点は下記の通りです。
後日弔問に伺う場合でも、実際に弔問する前にお悔やみの手紙を送ると丁寧です。 お悔やみの手紙には下記の内容を記します。 ①訃報を聞いた驚きや悲しみ ②故人の冥福 ③遺族への慰めと励ましの言葉 ④参列できないことへのお詫びの言葉 ⑤末文 お悔やみの手紙を書く際の注意点は下記の通りです。
お悔やみの手紙の文例は下記の通りです。
<お悔やみの手紙例> お父様の突然の訃報に接し、ただただ驚いております。 ご家族の皆様の悲嘆いかばかりかと心中拝察申し上げ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 お力落としとは存じますが、お体を損なわれることのないよう、どうぞご自愛くださいませ。 本来なら何をおいても参上してお焼香させていただくべきところですが、やむを得ない事情によりお伺いすることができず、誠に申し訳ございません。 いずれ機会を見てご挨拶に参りたいと考えております。 とり急ぎ書中をもって、お悔やみ申し上げます。 合掌
<お悔やみの手紙例> ご尊父様のご逝去の報に接し、ただ驚いております。 ご入院中とはうかがっておりましたが、ご家族様のご心中もいかばかりかと存じ、心よりお悔やみ申し上げます。 本来ならば、お参りさせていただくところですが、あいにく、遠方のため、伺うことがかなわぬ失礼をお許しください。 心ばかりのものを同封いたしますので、御霊前にお供えくださいますようお願い申し上げます。 お父上様を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
家族葬など小規模の葬儀が主流になっている、また故人の意向などの理由で遺族が不祝儀(香典)の受け取りを辞退する場合もあります。 その場合は無理に渡すのは控えるべきです。 それでも故人や遺族に気持ちを伝えたい場合は、不祝儀(香典)以外の形でお供えをするという方法があります。 遺族に相談し、供花や供物などをお供えすることが可能です。 しかし遺族がこれらの受け取りも辞退するようであれば、無理に贈らないようにしましょう。
「香典返し」とは不祝儀(香典)のお礼として品物を贈ることを指します。 元々は弔問者が香典として米や野菜などを持ち寄っていました。 不幸のあった家族を助けるという意味合いがあったため、本来香典返しは不要だったのです。 しかし最近では、故人に代わって遺族が感謝の気持ちを込めて香典返しを贈ることが一般的になっています。 また香典返しは元々仏教のみのしきたりでしたが、最近では仏教以外でも香典返しを行う人が多くいます。 香典返しとしての品物は挨拶状とともに弔問者に贈られます。 しかし、故人の遺志や遺族の方針で香典返しをせずに団体や基金などに寄付することもあります。 その場合品物は贈られず、挨拶状だけが弔問者へと送られます。
香典返しの品物は香典の3分の1〜半額程度にするのが相場と言われています。「半返し」と言うこともあります。 5,000円をお供えしてくださった方には2,500円円程度の品物で香典返しをします。 香典の額には幅があることが予想されるため、段階に応じた香典返しの品物を贈ると良いです。 しかし最近では、香典の金額に関わらず同じ金額の品物を贈るケースも増えています。 参列者全員に同じ品物を渡し、高額な方に関しては忌明けに別途返礼する流れとなります。
不祝儀(香典)の金額が少額などの場合で香典返し(香典のお礼として遺族が弔問者に贈る品物)を辞退する場合は、中包みの裏面もしくは一筆箋にその旨を記載します。
などと一言添えれば問題ありません。
●5,000円を包む時のマナー
●不祝儀(香典)の書き方
●香典(不祝儀)の入れ方・包み方
●不祝儀(香典)の渡し方
●香典返し