お布施の裏書きに書く内容は金額・名前・住所・電話番号です。金額に関しては、中袋ありの場合は中袋の表面に書きます。名前は封筒表面にも書くため省略も可能です。お布施は薄墨ではなく通常の黒で書くのがマナーです。(僧侶に対する感謝の気持ちを表すため)金額は「金 拾萬圓」と大字・旧字体で書きます。
「お布施」とは仏式の謝礼の一つです。読み方は「おふせ」です。 主に読経いただいく際に僧侶に差し上げるお礼の金品のことを指します。お布施の金額に戒名料(戒名の謝礼)が含まれる場合もあります。 「布施」という言葉に接頭語の「お」「御」がついた言葉です。 お布施以外にも僧侶に渡す謝礼はありますので、後ほど詳しくご紹介します。
お布施は通夜や告別式時に一度だけ渡せば良いというものではなく、儀式ごとにお渡しします。 初七日や四十九日法要などで「お通夜で渡したから今回は渡さなくて良い」となるのはマナー違反となりますので注意しましょう。 経済的にお布施をお渡しするのがどうしても難しい場合は、事前に僧侶に相談をしましょう。
お布施は仏教の呼び方ですが、他の宗教でも謝礼を渡す習慣があります。 神道(神式)では、神官へのお礼を「御榊料(おさかきだい)」として渡します。 表書きを「御礼」「御祭祀料(おさいしりょう)」「御玉串料(おんたまぐしりょう)」「御神饌料(ごしんせんりょう)」「御祈祷料(ごきとうりょう)」などとすることもあります。 斎場へのお礼は「御席料」や「御礼」として渡します。 キリスト教のお礼の呼び方(書き方)はカトリックとプロテスタントで異ります。 例えばカトリックは神父へのお礼を「御ミサ料」として、プロテスタントは牧師へのお礼を「記念献金」として渡します。 その他はオルガン奏者、聖歌隊のお礼は「献金」「御礼・お礼」「御禮(おんれい)」となります。 教会へのお礼(式場の使用料)は「献金」「御禮(おんれい)」「御花料」です。 無宗教の場合で僧侶を呼ばない場合は、お布施を渡す必要はありません。
お布施の表書きは「御布施」と書くのが一般的です。 「御礼」や」「御回(廻)向料(ごえこうりょう)」と書くこともあります。 表書きの種類に「志(こころざし)」もありますが、お布施の表書きとしては使用しません。 お布施は読経に対するお礼ですが、読経代金というものはなくあくまで感謝の気持ちで包むものです。そのため「読経料」などと書くことは避けましょう。
お布施を包む際は施主の名前を書きます。フルネームもしくは苗字のみで書きます。「○○家」と書く場合もあります。 施主のみの名前を書くのが基本ですが、場合によっては施主以外の名前を連ねて書くこともあります。 お布施を連名で書く場合、封筒の表面に書く名前は最大3名までが一般的です。目上順(立場順)に右側から書きます。上下関係がない場合は五十音順に書きます。 4人以上でお布施を包む場合は、封筒には代表者のみの名前を「○○○○ 外一同)」と記載し、全員分は半紙や奉書紙、コピー用紙などの白無地紙に記入します。
金額を書く際は大字(旧字体)で書きます。 大字とは漢数字の「一・二・三」などの代わりに用いる「壱・弐・参」などの漢字のことで、主に改ざんを防ぐ目的で使われる漢字です。 「お金」という意味を持つ「金」を添えて「金 ○○圓」という形で書きます。 例えば、2万円は「金 弐萬圓」、15万円は「金 壱拾伍萬圓」、20万円は「金 弐拾萬圓」、30万円は「金 参拾萬圓」となります。 金額を書く際に「金 ○○圓 也」と「也(なり)」をつける人がいますが、「也」は不要です。 「也」は円以下に銭(せん)や厘(りん)というお金の単位があった時代に、それ以下の端数のないことを示す際に使われていたものです。 現在は円以下の単位はないので「也」はつけなくても問題ないのです。
表書き、名前、金額とあわせて住所と名前も書くとより丁寧な印象を与えます。 番地や電話番号を書く際は漢数字を使っても構いません。 封筒に記入欄がある場合は、欄に沿って記入します。
中袋なしの場合に裏書きするのは金額・住所・電話番号です。 金額は封筒右側もしくは左側に、住所と電話番号は左側に書きます。 金額は右側、住所と電話番号は左側に書くとバランスが良いかもしれません。 金額は大字(旧字体)で書くのがマナーですが、郵便番号や番地は漢数字で書きます。 また表に書く名前が姓のみの場合は、裏面にフルネームを記入すると良いです。
中袋なしの場合、封筒の表面には表書きと名前を記入します。 表書きは上部中央に、名前はその下の下部中央に書きます。 文字の大きさは、表書きの文字を大きめに書きます。 施主の姓のみを書く場合、封筒の裏書きにフルネームを書くこともあります。
中袋ありの場合、封筒(外袋)の裏面には何も書きません。 中袋の裏に住所と電話番号を記入します。 封筒左側の中心寄りから郵便番号→住所の順で書きます。 郵便番号は縦書きもしくは横書きします。(画像参照)
中袋ありの場合、封筒(外袋)の表面に表書きと名前、中袋の表面に金額を書きます。 表書きは封筒表面上部中央、名前は下部中央に書きます。 「金 ○○圓」という文字をバランスよく書きます。 中袋の表面には金額以外は書きませんので、大きめの文字で記入しましょう。
お布施の表書きや名前は、薄墨ではなく通常の黒で書きます。 薄墨とは文字通り「薄くすった墨」のことです。通常よりも墨を少なくし、水で薄めて使用します。 基本的に弔事で渡す香典などは薄墨で書くのがマナーとされています。 弔事で薄墨を使う理由や背景として、「悲しみの涙で墨が薄れる」「突然のことで墨をする時間がない」などの意味合いが込められています。 よって香典やお供え物などの表書きや名前は薄墨で書きます。一般的に四十九日法要までは薄墨で書くと言われています。 しかしお布施に関しては、僧侶や寺院に対する謝礼ですので、薄墨ではなく通常の濃さの毛筆や筆ペンで書きます。 ボールペンは基本的に避ける方が無難です。中袋はボールペンで書いても良いとされています。
お布施を書く際は筆を使いますが、最近は毛筆を使う人は少なくなっています。 そこでおすすめなのが筆ペンです。 筆ペンには大きく分けると毛筆タイプとペンタイプのものがあります。 筆ペンには通常の黒のインクで作られた慶事用と、薄いインクで作られた弔事用がありますが、お布施を書く際は慶事用の筆ペン(濃墨)を使用します。 毛筆タイプは名の通り見た目も書き心地も筆のようになっています。 ペンタイプはペン先が毛筆タイプよりも硬く作られています。毛筆が苦手という人におすすめです。 筆ペン以外のボールペンやマジックペンなどでお布施を書くのはマナー違反となりますので注意しましょう。
お布施は手書きするのが一般的です。 しかし最近では表書きや名前などを印刷したり、スタンプを使ったりする人も増えているようです。 また封筒に表書きが印刷された状態で販売されていることも多いです。 毛筆や筆ペンを使って書くのが苦手などの場合は、はんこやゴム印を使うことも可能です。 ただし遺族によっては良い印象を持たない人もいるため注意が必要です。
お布施を包む際は中袋を使用せず、白封筒または奉書紙のみを使うのが最も一般的な方法です。 白封筒は郵便番号や電話番号などの印字が一切ない無地の一重封筒を使うのが一般的です。 不幸は一度きりということを示すため二重の白封筒は避けます。封筒でもポチ袋はNGですので注意しましょう。 奉書紙とは厚手で純白の和紙のことです。半紙やコピー用紙での代用も可能です。 地域や宗派、家庭によってはお布施を包む際に不祝儀袋(香典袋)を使うこともあります。 その場合は、中袋と外袋の2枚の封筒(紙)を使用します。 封筒か中袋つきの不祝儀袋(香典袋)のどちらかを使うかによって書く場所が変わります。 表書きや名前など書く内容は一緒です。下記で詳しい書き方を解説していきます。
上記でご紹介したように、お布施は儀式ごとに包む必要があります。 お布施の金額相場は儀式によって異なります。 主な儀式ごとのお布施の金額相場は下記の通りです。
これらの金額はあくまで目安で地域や寺院によってばらつきがあります。宗派、寺の格式、地域、儀式の規模による差もあります。 またお布施の内訳として、お布施のみの場合と戒名料を含む場合があります。 そのため必ず寺院や僧侶に相談することをおすすめします。
基本的には弔事で包むお金で新札は使いません。新札だと前々から用意をされていたようで失礼な印象を与えるからです。 しかしお布施に関しては異なります。お布施は僧侶に対する謝礼ですので、包むお札は古札ではなく新札が好ましいです。 お布施に関しては偶数や奇数などを気にする必要はありませんが、「4」や「9」など不吉なことを連想させる数字は避ける方が良いでしょう。 お布施を包むときはお札の向きに注意しましょう。香典などのお札の入れ方とは異なります。 表書きや名前などを書く紙や封筒の表面にお札の肖像画の面が向き、肖像画が封筒の上を向くように入れるのがマナーです。 お布施を持参する際は汚れたり折れるのを防ぐため袱紗(ふくさ)という1枚の布を使います。 袱紗の折り方には決まりがあり、弔事の場合は「右→下→上→左」の順番で布を折ります。 袱紗が無い場合に風呂敷やハンカチを代用する時も折り順は同じです。
お布施は会場まで袱紗に包んで持参しますが、袱紗に包んだまま渡すのはNGです。 相手から袱紗が返ってくることを「不幸が返ってくる」として捉えられるためです。 正式にはお布施を切手盆にのせて僧侶に渡すのがマナーとされています。 切手盆が手元にない場合は、袱紗を切手盆の代わりとして使います。 菓子折りを一緒に渡す場合は、お布施を切手盆にのせ、切手盆を菓子折りの上に置きます。 お布施を渡す主なタイミングは、儀式の当日もしくは翌日以降です。最近では儀式当日に渡すことが多いようです。 儀式が始まる前に渡すのが基本で、施主が僧侶に挨拶をする際に手渡しします。儀式の前で僧侶が準備に追われている場合は、儀式の後に渡しても問題ありません。 お布施を渡す際は、「本日はお世話になります。」「昨日はありがとうございました。」などと一言挨拶を添えます。 お布施を渡す際に無理に笑顔を作る必要はなく、言葉で感謝の気持ちを伝えられれば問題ありません。 基本的には直接僧侶に手渡しするのがマナーですが、僧侶や遺族の都合で郵送する場合もあります。 郵送する際は必ず現金書留で行います。通常通り奉書紙や白封筒に現金を包んだ上で挨拶状を添えて現金書留用の封筒に入れます。
お布施以外の僧侶への謝礼と金額目安をご紹介します。
今回はお布施の裏書きの書き方を中心に解説しました。 封筒のみか中袋つきの不祝儀袋(香典袋)のどちらかを使うかによって書く場所が変わります。 表書きや名前など書く内容は一緒です。 中袋なしの場合、裏書きするのは金額・住所・電話番号です。 金額は封筒右側もしくは左側に、住所と電話番号は左側に書きます。 中袋ありの場合、裏書きするのは住所・電話番号です。 金額は中袋の表面に書くため裏書きはしません。 住所や電話番号は書かなくてもマナー違反にはなりませんが、書いておく方がより丁寧です。 なお今回ご紹介したお布施の書き方は、地域や宗派などによって異なる可能性がありますので、事前に確認を行うことを推奨します。