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お布施は薄墨で書く?濃墨?表書き・名前・金額の正しい書き方は?

お布施は薄墨ではなく濃墨で書くのが一般的です。通夜や葬儀、法要などでは「突然のことで墨をする時間がない」「悲しみの涙で墨が薄れる」という意味から薄墨を使いますが、お布施は僧侶への謝礼なので薄墨である必要はないです。

お布施とは

「お布施」とは僧侶への謝礼

「お布施」とは仏式の謝礼の一つです。読み方は「おふせ」です。 主に読経いただいく際に僧侶に差し上げるお礼の金品のことを指します。お布施の金額に戒名料(戒名の謝礼)が含まれる場合もあります。 「布施」という言葉に接頭語の「お」「御」がついた言葉です。 お布施以外にも僧侶に渡す謝礼はありますので、後ほど詳しくご紹介します。

お布施は葬儀や法要などの仏教の儀式ごとに渡す

お布施は通夜や告別式時に一度だけ渡せば良いというものではなく、儀式ごとにお渡しします。 初七日や四十九日法要などで「お通夜で渡したから今回は渡さなくて良い」となるのはマナー違反となりますので注意しましょう。 経済的にお布施をお渡しするのがどうしても難しい場合は、事前に僧侶に相談をしましょう。

神道やキリスト教でもお礼を包む習慣がある

お布施は仏教の呼び方ですが、他の宗教でも謝礼を渡す習慣があります。 神道(神式)では、神官へのお礼を「御榊料(おさかきだい)」として渡します。 表書きを「御礼」「御祭祀料(おさいしりょう)」「御玉串料(おんたまぐしりょう)」「御神饌料(ごしんせんりょう)」「御祈祷料(ごきとうりょう)」などとすることもあります。 斎場へのお礼は「御席料」や「御礼」として渡します。 キリスト教のお礼の呼び方(書き方)はカトリックとプロテスタントで異ります。 例えばカトリックは神父へのお礼を「御ミサ料」として、プロテスタントは牧師へのお礼を「記念献金」として渡します。 その他はオルガン奏者、聖歌隊のお礼は「献金」「御礼・お礼」「御禮(おんれい)」となります。 教会へのお礼(式場の使用料)は「献金」「御禮(おんれい)」「御花料」です。 無宗教の場合で僧侶を呼ばない場合は、お布施を渡す必要はありません。

お布施の意味とは?金額の相場・書き方・お金の入れ方・渡し方のマナーを徹底解説

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薄墨?お布施の書き方の注意点

お布施は薄墨で書く必要はない

お布施の表書きや名前は、薄墨ではなく通常の黒で書きます。 薄墨とは文字通り「薄くすった墨」のことです。通常よりも墨を少なくし、水で薄めて使用します。 基本的に弔事で渡す香典などは薄墨で書くのがマナーとされています。 弔事で薄墨を使う理由や背景として、「悲しみの涙で墨が薄れる」「突然のことで墨をする時間がない」などの意味合いが込められています。 よって香典やお供え物などの表書きや名前は薄墨で書きます。一般的に四十九日法要までは薄墨で書くと言われています。 しかしお布施に関しては、僧侶や寺院に対する謝礼ですので、薄墨ではなく通常の濃さの毛筆や筆ペンで書きます。 ボールペンは基本的に避ける方が無難です。(中袋はボールペンで書いても良いとされています。)

お布施に書く内容は表書き・名前・金額など

お布施を包む封筒には、表書き、名前、金額、住所などを記入します。 詳しい書き方は後ほどご紹介しますが、表書きと名前は封筒の表面に書き金額や住所は裏面に書きます。 金額と住所は必ず書かなくてはいけないというものではありません。

金額は大字(旧字体)で書く

包んだ金額を書く際は大字(旧字体)で書きます。 大字とは漢数字の「一・二・三」などの代わりに用いる「壱・弐・参」などの漢字のことで、主に改ざんを防ぐ目的で使われる漢字です。 金額は「お金」という意味を持つ「金」を添えて「金 ○○圓」という形で書きます。 金額の書き方は後ほど詳しく解説します。

大字一覧表
漢数字 大字
漆・質
陌・佰
仟・阡
※「4」は「死」、「9」は「苦」を連想させるため弔事では避ける

はんこやゴム印の使用も可

お布施の封筒は手書きするのが一般的です。 しかし最近では表書きや氏名などを印刷したり、スタンプを使ったりする人も増えているようです。 また封筒に表書きが印刷された状態で販売されていることも多いです。 毛筆や筆ペンを使って書くのが苦手などの場合は、はんこやゴム印を使うことも可能です。 ただし遺族によっては良い印象を持たない人もいるため注意が必要です。

お布施の書き方

表書きは「御布施」「御礼」「御回向料」など

お布施の表書きは「御布施」と書くのが一般的です。 「御礼」や」「御回(廻)向料(ごえこうりょう)」と書くこともあります。 表書きを書く場所は、封筒の表面、中央上部に書きます。 表書きの種類に「志(こころざし)」もありますが、お布施の表書きとしては使用しません。 またお布施は読経に対するお礼ですが、読経代金というものはなくあくまで感謝の気持ちで包むものです。そのため「読経料」や「戒名料」と書くことは避けましょう。

名前は施主のフルネームもしくは姓のみ

お布施を包む封筒には施主の名前を書きます。フルネームもしくは姓のみで書きます。「○○家」と書く場合もあります。 名前を書く場所は、封筒の表面、中央下部(表書きの下)です。 施主のみの名前を書くのが基本ですが、場合によっては施主以外の名前を連ねて書くこともあります。 お布施を連名で書く場合、封筒の表面に書く名前は最大3名までが一般的です。目上順(立場順)に右側から書きます。上下関係がない場合は五十音順に書きます。 4人以上でお布施を包む場合は、封筒には代表者のみの名前を「○○○○ 外一同)」と記載し、全員分は半紙や奉書紙、コピー用紙などの白無地紙に記入します。

金額は「金 壱拾萬圓」などと書く

上記でご紹介したように、お布施の金額を書く場合は大字(旧字体)で書きます。 例えば、2万円は「金 弐萬圓」、15万円は「金 壱拾伍萬圓」、20万円は「金 弐拾萬圓」、30万円は「金 参拾萬圓」というように書きます。 金額を書く場所は、中袋がある場合は中袋の表面に書きます。 封筒の中袋がない場合(封筒1枚で包む場合)は封筒(外袋)の裏面に直接書くか金額は書かずにお渡しします。 金額を書く際に「金 壱萬圓 也」などと「也(なり)」をつける人がいますが、「也」は不要です。 「也」は円以下に銭(せん)や厘(りん)というお金の単位があった時代に、それ以下の端数のないことを示す際に使われていたものです。 現在は円以下の単位はないので「也」はつけなくても問題ないのです。

金額 書き方
20,000円 金 弐萬圓
30,000円 金 参萬圓
50,000円 金 伍萬圓
100,000円 金 壱拾萬圓
150,000円 金 壱拾伍萬圓
200,000円 金 弐拾萬圓
300,000円 金 参拾萬圓

住所は封筒の裏面に書く

お布施を包む際、住所を添えて書くとより丁寧です。 住所を書く場所は封筒の裏面です。中袋がある場合は中袋の裏面に、封筒1枚の場合は封筒の裏面に書きます。 住所は封筒の裏面左半分に記入します。 封筒の中央寄りに住所を書き、中袋の場合は名前も書きます。 基本的には縦書きで番地や電話番号を書く際は漢数字を使っても構いません。 封筒に記入欄がある場合は、欄に沿って記入します。

お布施袋やペンの選び方

奉書紙もしくは白封筒が一般的

お布施を包む際は、白封筒もしくは奉書紙を使います。 白封筒は郵便番号や電話番号などの印字が一切ない無地の一重封筒を使うのが一般的です。不幸は一度きりということを示すため二重の白封筒は避けます。 奉書紙とは、厚手で純白の和紙のことです。半紙やコピー用紙での代用も可能です。 白封筒以外に不祝儀袋(香典袋)を使うこともあります。 封筒でもポチ袋はNGですので注意しましょう。

熨斗(のし)は不要

「熨斗( のし)」とは、贈答品につける飾り物のことを指します。 結婚などの慶事のみに使い、弔事では不要です。 熨斗には「伸ばす」という言葉を重ね相手の繁栄を祝うという意味合いがあります。 「悲しみを引き伸ばす」ということになってしまうため、お布施を包む紙や封筒に熨斗はつけません。

水引きも基本は必要ない

水引きとは、封筒や掛け紙と一緒に使うヒモのようなものです。 通夜や葬儀で渡す香典や、法要で渡す供物料を包む際は水引きを使いますが、お布施の場合は使わないのが一般的です。 ただし地域や家庭によっては黒白、黄白、双銀の水引きを使う場合もあるので、事前に確認を行いましょう。

毛筆かペンタイプで書く

お布施を書く際は筆を使いますが、最近は毛筆を使う人は少なくなっています。 そこでおすすめなのが筆ペンです。筆ペンには大きく分けると毛筆タイプとペンタイプのものがあります。 筆ペンには通常の黒のインクで作られた慶事用と、薄いインクで作られた弔事用がありますが、お布施を書く際は慶事用の筆ペン(濃墨)を使用します。 毛筆タイプは名の通り見た目も書き心地も筆のようになっています。 ペンタイプはペン先が毛筆タイプよりも硬く作られています。毛筆が苦手という人におすすめです。 筆ペン以外のボールペンやマジックペンなどでお布施を書くのはマナー違反となりますので注意しましょう。

お布施に関する基本知識まとめ

お布施の金額相場

上記でご紹介したように、お布施は儀式ごとに包む必要があります。 お布施の金額相場は儀式によって異なります。 主な儀式ごとのお布施の金額相場は下記の通りです。

  • 通夜・葬儀:10〜50万
  • 法要(〜1周忌まで):3〜5万円
  • 法要(3回忌〜):1〜5万円
  • 納骨式:1〜5万円
  • 初盆:5千〜2万円
  • お盆:3〜5万円
  • お彼岸:3千〜1万円(寺院での合同供養)、3〜5万円(自宅供養)
  • 開眼供養:1〜3万円

これらの金額はあくまで目安で地域や寺院によってばらつきがあります。宗派、寺の格式、地域、儀式の規模による差もあります。 またお布施の内訳として、お布施のみの場合と戒名料を含む場合があります。 そのため必ず寺院や僧侶に相談することをおすすめします。

お布施の入れ方・包み方

基本的には弔事で包むお金で新札は使いません。新札だと前々から用意をされていたようで失礼な印象を与えるからです。 しかしお布施に関しては異なります。お布施は僧侶に対する謝礼ですので、包むお札は古札ではなく新札が好ましいです。 お布施に関しては偶数や奇数などを気にする必要はありませんが、「4」や「9」など不吉なことを連想させる数字は避ける方が良いでしょう。 お布施を包むときはお札の向きに注意しましょう。香典などのお札の入れ方とは異なります。 表書きや名前などを書く紙や封筒の表面にお札の肖像画の面が向き、肖像画が封筒の上を向くように入れるのがマナーです。 お布施を持参する際は汚れたり折れるのを防ぐため袱紗(ふくさ)という1枚の布を使います。 袱紗の折り方には決まりがあり、弔事の場合は「右→下→上→左」の順番で布を折ります。 袱紗が無い場合に風呂敷やハンカチを代用する時も折り順は同じです。

お布施の渡し方

お布施は会場まで袱紗に包んで持参しますが、袱紗に包んだまま渡すのはNGです。 相手から袱紗が返ってくることを「不幸が返ってくる」として捉えられるためです。 正式にはお布施を切手盆にのせて僧侶に渡すのがマナーとされています。 切手盆が手元にない場合は、袱紗を切手盆の代わりとして使います。 菓子折りを一緒に渡す場合は、お布施を切手盆にのせ、切手盆を菓子折りの上に置きます。 お布施を渡す主なタイミングは、儀式の当日もしくは翌日以降です。最近では儀式当日に渡すことが多いようです。 儀式が始まる前に渡すのが基本で、施主が僧侶に挨拶をする際に手渡しします。儀式の前で僧侶が準備に追われている場合は、儀式の後に渡しても問題ありません。 お布施を渡す際は、「本日はお世話になります。」「昨日はありがとうございました。」などと一言挨拶を添えます。 お布施を渡す際に無理に笑顔を作る必要はなく、言葉で感謝の気持ちを伝えられれば問題ありません。 基本的には直接僧侶に手渡しするのがマナーですが、僧侶や遺族の都合で郵送する場合もあります。 郵送する際は必ず現金書留で行います。通常通り奉書紙や白封筒に現金を包んだ上で挨拶状を添えて現金書留用の封筒に入れます。

お布施以外の僧侶への謝礼

お布施以外の僧侶への謝礼と金額目安をご紹介します。

  • 御車代:僧侶の送迎を主催側がしない場合(僧侶が自らの足で会場に来た場合に渡す。5千〜1万円。
  • 御膳料:僧侶が会食に参加しないまた会食を設けない場合に渡す。5千〜1万円。
  • 戒名料:戒名をいただいたお礼で通夜や葬儀で渡す。2〜100万円。お布施の代金に含まれる場合もあるので要確認。
  • 卒塔婆料:卒塔婆供養を行う場合に渡す。卒塔婆1本3,000円〜。
  • 供養料:遺族に代わって寺院に供養をしてもらう「永代供養料」として支払う代金。厳密には謝礼ではない。

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