四十九日のお供え物の一般的な例はお菓子、果物、お花、線香、ろうそく、お酒などが定番です。本来はお供え物のみを渡すのがしきたりですが、最近はお供え物の代わりに現金を包むことも増えています。お供え物の金額相場は3,000円〜1万円で故人との関係性によって異なります。
「四十九日」とは法要の名称のひとつです。「法要」とは仏教用語で、死者の冥福を祈り霊を慰めるために行う儀式のことを指します。 「四十九日法要」とは故人の死後49日目の法要のことを指し、本来は「七七日(なななのか)」と呼ぶのが正式ですが、便宜上「四十九日」を用いることが多いです。 法要は初七日から百回忌まで全18回です。 初七日から百か日までの法要を追悼・忌日(いみび)法要、一周忌から百回忌までの法要を年忌法要といいます。 「忌日(いみび)」とは、故人の命日から四十九日までの間にある、7日目ごとの法要を営む日のことです。 本来は初七日後、7日目ごとに追善供養を行うことが正式なのですが、初七日は葬式とともに済ませることが多く四十九日の法要までは省略されることも増えています。 法要の中でも初七日、七七日(四十九日)、一周忌、三回忌の4回の法要は、僧侶や近親者、友人、知人などを招いて盛大に行うのが一般的です。 仏教では次の生を受けるまでの49日間に、故人の生前の罪の裁きが冥界(死後の世界)の神々によって、7日ごとに計7回行われるという言い伝えがあります。 最後の審判が49日目に行われるといわれているため、四十九日法要(七七日法要)は、一周忌までの法要の中で最も重要な追善供養の儀式です。 また四十九日法要(七七日法要)をもって忌明け(きあけ:忌み慎んでいた期間が終わること)となり、遺族は通常の生活へと戻ります。
法要の名称 | 死後日数・年数 | 参列者 | 内容 | |
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追悼(忌日)法要 | 初七日(しょなのか) | 7日目 | 近親者・友人・知人 | 葬儀や告別式当日に繰り上げて行うことも多い。 |
二七日(ふたなのか) | 14日目 | 遺族のみ | 最近では省略することも多い。 | |
三七日(みなのか) | 21日目 | |||
四七日(よなのか) | 28日目 | |||
五七日(いつなのか) 三十五日 |
35日目 | 地域や宗派によってはこの日が忌明けとなるため僧侶に読経をしてもらう。 | ||
六七日(むなのか) | 42日目 | 最近では省略することも多い。 | ||
七七日(なななのか) 四十九日 |
49日目 | 近親者・友人・知人 | 追悼(忌日)法要で最も重要な法要で、この日をもって忌明けとなる。僧侶による読経や法話などを行う。四十九日法要と合わせて納骨式や会食(お斎)を行うことが多い。 | |
百か日 | 100日目 | 遺族のみ | 「卒哭忌(そつこくき)」ともいわれ、泣くことをやめ悲しみに区切りをつける日ともいわれている。 | |
年忌法要 | 一周忌 | 1年目の祥月命日 | 近親者・友人・知人 | 僧侶に読経してもらう。 |
三回忌 | 2年目の祥月命日 | |||
七回忌 | 6年目の祥月命日 | 遺族のみ | 僧侶に読経してもらうのが基本だが、身内だけで供養することも多い。 | |
十三回忌 | 12年目の祥月命日 | |||
十七回忌 | 16年目の祥月命日 | |||
二十三回忌 | 22年目の祥月命日 | |||
三十三回忌 | 32年目の祥月命日 | 近親者・友人・知人 | 僧侶に読経してもらう。 | |
三十七回忌 | 36年目の祥月命日 | 遺族のみ | 法要を省略することが多い。 | |
五十回忌 | 49年目の祥月命日 | |||
百回忌 | 99年目の祥月命日 |
四十九日の法要にお供えする金品を「香典」という人がいますが、これは誤りです。 「香典」とはお通夜や葬儀で渡す金品のみを指します。正しい漢字は「香奠」ですが、「奠」は常用漢字ではないため「香典」と代用して書くのが一般的です。 「香」には「仏前で焚く香料」という意味が、「奠」には「神仏などへの供え物」という意味があります。 「香典」は仏教用語ですが、仏教以外の宗教でも便宜上「香典」を用いることが多いです。 「香典」に対して四十九日法要に持参する金品は「供物(くもつ、そなえもの)」または「供物料(くもつりょう)」というのが正しいです。 「供物」には「神や仏に供養のために供えるもの」という意味があります。 仏教用語ではなく、神道(神式)でも使います。キリスト教には「供物」という概念がないため使いません。 四十九日の法要ではお供え物(供物)を持参するのが本来のしきたりといわれています。 現金の代わりにお供えするものでも、現金と一緒にお供えするものでもないのが正しいマナーですので注意しましょう。
上記で四十九日法要ではお供え物を渡すことが正式なマナーであるとご紹介しました。 しかし最近ではお供え物の代わりとして現金(供物料)を包むことが増えてきているのも事実です。 その理由としては、
など、遺族の負担を軽減するという理由が挙げられます。
したがって、四十九日法要に供物料を持参することはマナー違反にはならないことがほとんどです。上記で解説したように、四十九日法要は身内以外にも友人や知人などを招いて大々的に行うのが本来の慣習です。 しかし最近の傾向として、通夜や葬儀も含めて家族だけでこじんまりやる場合が多いことが見受けられます。 その背景には、故人の意向や遺族の負担の軽減などが挙げられます。 そのため、四十九日法要に招かれないケースも多くあります。 その場合のお供え物は必須ではありませんが、故人との関係が深かったりする場合は渡しても良いでしょう。 お供え物の渡し方や郵送方法などは後ほど詳しくご紹介します。
お供え物の一つめの例はお菓子です。お菓子は日持ちすることが多いことからも遺族も喜ぶお供え物です。 個別に梱包されている方が分けやすいので良いでしょう。 せんべいや羊羹、饅頭(まんじゅう)などの和菓子や、クッキーやゼリーなどの洋菓子などが定番とされています。 お菓子は菓子店や百貨店、デパートなど様々な場所で購入可能です。 四十九日法要用と伝えれば弔事用に包装してくれるため、準備の手間を省くこともできます。
お供え物として果物を選ぶのも良いでしょう。 特に季節のフルーツをお供えすることが多いです。 果物はスーパーや八百屋などで購入可能です。 お菓子よりも身近な場所で購入することができるためすぐに準備が可能です。 単品で購入し法要用に包装してもらうか、法要用の詰め合わせや盛りかごなどを選びましょう。
お供え物としてお花を贈ることもあります。 通夜や葬儀で渡す花はスタンド花が一般的ですが、法要で渡す花はかご花(アレンジメント)や花束が基本です。 四十九日までは喪中とされているため基本的には白い花を贈るのがマナーですが、遺族を慰めるために淡い色の花を添えることもあります。 花の種類は菊やユリ、キキョウ、カーネーションなどを用いることが多いです。 また最近は生花ではなくプリザーブドフラワー(ドライフラワー)などを贈る人も増えているようです。 水やりの手間を省くことができ、長持ちするという点から人気が高いのですが、遺族や地域によっては生花以外のお花を受け取ることに抵抗がある場合もあります。
線香やロウソクは四十九日のお供え物に適しています。 線香を炊く(あげる)理由には、
などがあります。
四十九日のお供え物としては香り付きの線香や、煙が少ない線香などが人気です。故人がお酒好きだった場合などはお供え物としてお酒をお供えすることもあります。 ビールや日本酒などが定番のお供え物です。 しかしお酒は地域や宗派、遺族によっては良い印象を持たないこともあるので、事前に遺族に確認することをおすすめします。
お供え物の金額相場は3,000〜1万円といわれています。 故人との関係が近かった場合は5,000円〜1万円ほど、知人など一般的な関係であった場合は3,000円〜5,000円程度が目安です。 ただし宗派や地域などによって金額相場は異なりますので、周囲の人や遺族などに相談して決めましょう。
包装紙はなるべく地味な色や柄のものを選びましょう。 グレーや黒、紫などの色が一般的で、弔事用であることを店に伝えると四十九日法要にふさわしい包装紙で梱包してくれます。 お供え物には熨斗なしの掛け紙を使います。 熨斗(のし)とは、贈答品につける飾り物のことを指し慶事のみに使います。 よくお供え物に熨斗・熨斗紙をつけると言う人を見受けますが、贈答品の上面や前面に掛ける紙は「掛け紙」というのが正式です。 熨斗紙とは熨斗のついた掛け紙のことを指すため、慶事には熨斗紙を、弔事には熨斗なしの掛け紙を使うのが正しいマナーとなります。
四十九日法要のお供え物の掛け紙には表書きと贈り主の名前を記入します。 表書きは「御供」もしくは「御供物」と書くのが一般的です。 水引きの色は黒白(関西は黄白)のものを選びましょう。 遺族がすぐに贈り主を確認することができるので、掛け紙は包装紙の上から貼ります。 かごなどで掛け紙をするのが難しい場合は、白い紙で包装し黒か白のリボンを掛け、名刺や名前カードを添えます。
お供え物は、風呂敷に包んで持参するのがマナーです。 風呂敷は黒やグレー、紫など控えめな色の物を使用します。 風呂敷に包む理由としては、お供え物が汚れるのを防ぐためです。 風呂敷がない場合は紙袋に入れて持参しても良いでしょう。 遺族に渡す時は風呂敷や紙袋からは出して渡します。
お供え物は四十九日法要が始まる前に施主に渡します。 自身で直接仏壇にお供えする場合もあります。受付が設けられている場合は受付時に係に渡します。 上記でも触れたように、風呂敷や紙袋からお供え物を取り出して品物のみを渡すようにしましょう。 渡す時は「ご仏前にお供えください」と一言添えます。
四十九日法要に招待されたものの参列できない場合は、法要前に直接渡すか郵送をします。 直接渡す場合は、四十九日法要より前に訪問するように日程調整をします。 郵送する場合は、四十九日法要より前に相手に届くように日付指定をしましょう。 お届け予定日を事前に遺族に知らせるとより丁寧です。
お供え物を持参しても、故人や遺族の意向で受け取りを辞退することもあります。 事前に「供物辞退」「供物供花辞退」との通知がきた場合はお供え物は受け取らない意味となります。 「ご厚志辞退」との通知がきた場合は、供物と供物料ともに受け取らないという意味です。 いずれの通知でも念の為に供物料を持参し、お供えするかどうかは会場の様子を見て決めましょう。 遺族が受け取らないというのであれば無理に贈らないようにしましょう。
故人が好きだったものを渡すのはよいとされていますが、お供え物には消耗品を選ぶのがマナーです。 後に残らない、消えてなくなるもの(消え物)とされる食品や日用品などを選ぶのが一般的です。 喪主や遺族が処分に困るものは避けましょう。
果物やお菓子などを選ぶ際は日持ちするものを選ぶのがマナーです。 特に夏場は食べ物が傷みやすいため十分に注意が必要となります。 お供え物はしばらくの間仏壇にお供えをするため、お菓子の賞味期限は最低でも1、2週間あるものを選びましょう。 果物はメロンやりんご、みかん、キウイ、パイナップルなど実や皮が硬いものを選ぶことをおすすめします。
仏教で殺生(生き物を殺すこと)は最も悪いこととされています。 そのため、お供え物に肉や魚などの生臭物を贈ることは避けましょう。 ちなみに神道(神式)では生臭物をお供えしても問題はありません。 キリスト教はお供え物自体をしない宗教です。
お供え物に重さがある物やかさばる物を贈ることも避けるとより丁寧です。 例えば重たいものやサイズが大きいものは運ぶのが大変になり、仏壇に飾るのにもスペースが足りなくなってしまいます。 特に法要会場が自宅以外の場所は注意が必要です。遺族にご迷惑がかからないように配慮しましょう。
お花をお供えする場合は、香りが強い花や色が派手なものは避けるべきです。 強い香りを苦手としたり、派手な色が適さないと感じる方がいる可能性があるからです。 弔事用であることを店に伝えば、香りの処理をしてくれます。 またトゲのあるバラは手入れの際に怪我をする可能性があるため避けるべきです。
例えば故人が好きだったものをお供え物として贈る場合、過度に派手な物は控えるべきです。 例えば色が赤などの物や、弔事の場には適さない物などはたとえ故人が好きだった物だとしても避けるのがマナーです。 そのような物をお供えしたい場合は、お供え物として贈って問題ないか事前に必ず遺族に確認を行いましょう。
ここまででお供え物の具体例や金額相場、注意点などをご紹介してきました。 これらはあくまで一般的な話で、地域によってはお供え物の習慣や風習が違う場合もあります。 そのため、四十九日法要にお供え物を贈りたい場合は、まずは家族や友人、知人などその地域に住んでいる人に相談をすることが大切です。
四十九日法要で参列者からお供え物を頂いた場合、遺族はそのお礼として「引き出物」をお渡しするのが正式なマナーです。 「香典返し」は通夜や葬儀の香典に対するお礼となり、引き出物とは別になりますので注意が必要です。 引き出物の表書きは「志」と書くのが一般的です。 贈り主の名前は施主の名字もしくはフルネームを記載します。
引き出物の金額相場は3,000円〜5,000円が目安です。 いただいたお供え物の種類や金額に関わらず、一律の品物を用意します。 高額のお供え物をいただいた場合でも当日に引き出物を渡すだけで良いですが、気になる場合は後日別途お礼の品を贈ると良いでしょう。
引き出物の品物に適しているのは、食べてなくなる物や消耗品、実用品などです。 会場から持ち帰ってもらうため、軽いものや小さい物が良いでしょう。 引き出物の具体例は下記の通りです。
香典返しを忌明けに渡す場合、引き出物を渡すタイミングが重なることがあります。 通夜・葬儀、そして四十九日の両方に参列し香典と供物(供物料)をお供えいただいた方には直接香典返しと引き出物を渡しても問題ありません。 通夜・葬儀には参列されたが、四十九日法要には参列されておらず供物や供物料をお供えいただいた方には、郵送で香典返しと引き出物を送ります。 しかし郵送で贈る場合は注意点があります。 本来は、通夜・葬儀の香典返しと四十九日法要の引き出物は同時に贈るものではありません。 香典返しが郵送されたのを確認した後、数日〜数週間の時間をあけた後に引き出物を贈ると良いでしょう。
四十九日法要の案内状が届いたら、速やかに出欠の返信を出すのがマナーです。 返信用はがきを出すとともに、電話で一言挨拶をするとより丁寧です。 参列する場合は「当日はご一緒にご供養させていただきます」など一言添えると良いでしょう。 弔事のため「ありがとうございます」など感謝の言葉は避けましょう。 欠席する場合は欠席の理由やお詫びの言葉を添えて返信しましょう。 参列ができない場合は案内状の返信とは別にお詫びと慰めの手紙や電話をし、供物や供物料を郵送します。 もしくは施主や遺族の都合に合わせて、四十九日法要の前にお参りさせてもらうという方法もあります。
〈出席する場合の返事例〉 ごていねいな案内状をいただきまして恐れ入ります 当日はご一緒にご供養させていただきます
〈欠席する場合の返事例〉 本来ならばお伺いすべきところやむをえない事情により叶いませんことを大変申し訳なく存じます
四十九日法要が平日に執り行われる場合は、仕事を休む必要があります。 仕事を休むこと自体は可能ですが、慶弔休暇や忌引き休暇を適用することはできませんので注意しましょう。 基本的に慶弔休暇 (忌引き休暇)は、親族が亡くなった時に取得できる休暇とされています。 取得できる日数は故人との関係性や会社によって異なり、1〜10日前後であることが多いです。 四十九日法要は故人が亡くなってから49日目にあたる法要なので、有給休暇を取得して休む形となります。 四十九日法要の開催が決まったら、早めに上司や担当者に相談しましょう。 会社の規則に従い休暇申請を提出すれば問題なく法要に参列できるでしょう。
四十九日法要では喪服を身につけることが正式なマナーとされています。 喪服には下記の3種類があり、それぞれの違いは格式です。 遺族は正喪服(正礼装)や準喪服(準礼装)を、弔問客は準喪服(準礼装)を身に着けることが最も一般的です。 和装と洋装で格式の差はないのですが、一般的に和装が洋装よりも格式が高いという印象を与えることが多いです。 なお葬儀や告別式以外で和装を着ることは昨今では少なくなっています。
平服(略喪服)や私服(私服は喪服には含まれない)はNGとされることが多いです。 平服とは「普段着」と辞書には載っていますが、冠婚葬祭では略喪服(略礼装)のことを指します。 男性の正喪服(正礼装)は、和装の場合は黒羽二重の染め抜き五つ紋つき羽織と着物に仙台平(または博多平)の袴、洋装の場合はモーニングです。 男性の準喪服(準礼装)は、ブラックスーツです。 男性の略喪服(略礼装)は、紺やグレーのダークスーツです。 女性の正喪服(正礼装)は、和装の場合は黒無地の染め抜き五つ紋付きの着物に黒喪帯、洋装の場合はブラックフォーマルドレスです。 女性の準喪服(準礼装)は、ブラックフォーマルスーツです。 女性の略喪服(略礼装)は、ブラックフォーマルスーツ以外の地味な色のワンピースやスーツです。 子供が法要に参列する場合は、学校の制服着用します。 制服がない場合は平服の場合は地味な色のシャツやズボン、スカートを身に着けましょう。 大人と同じように、光沢のあるファッション小物や派手な柄、ブランド物は避けましょう。
四十九日の法要当日は、法要開始時刻の30分前には会場に到着するようにしましょう。 到着後に施主への挨拶と供物や供物料のお供えを済ませ、自分の席に着きます。 当日何かしらの事情で遅れる場合は、速やかに施主や遺族などに連絡をしましょう。 途中から参加する際は、進行の妨げにならないように気をつけましょう。
四十九日法要の後に会食(お斎)の場を設けてあることがあります。 会食では遺族や僧侶、参列者が集まり、故人を偲んで食事をします。 会食の目的はあくまで故人を偲ぶことです。 故人と無関係の話に夢中になったり、お酒を飲みすぎたり、騒ぎすぎたりしないように過ごしましょう。 また遺族や世話係が準備や片付け等で忙しそうにしていたら、手伝う気遣いをするとより丁寧です。
●四十九日法要にお供え物は必要?
●お供え物の具体例
●お供え物のマナー
●お供え物の注意点
●お供え物へのお礼
●四十九日法要のマナー