一周忌法要では、正式な喪服を着用します。喪服には3種類あり、遺族は正喪服か準喪服、参列者は準喪服を身につけるのが一般的です。黒・グレー・濃紺など暗い色やのみを身につけ、法要に適さない派手な色や柄の服やアクセサリーの着用は避けます。
一周忌とは仏教の追善供養の一つです。 故人の死から満1年後の命日、またその法要(法事)のことを指します。 一年忌や小祥(しょうしょう)忌、地方では「むかわり(とむらい)」ということもあります。 仏教では初七日から百回忌まで全18回の法要があります。 初七日から百か日までの法要を追悼(忌日)法要、一周忌から百回忌までの法要を年忌法要といいます。 仏教の法要(法事)は下記の表で解説しています。 年忌法要の中で混同されやすいのが「一周忌」と「三回忌」以降の違いです。 「一周忌」は「満」で数えるため、故人が死亡した翌年の祥月命日に行います。 「三回忌」からは死亡した年を含め「数え年」で数えます。 一周忌の次の法要は一周忌の翌年の三回忌となり、七回忌は6年目、十三回忌は12年目の祥月命日に行います。
喪服とは葬式や法事などに身につける衣服で、喪服を着ることで弔意を表します。 一周忌法要では喪服を身につけることが正式なマナーとされています。 喪服には下記の3種類があり、それぞれの違いは格式です。
3種類の喪服それぞれに和装と洋装があります。 和装と洋装で格式の差はないのですが、一般的に和装が洋装よりも格式が高いという印象を与えることが多いです。 最近は儀式や服装が簡略化されていることから、和装を身につけること自体が少なくなっています。
一周忌法要では施主や近親者は正喪服(正礼装)を、それ以外の遺族は準喪服(準礼装)を着るのが一般的です。 正喪服(正礼装)の和装は黒羽二重の染め抜き五つ紋つき羽織と着物に仙台平(または博多平)の袴です。 なお喪章は和装には本来つけません。 正喪服(正礼装)の洋装はモーニングコートです。黒の上着と縞のズボンが一般的です。 ネクタイ、靴下、靴、ポケットチーフなどの小物は全て黒で統一します。 準喪服(準礼装)は、和装ではなく洋装を着用するのが一般的です。 準喪服(準礼装)は、ブラックスーツです。ブラックスーツとは色は漆黒に近い黒色で光沢や艶がない冠婚葬祭用のスーツのことを指します。 ビジネススーツとして売られている黒色のスーツは準喪服(準礼装)には該当しませんので注意が必要です。 夏場の一周忌は、通気性の良い夏専用のブラックスーツがおすすめです。
女性の正喪服(正礼装)は、和装は黒無地の染め抜き五つ紋付きの着物に黒喪帯です。 帯、帯揚、帯締、バッグなどの小物は黒で統一します。 正喪服(正礼装)の洋装はブラックフォーマルドレスです。 肌の露出がないよう、襟元が詰まっていて袖は長い袖のものを着用します。スカートはひざ下丈〜くるぶし丈が正式です。黒の手袋もつけます。 女性の正喪服(正礼装)でパンツスーツはマナー違反とされていますので注意しましょう。 女性の準喪服(準礼装)も和装ではなく洋装を選ぶのが一般的です。 準喪服(準礼装)は、男性と同様に冠婚葬祭用のブラックスーツを着用します。 正喪服(正礼装)ではパンツスーツはNGとされていますが、準喪服(準礼装)ではパンツスーツの着用も可です。 女性はスーツ、ワンピースやアンサンブルを身につけます。袖丈は5分袖・7分袖・長袖でスカートはひざ丈のものを身に着けるのがマナーです。 丈が短いスカートやノースリーブなど肌の露出が多い服は避けます。
子供が一周忌法要に参列する場合は、学校の制服を着用するか、ない場合は暗い色の服を着用します。 子供の喪服には正喪服などの種類は設けられていません。 幼児園児や中学生、高校生などで学校の制服がある場合は、制服を着て一周忌法要に参列をします。 制服の色や柄が派手で法要に適さない場合は、制服以外を身につける方が良いでしょう。 スニーカーはマナー違反となりますので、黒の革靴を履きましょう。 小学生や大学生などで学校の制服がない場合は、地味な色の服を着用します。 色は黒、紺、グレーなどのダークカラーのものが好ましいです。 男児の場合は、白シャツにブレザーやズボンが一般的です。 女児の場合は、白ブラウスにブレザーやスカート、ワンピースなどを身に着けます。 靴下は白もしくは黒、靴は革靴が理想です。 派手な柄や装飾がついた服は法要には適さないので避ける方が無難でしょう。
遺族と同様に、弔問客も一周忌法要では正式な喪服を着用するのが正式なマナーとされています。 注意点としては、施主や遺族よりも格式高い服装を身に着けないという点です。準喪服(準礼装)を身につけることが一般的です。 一般的に和装は格式が高いといわれており喪主や遺族のみが着用するものとされているため、弔問客が和装を身につけるのは避ける方が無難でしょう。
準喪服(準礼装)は、上記でもご紹介しましたが冠婚葬祭用のブラックスーツです。漆黒に近い黒色で光沢や艶がなく柄も無地のものを着用します。 一周忌法要では最低でも準喪服(準礼装)を身につけることがマナーですが、遺族から「平服でお越しください」と案内があった場合や、身内だけの一周忌などでは略喪服(略礼装)を着用することもあります。 略喪服(略礼装)とは、準喪服より日常の服装に近い喪服のことを指します。 辞書に載っている「普段着」という意味ではなく冠婚葬祭では略喪服(略礼装)のことを指します。 男性の略喪服(略礼装)は、 ダークスーツです。冠婚葬祭用以外のスーツのことを指します。 色は黒以外に濃紺やグレーのもの、細いストライプ柄などのスーツも可です。 準喪服(準礼装)と同様に、略喪服(略礼装)でも和装より洋装を着るのが一般的です。
女性の準喪服(準礼装)は遺族と同様に冠婚葬祭用のブラックスーツです。 スーツ、ワンピース、アンサンブルのいずれかを身に着けますが、袖や丈は長めのものを身につけるのがマナーです。 女性の略喪服(略礼装)は、ブラックフォーマル以外の地味な色のワンピースやスーツ、アンサンブルです。 濃紺やグレーなどダークカラーの色のものを着用します。(緑や茶色は避けます。)
子供の服装は遺族と同様に学校の制服もしくは暗い色の洋服です。
上記で解説したように私服・普段着は喪服には含まれませんので、私服で一周忌法要に参列するのはNGです。 一般的には遺族も弔問客も正式な喪服を身につけるのがマナーです。 地域や家庭によっては私服での参列も可能な場合もありますが、その場合でもカジュアルな服装は避けましょう。
一周忌法要は友人や知人、職場関係の人などを招いて大々的に行うのが本来のしきたりですが、最近では身内だけで執り行うことも多くなっています。 家族のみの一周忌法要でも基本的には喪服を着るのがマナーです。 私服を着る場合でも軽装ではなく、節度ある服装を心がけましょう。
一周忌法要などの弔事では、派手な色や柄の服装はマナー違反です。 基本的には黒・グレー・濃紺のものを身に付け、グリーンやブラウンと原色系は避けます。 また柄は無地や縞のものが理想で、それ以外の派手な柄は避ける方が無難でしょう。 革製品やブランド品、金具がついているものも避けましょう。 エナメルやメタリックなどの光沢のあるものも身に着けないのがマナーです。
一周忌法要に参列する際は、指輪やネックレス、時計などのアクセサリーは色も柄も控えめにするのがマナーです。 シルバー系のものをつけ、ゴールド系や派手な色のものは着用を避けます。 男女ともに結婚指輪や婚約指輪はつけていて問題ないですが、それ以外の指輪は外します。色のある石がついている指輪は石を内側に隠します。 男性の場合はネクタイピンはせず、カフスボタンはシルバー系かオニキス、黒曜石などのものをつけます。 女性の場合は、ネックレスやイヤリングやピアスはパールやオニキス、黒サンゴ、黒曜石などの光らない黒の石ものが正式です。 二重や三重のネックレスは、「不幸が重なる」などという理由で弔事では避け、一重のネックレスのみを身につけます。
一周忌法要に参列する際の化粧は控えめにします。 ファンデーションやアイメイクなどは薄くし、ナチュラルに仕上げるのがマナーです。 口紅はつけないのが基本ですが、派手な色でなければつけても構いません。 ネイルアートやマニキュアをしている場合は落とすのが原則です。 また髪が長い場合はまとめ髪にしますが、髪飾りはつけません。
喪服のファッション小物として帽子や手袋などがありますが、一周忌ではこれらは身に着けなくても良いとされています。 帽子を身につける場合は、光沢や装飾があるものを避け、小型な帽子を着用しましょう。 男性はスナップハット(中折帽)が一般的でハンチングやベレー帽などは避けます。 女性はつばのない帽子が一般的です。畳に座る場合は帽子は身に着けない方が良いです。
妊婦が一周忌に参列する場合は、最低限のマナーは守りつつ体調を考慮した服装でも問題ないといわれています。 体を締め付けないようにワンピースを身につけることが一般的です。妊婦用の喪服の販売やレンタルがありますので、それらを利用するのも良いでしょう。 肌の露出はマナー違反になりますので、袖のあるワンピースが好ましいですが袖なしのワンピースの場合は黒の羽織も合わせて着用します。 また体が冷えないように生地が厚めのストッキングを履きましょう。タイツは厳密にはマナー違反なのですが、妊婦さんの場合は履いても構いません。 靴はヒールの高さが低いパンプスを履きましょう。スニーカーや光沢のあるものは避けます。 ただし出産直前の妊婦さんは、体調を考慮し参列を辞退する方が良いでしょう。 無理をせず、参列が難しい場合はその旨を早めに施主側に伝えておきます。
一周忌法要が夏に行われる場合でも、肌の露出は避けるのがマナーです。 ノースリーブなど袖のない喪服、丈の短いスカート、深い胸開きなどはマナー違反となりますので注意しましょう。 また法要中に上着を脱いだり袖をまくって肌を見せたりすることも避けるべきです。 暑い中の参列は体調を崩してしまう可能性もあるので、通気性の良い夏用の喪服を着用したり、冷えたハンカチやタオルなどを持参することをおすすめします。
一周忌法要が冬に行われる場合は、喪服の上からコートを羽織ります。 会場内ではコートは脱いで法要に参列するのが一般的ですが、屋外で執り行われる場合は焼香時以外は着たままでも良いです。 注意すべき点はコートの色と素材です。 コートの色は黒、紺、グレーなどの暗い色が基本です。 皮革などの素材は殺生を連想させるため着用は控えます。 光沢のあるものやスポーティーな素材のものも避けるべきです。 またタイツの着用は正式にはマナー違反となりますので、厚めのストッキングが良いでしょう。
いかがでしたか? 今回は一周忌の服装について詳しく解説しました。 主な内容は下記の通りです。