「ヒアリング」は、もともと英語などの言語教育の「聞き取り」や「公聴会」を意味します。「公聴会」とは特定の事案に対して、利害関係人など一般の意見を聴取する手続きを指します。転じて、ビジネスでは「聴き取り調査」という意味で「ヒアリングする」「ヒアリングを受ける」と使います。
「ヒアリング」の原義は「聞くこと」です。 そこから転じて、「ヒアリング」の1つ目の意味は、外国語の聞き取りを指します。 2つ目の意味は「公聴会」「聴聞会」「事情聴取」です。 公的機関や会社が行う、一般の意見の聴取したり説明したりする会議を指します。 カタカナ語ですが、IT用語ではありません。
「ヒアリング」はビジネスでは「聞き取り調査」という意味で使用されます。 面接や面談形式で相手の情報を聞き出す情報収集を「ヒアリング」といいます。 例えば、商品を使用しているお客様に良いと思っている点、悪いと思っている点を聞き出すのもヒアリングです。 マーケティング調査などにおいても、取引先の情報をヒアリングし、今後の戦略を練ったりビジネスでは日常的に使用されている言葉です。
「ヒアリング」は「ヒヤリング」ともいう場合もあります。 「ヒヤリング」といっても間違いではありませんが、広辞苑など国語辞典は「ヒアリング」に統一されているので、迷ったら「ヒアリング」を使いましょう。 ネイティブの発音は「ヒヤリング」に近いです。
「ヒアリング」は英語「hearing」が由来です。 「hearing」は動詞「hear」の現在分詞・動名詞です。 「hear」は「〜が聞こえる」という意味の他動詞で、耳を使い音声を感知することを指します。 英語「hearing」の意味は、「公聴会」と「聴力」です。 カタカナ語のように「ビジネスの聞き取り調査」「英語の聞き取り(テスト)」の意味はありません。
「ヒアリング」の類語に「リスニング」があります。 「ヒアリング」は「(自然と)聞こえる」という意味なのに対して、「リスニング」は「(意識して)聞く」という意味です。 日本では以前「英語の聞き取りテスト」のことを「ヒアリング(テスト)」といっていましたが、「リスニング(テスト)」に変えられたのはこのためです。 英語の聞き取りテストは生徒が聞こうと意識を集中させるので、「リスニング」が正確です。 ちなみに「hearing test」だと「聴力検査」という意味になってしまいます。
「ヒアリング」は、ビジネスシーンでは「ヒアリングする」「ヒアリングを受ける」という言い回しで使用されます。 「ヒアリングをする」は、「相手から話を聞き情報収集をする」という意味です。 「ヒアリングを受ける」は、反対に「自分が相手からの質問に答えて情報収集に協力する」という意味です。 「ヒアリングする」の敬語は「ヒアリングさせていただく」になります。 「ヒアリングをさせてほしい」と依頼をするときなどに使用する敬語表現です。
「ヒアリング」の例文
「ヒアリングを行う/開催する」は「公聴会を開く」という意味で使用されます。 「公聴会」とは、国会や行政機関などが、影響力の大きい事柄を決定する際に参考として公開の席上で学識経験者や利害関係人などから意見を聴聞する会のことをいいます。
「ヒアリング」の例文
「ヒアリングシート」とは「質問シート」のことです。 相手から情報を聞き出す際に、質問事項を事前に明確にすることで、聞き忘れを防ぎます。 ヒアリングシートに盛り込まれている内容は業種などにもよりますが、例えば商品に関するヒアリングであれば、「商品の印象」「使用感」「改善するべき点」「希望価格」などについて解答する項目を作り、記入してもらいます。 この場合は「アンケートシート」ともいわれます。 また、営業スタッフが実際に顧客から話を聞きながら情報を記入していくパターンの「ヒアリングシート」もあります。
「ミーティング」の意味は「打ち合わせ。会合」です。 話し合いのために集まることをいいます。 「ヒアリング」は相手から話を聞き情報を得ることですが、「ミーティング」は話を聞くだけではなくお互いに意見を出し合い話し合いをすることです。
「インタビュー」の意味は「人にあって話を聞くこと」です。 新聞・雑誌・放送などの取材記者が、対象となる人物に対して話を聞くことをいいます。 相手から話を聞いて情報収取をするという意味では「ヒアリング」と同義です。 ただし、「インタビュー」は相手の話から得た情報そのものを文章を公表することを目的としています。 「ヒアリング」は相手から得た情報からさらに、何らかの目的のために活かすことを目的としています。
「アンケート」の意味は「多くの人に同じ質問をして解答を求める方式の調査」です。 多くの人に同じ質問に答えてもらうことで、平均的な意見を割り出すなど統計調査の一つです。 一般的には対象者が複数〜多数で調査によって不特定多数の一般人であったり、その分野の専門家であったりします。 「ヒアリング」は、一人一人に違う質問することもあるという点で、多くの人に同じ質問をする「アンケート」とは異なります。 ただし、ヒアリングもヒアリングシートを用いて複数に同じ質問をするということもあります。 よって「ヒアリング」のほうが「アンケート」より意味が広いといえます。
「サーベイ」の意味は「測定。調査」です。 物事の全体像や実態を把握するために調べることをいいます。 例えば、従業員に人間関係についてや労働に関しての調査を行うことを「授業員サーベイ」といいます。 サーベイは元々、政府や国際機関が実地する調査方法の一つで、その手法をマーケティングなどに応用しています。 よって、サーベイは大規模なことに行われることに対して使用されることも多いです。
「カウンセリング」の意味は「個人の悩みを聞くこと」です。 「カウンセリング」も個人から話を聞くという点では「ヒアリング」の類語であるといえます。 ただし、「カウンセリング」は個人の問題解決のための支援や助言を与えることを目的としています。 「ヒアリング」は個人の問題解決のために行われるものではないという点で「カウンセリング」とは異なります。
「サウンディング」は、「行政と民間業者が共有地の活用や、民間活力の導入について事前に直接対話をすること」です。 「サウンディング形市場調査」ともいいます。 自治体と事業者が対話をすることを意味するので、「ヒアリング」のほうが意味が広いです。 ちなみに、「サウンディング」は「地盤調査」という建築用語でもあります。 建築用語では、棒の先端につけた抵抗体を土の中に挿入し、土層の性状を深さ方向に調べることをいいます。
「ヒアリング」の原義は「聞くこと」で、「外国語の聞き取り」「公聴会」という意味で使います。 「公聴会」とは、公的機関や会社が行う意見の聴取や説明を兼ねた会議を指します。 転じて、ビジネスでは「聞き取り調査」という意味で使用されます。 面接や面談形式で相手の情報を聞き出すことを指します。