「オーガナイザー」の意味と使い方を解説します。「オーガナイザー」はバッグや財布、旅行用ポーチのファッション用語だけではなく生物学用語や収納で使うインテリア用語、学会やイベントで使うビジネス用語として幅広く使われる言葉です。語源の英語「organizer」も含めて、それぞれの使い方を詳しく解説していきます。
語源は英語「organizer」です。 「organizer」は、動詞「organize」に、「〜する人、〜する物」を意味する接尾辞「er」が付いた名詞です。 他動詞「organize」の原義は「何かをするために整理をする」です。 「organize」の名詞形には「organization」があります。これは「組織」という意味です。 例えば、「非営利団体」を意味するNPOは「Non-Profit Organization」の頭文字をとったものです。 ちなみに、英語「organize」は、「臓器、活動機関、オルガン」などを意味する古英語「organ」と「道具」を意味するラテン語「organum」が組み合わさってできた英単語になります。 英語「organize」の使い方に関しては本記事の最後に紹介します。
「オーガナイザー」には様々な使い方がありますが、基本的な意味は「まとめる人、まとめる物」です。 カタカナ語の中には「スマート」や「ナイーブ」のように語源の英語とは意味が違うものがありますが、「オーガナイザー」は語源である英語「organizer」と同じ意味です。
まとめる対象によって、「オーガナイザー」の和訳は変化します。 団体をまとめるのは「組織者」、イベントをまとめるのは「主催者」、プロジェクトメンバーをまとめるのは「まとめ役」、小物をまとめるのは「整理箱」などとなります。 このように業界や使う場面で「オーガナイザー」の意味は微妙に変化しますが、基本的な意味は「まとめる人・物」なのでそれだけ覚えておけばOKです。 「オーガナイズ」「オーガナイザー」は略して「オルグ」ということもあります。 これは最初の3つの英単語「org」をカタカナ読みしたものです。英語では「オーグ」と発音します。 IPネットワークのドメインにおいても「.org(ドット・オルグ)」があります。これは非営利団体がよく使うドメインです。 DA PUMP(ダ・パンプ)さんのU.S.A.という曲で「C'mon, baby アメリカ サクセスの味方 Organizer」という歌詞がありますが、この曲で「オーガナイザー」という表現を知った方も多いかもしれません。 この歌詞における「organizer」も「まとめ役」という意味で、「アメリカが世界のリーダーであり他国をまとめる存在だ。ゆえに他国民の成功まで手助けすることができる」というニュアンスです。
「オーガナイザー」を日常的に最もよく見聞きするのは学会、イベントなどの「主催者」という意味です。 個人を指す場合もありますが、法人などの組織を指す場合もあります。 単に「オーガナイザー」ということもありますが、
などということもあります。 DJ用語には「クラブオーガナイザー」というものもあります。 これはクラブでパーティーを開催するときに、箱(クラブ会場)との交渉やDJやダンサーの手配、イベントの企画などをする人を指します。 「オーガナイザー」は、
などの言い回しで使います。 それでは例文です。
例文
「オーガナイズする」という言い回しも使用されます。 「オーガナイズする」とは「イベントなどを企画する、団体を組織化する、既存の組織を編成する、知識やデータを体系化する」などの意味合いで使います。 どれもベースにあるのは「まとめる」という意味です。 例文です。
例文
「オーガナイザー」という言葉は、イベントだけに限らず職場で広く使うこともあります。 職場で一般的に使う「オーガナイザー」は「注意深く計画ができる人」「まとめ役」「調整者」などの意味合いです。 この「オーガナイザー」はかなり漠然としたニュアンスで、色々な場面で使うことができてしまいます。 ビジネスアイデアを計画したり、人をまとめたり、上層部と部下の意見を調整したりする役回りの人を指します。 実質的には「プロジェクトリーダー」=「オーガナイザー」ということになります。 社長や創業者などもっと位が上で組織自体を創る人、つまり「組織者」のことを「オーガナイザー」ということもあります。 「オーガナイザー」は「労働組合への参加を促す人」という意味で使うこともあります。 この意味の場合は略語である「オルグ」を使うことが多いです。または「オルガナイザー」ということもあります。 このように使っていたのは数十年前が主でして、現代では死語になりつつあります。
例文
聞いたことがない人が多いかと思いますが「ライフオーガナイザー」という仕事・職業が存在します。 「ライフオーガナイザー」とは、通常の家事代行型の整理収納サービスとは違い、思考の整理からはじめるコンサルティング型の本格的な片づけ支援サービスを提供する人を指します。 この「ライフ」は「生活」を意味し、「人の生活を物理的にも精神的にも整理する」という意味です。 「ライフオーガナイザー」になるには、日本ライフオーガナイザー協会が提供する資格を取る必要があります。 「ライフオーガナイザー」の他にもう一つ「メンタルオーガナイザー」というお仕事もあります。 これは、願望、感情、認知の3つの視点から対象者の思考と精神を整えていくものです。 ライフオーガナイザーがより深く人の精神を理解するためにメンタルオーガナイザーの資格も取るパターンが多いです。 これらの職業は、1980年代に米国で生まれた「プロフェッショナルオーガナイザー」という職業の日本版です。 ゴミ屋敷のお家を掃除するドキュメンタリー番組で知られるようになりました。 最近ではNetflixで配信された近藤麻理恵(こんまり)さんの影響で世界的にまたスポットライトを浴びている職業になります。
ファッション用語で「オーガナイザー」といえば、色々な小物が入る「オーガナイザーバッグ、財布」のことを指します。 医療現場でナース(看護師)さんがボールペンや体温計などを入れ腰に巻きつけている白いバッグがオーガナイザーです。 旅行の際に、化粧品やドライヤーなどの小物を整理するために使うバッグもオーガナイザーといいます。 ベビーカーに取り付ける専門のオーガナイザーバッグも存在します。 世界を代表するファッションブランド、ルイヴィトンの「オーガナイザー・ドゥ ポッシュ」は、クレジットカードやお札などを入れる小物入れを指します。 定期入れのような形をしています。
インテリア用語で「オーガナイザー」といえば収納をするための「オーガナイザーボックス」を指します。 飲食店などで箸やスプーン、フォークなどを入れる入れ物も「オーガナイザーボックス」といいます。 単に文具を整理するためにデスクや書斎に置くコンパートメント用品も「(デスク)オーガナイザー」といったりします。 子供のおもちゃを入れる専用のオーガナイザーも存在します。 刺繍の糸を整理するオーガナイザーもあります。
生物学用語で「オーガナイザー」といえば「形成体」を意味します。 「形成体」とは「脊椎動物の初期の発生段階で形態形成の中心となる胚域」を指します。 「胚域」が周りの組織に働きかけて器官が形成されます。 これは厳密には動物発生学といわれる領域でかなり専門的です。。。生物学の世界でも使用される言葉であることを認知しておけばそれで十分かと思います。
Microsoft Office2010までのツールで「クリップオーガナイザー」というものがありました。 「クリップオーガナイザー」はコンピューター内のメディアファイルを整理できるツールでした。現在では廃止されています。 「クリップして整理ができる」という意味ですね。
日本語ではほとんど使われませんが、「パーソナル・オーガナイザー(personal organizer)」というと「スケジュール帳」のことを指します。 「personal」は「個人的な」という意味なので、「自分の生活を整理するもの」という意味で、「個人用整理手帳」という意味合いになります。 「electronic organizer」といえば「電子手帳」の意味になります。
「オーガナイザー」の類語や言い換えは多数あるのですが、それぞれ微妙にニュアンスが違いますので、解説していきます。
「オーガナイザー」の類語に「ホスト」があります。 この「ホスト」は、ホストクラブのイケメン男子のことではなく、客を招く主人の意味の「ホスト」であり、ホストファミリーの「ホスト」です。 イベントなどで司会進行を務める人を「ホスト」といったります。 この「ホスト」は「オーガナイザー」は使い方が非常に似ていますが、意味は厳密には異なります。 「オーガナイザー」はイベント自体を企画運営している人を指しますが、「ホスト」はあくまでもイベントのセッション等で司会進行する人なので必ずしも「オーガナイザー」とは限りません。 「オーガナイザー」が「ホスト」を務める場合もありますが、「ホスト」はスポットで雇われたフリーアナウンサーの可能性もあります。 会の進行や取りまとめをする「ホスト」の日本語は「座長」になります。 「座長」には「演芸の一座の長」以外にもこの意味があることを覚えておきましょう。 「座長」は元々「chairman」の訳語です。
「コーディネーター」と「オーガナイザー」はほぼ同義とみてよいでしょう。 「コーディネーター」は一口で言ってしまえば「調整役」です。 物事が円滑に進むように全体の進行や調整を担当する人です。 会社のプロジェクトやイベントに対して使うことができます。 「ファッション・コーディネーター」「インテリア・コーディネーター」などと使うことが多いです。
イベントなどを取り仕切る「オーガナイザー」という言葉の類語には「プロディーサー」もあります。 「プロディーサー」も意味が広く業界によって使い方が違うのですが、イベントやプロジェクトの企画者という意味で使うことがあります。 この場合の「オーガナイザー」と「プロディーサー」の違いですが、「オーガナイザー」が最高責任者にあたり、「プロディーサー」はその部下にあたります。 イベントにおける「オーガナイザー」は資金を提供しているだけで、細かい物事は「プロディーサー」が座組んでいる場合もあるでしょう。
「ディレクター」という言葉も「プロディーサー」同様、会社によって使い方が様々です。 同じ組織の中で「プロディーサー」と「ディレクター」がある場合、ほとんど「プロディーサー」の方が立場が上です。 「ディレクター」は「現場の統括をする人」というニュアンスです。「ディレクター」の語源である「ディレクション」は「指示」という意味で、現場おいて指示を出す人です。 なので、ディレクター<プロディーサー<オーガナイザー の順番で立場が上になります。
「プロモーター」は「オーガナイザー」はほぼ同義です。 ただし、「オーガナイザー」より「プロモーター」の方が使われる範囲が狭く、興行(イベント)に使用が限定されます。 興行における発起人、企画者、人材のアテンド調整をする人を「プロモーター」といいます。 また「プロモーター」は語源が「プロモーション」であることからわかるように、「宣伝する人」でもあります。 「オーガナイザー」は必ずしも宣伝やマーケティングには従事しません。
「プランナー」は文字通り「企画者」を意味します。 「プランナー」はあくまでもイベントやプロジェクトを企画するのがメインの仕事ですが、「オーガナイザー」は企画だけではなく資金提供や人材集めなどの仕事も含みます。 「オーガナイザー」自身が「プランナー」である場合もありますが、「プランナー」より「オーガナイザー」の方が立場は上で「オーガナイザー」が「プランナー」を雇う場合もあります。
本記事の冒頭でもお伝えしましたが、カタカナ語「オーガナイザー」の語源は英語「organizer」です。 英語「organizer」の意味は、カタカナ語「オーガナイザー」と同じです。 主な意味は、
です。
I don't think there are enough seats, so I will tell the organizer.
席が十分にないので、主催者に伝えます。
This company needs someone who is a good organizer.
この会社には注意深く計画ができる有能な社員が必要だ。
いかがでしたか? 「オーガナイザー」の意味と使い方はご理解できましたでしょうか? 「オーガナイザー」には様々な使い方がありますが、基本の意味は「まとめる人、まとめる物」です。 この意味さえ把握しておけば、混乱することはありません。