「ナイーブ」の正しい意味を理解していますか?「ナイーブ」は実は和製英語で、英語「naive」とは意味が異なります。日英の「ナイーブ」の正しい使い方を解説していきます。また「ナーバス」との違いや類語も紹介します。
「ナイーブ(ナイーヴ)」の意味は「無垢で飾り気がない、繊細で傷つきやすい、物事に感じやすい」などになります。 日本語での言い換え(同義語)には
などがあります。 このように「ナイーブ」は主に人の性格を表す言葉です。 カタカナ語の「ナイーブ」にはネガティブな意味合いはなく、人生経験が浅く周りの影響を受けやすい人の性質を好意的に示すために使われます。 傷つきやすいことが必ずしもよいことではありませんが、「汚れていない」という点ではポジティブに捉えられる性格といえるでしょう。
「ナイーブ」の語源は英語「naive」です。 英語「naive」は「世間知らずの、騙されやすい」という意味で、ネガティブな意味で使います。 英語「naive」と日本語「ナイーブ」はどちらも ”人生経験が浅い” という原義は共有してますが、使い方が全く異なるので注意してください。 外国人に対して英語で「naive」と言ってしまうと、相手の性格を批判してることになりますので、気をつけましょう。
She is such a naive woman.
彼女はとても世間知らずの女だ。
It's naive of you to believe what he says.
彼の言うことを信じるなんて君も単純だね。
英語「naive」の語源はフランス語「naïve」です。 「naïve」は「naif」の女性名詞化した単語です。 このフランス語の「naive」には、「純粋な、素直な」という意味と「世間知らずの、バカ正直な」というネガティブの意味の両方があります。 語源であるフランス語の否定的な意味合いを受け継いだのが英語で、肯定的な意味合いを受け継いだのが日本語ということになります。
「ナイーブ」は人の性格に対してよく使われています。 「ナイーブな人」「ナイーブな一面」などと用いられ、「繊細で傷付きやすい人」を指します。 例えば何かミスをして注意された時に、ひどく落ち込んだり反省したりするような人のことです。 また、からかわれた時などにすぐに傷付いてしまう人のことをナイーブと言います。 何事も素直に受け止めすぎてしまう性格であるということです。 いい意味で「繊細、純粋」であると使われますが、あまりに傷つきやすすぎて「ナイーブ」だとマイナスな意味で使う場合もあります。 相手に「ナイーブ」だと使う場合には気をつけましょう。 また話の内容や問題などについて使われます。 主に、他の人に聞かれては困るような話や気軽には話せないようなことを「ナイーブな話題」などと使います。 その他詳しくは例文を参考にしてください。
「ナイーブな人には、あまり冗談を言い過ぎないほうが良い」 「彼はああ見えてナイーブな一面がある」 「さすがにそれで泣くなんて、もういい年なのにナイーブ過ぎるよ」 「ここで話すにはナイーブな話題なので、後で電話します」
「ナイーブな人」「ナイーブな性格」以外にも「ナイーブな一面がある」「ナイーブなところがある」などとも使うことができます。 「彼女はナイーブだ」だと断定するよりも「彼女にはナイーブな一面がある」といった方が間接的で柔らかい印象を受けますが、意味は同じです。
「ナイーブな年頃」と表現することもあります。 「ナイーブな年頃」とは「多感な時期」つまり「思春期」のことを指しています。
「ナイーブな問題」「ナイーブな話題」「ナイーブな案件」という表現もあります。 このように「ナイーブ」は人の性格以外にも、物事に対して使うこともあります。 「ナイーブな問題」とは、「取り扱いに注意が必要な問題」という意味です。 例えば、人の外見や宗教に関することなどは「ナイーブな問題」ということができるでしょう。 「ナイーブな案件」はビジネスシーンで使う言葉で、こちらも「取り扱いに注意が必要な案件」という意味になります。
「ナイーブになる」「ナイーブな気持ち」という表現は間違いですので注意してください。 「ナイーブ」というのは人の性格・性質を表現する言葉です。 成長の段階でナイーブでなくなることはあっても、ある日突然ナイーブになったり、ナイーブな気持ちを抱いたりはしません。 「ナイーブ」は一時的な心的状態には使えないことを覚えておきましょう。 「ナイーブになる」という表現は、「ナイーブ」という言葉を「ナーバス」と混同しているのが原因だと思われます。
「ナイーブ」と「ナーバス」とはどことなく似ている言葉ですが、意味が全く違います。 「ナーバス」の意味は「神経質、神経過敏なさま、緊張状態であるさま」とです。 「ナーバス」は人格を表す言葉ではなく、一時的に神経質になってしまう気持ち・心理状態を表します。 「ナイーブ」とは違い、「ナーバス」にはマイナスなニュアンスが付きまといます。 語源は英語「nervous」で、意味は「神経質」で、カタカナ語と同じです。
例文
「センシティブ」の意味は「(人が)感じやすいさま」「(物事が)慎重に扱われるべきであるさま」で、「ナイーブ」の同義語に位置づけられます。 「センシティブ」も「ナイーブ」と同じく、人に対しても物事に対しても使うことができます。 「センシティブ」の語源は英語「sensitive」で、同じ意味で使います。
例文
「デリケート」の意味も「繊細で感じやすいさま」「微妙で扱いが難しいさま」の2つの意味があり、「ナイーブ」「センシティブ」の同義語にあたります。 「デリケート」は「敏感な」という意味で肌などに対しても使います。 「デリケートゾーン」という言葉は、「デリケート」独特の熟語で、「ナイーブゾーン」「センシティブゾーン」とは置き換え不可です。 また「デリケートゾーン」は和製英語です。英語では「delicate zone」とは言わず、「intimate part」と言います。 「デリケート」と似ている言葉に「デリカシー」があります。「デリカシー」は「デリケート」の派生語で、日本語では「心配りなどの繊細さ」という意味でほぼ同じです。 しかし英語「delicacy」は「珍味」という意味なので、これまた注意が必要です。
例文
「イノセント」の意味は「純粋なさま、無邪気なさま」という意味で、「ナイーブ」に意味が非常に近いです。 「イノセント」は人に対して直接使うよりも、人の動作や心に対して使うことが多いです。 「イノセント」の語源である英語「innocent」は、「無罪の、潔白の」というのが基本的な意味です。そこから転じて「無邪気な」という意味も英語にもあります。 「無罪」は「not guilty」と表現します
例文
「ピュア」も「純粋なさま」を意味します。「ナイーブ」「イノセント」などと意味が非常に近いです。 人の性格に対して使います。 混じりけのない色に対して使うこともできます。
例文
芸術において「ナイーブ・アート」というものがありました。 素朴派とも言われる、19世紀から20世紀にかけて存在した絵画のいち傾向のことです。 「ナイーブ・アート」は、正式に美術の教育を受けたことがない作家が独学で制作した作品のことで、素朴さや独創性があると言われています。 ナイーブ・アートの特徴は、「明るい色彩」「具象的で緻密な描写」「空間表現の平坦さ」などがあります。
Kracie(クラシエ)のボディーソープやシャンプー、洗顔フォームなどの出ているシリーズに「naive(ナイーブ)」があります。 100%植物性で"家族みんなの肌を健やかに"というコンセプトが、カタカナ語の「ナイーブ」がもつ「繊細・無垢・純粋」という意味にフィットしていますよね。 和製英語の「ナイーブ」というネーミングはいかにも日本企業らしいですね。
医療用語の「ナイーブ」は、「未経験、未投入」という意味で使います。 「治療未経験者(Treatment Naive Individual)」「ナイーブT細胞」などと使われます。
プログラミング用語「ナイーブ」は「単純」という意味になります。 「単純ベイズ分類器(Naive Bayes classifier)」という単語で登場します。
「ナイーブ」の対義語には下記のような単語あります。
などなど。 「大胆」「果敢」などは好意的な意味合いで使いますが、「無神経」「鈍感」などは否定的な意味で使います。 反対語のなかでもそれぞれニュアンスが異なります。
上記でも触れたように、日本語「ナイーブ」と英語「naive」は意味が異なりますので注意しましょう。 日本語の「ナイーブ」に意味が近い英語は、
などとなります。
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「ナイーブ」について理解できたでしょうか? ✓意味は「繊細なこと」「純粋で傷つきやすいこと」 ✓主に人の性格に対して使う ✓類語は「デリケート」「純朴」