「ノスタルジー」の意味は「懐かしむ気持ち」です。「ノスタルジーな○○」など耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は「ノスタルジー」について解説します。ノスタルジーの意味や使い方、派生語や類語を紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ノスタルジー」の意味は「懐かしむ気持ち」で、
の二種類の意味があります。 例えば留学中などに、離れた故郷を懐かしく思う気持ちをノスタルジーといいます。 また、「あの頃は楽しかったな」と過去を思い出し切なくなったりする気持ちです。
「ノスタルジー」の語源は英語ではなくフランスの「nostalgie」です。 仏語「nostalgie」の意味は、上記で解説した「ノスタルジー」と同じです。 カタカナ語「ノスタルジー」はフランス語の意味をそのまま引き継いだものです。
「ノスタルジー」と非常に似た言葉に「ノスタルジア」があります。 「ノスタルジー」と「ノスタルジア」の違いは、フランス語か英語かの違いです。 「ノスタルジア」の英語スペルは「nostalgia」です。 辞書では基本的に「ノスタルジア」で統一され、解説されています。 日本語としても「ノスタルジー」より「ノスタルジア」の方が使用頻度が多いです。 特別な理由がない限り、「ノスタルジア」を使った方がよいでしょう。
「ノスタルジック」は「nostalgic」という英語をカタカナにしたものです。 「nostalgic」は「nostalgia」の形容詞形です。 「懐かしい」「郷愁に満ちた」「懐旧の念にかられる」という意味で、意味は「ノスタルジー」「ノスタルジア」と同じです。 日本語でも形容詞的に「ノスタルジックな〜」と使うことがあります。
「ノスタルジー」は、「ノスタルジーを感じる/覚える」が定型句です。 地元を離れている人が、故郷を思い出し「懐かしい」と思ったときや、過去を思いだして懐かしい気持ちになっていることを言い表わします。 「思い出に浸る」と同じように「ノスタルジーに浸る」と言い表すこともできます。 「ノスタルジーに浸る」は、思い出の中に気持ちをすっぽりと置くという意味です。 また、
という言い回しで使用することもあります。 「ノスタルジーな気持ち」は、過去を思い出し切ない気持ちになっていることを言い表わします。
例文
「ノスタルジー」は、実際にノスタルジーな気持ちになっていなくてもノスタルジーな雰囲気があるデザインや風景に対しても使うこともできます。 例えばレトロな家具が多く置いてあるお店の雰囲気や、田舎の風景が描かれた絵画などを
といいます。
「ノスタルジー」は、元々は故郷を恋しく思いすぎるあまり抑うつ状態になってしまったり、食欲不振を招いてしまううような病的な症状を言い表す医学用語でした。 つまり、「ノスタルジー」は故郷を懐かしむ気持ちを言い表す言葉であり、本来は「過去を思い出し懐かしむ」という意味ではなかったのです。 現代では「故郷を懐かしむ」という意味よりも、圧倒的に「過去を思い出し懐かしむ気持ち」を言い表すことが多いです。
「ノスタルジー映画」は、見ることで童心に戻ることができるなど、懐かしい気持ちに浸れる映画のことです。 例えば、洋画でいえば「スタンド・バイ・ミー」が有名です。 少年たちの冒険を描いたスタンド・バイ・ミーは、ストーリーはもちろん時代背景や空気感が見る人をノスタルジーな気持ちにさせます。
アニメにもノスタルジーな作品は沢山あります。 ノスタルジーアニメで有名なのはスタジオジブリの作品です。 「おもひでぽろぽろ」や「耳をすませば」、「となりのトトロ」など、昭和の時代や夏の出来事を描いたノスタルジーな気持ちになる作品が多いですよね。 「ノスタルジーアニメ」は「ノスタルジックアニメ」ともいわれます。
「ノスタルジーマーケティング」は、マーケティング戦略の一つです。 「ノスタルジーマーケティング」は、「懐かしい」と思うと購買意欲が増すという人間の心理を利用したマーケティングです。 例えば、昔販売されていた商品を「復刻版」として復活させたり、昭和に販売されていたパッケージデザインで販売するという方法です。 「懐かしい〜!」と、ついつい手にとって購入するという心理を利用しているのです。
上述したノスタルジーマーケティングによって、「なつかしい」という気持ちから商品を購入することを「ノスタルジー効果」といいます。 「子供の頃好きだった味を、もう一度味わいたい」など、懐かしいと思うことで購買意欲が増すのです。 ノスタルジー消費は、40代以降に起こりやすいといわれています。 定年を迎え、子供が巣立ったあとに昔趣味として楽しんでいたものに再び興味をもち、当時よりも何十倍とお金をかけるようなこともあります。
「昭和ノスタルジー」は、昭和の時代の社会や分化を懐かしむ風潮のことをいいます。 2005年に公開された、昭和の時代を描いた映画「ALWAYS 三丁目の夕日」をきっかけに、昭和を実際に過ごした人はもちろん、昭和の時代を知らない若者達も「何だかよくわからないけど、懐かしい気持ちになる」ということから、昭和の魅力にいっきに惹かれるようになりました。 昭和ノスタルジーの影響で、昭和の雰囲気を出している居酒屋などが増えました。
ノスタルジーインテリアは、昔を思い出すような気分になるインテリアのことをいいます。 昭和の頃に流行っていたデザインのものや、グッズをおいてノスタルジーな雰囲気を出しているインテリアが人気です。 要所要所に懐かしさを感じさせ、それでいて古臭さを感じないというのがノスタルジーインテリアのポイントです。
「郷愁(きょうしゅう)」「望郷(ぼうきょう)」は、「ふるさとを懐かしく思う気持ち」です。 外国など遠い土地にあって故郷をなつかしく思うことを「郷愁(きょうしゅう)」「望郷(ぼうきょう)といいます。 「ホームシック」は「故郷とは離れた地にいて、故郷や家庭が恋しくてたまらなくなってしまうこと」です。 「懐郷病」ともいいます。
「懐古(かいこ)」「追憶(ついおく)」「追蹤(ついしょう)」「追想(ついそう)」の意味は、昔のことをしのび、懐かしく思うことです。 「回想」の意味は「過ぎ去ったことを思い出すこと」です。 したがって、「ノスタルジー」の類語であるといえます。 ただし「懐古」「追憶」「追蹤」「追想」「回想」には、「離れたふるさとを懐かしむ気持ち」という意味はありません。 「懐古・追憶・追蹤・追想・回想」の類語に「回顧」があります。 「回顧(かいこ)」の意味は、「過去の出来事をあれこれ思い出すこと」です。 過去のことを思い返し、昔のことに考えを向けることを「回顧」といいます。 「回顧」は客観的に過去の事柄を振り返ることを言い表すときに使用する言葉なので、「ノスタルジー」とは意味合いが異なります。
「古めかしい雰囲気・背景」という意味での類語には、「レトロ」「ビンテージ」「クラシック」「アルカイック」があります。 「レトロ」は、「復古的であること。懐古的。」です。 「レトロ」は「古めかしさがあり、懐かしさを感じさせるもの」を言い表す言葉で、「レトロなデザイン」「レトロな雰囲気」という使い方をします。 「ビンデージ」の意味は「由緒ある年代に作られたもの」「年代物」です。 作られた年代が古く、価値の高いものを「ビンテージ」といいます。 「クラシック」の意味は「古典的な」です。 伝統的で、古風な様子を言い表すときに使用されます。 「アルカイック」の意味は「古風でつたないさま」です。 古式・古風であることを「アルカイック」と言い表すことができます。
「ノスタルジー」の広義での類語には「エモい」「センチメンタル」「メランコリック(メランコリー)」などもあります。 「エモい」は「感情が強く動かされる」という意味の若者言葉で、「感情」を意味する英語「emotion」が由来です。 「センチメンタル」は「感傷的」という意味です。 「メランコリック」は「憂鬱」という意味です。 これらの語には「懐かしい」という意味はありませんが、懐かしいと思うことから生まれる感情を表現したカタカナ語です。