「過渡期」とは「移りかわりの途中の時期」を意味します。物事の移りかわりの最中なので、安定していません。「転換期」「変革期」「変遷期」「端境期」などが類語になります。
「過渡期」の読み方は「かとき」です。 「かどき」と読むこともありますが、主に「かとき」と読まれています。
「過渡期」の意味は「古いものから新しいものに移り変わる時期」です。 物事が移り変わっていく最中のことを表し、それによって物事が確立されないことで混乱や動揺をしている時期であることを表します。 そのため「新しくなる」といったポジティブの意味では使われません。
「過渡」にはもう1つ意味があります。 「過渡」を「かわたし」と読むと「正当な金額より多く渡すこと」といった意味になります。 「渡し過ぎ」であることを表します。 また、「過渡」は漢文の文法用語でもあります。 これは上文を受け、下文を始めるのに用いる文つがいとなる言葉となります。
「過渡期」は企業についてよく使われています。 特に、会社の成長のために様々なことを変化させたり一から考え直したりする時に使います。 主な言い回しは
となります。 「過渡期を迎える」は「変化する時期がやってきた」「変わらなければいけない」といった意味を含みます。 これは時代の流れによる場合でもし、事前に会社の変革のために準備をしてその時期を待っていた場合にも使うことが出来ます。 「過渡期が終わる」は変化をするにあたって動揺したり混乱したりする時期が終わることです。 要するに「新しいものに移り変わった」「新しい体制が整った」ことを表します。
さらに「過渡期」はビジネスシーンだけでなく、歴史や国家の体制が変化する時にも使います。 日本の歴史で言うと、江戸時代から明治時代へと移り変わるのは、まさに「過渡期」でしょう。 そして過渡期が終わり、明治維新が起きました。 またその後の昭和から平成の時代では、戦後から高度成長期までの間も「過渡期」となります。
IT分野では、システムやデバイス、開発環境などのプラットフォームが古から新へ移行する期間のことを「過渡期」といいます。 IT界ではスマートフォンやタブレットの登場によって大きな過渡期を迎えました。 元々はインターネットサイトを閲覧するのはほとんどがパソコンでしたが、スマホとタブレットが普及したことで使われるブラウザも変わり、そのためのプラットフォームも新しいものへと変化していきました。それがHTML4からHTML5への過渡期です。 パソコンで使われているブラウザと、スマホやタブレットで使われているブラウザでアクセスするとどのように表示されるのかをしっかりと考え、サイトを制作していかなければなりません。そのためHTML5を駆使できるWeb制作者の需要が高まりました。 また、単にITベンチャー企業が大企業へ変わるフェーズのことを「過渡期」ということもあります。
また人生全般や恋愛、キャリアなどに対して使う場合は、目標達成までの間のくすぶっている微妙な時期を表します。 人生の目標に向かって頑張っている最中に、なかなか思うようにうまくいかない時期ってありますよね。 例えば、仕事でキャリアアップしたいのに同僚が褒められてばかりで自分はなかなかうまくいかず、結婚もしたいと考えているのに相手も見つからない…20代後半から30代前半くらいまでによくあるのが「人生の過渡期」です。 次のステージに行く前のうまくいかないモヤモヤとする時期のことを表します。 恋愛でも、付き合いたいと思っている人との関係がなかなか進まずにどうしたらいいか分からなくなる時ってありますよね。また恋人とそろそろ結婚したいと思っているのにプロポーズしてもらえない、仕事がうまくいかずにプロポーズ出来ないという微妙な時期がありますよね。 それらが「恋愛の過渡期」となります。
髪を伸ばしている最中も「過渡期」と使うことがあります。 理想のヘアスタイルに向かって髪を伸ばしている時って「はやく伸びないかな」と思う時期がありますよね。 一気に理想の髪の長さになることはないため、それまでの時期を「過渡期」と言います。
「過渡期」は子供の成長に対しても使うことが出来ます。 特に2〜3歳くらいは、どんどん話せるようになったり長い時間歩けるようになります。 毎日一緒に過ごしている親でも「いつの間にこんなことまで出来るようになったの?」と驚くことも多いようです。 この時期はどんどんと成長していく子供の過渡期と言ってもいいでしょう。 また、大人の階段をのぼっていく思春期も人間関係や将来など様々なことを考え、人生に悩むことが多い時期です。 そのためこの時期も「過渡期」と言えます。
経済用語には「過渡期社会」というものがあります。 これはドイツの哲学者カール・マルクスのよる思想のひとつ「マルクス主義理論」における資本主義から共産主義への「革命的転化の時期」のことを指します。 共産主義社会を建設する過程の理論のことを「過渡期論」といいます。
「過渡期」は
などと言い換えることが出来ます。
「端境期」は「はざかいき」と読みます。 意味は「物事の入れ替えの時期」っです。 これは前年の産米である古米と入れ替えてその年の産米である新米が、市場に出回りはじめる前の頃のことを指す言葉です。 そこから、「物事の入れ替えの時期」を指すようになりました。
「成長期」は「せいちょうき」と読みます。 意味は「製品や事業が受け入れられはじめた頃」です。 業績をのばしはじめる段階が「成長期」となります。 「成長期」は目標に向かっていく時期であるため「過渡期」と類語となる部分があります。 「拡大期」は「かくだいき」と読みます。 意味は「組織や団体などが成長をする時期」です。 会社などをどんどん大きくしていく時期のことを表し、「拡大期」も目標に向かって事業拡大などをしていく時期であるため「過渡期」と類語となる部分があります。
「繁忙期」は「はんぼうき」と読みます。 意味は「客足が多く業務が忙しい時期」です。 接客業務ではなくても、仕事が忙しくなる時期のことを指して使います。 そのため「過渡期」と類語にはあたりません。
物事の始まりの時期に使われている言葉を紹介します。 「黎明期」は「れいめいき」と読みます。 意味は「新しい文化・時代・物事などが始まろうとする時期」です。 「草創期」は「そうそうき」と読みます。 意味は「物事の始まりの時期、初期」です。 「萌芽期」は「ほうがき」と読みます。 意味は「物事の始まりの時期」です。 植物が芽を出す時期を意味することから、そのように使われています。 「揺籃期」は「ようらんき」と読みます。 意味は「物事の発展する初期の段階であること」です。 ゆりかごに入ってる時期を指すことから、そのように使われています。
次に「一番盛り上がっている時期」を表す言葉を紹介します。 「最盛期」は「さいせいき」と読みます。 意味は「勢いが1番ある時期」です。 「全盛期」は「ぜんせいき」と読みます。 意味は「人気や実力などがもっとも勢いのある時期」です。 「絶頂期」は「ぜっちょうき」と読みます。 意味は「物事が最高の状態となる時期」です。
「安定期」は「あんていき」と読みます。 意味は「物事が落ち着いた状態にある期間」です。 「過渡期」そして「最盛期」を経て、状況などが落ち着く時期を表します。
「衰退期」は「すいたいき」と読みます。 意味は「それまで栄えていたものが衰えていく時期のこと」です。 「衰退期」も「過渡期」と同じく変化の時期ではあるが、「過渡期」が旧→新であるのに対して、「衰退期」は新→旧なので対義語にあたります。
「過渡期」の英語は、
などになります。 「period」より比較的長い「時期」は「age」です。 「an age of transition」と表現することもできます。
We are currently in a transitional period, but if things go on as they are, we will fall back even further.
現在は過渡期だが、物事がこのまま進めば、我々はもっと後退するだろう。
「過渡期」は「古いものから新しいものへ移り変わる時期」を意味します。 「歴史の過渡期」などと使います。 「転換期」「変革期」「変遷期」「端境期」などが類語になります。