「たたき台」とは「よりよいものを作るための最初の案」を意味する言葉です。熱い金属や鉄などを叩く際に使う台を「たたき台」といいます。鉄は何度も叩いて形を変えることから、この意味が生まれました。それでは「たたき台」の具体的な書き方について解説していきます。
「たたき台」の意味は「よりよいものを作るための最初に出される案」です。 主に企画書など正式な書類を作成する前の段階で作られる概要のことを「たたき台」と呼びます。 「たたき台」は取り急ぎ思いつきのアイディアや考えを書面としてまとめたものを指します。 「たたき台」は批判や検討などを加えることで、よりよいものを作り上げることが前提となっています。
「たたき台」は「敲き台」と書くこともありますが、一般的には「叩き台」を使います。 「敲く」を使った熟語に「推敲」があり意味は「文章を何度も練り直すこと」となります。 よって「敲き台」とする方が正しいとする意見もあるが、一般的ではありません。 「叩」や「敲」には「手や手に持った固い物で体や物に強い衝撃を与えること」という意味がありますが、それ以外に「相手の考えを聞いたり物事の状態を調べたりする」という意味があり、「たたき台」の場合の「たたき」は後者の意味が用いられています。 また「台」には「台座」や「踏み台」のように「物や人を乗せるもの」という意味がありますが、「基礎・もとになるもの」という意味もあります。 「たたき台」の場合の「台」は後者の意味が用いられています。 なお「敲」と「叩」はいずれも常用漢字ではないので、新聞などでは「たたき台」とひらがなで表記されます。
「たたき台」はビジネスの企画や提案などのシーンでよく使われれる言葉です。 企画書や提案書などを作成する前のファーストステップとして「たたき台」があります。 「たたき台」は「たたき台を作る」「たたき台にのせる」「たたき台にする」「たたき台をもとに〜」などの形で使います。 「たたき台を作る」を簡略化し「たたきを作る」と言うこともあります。 また「たたき台」は自分の案を謙遜して言うときに「私の企画書はたたき台としてお考えください」などとして使うこともあります。
例文
「たたき台」の類語には「素案」「原案」「試案」などがあります。 「素案」の意味は「原案より前のごく大まかな考え」です。 「原案」の意味は「討論や検討を加えるための最初の案」です。 「試案」の意味は「試しに作ってみた計画や意見」です。 「たたき台」はこれらの言葉に言い換えることが可能です。 また「たたき台」の類語には他にも
などがあります。
「たたき台」の語源は鍛冶屋が使う道具が由来と言われています。 熱い金属や鉄などを叩く際に使う台を「たたき台」といいます。 「アンビル」や「鉄床」「金床」ということもあります。 「金属や鉄を何度も叩いて形を整える」ことが転じて、「何度も議論を重ねることでより良いものにしていく」というニュアンスで使われるようになりました。
「たたき台」は英語で「draft proposal」などと表記します。 「draft」の意味は「下書き、草案」です。 「proposal」には「提案」という意味があります。 また「たたき台」は他に
などと表現することもできます。 work 「tentative」には「仮の、不確定な」という意味があります。 「rough」には「大まかな」という意味があります。 「working」は「働いている」ではなく、
Let's work out a plan based on his draft proposal.
彼のたたき台を基にして計画を練っていきましょう。
Are you making on a tentative plan ?
たたき台を作っていますか?
Please use what I just said as a staring point for discussion.
私が今述べたことをたたき台として議論を進めてください。
たたき台がビジネスにおいて必要な理由は、時間と労力を無駄にしないためです。 たたき台を作ること自体が時間と体力の無駄だと感じる人がいるかもしれません。 しかしたたき台をもとに様々な意見交換をし、形作っていくことが一番の近道になるのです。 仮にたたき台なしにぶっつけ本番で企画書を用意するとします。 意見や考えがまとまっていない状態で作ることになるため、作成過程で内容に相違やブレが生じる可能性が高いです。 そうなるとまた一から企画書を作り直すことになってしまい、結局時間や労力を無駄にしてしまうことになります。 多くのビジネスではスピードや効率が重視されるため、その期待に応えるためにもたたき台は欠かせないのです。
たたき台が必要な理由の二つ目は、意見や考えをまとめるためです。 どんな案でも最初は、誰かのとっさのひらめきであることがほとんどでしょう。 頭の中にあるただぼんやりとしたものを、たたき台を作ることによってより具体的なものにしていくのです。 例えば「○○したい!」と思いついた時、この段階ではその案に現実性や具体性がないことが多いです。 それを「なぜそう思ったのか」「それをやったら何を得られるのか」などと案を深めていくことでより良いものになっていきます。 ただ漠然としたアイデアではなく、考えを論理的にまとめる場としてたたき台が必要なのです。
上記でも少し触れましたが、たたき台があることによって最初の案よりももっと質や内容が良いものを作りあげることができます。 たたき台は大幅に手を加えることが前提とされていて、そのようなプロセスを経て案に磨きがかかります。 事前準備なしな企画よりも、何度も試行錯誤を重ねていく方が最終的によりよいものに仕上げることができます。
たたき台で最も重要なものが目的やコンセプトの設定です。 これらはたたき台や企画書などを作る上での軸となるものですので、必ず明確に示しましょう。
などを自問自答し、できるだけ鮮明なビジョンを持ちましょう。 内容が多少変わっても、目的やコンセプトは変わることはありませんし変えるべきではありません。 しっかりとした軸を定めておけば、よりスムーズな議論ができるでしょう。
目的やコンセプト、ゴールなどが明確になったら、次は案により具体性を持たせましょう。 最初は思いつきだったアイデアも具体性を持たせることで内容がリッチになります。 実際の企画とするために検討すべき項目の例は下記の通りです。
周りの人から何を聞かれても困らないよう、抜け漏れなく網羅性を持つことが重要です。
たたき台を作るにあたり、業績や研究結果などのデータが必要になる場合があります。 そのような場合は情報収集を行い、より案に説得性を持たせましょう。 最近はインターネットで様々な情報を手に入れることが可能になりました。 そのためたたき台に引用するデータの多くが簡単に手に入ります。 ただしインターネットに載っている全ての情報が正しいということはありませんので、情報を見極めるスキルが重要になります。 またインターネットだけでなく、社内の過去の書類や書籍などからも情報を集めることができます。 必要な情報を仕入れるにはどのような方法がベストかもしっかりと考慮しましょう。
たたき台を作る上での最後のステップは資料にまとめることです。 先程述べた目的やコンセプト、検討項目などをわかりやすく書面にすることがポイントです。 どんなにアイデアが良くても資料のまとめ方に問題がある場合は、実際に企画として実行されない可能性が高いです。 人を説得させるためには見やすく伝わりやすいたたき台を作ることが大事になります。 例えば文字を羅列させるだけでなくイラストや図を使ったり、データ版のたたき台であれば動画などを用いるのも良いでしょう。 第一印象はとても大切です。相手の印象に残るようなたたき台の作成を意識しましょう。
たたき台を作る上で最も重要なことが、仕上げるスピードです。 何度もご紹介しているように、たたき台には手直しが加わることが大前提です。 よって最初から完璧を目指す必要は全くございません。 たたき台の作成はスピード重視で行いましょう。 時間をかければかけるほど、内容に対する周囲の人の期待は増していきます。
たたき台とはいえ、実際に企画を通すためには周囲の人を説得させる必要があります。 そのためにあると良いのがこれまでの実績などのデータです。 一個人の意見だけでなく、確実な証拠を持って提示することで人の心は動きやすくなります。 例えば類似した企画の実績や、企画の実施で期待できる具体的な利益などを数値として提示してみましょう。
たたき台が完成したら、可能な限り多くの人に意見をもらうようにしましょう。 たくさんの意見があることで、より内容に磨きがかかり満足のいく内容に仕上げることが可能です。 例えばミーティングを設けてたたき台の内容をプレゼンしたり、同僚や上司などに直接意見を聞きに行ったりしましょう。 物の見方や考え方は人それぞれですから、盲点であった部分を明確にしてくれるはずです。 注意点としては、人に意見をもらう前にある程度の内容をまとめておくことです。 他人の貴重な時間を使うことになるため、相手に迷惑がかからないようにしっかりと準備をしましょう。
たたき台を作る上で最も重要なことが目的やコンセプト、ゴールの設定でしたね。 これらを明確にすることはもちろん大切なのですが、もっと大切なことがそれらをぶらさないことです。 たたき台に何度も手直しを加えることになっても、軸だけはぶらさないようにすることが重要です。 むしろこれらがぶれてしまったら内容にまとまりがなくなってしまい、実際の企画として採用されない確率が高くなってしまいます。 人から様々な意見を聞いたり修正をかけていく段階で、方向性がブレてしまうかもしれません。 しかしいかなる時も目的やコンセプトに沿った行動計画を練ることが大切です。
最初に出た案の完成度を高めるためには、手直しを頻繁に行うことが必要です。 議論をし手直しを加え提出する、といったステップを複数回重ねることでより完成度の高い案に仕上げることができるからです。 手直しを加えるたびにアイデアの具体性や実現性は増していきます。 可能な限りアイデアに関しての話し合いと手直しの場を多く設けましょう。
たたき台に対して良い意見をもらう時もあればそうでない場合もあります。 時には強い口調で批判や指摘をされることもあるでしょう。 そういう時落ち込んでしまう人は多いかもしれませんが、全く気にする必要はありません。 周囲の人は協力者であって敵ではありません。 厳しい意見も全てはよりよい企画を作るためのものです。 たたき台の案に対する批判はあっても、あなた自身の才能やスキルを批判しているわけではありません。 ですので協力してくれている仲間に感謝し、様々な意見を受け入れるように意識しましょう。
プレゼン資料などを作成するパワーポイントやKeynote、Googleスライドを使ってたたき台を作成することが可能です。 これらのツールは無料で使え、内容をわかりやすくかつ見やすくまとめることができます。 ツール内にある図形やテキスト入力、装飾などを活用しましょう。
文章作成ツールであるワードやPages、Googleドキュメントを使ってたたき台を作成することもできます。 こちらも無料で使用でき、主にたたき台を文字ベースで仕上げるのに適しています。 写真や図などの挿入も可能です。
表計算ソフトのエクセルやスプレッドシートを使ってたたき台を作成することも可能です。 グラフや表などを作成するのに適しています。 フォントの種類や文字の大きさ、図形の形・色などを活用することでわかりやすくまとめることができます。
クラウドサービスで有名なDropboxが提供しているサービスです。 Dropboxのユーザーであれば無料で使用できます。(Dropboxのユーザー登録は無料です。) Dropbox Paperではクラウド上でドキュメントの作成・保存・共有が可能です。 iOSとAndroid版のアプリも提供されているため、オフィス内外問わずいつでもアクセスが可能です。
作図ができるサービスです。クラウド上のサービスのため、いつでも保存や共有が可能です。 14日間の無料トライアルが設けてあります。それ以降は有料(600円/月)で使用できます。 フローチャートやマインドマップなど、たたき台に便利な図式を自由自在に作成することが可能です。 図式に慣れていない初心者にはテンプレートの利用を推奨します。
いかがでしたか? 「たたき台」についての理解は深まりましたでしょうか? 「たたき台」の意味は「よりよいものを作るための最初に出される案」です。 「たたき台」の類語には「素案」「原案」「試案」などがあります。 「たたき台」は英語で「draft proposal」「tentative plan」などと表現することができます。 たたき台は主に企画書などを作成する前の段階で使われることが多いです。 何度も手直しを加えていくことで、思いつきのアイデアにより具体性や現実性を持たせることができます。 手書きでも作成可能ですがアプリやソフトウェアなどのツールを使うことで、わかりやすいたたき台を作成することができます。