「特記事項(とっきじこう)」とは文字通り、「特別に記するべき事柄と項目」という意味の言葉です。わざわざ取り上げるほど重要だの意です。ビジネスシーンでの履歴書や報告書で「これだけは伝えておきたい」ことを述べる時に使います。読み手に注意してほしい点や補足的な情報を挙げる際にも使用されます。
「特記事項」は「とっきじこう」と読みます。 「特記事項」の意味は、「特別に書き記した項目」です。 「わざわざ取り上げてその重要さがはっきりわかるようにする」というニュアンスがあります。 「特記」の意味は「特別に書くこと」です。 「事項」の意味は「物事を構成している一つ一つの事柄・項目」です。また「箇条書きしたもの」という意味もあります。
「特記事項」はビジネスシーンで使うことが多いです。 メインではないが特別に注目すべき内容や伝えるべき内容などを書きます。 履歴書や報告書、契約書などに「特記事項」という欄が設けられています。 これらの書類の特記事項には、他の項目に当てはまらない内容や追記や説明が必要な内容などを書きます。 また日常生活においては、学校の願書や医療・介護の書類などで「特記事項」の欄が設けられています。
「特記事項」は英語で「special notes」と表現します。
などと表現することもあります。
「特記事項」と似た言葉に「備考(欄)」があります。 「備考(欄)」は見積書やインターネットショッピングなどの注文表などに設けられています。 「備考」とは「参考のために添えること、付記して本文の不足を補うこと」という意味があります。 「特記事項」と「備考」の違いは、「重要性の程度」です。 上記でご紹介したように、「特記事項」は「メインの内容ではないが重要なこと」というニュアンスがあります。 一方で「備考」は「メインの内容の補足であくまで参考程度な情報」といったニュアンスになります。
製品の取扱説明書や、サービス利用の案内書などに「注意事項」の欄があります。 「注意」には「意識を集中させて気をつけること、警戒すること」などの意味があります。 「特記事項」と「注意事項」の違いですが、特記事項の方が意味が広いです。 「注意事項」には製品やサービスを安全に使用するために注意すべき点がまとめられています。 例えば「火気厳禁」や「子供の手の届かない場所に保管する」などの内容です。 一方で特記事項には注意事項も含む特別に伝えるべき内容が書かれます。 例えば「持病のため薬服用中」「週○日勤務可能」などの内容です。 また「注意点」に似た言葉に「留意点」があります。 大きな違いは「注意」は「物事に対して神経を集中させ、それに対して気持ちを注ぎ用心する、警戒する」といったニュアンスがあることに対して、「留意」は何かに用心や警戒といった意味は含まれず、「物事を比較的長く心に留め置くこと」といったニュアンスがある点です。
「特筆事項」は「特記事項」の同義語にあたります。 読み方は「とくひつじこう」です。 「特筆」の意味は「特別に取り上げて書くこと」です。 「特記」とほぼ同じ意味になります。
「補足」は「補う」と「足す」から成る熟語です。 「補足事項」には、本文では述べることができなかった内容やすでに述べた内容に関して追加したい情報を記入します。 「特記事項」と「補足事項」の違いですが、「補足事項」はあくまで足りないものを補うというニュアンスを持ち、必ずしもそれが伝えるべきこととは限りません。
就職活動や転職活動で使用する履歴書や職務経歴書には特記事項欄が設けてあります。 種類によっては「通信欄」や「本人希望記入欄」となっているものもあります。 履歴書や職務経歴書の特記事項欄には、自己アピールや希望条件などを記入します。 主な内容は下記の通りです。
これらをしっかりと明記することで認識のズレを防ぐことが可能です。
記入例
業務報告書や日報などにも特記事項欄が設けられています。 また紙の書類ではなくメールで業務報告を行うこともあるため、メール内で特記事項欄を設けることもあります。 仕事に関する報告書や日報では、共有事項や業務の中の気付きなどを記入します。 例えば、
などです。 特筆すべきことがない場合でも、何かしらを記入する方が良い印象を与えることができます。
記入例
確定申告の用紙にも特記事項欄が設けてあります。 具体的には、所得税の申告書や贈与税の申告書に任意の特記事項欄があります。 例えば何かしらの理由で提出が遅れる際は「○○による申告・納付期限の延長を申請する」と記入します。 2020年は新型コロナウイルスにより確定申告の提出期限が延長されましたが、延長希望の際に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記入することが求められました。
認定調査票とは要介護状態区分を認定するために必要な書類です。 要介護者の心身の状態を調査員(市町村の職員やケアマネジャー)が調査し、介護レベルを審査するために使用します。 認定調査票には「概況調査」と「基本調査」があり、これらの調査項目に該当しない項目などを特記事項に記入します。
などに関して調査員が審査のために必要と判断した情報を特記事項に書きます。
記入例
レセプトとは、患者が保険診察をした際に医療機関が市町村や健康保険組合などの保険者に提出する診療報酬明細書のことです。 ドイツ語の「Rezept」が語源です。 レセプトの特記事項には主に患者の適用区分が書かれます。 「26区ア・27区イ・28区ウ・29区エ・30区オ」のような略号や略称が記載されています。
採用の際に雇用主と結ぶ契約書にも特記事項欄があります。 必ずしも設けられているわけではなく、企業によっては特記事項欄が無い場合もあります。 また特記事項ではなく「その他」と記されている契約書もあります。
記入例
自宅やオフィスなどを賃貸する際に交わす賃貸契約書や重要事項説明書にも特記事項があります。 賃貸契約書の特記事項には、
など重要な内容が書かれています。 契約書本文だけでなく、特記事項までしっかりと確認することが重要です。
記入例
大学や幼稚園、保育園の入学(入園)願書にも特記事項欄が設けてあります。 願書の種類によっては「備考」となっている場合もあります。 入園や入学にあたり、子供や自分のことについて学校に知っておいてほしい内容、配慮してほしい内容などを書きます。 例えば、
などを記載します。
記入例
上記でご紹介したように、特記事項には「取り上げて伝えたいこと」を書きます。 「特別」な内容ではありますが、メインの内容ではありません。 特記事項はあくまで補助的な役割を果たすものです。 重要なことは特記事項ではなく契約書や履歴書などの本文に記載したり、口頭で伝えたりします。 そのため特記事項に書くべきないようは、「メインではないが重要なこと」です。
特記事項を書く際は、短文でわかりやすい表現を意識しましょう。 あくまで特記事項は補助的な役割を果たすものですし、長文や曖昧な表現を使うと相手に伝わりにくくなってしまいます。 履歴書や願書などで自己アピールをする際は、別途設けてある自己アピール欄や志望動機欄を使いましょう。
特記事項には自分の希望や要望を書くこと自体は良いのですが、あまりにも自己中心的な発言を行うのは好ましくありません。 例えば「電車通勤は嫌なので絶対に本社勤務でお願いします」や「卵が大嫌いなので毎日特別食を作ってください」などの要望です。 会社や学校はできるだけ要望に応じるよう動いてくれますが、もちろん対応不可なこともあります。 自分勝手な発言は相手に悪い印象を与えることになり、採用や入学ができなくなる可能性もあります。 特記事項に書く要望等はあくまで希望であって、全て望み通りになるというわけではありませんので注意しましょう。
ここまでで特記事項の書き方や記入例をご紹介しましたが、特に書くことがないという場合もあるでしょう。 その際は空欄にするのではなく、書くことがない旨を記載しましょう。 空欄だと書き忘れたと誤解されたり、意欲が低い印象を与えたりします。 簡潔で良いので、
などと記載しましょう。
いかがでしたか? 今回は「特記事項」の意味と書き方をご紹介しました。 「特記事項」の意味は「特別に書き記す項目」です。読み方は「とっきじこう」です。 「特記事項」はビジネスシーンでよく使い、履歴書や報告書、契約書などに特記事項欄が設けてあります。 「特記事項」の類語には「特筆事項」「備考欄」などがあります。 「特記事項」は英語で「special notes」などと表現することができます。