「たかをくくる」の意味は「大したことはないと見くびる」です。漢字は「高を括る」と書きます。「高」は「程度」を表し、「括る」は「予測する」を意味し、「その程度だと予測すること」から生まれた慣用句です。漢字を「多寡」とするのは誤りです。
「たかをくくる」は「大したことはないと見くびる」という意味の慣用句です。 低く評価し、高が知れていると侮(あなど)ることに使います。 『羅生門』でも「下人は、始めからこの上にいる者は死人ばかりだと高を括っていた」というように「たかをくくる」という言葉が使われています。 「たかでくくる」ともいいます。 また「たかをしめる」「たかを積もる」という言い方も存在します。
「たか」を「鷹」としたり「多寡」とするのは誤りです。 正しくは「高を括る」です。 この場合の「高」は「程度が高い」「等級・順位が上がる」という意味があります。 例えば「高が知れている」の「高」も「たかをくくる」の「高」と同じです。 「高が知れている」は「程度が知られている」という意味になります。 「鷹」は鳥の種類で、「多寡」は「多いことと少ないこと」という意味なので、「鷹を括る」「多寡を括る」では意味が通じなくなってしまいます。
「高が知れている」という慣用句を上述しましたが、これと同じで「高」とは、「生産高」「残高」など数量や金額を見積もったときの数量の程度を表しています。 戦国時代では、その国のもつ力を「石高(こくだか)」といっていました。 「石高」は、お米の「収穫高」のことで、お米の生産量そのものが国の力として見られていて、戦いを挑むときに「だいだい相手の兵力はこのぐらいだろう」という予想に使われていたといわれています。 相手の国と戦うときに相手の石高を低く見積もって準備を怠り、戦に負けてしまったことを「高をくくった」と言いました。 この場合の「括る」とは、「物事のありさまをあらかじめはかる」「予想する」という意味です。 これが語源となって「大したことはないと見くびること」を「高を括る」と言い表すようになったと考えられています。
「たかをくくる」は、相手を見くびったり甘くみているような他人の態度を非難するときに使用されます。 日常生活でも、ビジネスシーンでも使用されます。 例えば、相手の実力が自分より下だと思い込んで「やれるもんならやってみろ」と言わんばかりの言動を繰り返しているような人に、「あんまり相手を見くびるような態度をしてはいけないよ」と注意する場面です。 恋愛でも使用することがあります。 例えば、恋人を自分より下に見て相手は絶対に自分から離れていかないだろうと自信をもつことを「高をくくる」と言い表すことができます。
例文
「たかをくくる」は、絶対に自分のほうが能力があると思ってみくびっていたら相手のほうが能力が高かったというような場面で自分の相手に対する態度を反省して使用することもできます。 自分の態度を反省する場面では、ある程度結果でたときに「自分の考えは甘かった」「相手をみくびっていた」と気がつくので「たかをくくっていた」と過去形で使用されることが多いです。 「たかをくくっていなければ...」という後悔の気持ちを言い表すことも可能です。
例文
「たかをくくる」は、他人に自分に対する態度にも使用されます。 相手が自分を能力の低い人間だとみくびっていることが感じられるときに、「たかをくくられた」「たかをくくられている」などと言い表します。
例文
「腹をくくる」は「はらをくくる」と読みます。 「腹をくくる」の意味は「覚悟をきめる」です。 この場合の「腹」は「心」や「気持ち」を意味しています。 「くくる」は、どんな事態になっても動揺しないように気持ちを固く引き締めるという意味で使用されています。 悪い結果になったとしても動揺しないように強い覚悟をもつことを言い表します。
「木で鼻をくくる」は「きではなをくくる」と読みます。 「木で鼻をくくる」の意味は「無愛想にふるまう」です。 冷淡に人をあしらうことをいいます。 「木で鼻をくくる」は「木で鼻をこくる」ともいいます。 元々は「こくる」で、「くくる」と誤用されていたのが慣用化されて「木で鼻をくくる」といわれるようになりました。 「こくる」は「こする」という意味です。 つまり「木で鼻をこくる」は、「木で鼻をこする」という意味になります。 ティッシュが存在しなかった時代では、鼻水が出たときに木で鼻をかんでいて、これが心地よくなかったために「木で鼻をこくる」=「不愉快な気持ちになる対応」という意味で使用されるようになりました。 この場合の「くくる」には「予想をする」や「一つにまとめて縛る」という意味はありません。
「高を括る」の「高」と「木で鼻を括る」の「鼻」を組み合わせた「鼻が高い」という慣用句もあります。 「鼻が高い」は「はながたかい」と読みます。 「鼻が高い」は、「得意げなさま」です。 素晴らしい能力をもっていたり、良い結果を出した相手を誇らしく思っていることを言い表す言葉です。 得意げになったときに顔を上に向けてふんぞり返るような態度をとったときに、鼻が上を向くことから「鼻が高い」が「誇らしい」という意味をもつようになったといわれています。
「高を食う」はよくある誤用です。 「高を食う」という慣用句は存在しません。 「くくる」を「くう」と聞き間違えたことから誤用されるようになったと考えられます。 「たかをくくる」が正しい慣用句なので注意しましょう。
「侮る」は「あなどる」と読みます。 「侮る」の意味は「相手の力などを軽く見ること」です。 相手が自分より劣っていると決め込んでみくびることをいいます。 「軽んじる」は「かろんじる」と読みます。 「軽んじる」は、サ変動詞「軽んずる」の上一段化した言葉です。 「軽んじる」の意味は「価値のあるものとしてみない」です。 軽く見てばかにすることをいいます。 また、惜しくない・大切なものではないと思うという意味でも使用されます。 「過小評価」は「かしょうひょうか」と読みます。 「過小評価」の意味は「実質より低く価値判断をすること」です。 「過小」は「小さすぎること」、「評価」は「価値をきめること」という意味です。
「たかをくくる」の四字熟語の言い換えはありません。
「買いかぶる」は「かいかぶる」と読みます。 「買いかぶる」は「実質以上に高く評価する」です。 能力などを度を越えて高く評価したり、信用することをいいます。 例えば、相手の能力を実質以上に高く評価することを「買いかぶりすぎる」などといいます。 「過大評価」は「かだいひょうか」と読みます。 「過大評価」の意味は「実質より高く価値判断すること」です。 「過大」は「大きすぎること」、「評価」は「価値を決めること」という意味があります。 「過大評価」は「買いかぶり」と同義です。 相手の能力を低く見てみくびることを言い表す「たかをくくる」の対義語であるといえます。
「たかをくくる」の英語表現には「make light of」があります。 「make light of」は「〜を軽んじる。〜を甘くみる」という意味があります。
She tried to make light of it, but she was actually worried.
彼女はたかをくくっているようだったが、実は心配してた。
「underestimate」という語もあります。 「〜を過小評価する」という意味です。
Don't underestimate your competitors, or you will lose.
たかをくくっていると負けるぞ。
「たかをくくる」は「大したことはないと見くびる」という意味の慣用句です。漢字は「高を括る」です。 「高」は分量を表し、「括る」は「予想する」の意味で、 このくらいの量(高さ)だろうと予想する(括る)ことから、「高を括る」と表現が生まれました。