「清濁併せ吞む」という言葉をご存知でしょうか。「清濁併せ吞む人物」「清濁併せ吞むように」などと言います。「清濁併せ吞む」は意気込みとして使われることもあるので、見聞きした覚えがある方も多いかもしれません。では、「清濁併せ吞む」とはどのような意味なのでしょうか。「清濁併せ吞む」と聞いても、なかなか意味をイメージすることは難しいですよね。また、意味だけでなく語源や類語なども知っておくと、より言葉の知識を深めることができます。そこで今回は「清濁併せ吞む」の意味や使い方、類語、類語、対義語について解説していきます。「清濁併せ吞む」を知って、正しく使えるようにしましょう!
「清濁併せ呑む」は<せいだくあわせのむ>と読みます。 「清濁合せ呑む」「清濁併せ飲む」と書くこともありますが、「清濁併せ吞む」と書くのが一般的です。 「清濁併せ吞む」の意味は「心に余裕があり、善悪の区別をすることなく来るがままに受け入れること」です。 良いことと悪いこと、良い人悪い人、綺麗なものと汚いものを公平にあるがまま迎えることを表します。 濁を避けて清ばかり好んでいるばかりではなく、時には濁を甘受することも必要であることです。 度量が大きいことのたとえです。
中国前漢時代の歴史書『史記』に「清濁併せ吞む」に関する記述があります。 「法令は治の具にして制治清濁の源に非ず」という一文が出てきます。これは「法令は統治のためのものであって、決して清濁を裁くものとは限らない」ということです。 「清濁」は「清いものと濁っているもの。善と悪。善人と悪人。賢者と愚者」を意味します。 「清濁併せ吞む」は「海は清流も濁流も、緩やかな波も激しい波も区別することなく全て受け入れること」から来ています。 清流は清らかな水、濁流は濁っている水を表します。普通なら濁っている水は避けてしまいがちですが、海はどんな水でも素直に受け入れることを表します。 「何でも飲み込む海」という意味から、転じて「どんな人やものでも受け入れる人」という意味で使うようになりました。
「清濁併せ吞む」を「邪悪な心と慈しみな心、両方を持っている人物」という意味で使うのは間違いです。 例えば、「彼女は清濁併せ吞む人で、ボランティア活動を行っている一方で詐欺も平気でしている」などと使うのは誤りとなります。 このように、「清濁併せ吞む」は「善悪の両面を持っている人」という意味では使えません。 「呑む」の部分を変えて「清濁併せ持つ」という形で使うこともできないので注意しましょう。 また、「清酒と濁酒、どちらも好きである」という意味で「清濁併せ吞む」が使われていることもありますがこれも間違いです。
寛容で、善悪を分け隔てることなく受け入れることを表す場合に「清濁併せ吞む」を使います。 「清濁併せ吞む」は自分の考えや価値観にこだわることなく、他人の考えも受け入れることを表す時に使うのが適します。 政治家・監督・リーダーなどと、人の上に立つ人物に対して用いることが多いです。例えば、「あの人は清濁併せ吞む心の持ち主」「清濁併せ吞む人物になりたい」などと言います。 目的を達成するためには、相手の意見や理不尽なことを受け入れることが必要となる場合があります。葛藤を乗り越えるため頑張らなくてはいけないと、意気込みとして「清濁併せ吞む」というたとえを使うことが多いです。 言い回しとしては、
などとなります。 「清濁併せ吞む」を略して、「清濁併呑(せいだくへいどん)」とすることもあります。
例文
来るもの拒まず (意味:自分のところに来る人を拒否することなく、誰でも受け入れること) 「来るもの拒まずと言うし、拒むことはやめよう」 寛容 (意味:どんな人でも咎めることなく受け入れること) 「寛容な態度をとるように意識する」 懐が深い (意味:器が大きいこと) 「彼女は懐が深くて頼りになる」 器が大きい (意味:細かいところを気にしないこと) 「器が大きい人物を目指したい」 度量が大きい (意味:心が広くて何でも受け入れること) 「度量が大きい人に憧れる」 大らか (意味:心がせこくなく余裕があるさま) 「彼女は大らかでとても優しい」 寛大 (意味:心が広く優しさがあること) 「寛大な処置を施す」 包容力のある (意味:相手を豊かに受け入れることができるさま) 「包容力のある人を尊敬する」 気前のいい (意味:惜しまずに事を進めるさま) 「彼の気前のよさは有名だ」 ウェルカメ (意味:歓迎すること) 「誰でもウェルカメだよ」 理解の広い (意味:人の気持ちや考えを受け入れるさま) 「あの人は理解が広いから承諾してくれるよ」
去る者は追わず (意味:去る人物は追わないこと) 「去る者は追わずと言うし、放っておこう」 器が小さい (意味:人を受け入れる心が小さいこと) 「彼は器が小さいから、気にすることないよ」 選り好み (意味:自分の好きなものだけ選ぶこと) 「選り好みしないで、公平に決めてね」 狭量(きょうりょう) (意味:他人を受け入れる心が小さいこと) 「狭量な人にはなりたくない」 偏狭(へんきょう) (意味:心が狭いこと) 「偏狭な人を相手にするのはとても大変」 チャチ (意味:安っぽくて荒いさま) 「何ともチャチな考えだ」 チンケ (意味:心が狭いこと) 「チンケなことに付き合っている暇はない」 偏屈 (意味:性格がねじ曲がっていること) 「偏屈な人はたくさんいるよ」 肝っ玉の小さい (意味:魂が小さいこと) 「こんなこともできないなんて肝っ玉が小さいね」 取るに足らない (意味:問題にもならないほどくだらないこと) 「取るに足りない事だから無視しよう」 勧善懲悪(かんぜんちょうあく) (意味:善い行いを進めて、悪い行いをこらしめること) 「勧善懲悪をテーマにした小説を読む」
「清濁併せ呑む」と同じ意味の英語のことわざはありませんので、和訳を考えるしかありません。 「清濁併せ呑む」の意味を英訳すると、
などになります。
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「清濁併せ吞む」について理解できたでしょうか? ✔︎「清濁併せ吞む」は「せいだくあわせのむ」と読む ✔︎「清濁併せ吞む」は「心に余裕があり、善悪の区別をすることなく来るがままに受け入れること」を意味 ✔︎「清濁併せ吞む」を「善悪の両面を持ち合わせている人物」という意味で使うのは間違い ✔︎「清濁併せ吞む」の類語には、「来るもの拒まず」「器が大きい」「包容力のある」などがある