「明けない夜はない(あけないよるはない)」の意味は「悪いことは続かない」です。今回は「明けない夜はない」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。語源や類語、対義語なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「明けない夜はない」は「あけないよるはない」と読みます。 「明けない夜はない」の意味は「悪いことは続かない」です。 夜が来れば必ず朝が来るように、今の状況がどんなに悪くても好転するときが来るということを言い表しています。 座右の銘としても人気のある言葉です。 「明けない夜はない」は、辞書に載っていることわざではありませんが広く知られています。
「明けない夜はない」の語源は、シェイクスピアの悲劇「マクベス」の第4幕第3場のラストの「マルカム」という登場人物が言った「The night is long that never finds the day」だと言われています。 「The night is long that never finds the day」は直訳が「明けない夜は長い夜だ」で、意訳したものが「明けない夜はない」です。 「意訳」とは、全体の意味を汲み取って訳したものです。 直訳とは異なる部分がありますが、誤訳ではありません。 また、英国の神学者であり歴史家でもある「トーマス・フラー」が著書『パレスチナのピスガの光景とその境界』で「It’s always darkest before the dawn.」と書いたことが語源であるとも言われています。 「It’s always darkest before the dawn.」は直訳で「夜明けの直前は常に最も長い」です。 「夜明けの直前は常に最も長い」は、「最も苦しいときこそ乗り越えれば、事態が好転する」ということを言い表しています。 どちらが語源となったかは定かではありません。 ちなみに「明けない夜はない」を座右の銘にしていたといわれているのが、戦後『新・平家物語』などの大作を執筆した小説家「吉川英治」です。 吉川英治は父の家業が失敗したために苦労の多い幼少時代を送り、「明けない夜はない」という言葉を胸に人気作家への道を切り開いていきました。
「明けない夜はない」は、何か落ち込んでしまうようなことがあったり大変な状況にいる人を励ますような場面で使用することができます。 「今は大変かもしれないけれど、いつかは必ず状況は好転するからね」という意味で「明けない夜はない」を使用します。 また、仕事がうまくいかないなど辛い状態にいる自分を奮い立たせるために使用することもできます。
「明けない夜はない」の例文
「夜の明けない朝はない」「朝の来ない夜はない」「止まない雨はない」は、「悪いことは続かない」「物事は必ず良い方へ変わる」という意味です。 「明けない夜はない」と同義であると言えます。 その他にも
などがあります。
「明けない夜はない」の対義語になる「いつまでも悪い状態が続く」という意味のある言葉はありません。 強いていうのであれば「状況が変わらない」という意味の「万古不易(ばんこふえき)」が対義語にあたると言えるでしょう。 「万古不易」は「いつまでも変わらない」という意味です。 「万古」は「遠い昔」「遠い昔から現在までの長い年月」、「不易」は「変わらないこと」という意味があります。 状況や状態がずっと変わらないことを言い表す四字熟語なので、「状態が好転する」という意味の「明けない夜はない」の対義語であるといえます。