「万能感(ばんのうかん)」の意味は「自分なら何でもできると思うこと」です。「万能感がある」など耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。今回は「万能感」の正しい意味と使い方を例文付きで解説します。万能感の類語や英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「万能感」は「ばんのうかん」と読みます。 「万能感」の意味は「自分なら何でもできると思うこと」です。 「万能」には
という2つの意味があります。 「万能感」の「万能」は二つ目の意味で使用されています。 「感」は「思いが起こること」「きもち」という意味です。 よって、「万能感」は「自分なら何でもできる」という感覚になることを言い表す言葉です。 「万能感」は、心理学用語でもあります。
「万能感」は、「幼児的万能感」「幼児的全能感」ともいいます。 「幼稚的全能感」とは、自分の限界を理解せず、あたかもなんでも思い通りに願いが叶うかのような幻想を抱いてしまうことです。 「幼児的全能感」は他者をコントロールできると思っていて相手を支配ようとするため、対等な人間関係が築けず、いじめの原因にもなります。 成長過程で自我に目覚め、自分の身の程を知るようになり「幼児的全能感」は消失するものですが、大人になっても幼稚全能感が消えず「自分は周りの人とは違う」と思い込んでいる人もいます。 「幼児的全能感」をもったまま大人になると精神病になってしまう可能性もあるので注意が必要です。
「自己肯定感」は「じここうていかん」と読みます。 「自己肯定感」の意味は「自分自身を認めることができる気持ち」です。 自分に対して前向きで自分のことを好きである気持ちのことをいいます。 自分の存在を認めることができている人は「自己肯定感が高い」、自分の存在を否定してしまうような人は「自己肯定感が低い」と言い表すことができます。 「万能感」は「自分なら何でもできる」という感覚になることなので、「自己肯定感」と似ていますが意味は異なります。
「完璧主義」は「かんぺきしゅぎ」と読みます。 「完璧主義」の意味は、「常に完璧であることを求める考え方や性格」です。 万全を期すために努力し、常に高い目標基準を設定して、不十分であることを一切許すことができないような人を言い表す言葉です。 「万能感」は「自分はなんでもできる」と思い込むことで、「完璧主義」は「完璧であることを目指している人」という点で意味が異なります。
「万能感」は「自分なら何でもできる」という感覚を持っている人を言い表すときに使用します。 よく使用される言い回しは、「万能感がある」「万能感が強い」などです。 ただし、「万能感」は褒め言葉ではありません。 「自分ならなんでもできる」と思いこんでいるということは、つまり「現実を見ることができていない」「身の程を知らない」といっているのと同じです。 ちなみに「万能」なら褒め言葉として使うことができます。 「あなたは万能感がある」などと本人に直接言うのは不適切なので注意しましょう。
例文
「万能感」は「全能感」と言い換えることが可能です。 「全能感」は「ぜんのうかん」と読みます。 「全能」は「何事でもなしうること。できないことのないこと」です。 「感」は「思いが起こること」「きもち」という意味です。 よって「全能感」は「自分が何でもできる」という感覚を言い表す言葉で、「万能感」と同義になります。
「万能」の類語には、「全知全能」「多芸多才」「オールマイティー」などがあります。 「全知全能」は「ぜんちぜんのう」と読みます。 「全知全能」の意味は「完全無欠の知恵と才能」です。 すべてを知り尽くし、どんなことでも行うことのできる能力のことをいいます。 「多芸多才」は「たげいたさい」と読みます。 「多芸多才」の意味は「多くの方面に豊かな才能や技術を持っていること」です。 「多芸」は「多くの技芸に達してること」、「多才」は「才能が豊かであること」という意味です。 「オールマイティー」の意味は「何でも完全にできること」です。 例えば、スポーツが全般的に得意ということを「スポーツにかけてはオールマイティだ」などと言い表すことができます。 「なんでもできる人」「万能な」という意味のカタカナ語には「オールラウンダー」もあります。
「万能感」の対義語は「無力感」「敗北感」「絶望感」です。 「無力感」は「むりょくかん」と読みます。 「無力感」の意味は「自分には力がないとわかったときの虚しい気持ち」です。 「敗北感」は「はいぼくかん」と読みます。 「敗北感」の意味は「他人と比べて自分の非力さを感じること」です。 「絶望感」は「ぜつぼうかん」と読みます。 「絶望感」の意味は「これ以上望みはないという感情」です。 希望が全くなくなったという気持ちを言い表す言葉です。 「万能感」は「自分には何でもできる」と思っていることを言い表す言葉なので、自分の非力さを感じたり、絶望した気持ちになることを言い表す「無力感」「敗北感」「絶望感」は対義語であるといえます。
「幼児的万能感」「幼児的全能感」の英語は「infantile omnipotence」です。 これは医学・心理学用語です。 「infantile」は「幼児のような」という意味の形容詞です。 「omnipotence」は「万能」という意味です。 「万能感がある」は「feel a sense of omnipotence」と表現します。