「御大」の読み方は「おんたい」で、意味は「集団のトップ」となります。親しみを込めた敬称となるため、よく知らない相手に使うと馴れ馴れしいと思われてしまう言葉です。「その道を極めた人」といった意味でも使われることがありますが、女性に対してはあまり用いられていません。今回はそんな「御大」について例文付きで詳しく解説していきます。類語や英語、さらには「御大」と似た言葉も紹介しますので是非参考にしてください。
「御大」の読み方は「おんたい」です。 「おんだい」「ごだい」は誤用となりますので、注意しましょう。 また「御」は色々な読み方がありますよね。 「お」「おん」「ご」「ぎょ」「み」があります。 そして「御大」のイントネーションは、2つあります。 1つは「温泉」と同じです。 もう1つは「賃貸」と同じです。 「温泉」と言うように、「御大」 「賃貸」と言うように、「御大」 と言ってみてください。
「御大」は「御大将」の略になっています。 「御大」の意味は、
です。 「大将」の意味は「全軍を指揮・統率する者、将官の最高位」「ひとつの集団のかしら」です。
「御」が付いているので敬称になります。 ただ、本来の「御大将」が略されているので、かしこまっているよりも親しみを込めた言葉となります。 そのため、親しくないどこかの集団のトップに対しては使えないので注意しましょう。 馴れ馴れしいと思われてしまいます。
例文
昔は家の主は男性だったため、「御大」は男性に対してのみ使用されていました。 今もその名残りで「御大」を女性に対して使う例はほとんど見られません。 しかし、現代では女性が家の主である場合もありますし、会社経営している女性社長も多いので、女性に対して「御大」を使っても誤用とは言えないでしょう。 一方で、その女性が男性的な響きがある「御大」と呼ばれたいかどうかは別問題なので、そこは注意が必要です。
「御大自ら」は、トップの人が自発的に行動することを指して使います。 ただ、御大が自分で行動したことを言うのではなく、わざわざ行動した状況や本来トップが行動するべき状況ではない時に使います。 「御大が○○した」ではなく「御大自ら○○した」を使うことで、行動した事実を大げさに表現することが出来ます。
例文
「御大」は「集団のトップ」から転じて「その道を極めた人」を尊敬して言う場合にも使用されます。 「御大」のこの使い方はインターネットが顕著です。 「山田太郎御大」などと人の名前の後に続けて使うこともあります。 「アニソン界の御大、山田太郎」と表現することもあります。 これは「巨匠」や「妙手」などと同じ使い方になります。
老害というニュアンスで、揶揄して「御大」を使う場合もあります。 これは主にインターネット上で使われている言葉で、周りに迷惑をかける高齢者を皮肉っています。 例えばずっと居座っている高齢の政治家(特に以前に悪事があった場合や、古いしきたりに固執したり自分の地位を守るために新しい改革などに反対をしている場合)に対して「御大、ご自愛のうえ、ご引退を」などと使われます。 また、蔑称として同音異義語「温帯」が使われる場合もあります。
「集団のトップ」という意味の「御大」の類語には、
などがあります。
また「御大」の類語として、その道の先駆者やその道を極めた人、優れている人を表す言葉を紹介します。
などがあります。
「御大」の対義語には何があるでしょうか? ちなみに「御小」という言葉はありません。 しかし、インターネット上では長州力さんを指して「御小」と使われることがあるそうです。 これはネットユーザーの中で付けられたあだ名となっています。 長州小力さんのことではありません。 本題に戻りますが、「御大」対義語は、
などでしょうか。 集団の中で何の役職がない者、まだその集団に属して間もない者を表します。
「御大」の英語に一番近い英語表現は「boss」です。 「boss」は単に上司という意味でも使われますが、組織にトップという意味でも使うことができます。
「boss」以外にも
などでも表現可能です。
「御大尽(おだいじん)」の意味は「財産を多く持っている人、お金持ち」です。 「御大尽」は「御大臣」と書く場合もありますが、意味は同じです。 本来「大尽」だけでも「お金持ち、富豪」の意味がありますが、「御」をつけることでより「大尽」であることを強調した表現になります。 また、お金持ちなだけでなく、お金周りのいい人のことをからかって「御大尽ね」などと使うことがあります。
天皇が皇位を継承したことを国内外に示す儀式に「即位の礼」があります。 そして即位の礼後に五穀豊穣を感謝と祈念をする「大嘗祭」が行われます。 この「即位の礼」と「大嘗祭」と一連の儀式を合わせて「御大典(ごたいてん)」「御大礼(ごたいれい)」と称されています。どちらも同じ意味になります。
「御大学(おんだいがく)」は「大学の尊敬表現」になります。 主に、相手の大学に対して敬った表現をする際に使います。 これは相手の会社を「御社」と称するのと同じです。 大学に連絡をする際や、文章の中で相手の大学の話をする際に用います。 また、「御大学」と同義語には「貴学」があります。
「御大層(ごたいそう)」は「他人の大げさな様子を嘲っていう言葉」です。 日常的に「大層」を使うことはよくありますよね。 「大層」は「程度や量がはなはだしい様子、たいへん、ひどい」といった意味で「大層人気がある」「大層な違い」などと使います。 それに「御」をつけてあえて敬語表現をすることで、相手の大げさな様子を皮肉を込めて「御大層」と使います。 相手を冷やかしながら「御大層な物を持っているね」「御大層にパーティーなんかしちゃって」などと言います。
「御大師(おだいし)」は弘法大師の敬称です。 弘法大師とは、空海のことです。 平安時代に真言宗を開き、高野山金剛峯寺を開いたお坊さんのことです。 「弘法大師」は天皇から贈られた尊称であり、弘法大師に対してさらに敬意を込めた呼び名が「御大師」となっています。 「お大師様」などと呼ばれることもあります。
「御大切(ごたいせつ)」は「貴人の重態」のことを指して使う言葉です。 地位や家柄の高い人が重態な時や、危険や災難が迫っている時に「御大切」と使います。 また、キリシタン用語では「愛」となります。
「御大葬(ごたいそう)」は「大葬」の尊敬語になります。 「大葬」は天皇、太皇太后、皇太后、皇后の葬儀のことを指します。 天皇などの葬儀をより敬って言う場合に「御大葬」を用います。 例えば「明治天皇御大葬の日に、」などと使われています。
「御大方(おだいほう)」は「貴族の母」の敬称となります。 また、貴族関係なく他人の母に対する敬称は「母堂(ぼどう)」となります。
「御大名(おだいみょう)」は「大名」の敬称となります。 また、「贅沢な人」「世間にうとい人」という意味もあります。 「御大名だから何も知らない」などと使います。
「大御所(おおごしょ)」の意味は「その道の第一人者として大きな勢力を持っている人」です。 大御所は現代でも使われていますよね。 さらに「隠退しているが、未だ陰で強い勢力を持っている人」を表しています。 元々は親王および摂家や大尽などの隠居所のことでしたが、それが転じてその人の尊称になりました。 江戸時代には徳川家康に大御所と用いられています。
いかがだったでしょうか? 「御大」について理解できていれば幸いです。 ✔意味は「集団のトップ」 ✔主に男性に使われ、「御大将」を略した親しみを込めた敬称 ✔類語は「リーダー」「キャプテン」など ✔対義語は「ぺーぺー」「新米」など 普段あまり聞かないかもしれませんが、しっかりと覚えておきましょう。