「惰性」という言葉をご存知でしょうか?「惰性」とは、「今までどおりにただなんとなく」というようなニュアンスのある言葉です、良い意味では使われない言葉です。今回は、「惰性」の意味や使い方を解説します。また、「慣性」と「習慣」の違いや、類語も紹介しますので、参考にしてみてください。
「惰性」は「だせい」と読みます。 「惰」は、音読みで「だ」と読みます。 「性」は音読みで「せい・しょう」、訓読みで「さが」と読みます。
「惰性」の意味は、「これまで続いてきた習慣・勢い」です。 「惰」には「怠ること・なまけること」という意味があり、「怠ける心」という意味の「惰気」などにも使われている漢字です。 また、「惰」には「そのままの勢いで転がり落ちる」という意味もあります。 「性」は、「さが」という意味があり、「さが」とは、「生まれつきの性質・性格」という意味の他に「いつもそうであること・習慣」という意味があります。 つまり「惰性」とは「努力することもなくこれまでの習慣や勢いのまま」というニュアンスになります。
「惰性的」とは、「惰性」に、接続語の「的」がついた言葉です。 「惰性的」は、「今までの習慣や癖のままに」という意味合いがあります。 わかりやすく言うと、「今までどおりに何となく」というニュアンスになります。 つまり、「惰性的に~する」というのは、「今まで通り何となく・新しく切りかえることもできずに~する」というような意味になります。
「惰性的」の例文 「惰性的な練習を繰り返していてもなんの成長もないだろう」 「関係は冷めきってしまい、惰性的な関係が続いた」 「惰性的な意見ばかりで、新製品の企画が全く進まない」
「惰性で~する」とは、「習慣的に続いている習慣を深く考えもせずに」というような意味合いがあります。 つまり、「ただなんとなく、だらだらと」というようなニュアンスです。 「惰性で~する」とは「だらだらと~をする」といったような意味です。
「惰性で〜する」の例文 「資格取得の為に努力してきたつもりだが、気が付けば惰性で勉強しているだけだった」 「裏切られ続けている友人にも関わらず惰性で関係をもち続けている」 「それはとても意味のない事であったが、惰性だけで働き続けた」
「惰性で生きる」は、「何の目的もなくただ、だらだらと生きる」という意味です。 「ぼんやりと日々を過ごす」というようなニュアンスです。 「~をする為に努力をしていることがある」、「~という目的がある」など特に意欲的に活動していることがないという状況のことをいい、ネガティブな言葉です。
「惰性で生きる」の例文 「30代を目前にして今まで惰性で生きてきたということに気が付いた」 「惰性で生きるより目標をもって生きるほうが生きがいを感じられるだろう」 「惰性で生きてきたつけがまわってきた」
「惰性に流される」は、「いつもの習慣のまま変わりなく」という意味合いがあります。 例えば、「毎朝同じ時間に起きて、同じ時間の同じ電車に出勤をする」というよな習慣を深く考えることなく、ただ、だらっと続けて何の変化もないといったような状況を、「惰性に流される」と言います。
「惰性に流される」の例文 「惰性に流される日々で周りの変化になにも気づいていなかった」 「やる気もなく、ただ惰性に流される日々が続いていた」 「来年は、惰性に流される日々に終止符を打つつもりだ」
▶「惰性」・・・「これまで続いていた習慣・勢いのまま」 ▶「慣性」・・・「物体の外力が働かないかぎり、いつまでも状態を続ける性質のこと」 ▶「習慣」・・・「生活の中で繰り返し行う決まった動作」
「慣性」は、主に外力が加わらないかぎり運動を続ける、または静止状態を続けるといった、物質的な性質のこと指しています。 「慣性」に対して「惰性」は、人間がする行動に対して、「惰性で~する」というような使い方をします。 「習慣」は、生活のなかで繰り返し行う動作や行動を意味しています。 「習慣」に対して「惰性」とは、「ただなんとなく、だらだらと続けている」というネガティブなニュアンスで、「習慣」は、「良い習慣」や「悪い習慣」といったようにどちらでも使用することができます。
「慣性」の意味は、「物体の、外力が働かない限りその状態を続けているという性質」です。 例えば、「外力が働かなければ物体が運動をし続けている状態」や、「外力が働かなければ静止状態を続けている」というような状態を、「慣性」といいます。
「慣性」の例文 「その不規則な動きは慣性を無視している」 「停止をさせようとしても慣性の力ですぐには停止できないだろう」 「慣性の大きさには十分に注意しないと誤差が出てしまう場合がある」
「習慣」とは、「生活の中で繰り返し行う決まった動作」をいいます。 例えば、「歯を磨く」といった動作や、「毎日、〇時に寝る」といったような決まった動作を「習慣」と言います。 「早寝早起きをする習慣」といったように、良い意味でも使われますが、「夜更かしをする習慣」のように、悪い意味でも使われます。
「習慣」の例文 「早いうちから勉強する習慣をつけさせるべきだ」 「結婚してからもテレビをつけっぱなしで寝る習慣が消えなかった」 「昔からの習慣というだけで、深い意味を考えたことがないです」
「慣例」は、「かんれい」と読みます。 「慣例」の意味は、「繰り返し行われて習慣のようになっている事柄や習わし」です。 簡単にいうと、「繰り返し行われることで、習慣のようになっている事」というニュアンスです。 例えば、「慣例により、学校での出来事を夕食の時に家族に話す」というのは、「毎日、学校での出来事を夕食の時に家族に話すのが習慣のようになっている」というような意味になります。 「繰り返し行われ習慣のようになっている」という意味合いで「習慣化している」というような使い方をしたりします。
「慣例」の例文 「結婚してから、新年は親戚への挨拶回りが慣例化している」 「クリスマスは家族そろって外出するのは慣例である」 「この会議を欠席することは慣例に反することになる」
「癖」は「くせ」と読みます。 「癖」の意味は「無意識のうちに身についてしまった言行」です。 例えば、「爪を噛む癖」といったように、あまり好ましくない行動をつい、無意識にしてしまうというようなことを「癖」といいます。 また、「幼い子に、食後歯を磨く癖をつけさせる」というように、習慣づけることを「癖」ということもあります。
「癖」の例文 「幼い頃から爪を噛む癖が直らない」 「緊張すると髪をかきあげる癖がある」 「問題を解いたら見直しをする癖をつけておこう」
「漠然と」は、「ぼんやりと、あやふやに、不明確に」というような意味合いがあります。 はっきりとしない、抽象的な様子を「漠然と」という言葉を使って表現します。 例えば、「彼の話すことは漠然としていて内容が掴めない」というのは、「彼の話すことは、ぼんやりとはっきりしないのでよくわからない」というような意味合いになります。 「漠然とする」というような使い方をします。
「漠然と」の例文 「彼の話は、漠然としすぎていて内容がつかめない」 「漠然としていた目標が明確になってきたところだ」 「将来は結婚して幸せな家庭を気づくものだと漠然と思っていた」
「通例」の意味は、「世間一般での習慣」です。 また、副詞的に用いると「一般・通常」という意味になります。 「~することが通例だ」というように使用する場合は、「世間一般ではそうすることが習慣となっている」というようなニュアンスになります。 副詞的に用いた場合だと、「そうすることが普通だ」というような意味合いになります。
「通例」の例文 「本番前にリハーサルすることが通例だ」 「月に1度は一人ずつプレゼンをすることが通例化している」 「部署内の移動は通例、前年の2月に発表されることになっている」
「流れで」の意味は「状況や環境などにしたがって自然と物事が行われるさま」です。 例えば、「流れで~した」というような使い方をした場合は、「そのまま自然に~した」というような意味になります。 また、「その場の流れで~」といったように使用した場合は「その場の雰囲気や、状況でその後の状況を検討しましょう」というようなニュアンスになります。
「流れで」の例文 「同棲した流れでそのまま結婚することになった」 「二次会の有無は流れで決めましょう」 「インターンに参加した流れで就職することになった」
「勢いで」の意味は、「その場の雰囲気や気持ちの高ぶりのままに」です。 深く考えずに、ただその場の雰囲気や感情のままに行動したり、発言することを「勢いで~する」というような表現をします。
「勢いで」の例文 「カッとなった勢いで暴言を吐いてしまったことを後悔した」 「きちんと考えもせずに勢いで決断をしてしまった」 「ふらっ不動産屋に入り、勢いで見ホームを購入した」
「今までどおり」とは、「今まで継続的におこなってきた内容や様子のままに」という意味です。 「通常通りに」「何もかわらず」と言い換えることもできます。 「今までどおりに~する」というような使い方をします。
「今までどおり」の例文 「環境が変わっても、今までどおりのあなたでいてくださいね」 「引っ越しをしたが、出勤時間は今までどおりだ」 「あれだけの暴言を吐いたのだから、今までどおりの関係というわけにもいくまい」
「だらだらと」の意味は、「続ける必要のないことえを続けてしまう様子」です。 「怠ける」という意味で、「だらだらする」というように使用する場合もありますが、「終わりの段階であるにもかかわらず、だらだら続いてしまう」という意味でも使われることばです。
「だらだらと」の例文 「愛情はとっくになくなっていたのに、だらだらと関係を続けてしまった」 「成人した子供にだらだらと仕送りを続けるのはよくない」 「だらだらと夢を追い続けるのも良くないので期限をもうけよう」
「惰性に」はっきりとした対義語はありません。 惰性=今までどおり=特異なことや新しいことがない、と解釈した場合の対義語をいくつか紹介します。
「特別」の意味は、「特に他とははっきりと区別して扱うこと・区別されたこと」とです。 例えば、「あなたは特別に~」というような使い方をした場合、「他の人とは別に」というようなニュアンスになります。
「特別」の例文 「当選者には特別な観覧席が用意されていた」 「進学者向けの特別カリキュラムがある」 「あなただけを特別扱いするわけにもいかないので」
「異例」の意味は、「普通の例とはちがうこと・前例がないこと」です。 「何か今まで通りではないことが起きた」といったような場合に「異例」という言葉を使います。
「異例」の例文 「運動会が2週間も延期になるのは異例だ」 「20代で会長に選ばれることはこの会社にとっては異例だった」 「異例の事態がおこり、対応に追われていた」
「新鮮」の意味は「物事に今までとは異なる新しさが感じられること」です。 野菜などに、「新しく・いきいきとした」という意味で、「新鮮な野菜」といったような使い方をする場合もありますが、「新鮮」には「今までにない新しさ」というようなニュアンスでも使用されます。
「新鮮」の例文 「学生の意見には、今までにない新鮮さがあった」 「付き合いたてのカップルは新鮮さがあっていい」 「長い休業からの復帰後、入社当初の新鮮さを取り戻した気分になった」
物理学の「惰性」は英語で「inertia」になります。これはとても難しい単語で、日常会話で使うことはないでしょう。 「惰性で〜」は英語で「out of habit」「by force of habit」などになります。
By force of habit, I always look at the smartphone.
惰性でいちもスマホを見てしまう。
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「惰性」について理解していただけたでしょうか? ✓「惰性」は「だせい」と読む ✓「惰性」の意味は「これまで続いてきた習慣・勢い」 ✓「惰性的」や「惰性で~する」というような使い方をする ✓「惰性的」の類語は「慣例」や「癖」など