「遺憾」の意味は「思い通りにならなくて心残りなこと」です。「誠に遺憾」を怒りの感情を伝える言葉だと認識している人も多いのではないでしょうか。今回は「誠に遺憾」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。また「誠に遺憾」の類語表現・言い換え表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「遺憾」は「いかん」と読みます。 「遺憾」の意味は「思い通りにならなくて、心残りなこと」 思うようにいかず、残念に思っている気持ち「遺憾」といいます。 また、思わしくない事態や結果で到底容認できるものではない様子を言い表す言葉です。 「遺憾」に「なし」の連用形「なく」をつけて「遺憾なく」とすると、「心残りがないほど十分に、申し分なく」という意味になります。
例文
「遺憾」を「怒り」の意味で使うのは間違いです。 「遺憾」は、怒っているシチュエーションで使用されることが多いのと、「怒り」と「遺憾」の音が近いため「遺憾」の意味を誤解してしまっている人が非常に多くいます。 しかし、「遺憾」には「怒り」という意味はありません。 怒っているシチュエーションでの「誠に遺憾です」という表現は、「このようなことになってしまって残念だ」という意味で使用されています。 「怒っています」という意味で使用されているわけではないので注意しましょう。
上場企業の社長や大臣など公的な立場である人が、自分や自分の組織に対して「誠に遺憾」とした場合、これは釈明を意味し、謝罪ではありません。 釈明とは「非難・誤解に対して、相手に理解をしてもらうために自分の考えや事情を説明をすること」です。つまり、「言い訳」です。 公的な発言での「誠に遺憾」は、言い訳をして自分に非がないことを主張するために使用されています。 ただ、「誠に遺憾です」と述べたあとに「申し訳ありませんでした」と謝罪の気持ちを述べることはあります。
例文
「誠に遺憾に存じます」の「存じます」は、「思う」の丁重語「存ずる」に、丁寧語「ます」が付いたものです。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 目上の相手に対してやかしこまった場面では、「誠に遺憾に思う」を丁寧な敬語表現にして「誠に遺憾に存じます」と言い表します。
また、ビジネスシーンではクッション言葉として「誠に遺憾ながら」「誠に遺憾ではございますが」というフレーズが使用されることがあります。 クッション言葉とは、そっけない言い方で相手に不快感を与えないためにワンクッションおいて言う言葉のことです。 「誠に遺憾ながら」「誠に遺憾ではございますが」は、相手にとってよくない結果を伝える場面などで自分が相手に対して申し訳ないことをしてしまうことを残念に思っている気持ちを伝えることができるクッション言葉です。
例文
すでに上述した通り「遺憾」に「怒り」の意味はありませんが、怒っている人が間接的に他人や他社、他国を非難するために、「遺憾」という言葉を公の場で使うことがあります。 政治家が「誠に遺憾だ」と言うことって多いですよね。 これは、「到底容認できるものではない」という非難する気持ちや不満を「遺憾」を使って遠回しに表現しています。
例文
「甚だ遺憾(はなはだいかん)」は、「遺憾」に「甚だ」という副詞をつけた表現です。 「甚だ」は「程度が著しいこと」という意味です。 つまり「甚だ遺憾」は「非常に残念だ」という意味になります。 「誠に遺憾」は「本当に残念だ」という意味なので、「甚だ遺憾に思います」「甚だ遺憾ながら」と言い換えることが可能です。
例文
「遺憾千万(いかんせんばん)」という四字熟語は「遺憾」の意味を強調したもので「非常に残念だ」という意味になります。 「遺憾」は「残念に思うこと、心残りなこと」であり、「千万」は「数が多いことから非常に程度が高いこと」です。 そのため「遺憾千万」は「残念に思っていることがひどい状態であること」を表しています。
例文
「残念至極(ざんねんしごく)」は「これ以上ないほど心残りなこと」です。 「思いが残る」という意味の「残念」と「きわまり・最上」という意味のある「至極」の二つの熟語から成り立っている四字熟語です。 非常に残念に思っている気持ちを言い表す言葉なので、「遺憾」の類語であるといえます。
例文
「無念千万(むねんせんばん)」は「くやしさが尋常ではないこと」「非常に残念なこと」です。 「くやしいこと・残念」という意味の「無念」と、「程度が甚だしい」という意味がある「千万」の二つの熟語から成り立つ四字熟語です。 「遺憾」よりも「くやしい」という意味合いが強い表現です。
例文
「切歯扼腕(せっしやくわん)」の意味は「歯ぎしりをして、自分の腕を強くつかむこと」で、 悔しがる様子を言い表わしています。 「切歯」と「扼腕」という二つの熟語を組み合わせてできた四字熟語です。 「遺憾」とは異なり「残念」という意味はありません。 「悔しい」という気持ちを伝える場面で使用される言葉です。
例文
「千恨万悔(せんかいばんかい)」の意味は、「過去の失敗をこの上なく悔やむこと」です。 「千」と「万」は程度が甚だしいことを意味していて、「恨」も「悔」は、後悔や残念に思う気持ちを意味しています。 「千恨万悔」も「悔しい」という意味合いが強い四字熟語です。
例文
「遺憾」は「残念に思う」という意味なので、動詞「regret」を使います。 「regret」の形容詞である「regretable」も使うことができます。 ちなみに「残念」という意味で「pity」という単語を知っている人もいるかと思いますが、「遺憾」というニュアンスとは少し違うので注意です。 「pity」は「弱者に対して哀れみの心で同情し、残念に思う」という意味合いになります。 「誠に」は「greatly」「extremely」などの副詞を使うとよいでしょう。
It is greatly regrettable that it caused the situation like this against our intention. We sincerely apologize for that.
我々の意に反してこのような事態を招いたことは誠に遺憾です。大変申し訳ありませんでした。
We extremely regret something like this has happened.
このようなことが起きて誠に遺憾です。