「泥のように眠る(どろのようにねむる)」の意味は「ぐっすり眠ること」です。「泥」は「泥(でい)」と言われる空想像の虫のことです。「泥(でい)」が陸に上がったときに形がなくなってぐったりとしている様子から、深い眠りに入ることを「泥のように」と、たとえるようになりました。
「泥のように眠る」の読み方は「どろのようにねむる」です。 「泥」は訓読みで「どろ」、「眠」は訓読みで「ねむる」と読みます。
「泥のように眠る」の意味は「ぐっすり眠ること」です。 ちょっとやそっとのことで起きないほど深く眠ることを言い表します。 「泥」は「泥(でい)」と言われる空想像の虫のことです。 「ように」は、ある事物を示して、それと同じ性質、状態であることを表します。 つまり、「泥のように」は「泥みたいに」という比喩表現です。
「泥のように眠る」の語源は中国の古書『異物志(いぶつし)』にあります。 『異物志』の中に、「泥(でい)」という虫が出てきます。 「泥(でい)」は、海に住むといわれている空想上の虫で、骨がないために陸に上がると泥のようになって形を保てなくなってしまいます。 この「泥(でい)」が陸に上がったときに形がなくなってぐったりとしている様子から、深い眠りに入ることを「泥のように」と、たとえるようになったと言われています。 「異物志」の中に出てくる虫は「泥(でい)」と読みますが、「泥のように眠る」は「でいのようにねむる」とは読まないので注意してください。
「泥のように眠る」は、酔いや疲れなどが原因でいつもよりもグッスリと寝るときに使用します。 例えば、疲れから記憶を失うように寝てしまって相手からの連絡に気がつかなかったというような場面で、「昨日は泥のように眠っていた...」などといいます。 10分など時間を決めて寝ようと決めて眠りに入る場合や、うたた寝をしてしまったという程度では「泥のように眠る」とはいわないので注意しましょう。 また、「泥のように眠りたい」などと願望で使うのも厳密には誤りです。起きていられないほどクタクタで寝てしまうというニュアンスです。 ただし、雑誌などで「泥のように眠れる入浴剤」などと強調表現として使われる場合はあります。
例文
単に眠るだけではなく、意識がなくなるぐらい深く眠るという意味のある「眠り込む」「正体なく眠る」「昏々と眠る」が類語になります。 「眠り込む」は「ねむりこむ」と読みます。 「眠り込む」の意味は「よく寝入る。ぐっすり眠る」です。 「眠りこける」ともいいます。 「正体なく眠る」は「しょうたいなくねむる」と読みます。 「正体なく」とは「意識なく」という意味です。 よって「正体無く眠る」は「正常に意識が働かないほど寝入る」という意味になります。 「昏々と眠る」は「こんこんとねむる」と読みます。 「昏々と眠る」の意味は「深い眠りについている」です。 「昏々」の意味は「意識がないさま」です。 「昏々と眠る」で「意識がないぐらいの眠りについている」ということを言い表します。
「昏睡状態」は「こんすいじょうたい」と読みます。 「昏睡状態」の意味は「意識をまったく失って、目覚めることができない状態」です。 「意識なく眠る」という意味では「泥のように眠る」の類語であるといえますが、「昏睡状態」は目覚めることもできない状態を言い表すという点で、「泥のように眠る」とは意味が異なります。 ただ疲れて眠り込んでしまったという状態は「昏睡状態」とはいいません。 「意識不明」は「いしきふめい」と読みます。 「意識不明」の意味は「意識を失った状態」です。 自分が何をしているのか、どういう状態にあるかわからないことをいいます。 病的なことが原因で意識を失ってしまうことを言い表す言葉であり、「意識不明」も「泥のように眠る」とは意味が異なるので注意しましょう。
「綿のように疲れる」は「わたのようにつかれる」と読みます。 「綿のように疲れる」の意味は「はなはだしく疲労する」です。 疲れ果てて体に力の入らない状態を、やわらかくて張りのない綿にたとえた表現です。 「綿のように眠る」は、「泥のように眠る」と混合された誤用です。 「綿のように」には「正体無く眠り込む」という形容で使うことはできません。
「白河夜船」は「しらかわよふね」と読みます。 「白河夜船」の意味は「ぐっすり眠り込んでいて何も気がつかないこと」です。 京都を見物してきたと嘘をついた人が、白河(地名)を聞かれて、川の名だと思い込み「夜中に船で通ったから何もわからない」と答えたという話に基づいてできた表現です。 「白河」は「白川」、「夜船」は「夜舟」と書くことも可能です。 ただし「白河」を「しろかわ」と読むのは誤りです。 「白河夜船を漕ぐ」は、「船を漕ぐ」(居眠りをして体をゆらすこと)と混合している誤用です。
「惰眠を貪る」は「だみんをむさぼる」と読みます。 「惰眠を貪る」の意味は「活気なく無為な生活にひたりきる」です。 「惰眠」は「なまけて眠ること」です。 「貪る」は「あきることなく行為を続ける」「満足することなく欲しがる」です。 「惰眠を貪る」は、疲れたり酔って眠ることを言い表す「泥のように眠る」とは異なり、なまけて眠っていることを言い表す言葉なので注意しましょう。
「泥のように眠る」は英語で「sleep like a log」といいます。 「log」とは「丸太」のことです。 「切られた大きな木」のように、微動だにしないほどぐっすり寝ている様子を表します。 似た表現に「sleep like a baby」という表現もあります。 「(赤ちゃんみたいに)爆睡する」という意味です。
「泥のように眠る」の意味は「ぐっすり眠る」です。 酔いや疲れなどが原因でいつもよりもグッスリと寝るときに使用します。 例えば、疲れから記憶を失うように寝てしまって相手からの連絡に気がつかなかったというような場面で、「昨日は泥のように眠っていた...」などといいます。 「泥のように眠りたい」などと願望で使うのも誤りなので注意しましょう。