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「ご遠慮いたします」の意味と使い方、敬語の言い換えを例文つきで解説

「ご遠慮いたします」は「遠慮する」という意味の敬語表現です。相手の申し出を断るときに使う婉曲的な表現として、例えば取引先の相手から会食に誘われて参加できない場合などに使うことができます。

「ご遠慮いたします」の意味

「ご遠慮いたします」は「ご遠慮いたします」と読みます。 「ご遠慮いたします」の意味は「遠慮する」です。 「ご遠慮」は、ことわる・やめるなどの婉曲な言い方です。 「いたします」は「する」という意味です。

「ご遠慮いたします」の敬語

「遠慮」についている「ご」は謙譲語の接頭辞です。

接頭辞「ご(お)」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。

  • 相手の動作を高めて敬意を示すためにつける接頭辞「ご」は、尊敬語
  • 自分の動作をへりくだって相手に敬意を示すためにつける接頭辞「ご」は、謙譲語
  • 言葉をただ丁寧にいうだけにつける接頭辞「ご」は、丁寧語

この場合は、自分の動作に対する敬語なので、謙譲語になります。 接頭辞「ご」を尊敬語とするのは間違いです。自分に対して尊敬語を使用することはできません。 「いたす」は「する」を意味する補助動詞の丁重語です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱとも言われ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で通常の謙譲語と同じですが、動作の対象ではなく、聞き手・読み手に対する敬意を示す敬語です。 「いたす」は漢字で「致す」と書きますが、補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあるので、「ご遠慮いたします」と書くのが正しいです。 「ます」は丁寧語です。 したがって「ご遠慮いたします」は、謙譲語+丁重語+丁寧語の正しい敬語です。

「ご遠慮いたします」は、二重敬語ではありません。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使用することを指します。 「遠慮」という一つの語に対して、「ご」と「いたす」の2つの謙譲語が使われているため二重敬語といわれることがありますが、「いたす」は丁重語であり、謙譲語ではないので、二重敬語にはあたりません。

「ご遠慮いたします」の使い方

相手からの申し出を断るときに使う

「ご遠慮いたします」は、ビジネスシーンで相手からの申し出を断るときに使います。 例えば、取引き先の相手から懇親会に誘われて、参加できないという場面などです。 相手の申し出を断るときは、

  • 誠に申し訳ないのですが
  • 大変残念ではございますが
  • 勝手を申し上げますが

などのクッション言葉と併せて使うとより丁寧です。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで、より丁寧で柔らかい印象を与えることができます。

ビジネスメール例文

仕事を断る

【件名】 ご提案いただいた件について 【本文】  株式会社△△△ 営業部青木様 平素よりお世話になっております。 株式会社○○○の金子です。 この度は、弊社との新規プロジェクト立ち上げについてご提案いただき、誠にありがとうございます。 せっかくご提案いただいたのにも関わらず大変恐縮ではございますが、今回はご遠慮いたします。 大変魅力的なお話ではありますが、現在別案件の納期が迫っており、新しいお仕事をお受けするのが困難な状況です。 ご希望に添えない結果となり大変申し訳ございません。 またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。 貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 金子

食事会の誘いを断る(社外)

【件名】 イベント参加の件について 【本文】 株式会社YOJOUHAN 営業部 瀬呂様 平素よりお世話になっております。 六條株式会社営業部の切島です。 この度は、お食事会へご招待いただき誠にありがとうございます。 せっかくご招待いただいたところ申し訳なのですが、あいにく先約があり今回はご遠慮いたします。 私事で大変恐縮ですが、何卒ご了承頂ますようお願い申し上げます。 また別の機会がありましたら、ぜひお声がけいただけますと幸いです。 切島

飲み会を断る(社内)

【件名】 飲み会の件 【本文】 営業部 青木部長 お疲れ様です。営業1課の佐々木です。 この度は飲み会のお誘いをいただき、ありがとうございます。 青木部長に声をかけていただけるなんて光栄です。 しかしながら、昨日から体調を崩してしまい、大事をとって今回はご遠慮いたします。 せっかくお誘いいただいたのに大変申し訳ございません。 またの機会にぜひご一緒できればと思います。 何卒よろしくお願い申し上げます。 佐々木

「ご遠慮いたします」の類似表現との違い

ご遠慮させていただきます

「ご遠慮いたします」と似た敬語表現に、「ご遠慮させていただきます」があります。 「ご遠慮させていただきます」は、「遠慮」に謙譲語の接頭辞「ご」をつけて、「させてもらう」の謙譲語「させていただく」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「いただく」は「もらう」という意味で、自分が何らかの利益を得ることを表します。 「させていただく」の「させる」は許容を表します。 「させていただく」を使用するには、

  • 相手から許可があるか
  • 自分に利益があるか

の2つの条件が必要です。 「ご遠慮させていただきます」の場合は、直接的に許可を得ているわけではないので、やや大袈裟な表現といえますが謙虚な表現として使われることが多いです。 しかし、クドい印象があるのでシンプルに「ご遠慮いたします」を使う人が多いです。

ご遠慮申し上げます

「ご遠慮申し上げます」は、「ごえんりょもうしあげます」と読みます。 「ご遠慮申し上げます」の意味も「遠慮する」です。 「申し上げる」は「する」の謙譲語です。 本来は「言う」の謙譲語ですが、「ご(お)〜申し上げる」で「する」という意味の補助動詞になります。 補助動詞は平仮名で表記する決まりがあるので、本来は「もうしあげます」と平仮名で書くのが正しいですが、「申し上げます」の場合は慣用的に漢字で表記されることのほうが圧倒的に多いです。 「ご(お)〜申し上げる」は、「ご(お)〜する」よりも敬意の度合いが高いので「ご遠慮いたします」よりも「ご遠慮申し上げます」のほうが丁寧で改まった敬語表現です。

ご遠慮します

「ご遠慮いたします」は、「ご遠慮します」とすることもできます。 「ご遠慮します」は、「遠慮」に謙譲語の接頭辞「ご」をつけて「する」の連用形「し」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご遠慮します」も正しい敬語表現で目上の人に使うことができますが、「する」を丁重語「いたす」にした「ご遠慮いたします」のほうが丁寧です。

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