「ご報告いただけますでしょうか」は「報告してもらえるだろうか」という意味の敬語表現です。今回は「ご報告いただけますでしょうか」の意味や敬語、使い方、敬語の言い換え表現などを解説します。
「ご報告いただけますでしょうか」は「ごほうこくいただけますでしょうか」と読みます。 「ご報告いただけますでしょうか」の意味は「報告してもらえるだろうか」です。 「ご報告」の意味は「告げ知らせること」です。 特に、任務のなどの経過や結果を知らせることをいいます。 「いただけますでしょうか」の意味は「~してもらえるだろうか」です。
「ご報告いただけますでしょうか」を品詞分解すると「お」+「報告」+「いただく」+「ます」+「でしょう」+「か」となります。 「報告」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。 接頭辞の「ご(お)」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合の接頭辞は相手の動作に対して使っているので、尊敬語です。 「いただく」は、本動詞の場合は「もらう」、補助動詞の場合は「〜してもらう」という意味です。 この場合は「〜してもらう」という意味の補助動詞として使われています。 敬語の種類は謙譲語で、何かをしてもらう自分をへりくだり、してくれる目上の人に敬意を示します。 「ます」は丁寧語です。 「でしょう」は推量を表す「だろう」の丁寧語です。 「か」は疑問を表す終助詞です。 「ご報告いただけますでしょうか」を二重敬語だと思う人も多いですが、正しい敬語表現です。 二重敬語とは、一つの言葉に対して同じ種類の敬語を使ってしまう事をいいます。 「ご報告いただけますでしょうか」に使われている「ます」と「でしょう」は、どちらも丁寧語ですが、「ます」は「いただく」を丁寧にするために使われていて、「でしょう」は「だろう」を丁寧にするために使われています。 よってこの場合は、かかっている語が違うため二重敬語にはなりません。
「ご報告いただけますでしょうか」は、任務の経過や結果などを知らせるように依頼をする場面で、主に口語や電話で使います。 例えば、プロジェクトの進捗状況を教えてほしいときなどです。 依頼をするときは、
など、クッション言葉と併用して使うとより丁寧になります。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで直接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 ビジネスメールなど文章で使うこともできますが、文章で使うときは「ご報告いただきますようお願いいたします」など、より丁寧な敬語表現を使うことが多いです。
例文
「ご報告いただけますか」も正しい敬語表現です。 「ご報告いただけますか」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた正しい敬語表現です。 「ご報告いただけますか」と「ご報告いただけますでしょうか」の丁寧の度合いは同じですが、婉曲表現の「だろう」の丁寧語「でしょう」を使っている「ご報告いただけますでしょうか」のほうが、控えめで謙虚な響きがあります。 しかし「ご報告いただけますでしょうか」は、くどい印象があるため「ご報告いただけますか」を使う人が多いです。
「ご報告いただきますでしょうか」は、間違いです。 「ご報告いただきますでしょうか」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」の連用形「いただけ」と、丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 丁寧語「ます」に接続するときは、連用形になる決まりがあるので、「いただきますでしょうか」でも文法上は問題ありません。 しかし、「ご報告いただきますでしょうか」では、「報告してもらうだろうか」という意味になるので仮定のニュアンスがなくなって一方的になってしまいますし、不自然な日本語です。
「ご報告いただけますでしょうか」の似た敬語表現には「ご報告くださいますでしょうか」もあります。 「いただけますでしょうか」は、上述したように「もらえるだろうか」という意味で、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と「だろう」の丁寧語「でしょう」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「くださいますでしょうか」は、「くれるだろうか」という意味で、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と「だろう」の丁寧語「でしょう」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 まず「いただけますでしょうか」は謙譲語であり、「くださいますでしょうか」は尊敬語であるという違いがありますが、謙譲語と尊敬語に敬意の度合いの違いはありません。 自分の動作に対してなら謙譲語を、相手の動作に対してなら尊敬語を使います。 また、「いただけますでしょうか」は「もらえるだろうか」、「くださいますでしょうか」は「くれるだろうか」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださいますでしょうか」が「くれ」の尊敬語を使用した命令形であるため「いただけますでしょうか」の方が丁寧な響きがあります。 ちなみに、こちらもシンプルに「ご報告くださいますか」としても問題ありません。
「ご報告いただけましたでしょうか」とすると、過去形になります。 「ご報告いただけましたでしょうか」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけた「ご報告」に、「もらう」の謙譲語「いただく」と、丁寧語「ます」の連用形「ませ」、過去を表す助動詞「た」、「だろう」の丁寧語「でしょう」、疑問の終助詞「か」をつけています。 報告をするように依頼をした後で、報告してくれたか確認をする場面などで使います。
「ご報告ください」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 「ご(お)~ください」の形で、相手に要望・懇願することに対して相手を高めることができます。 正しい敬語表現ですが命令文であり、やや上から目線で、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ご報告くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご報告願います」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご報告願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「ご報告のほど」は、「報告してくれるよう」という意味です。 「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、断定を避ける「〜のほど」をつけた敬語表現です。 「ご報告のほどよろしくお願いします」などとすると、柔らかい依頼表現になり相手に強制することなくお願いをすることができます。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、漢字にはしません。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 そこから転じて断定を避ける表現として用いられています。 このように、本来の意味とは違う使い方をする場合は、漢字ではなくひらがな表記にします。
「ご報告いただきたく存じます」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご報告いただきたく存じます」で、「報告してもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご報告いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述した通り「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。
「ご報告いただけると幸いです」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」と「もらうと」の謙譲語「いただけると」と、「幸い」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「幸いです」は、そうしてもらえれると幸せですという気持ちを表します。 よって「ご報告いただけると幸いです」は、「報告してもらえると嬉しい」という意味の丁寧な表現になります。 「ご報告いただけますと幸いです」としても意味は同じですが、より丁寧になります。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「ご報告いいただければ幸いです」とすると仮定のニュアンスが加わり柔らかい表現になります。 「いただければ〜」の「れば」は仮定を表し、「してもらえれば嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 また、「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現です。
「ご報告くださいますようお願いいたします」は、「報告してくれるようお願いする」という意味です。 「ご報告くださいますよう」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語、「ます」は丁寧語です。 「お願いいたします」の「いたす」も補助動詞なので「お願いいたします」と書くのが正しいです。
「ご報告いただきますようお願い申し上げます」は「報告してもらうようお願いする」という意味です。 「ご報告いただきますよう」は、「報告」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「いただきますよう〜」で、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 「お願いいたします」と「お願い申し上げます」の丁寧の度合いはどちらも同じですが、「お願い申し上げます」の方が意味的に謙虚で、やや丁寧です。 そのため、ビジネスシーンなどでは「お願い申し上げます」が使われる傾向があります。