「平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は相手の日頃の配慮に対して感謝を表す敬語表現です。今回は、「平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」の意味や敬語、使い方、「ご高配」の注意点などを解説します。
「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」は「へいそはかくべつのごこうはいをたまわり、あつくおれいもうしあげます」と読みます。 「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」の意味は「日頃は特別に配慮をしてもらい感謝する」です。 「平素」の意味は「日頃。常日頃。普段。いつも」です。 「格別」には「とても大きい」の「とても」や、「かなり」といった程度を表す言葉と同じ働きがあります。 「格別のご高配」で、とても大切に扱ってもらっていることを表しています。 「ご高配」は相手の配慮を敬う語です。 「賜る」は「もらう」という意味です。 「厚く」は身にうけた恩恵などに対して感謝の気持ちの程度が甚だしいことを言い表す言葉です。 「厚く」をつけることで感謝の気持ちを強調します。 「御礼申し上げます」は感謝の気持ちを表す敬語表現です。
「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」は、品詞分解すると「平素」+「は」+「格別」+「の」+「ご」+「高配」+「を」+「賜り」+「賜り」+「厚く」+「御」+「礼」+「申し上げる」+「ます」となります。 「高配」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。 接頭辞「ご(お)」は尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合は相手の動作を高め敬意を示すためにつけているので、尊敬語です。 「賜る」は「もらう」の謙譲語です。 謙譲語は自分の動作をへりくだり、相手に敬意を示します。 「礼」についている「御」は謙譲語の接頭辞です。 接頭辞の「お(ご)」は漢字で「御」と書きます。 「お礼」と書くこともできますが、「御礼」とすることで、より堅い表現になるのでビジネス文書などでは漢字で表記することが多いです。 ちなみに、「ご高配」も「御高配」と書くことができます。 こちらも漢字表記にすることで、より堅い表現になります。 「申し上げる」は補助動詞「〜する」の謙譲語です。 補助動詞の「申し上げる」は謙譲語について、謙譲の意味合いを強めます。 例えば「ご説明申し上げる」などと使うことができます。 二重敬語(一つの語に対して同じ種類の敬語を重ねること)ですが、慣例的に使われており、間違いとは言い切れません。 「ます」は丁寧語です。 したがって「平素よりご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は、正しい敬語表現です。 目上の人に対して使うことができます。
「ご高配」は、目上の人に対して使う表現です。 しかし、非常にかしこまった表現なので上司であっても社内の人に対して使うと、仰々しい印象を与えてしまいます。 社内の人間対しては「ご配慮」や「お心遣い」などと言い換えましょう。 お世話になっている取引先の人など、社外の人に対して使うのに適しています。
「ご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は相手の配慮や心遣いを敬う表現です。 よって、社外の人であってもはじめて連絡をとる相手など全く関わりのない相手に対して使うのは誤りです。 お世話になっている相手へ日頃の感謝を伝えるときに使います。
「平素はご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は、基本的に書き言葉として使われます。 式典などのスピーチであっても口語で使われることはまれです。 お世話になっている取引先の相手であっても口語で使うのは硬苦しすぎるので、口語では「ご配慮をいただきありがとうございます」などと言い換えるほうが自然です。
「平素はご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は、手紙やビジネスメールの文頭の挨拶として使うことができます。 ただし、上述しているように非常にかしこまった表現であり、通常のやりとりの中で使うのは不自然です。 例えば、取引先に送る挨拶状やお礼状などで使うのが適しています。 冒頭に時候の挨拶を入れるとより丁寧です。 時候の挨拶は、季節や気候に応じた心情を表す言葉で、「拝啓」などの頭語に続けて書きます。 例えば「拝啓 秋分の候、平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」などと入れます。
【件名】 請求書送付のご案内 【本文】 あいうえお株式会社 営業部 野薔薇様 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 かきくけこ株式会社営業部の小牧由紀です。 本日ご注文いただきました商品「△△△」の請求書を郵送いたしましたので、お忙しいところ恐縮ですがご査収いただきますようお願いいたします。 内容に不備がありましたら、お手数ですがご一報いただければと思います。 何卒よろしくお願い申し上げます。 小牧
【件名】 お礼 【本文】 株式会社AAA 営業部 大橋雄二様 拝啓 師走の候、貴社におかれましてはますますご清栄のことと拝察いたします。 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 この度はこのような結構なお品を頂戴いたしまして大変恐縮です。 スタッフも大変喜んでおりました。 ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。 まずは略儀ながら書中をもちましてお礼かただたご挨拶申し上げます。 敬具 株式会社BBB 営業部 長谷川謙人
【件名】 年始のご挨拶 【本文】 株式会社ohana 総務部 有村様 謹んで新春の祝辞を申し上げます。 平素は格別なご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 本年もさらなるサービス向上に向け、気持ちを新たに取り組んでまいりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。 寒い日が続きますが、ご自愛ください。 なお、新年は1月4日より通常営業に戻ります。 ご用命がございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。 株式会社kusa営業部 江田一郎
「平素より」の「より」は「から」のかしこまった言い方です。 「より」は、動作・作用の開始時点を表しています。 よって「平素より」は「日頃から」「普段から」という意味になります。 「平素は」は「過去にあったこと」を表し、「平素より」は「過去から現在に至るまで」を表します。 例えば、常日頃からお世話になっている感謝を伝えるときに「平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」などと使うことができます。
「ご高配にあずかり」の「あずかる」には、「ある行為を受ける」という意味があります。 例えば「お褒めにあずかる」のように、目上の人から厚意を受けるときに使います。 よって「ご高配にあずかり」で「配慮をしてもらい」という意味になります。 「ご高配にあずかり」でも丁寧ですが、「あずかる」は敬語ではないので、謙譲語の「いただく」を使った「ご高配をいただく」や「賜る」を使った「ご高配を賜り」のほうが丁寧な敬語表現です。 ちなみに「あずかる」は漢字で「与る」と書きますが、一般的には平仮名で表記されます。
「ご高配をいただき」は「配慮をしてもらい」という意味の敬語表現です。 「ご高配をいただき」の「いただく」は本動詞の場合は「もらう」、補助動詞の場合は「~してもらう」という意味の謙譲語です。 この場合は、補助動詞として使われています。 「いただく」と「賜る」はどちらも「もらう」の謙譲語ですが、「賜る」は「いただく」よりも一段と恐れ多い気持ちを込めて使われる言葉です。 よって、「ご高配を賜り」のほうが謙虚で丁寧です。
「御礼申し上げます」は「感謝申し上げます」とすることもできます。 「感謝申し上げます」は、「感謝」に「する」の謙譲語「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「感謝」は、ありがたく感じている謝意を表す言葉です。 「感謝申し上げます」で、「感謝する」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 「御礼申し上げます」と「感謝申し上げます」はどちらも感謝の気持ちを表す敬語表現であり、敬意の度合いも同じなのでどちらが丁寧ということはありません。
「ありがとうございます」でも問題はありません。 「ありがとうございます」も感謝の気持ちを表す敬語表現です。 「ありがとう」に「ある」の丁重語「ござる」と丁寧語「ます」をつけています。 「ありがとうございます」と「御礼申し上げます」はどちらも感謝の気持ちを表す敬語表現ですが、「御礼申し上げます」のほうが堅い表現です。 ビジネス文書などかしこまった文章では「お礼申し上げます」や「感謝申し上げます」を使うことが多いです。
「ご配慮」は「ごはいりょ」と読みます。 「ご配慮」の意味は「他人に対して心を配ること」です。 「配慮」に接頭辞「ご」をつけています。 「ご高配」は相手の配慮を敬う言葉であり、自分の配慮に対して使うことはできませんが、「ご配慮」は自分の配慮に対しても使うことができます。 例えば、自分の配慮が足らなかったことを相手に謝罪する場合は「私の配慮が足らずこのような事態を招いてしまい、大変申し訳ございません」などと使います。 ちなみに、接頭辞「ご」は尊敬語であるというイメージが強いため、自分に対して使う場合は慣用的に接頭辞をとった「配慮」が使われることが多いです。
「ご愛顧」は「ごあいこ」と読みます。 「ご愛顧」の意味は「目下の者をひいきにして引き立てること」です。 「愛顧」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、引きされる側が使います。 例えば「ご愛顧を賜りありがとうございます」などと使います。
「ご厚情」は「ごこうじょう」と読みます。 「ご厚情」の意味は「心からの親切」です。 「厚情」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、目上の相手からうけた親切に対して使います。 例えば式典などのスピーチや取引先に送るお礼状などで「ご厚情を賜りありがとうございます」などと使います。
「お引き立て」は「おひきたて」と読みます。 「お引き立て」の意味は「ひいきすること」です。 「引き立てる」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、ひいきされる側が使う言葉です。 一度だけの取引実績しかない相手でも、または取引実績のない相手であっても「お引き立て」という表現を使い、感謝の意を示すことができます。
「お心遣い」は「おこころづかい」と読みます。 「お心遣い」の意味は「人のためを思って色々と気を使うこと」です。 「心遣い」に接頭辞「お」をつけています。 相手からの思いやりを感じたときに、それに応える気持ちを表す場合に使用します。 例えば、お歳暮などの贈り物をもらったときのお礼で「お心遣いをいただきありがとうございます」などと使います。