「ご覧いただけますか」は「見てもらえるか」という意味の敬語表現です。ビジネスシーンで資料などを見てほしいと依頼をするときなどに使います。今回は「ご覧いただけますか」の意味や敬語、使い方などを解説します。
「ご覧いただけますか」は「ごらんいただけますか」と読みます。 「ご覧いただけますか」の意味は「見てもらえるか」です。 「ご覧」は「見る」という意味です。 「いただけますか」は「もらえるか」という意味です。
「ご覧いただけますか」は、品詞分解すると「ご覧」+「いただく」+「ます」+「か」となります。 「ご覧」は「見る」の尊敬語です。 「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 「お(ご)〜いただく」で一つの謙譲語として解釈する場合もあります。 「ます」は丁寧語です。 「か」は、疑問の終助詞です。 よって「ご覧いただけますか」は、尊敬語+謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。
「ご覧いただけますか」は、何かを見てほしいと依頼するときに電話や口頭で使います。 例えば、会議の途中で渡した資料を見てほしいときなどです。
などのクッション言葉と併せて使うとより丁寧になります。 クッション言葉とは相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。ビジネスシーンでは様々な状況で使われます。 クッション言葉を使うことで直接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 口頭や電話だけではなくビジネスメールで使うこともできますが、文章で使うときは「ご覧いただきますようお願いいたします」など、より丁寧な敬語表現にして使われることが多いです。
例文
「ご覧いただけますでしょうか」は、品詞分解すると「ご覧」+「いただく」+「ます」+「でしょう」+「か」となります。 「ご覧」は「見る」の尊敬語です。 「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「でしょう」は推量の「だろう」の丁寧語です。 「か」は疑問の終助詞です。 「ご覧いただけますか」に、推量の「だろう」の丁寧語「でしょう」をつけることで、より謙虚で丁寧な依頼表現になります。 「ご覧いただけますでしょうか」を二重敬語だと思う人も多いですが、正しい敬語表現です。 二重敬語とは、一つの言葉に対して同じ種類の敬語を使ってしまう事をいいます。 「ご覧いただけますでしょうか」に使われている「ます」と「でしょう」は、どちらも丁寧語ですが、「ます」は「いただく」を丁寧にするために使われていて、「でしょう」は「だろう」を丁寧にするために使われています。 よってこの場合は、かかっている語が違うため二重敬語にはなりません。
「ご覧いただけますか」の似た敬語表現には「ご覧くださいますか」もあります。 「いただけますか」は、上述したように「もらえるか」という意味で、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「くださいますか」は、「くれるか」という意味で、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 まず「いただけますか」は謙譲語であり、「くださいますか」は尊敬語であるという違いがありますが、謙譲語と尊敬語に敬意の度合いの違いはありません。 自分の動作に対してなら謙譲語を、相手の動作に対してなら尊敬語を使います。 また、「いただけますか」は「もらえるか」、「くださいますか」は「くれるか」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださいますか」が「くれ」の尊敬語を使用した命令形であるため「いただけますか」の方が丁寧な響きがあります。 ちなみに、こちらも「ご覧くださいますでしょうか」とすることもできます。
「ご覧になられますか」は、相手に何かを見ることを提案する敬語表現です。 「ご覧いただけますか」は、見てほしいと相手に依頼する敬語表現なので、使う場面が違います。 また、「ご覧になられますか」は誤った敬語表現です。 「ご覧になられる」は「見る」の尊敬語「ご覧になる」に助動詞「られる」をつけています。 助動詞「られる」には、受け身・自発・可能・尊敬の4つの意味があります。 この場合は、尊敬と解釈することができます。 したがって、尊敬語の「ご覧になる」にさらに尊敬表現の「られる」を重ねて使用しているので二重敬語になります。 二重敬語は慇懃無礼(いんぎんぶれい)にあたるので、注意しましょう。 正しくは「ご覧になりますか」です。
「ご覧ください」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 「ご(お)〜ください」で相手に〜してくれと要望・懇願することについて相手を高めることができます。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ご覧くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご覧いただきたく存じます」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「もらう」の謙譲語「いただく」と「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご覧いただきたく存じます」で、「見てもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご覧いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述した通り「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。
「ご覧いただけると幸いです」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「もらうと」の謙譲語「いただけると」をつけて、「幸い」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「幸いです」は、そうしてもらえれると幸せですという気持ちを表します。 よって「ご覧いただけると幸いです」は、「見てもらえると嬉しい」という意味の丁寧な表現になります。 「ご覧いただけますと幸いです」としても意味は同じですが、より丁寧になります。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「ご覧いいただければ幸いです」とすると仮定のニュアンスが加わり柔らかい表現になります。 「いただければ〜」の「れば」は仮定を表し、「してもらえれば嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 また、「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現です。
「ご覧くださいますようお願いいたします」は、「見てくれるようお願いする」という意味です。 「ご覧くださいますよう」は「見る」の尊敬語「ご覧」に「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語、「ます」は丁寧語です。 「お願いいたします」の「いたす」も補助動詞なので「お願いいたします」と書くのが正しいです。
「ご覧いただきますようお願い申し上げます」は「見てもらうようお願いする」という意味です。 「ご覧いただきますよう」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「いただきますよう〜」で、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。