「ご提供いただけますでしょうか」は、提供してもらえるだろうかという意味です。ビジネスシーンで相手に物品や情報の提供を依頼するときに使います。ビジネスメールなど文章で使うときは「ご提供いただきますようお願いいたします」などと、より丁寧な敬語表現に言い換えることが多いです。
「ご提供いただけますでしょうか」は「ごていきょういただけますでしょうか」と読みます。 「ご提供いただけますでしょうか」の意味は「提供してもらえるだろうか」です。 「ご提供」には「他人の役に立てるために、自分の持っている資料・物品・設備や労力・技能などを与えたり使用させたりすること」という意味があります。 「いただけますでしょうか」は「してもらえるだろうか」という意味です。
「ご提供いただけますでしょうか」を品詞分解すると「ご」+「提供」+「いただく」+「ます」+「でしょう」+「か」となります。 「提供」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。
接頭辞「ご(お)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
「ご提供」の「ご」は、相手が提供することに対してつけている接頭辞なので、尊敬語になります。 「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。 「ご(お)〜いただく」で一つの謙譲語として解釈する場合もあります。 「ます」は、丁寧語です。 「でしょう」は、推量を表す「だろう」の丁寧語です。 「か」は、疑問の終助詞です。 「ご提供いただけますでしょうか」を二重敬語だと思う人も多いですが、正しい敬語表現です。 二重敬語とは、一つの言葉に対して同じ種類の敬語を使ってしまう事をいいます。 例えば、「14時にお伺いします」は、「行く」謙譲語「伺う」にさらに、謙譲語の接頭辞「お」をつけているので二重敬語です。 「ご提供いただけますでしょうか」に使われている「ます」と「でしょう」は、どちらも丁寧語ですが、「ます」は「いただく」を丁寧にするために使われていて、「でしょう」は「だろう」を丁寧にするために使われています。 よってこの場合は、かかっている語が違うため二重敬語にはなりません。
「ご提供いただけますでしょうか」は、ビジネスシーンで物品や情報を提供してほしいと依頼おwするときに電話や口頭で使います。 例えば、取引先に商品の情報を教えてほしいとお願いをするときなどです。 ビジネスメールで使うこともできますが、メールなど文章で使うときは「ご提供いただきますようお願いいたします」など、より丁寧な敬語表現に言い換えられることが多いです。
「ご提供いただけますでしょうか」の例文
「ご提供いただけますか」も正しい敬語表現です。 「ご提供いただけますか」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた正しい敬語表現です。 「ご提供いただけますか」と「提供いただけますでしょうか」の丁寧の度合いは同じですが、婉曲表現の「だろう」の丁寧語「でしょう」を使っている「ご提供いただけますでしょうか」のほうが、控えめで謙虚な響きがあります。 しかし「ご提供いただけますでしょうか」は、くどい印象があるため「ご提供いただけますか」を使う人が多いです。
「ご提供いただきますでしょうか」は、間違いです。 「ご提供いただきますでしょうか」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」の連用形「いただけ」と、丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 丁寧語「ます」に接続するときは、連用形になる決まりがあるので、「いただきますでしょうか」でも文法上は問題ありません。 しかし、「ご提供いただきますでしょうか」では、「提供してもらうだろうか」という意味になるので仮定のニュアンスがなくなって一方的になってしまいますし、不自然な日本語です。
「ご提供いただけますでしょうか」の似た敬語表現には「ご提供くださいますでしょうか」もあります。 「いただけますでしょうか」は、上述したように「もらえるだろうか」という意味で、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と「だろう」の丁寧語「でしょう」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「くださいますでしょうか」は、「くれるだろうか」という意味で、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と「だろう」の丁寧語「でしょう」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 まず「いただけますでしょうか」は謙譲語であり、「くださいますでしょうか」は尊敬語であるという違いがありますが、謙譲語と尊敬語に敬意の度合いの違いはありません。 自分の動作に対してなら謙譲語を、相手の動作に対してなら尊敬語を使います。 また、「いただけますでしょうか」は「もらえるだろうか」、「くださいますでしょうか」は「くれるだろうか」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださいますでしょうか」が「くれ」の尊敬語を使用した命令形であるため「いただけますでしょうか」の方が丁寧な響きがあります。 ちなみに、こちらもシンプルに「ご提供くださいますか」としても問題ありません。
「ご提供いただけましたでしょうか」とすると、過去形になります。 「ご提供いただけましたでしょうか」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけた「ご提供」に、「もらう」の謙譲語「いただく」と、丁寧語「ます」の連用形「ませ」、過去を表す助動詞「た」、「だろう」の丁寧語「でしょう」、疑問の終助詞「か」をつけています。 提供してもらえたかどうか確認するときや催促するときなどに使える正しい敬語表現ですが、使用する場面はあまりありません。
「ご提供ください」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ご提供くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご提供願います」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご提供願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「ご提供のほど」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、断定を避ける表現の「ほど」を使った敬語表現です。 「〜のほど」を用いることで相手に強制することなくお願いをすることができます。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、漢字にはしません。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 そこから転じて断定を避ける表現として用いられています。 このように、本来の意味とは違う使い方をする場合は、漢字ではなくひらがな表記にします。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語で、聞き手・読み手を敬う補助動詞です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱともいわれ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で通常の謙譲語と同じですが、動作の対象ではなく聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「お願いいたします」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」は、補助動詞でも慣用的に漢字で書かれることが多いですが、「お願いいたします」は平仮名で正しく表記されることが多いです。
「ご提供くださいますようお願い申し上げます」は、「提供してくれるようお願いする」という意味です。 「ご提供くださいますよう」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」も補助動詞なので、本来は「お願いもうしあげます」と書くのが正しいですが、慣例的に「お願い申し上げます」と漢字で書くことが多いです。 「ご提供くださいますよう〜」は「ご提供いただきますよう」と言い換えることもできます。 「ご提供いただきますよう」は、「提供してもらうよう」という意味です。 「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。
「ご提供いただきたく存じます」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と思うの丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご提供いただきたく存じます」で、「提供してもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご提供いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述したように「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。
「ご提供いただけると幸いです」は、「提供」に尊敬を表す接頭辞「ご」と「もらうと」の謙譲語「いただけると」と、「幸い」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「幸いです」は、そうしてもらえれると幸せですという気持ちを表します。 よって「ご提供いただけると幸いです」は、「提供してもらえると嬉しい」という意味の丁寧な表現になります。 「ご提供いただけますと幸いです」としても意味は同じですが、より丁寧になります。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「ご提供いいただければ幸いです」とすると仮定のニュアンスが加わり柔らかい表現になります。 「いただければ〜」の「れば」は仮定を表し、「してもらえれば嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 また、「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現です。
「ご提供賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧な依頼表現です。 「賜りますよう」は、「もらう」の謙譲語に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「賜る」は、「もらう」の謙譲語、「与える」の尊敬語の二つの意味がありますが、この場合は相手から何かをしてもらうという動作について、相手を高めるために使用されている謙譲語です。 「ご提供賜りますようお願い申し上げます」で、「提供してもらうようお願いする」という意味になり、丁寧にお願いをすることができます。 ちなみに、「賜れますよう」は誤用です。 「賜れますよう」の「れ」は助動詞「れる」の連用形です。 助動詞「れる」の意味は主に尊敬・可能で使います。 「賜る」が、敬語なので敬語の助動詞を使うのは不適切です。 「れる」が可能の意味ならば「してもらうことができますように・・・」という意味になります。 無理矢理、可能の意味で捉えることもできますが、このような使い方は一般的ではりません。
【件名】 募集職種についてのお問い合わせ 【本文】 アイウエオ株式会社 ご採用担当者様 突然のご連連絡失礼いたします。 現在○○大学経済学部経営学科の斎藤と申します。 貴社の採用情報を拝見しご連絡させていただきました。 技術開発職を募集とのことですが、応募をする際に必須の資格などはあるでしょうか。 お忙しいところ恐縮ですが、採用情報をご提供いただければ幸いです。 よろしくお願い申し上げます。 〒123−4444 東京都○○区○○1234 電話番号:090−1111−2222 メールアドレス:chikuwa@chikuwa.com 斎藤一代
【件名】 資料ご提供のお願い 【本文】 総務部 長谷川様 お疲れ様です。 広報部の瀧本です。 次回の社内報にこれまで発売してきた商品を掲載したいと考えております。 今週中に資料室にお伺いしたいのですが、ご都合いかがでしょうか。 お忙しい中恐縮ですが、商品資料をご提供のほどよろしくお願いいたします。 瀧本
【件名】 イベント開催における場所提供のお願い 【本文】 緑谷市役所 ご担当者様 平素よりお世話になっております。 株式会社EVENT 企画運営部の小林です。 この度神奈川県の委託により、神奈川県各圏域にて「エコライフ・フェア」を開催いたします。 そこでイベント開催場所として緑谷市地域交流センターをご提供いただきたく存じます。 イベントの詳細は添付ファイルをご覧ください。 ご不明な点などがあれば、小林までお気軽にご連絡くださいませ。 お忙しいところ恐縮ですが、ご検討いただきますようお願い申し上げます。 小林
【件名】 情報提供のお願い 【本文】 営業部各位 お疲れ様です。 商品開発部の森本です。 先日発売された「△△△」の評判はいかがでしょうか。 売上げだけではなく、商品を手にとったお客様の生の声をお聞きしたくご連絡差し上げました。 いただいた情報は今後の商品開発の参考にいたします。 実際に耳にしたお客様のご意見をご提供いただければ幸いです。 営業するにあたって感じた個人的な感想でもかまいません。 お忙しい中恐縮ですがよろしくお願い申し上げます。 森本
【件名】 サンプルご送付のお願い 【本文】 株式会社花束堂 営業部 花垣様 お世話になっております。 株式会社PRESENTの松山です。 先日御社の新製品のカタログを拝見させていただきました。 社内でも評判がよく、ぜひ弊社でも取り扱い商品に組み入れたいと考えております。 つきましては、御社カタログP15の「△△△」をサンプルとして、ご提供いただききますようお願いいたします。 なお、サンプル貸し出し料が発生する場合は、請求書を同封していただければ幸いです。 お忙しい中恐縮ですが、以下宛にご送付いただきますようお願いいたします。 送付先 〒111-2222 東京都△△区△△町3-45 株式会社PRESENT 松山優子宛 松山