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「ご容赦いただけないでしょうか」の意味と使い方、敬語を例文つきで解説

「ご容赦いただけないでしょうか(ごようしゃいただけないでしょうか)」は、容赦してもらえないだろうかという意味です。ビジネスシーンで相手に迷惑をかけてしまうことに対して事前に断りを入れる場面や、相手の提案を断るときなどに使います。

「ご容赦いただけないでしょうか」の意味

「ご容赦いただけないでしょうか」は「ごようしゃいただけないでしょうか」と読みます。 「ご容赦いただけないでしょうか」の意味は「容赦してもらえないだろうか」です。 「容赦」には「相手の罪を許し、とがめないこと」という意味があります。 「いただけないでしょうか」は「もらえないだろうか」という意味です。 「もらう」という意味の「いただく」に打ち消しの「ない」を続け、さらに推量の「だろう」を使うことで断定を避けた謙虚な依頼表現になります。

「ご容赦いただけないでしょうか」の敬語

「ご容赦いただけないでしょうか」は、品詞分解すると「ご」+「容赦」+「いただく」+「ない」+「でしょう」+「か」となります。 「容赦」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。

接頭辞「ご(お)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。

  • 相手の動作を高めて敬意を示すためにつける接頭辞「ご」は、尊敬語
  • 自分の動作をへりくだって相手に敬意を示すためにつける接頭辞「ご」は、謙譲語
  • 言葉をただ丁寧にいうだけにつける接頭辞「ご」は、丁寧語

「ご容赦」の「ご」は、相手の動作に対してつけている接頭辞なので、尊敬語になります。 「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。 「ご〜いただく」で一つの謙譲表現と解釈する場合もあります。 「でしょう」は、推量を表す「だろう」の丁寧語です。 「か」は、疑問の終助詞です。 「ご容赦いただけないでしょうか」を二重敬語だと思う人も多いですが、正しい敬語表現です。 二重敬語とは、一つの言葉に対して同じ種類の敬語を使ってしまう事をいいます。 例えば、「14時にお伺いします」は、「訪問する」の謙譲語「伺う」にさらに、謙譲語の接頭辞「お」をつけているので二重敬語です。 「ご容赦いただけないでしょうか」は、尊敬語+謙譲語+丁寧語なので二重敬語ではありません。

「ご容赦いただけないでしょうか」の使い方と注意点

事前の断りを入れる

「ご容赦いただけないでしょうか」を使う場面は、ビジネスシーンで相手に迷惑や不便をかけることに対して事前に断りを入れるときに口頭や電話で使われます。 例えば、天候不良によって配送が遅れてしまう可能性があることを先に伝えておくときになどに「予めご容赦いただけないでしょうか」などの形で使います。 「予め(あらかじめ)」には「前もって」という意味があります。 「容赦いただけないでしょうか」は、

  • 恐れ入りますが
  • 大変恐縮ですが
  • ご迷惑をおかけしますが
  • 勝手を申し上げますが

などクッション言葉と併用すると、より丁寧になります。

相手の誘いを断る

「ご容赦いただけないでしょうか」は、相手の誘いを断るときにも使うことができます。 ビジネスシーンでは、例えば営業をされて契約をすることができないと断るときなどです。 「せっかくのお申し出にお応えすることができず誠に申し訳ございません。ご容赦いただけないでしょうか」などと使います。

深い謝罪では使わないのが無難

「ご容赦」を使えるのは、天候不良など不可抗力の出来事によって相手に迷惑をかけてしまったときです。 例えば「寝坊をしたため10分ほど遅れてしまいます。ご容赦いただけないでしょうか」などの使い方は誤りです。 明らかにこちらの不手際で相手に迷惑をかけてしまったときは、「ご容赦」は使わずにシンプルに謝罪をするほうが無難です。 ビジネスシーンで使える謝罪表現には、下記があります。

  • 大変申し訳ございません
  • 深くお詫びいたします
  • お詫びの言葉もございません
  • 心より謝罪申し上げます

そこまでシリアスな謝罪ではない場合に、謝罪表現と組み合わせて「ご容赦」を使うことは可能です。 例えば「ご迷惑をおかけし心よりお詫び申し上げます。ご容赦いただけないでしょうか」などといいます。 また、謝罪で「ご容赦」を使う場合は、

  • 平にご容赦ください
  • あしからずご容赦くださいますようお願い申し上げます
  • ご容赦くださいますよう伏してお願いいたします
  • ご容赦いただければ幸いです
  • ご容赦賜りますよう何卒お願い申し上げます

などのより丁寧な表現を使うようにしましょう。 「あしからず」は「相手の意向や希望に添えずに申し訳ないという気持ちを表す語」です。 「くださいますよう」は「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語の「ます」、婉曲表現の「よう」を使った依頼表現で、「くれるよう〜」という断定を避けた柔らかい依頼表現です。 「伏して(ふして)」は「切に願うさま、つつしんで」と相手にへりくだって頼み込む様子を表します。

「ご容赦いただけないでしょうか」の例文

「ご容赦いただけないでしょうか」の例文

  • 悪天候によりプログラムを変更いたしますことをご容赦いただけないでしょうか。
  • 状況によっては開始時間が遅れる可能性があることをご容赦いただけないでしょうか。
  • ご不便をおかけしますが、ご容赦いただけないでしょうか。

類似表現との違い

「ご容赦いただけますか」も正しい

「ご容赦いただけますか」も正しい敬語表現です。 「ご容赦いただけますか」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた正しい敬語表現です。 「ご容赦いただけますか」と「ご容赦いただけないでしょうか」の丁寧の度合いは同じですが、「ご容赦いただけますか」も正しい敬語表現です。 「ご容赦いただけますか」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた正しい敬語表現です。 「ご容赦いただけますか」と「ご容赦いただけないでしょうか」の丁寧の度合いは同じですが、婉曲表現の「だろう」の丁寧語「でしょう」を使っている「ご容赦いただけないでしょうか」のほうが、控えめで謙虚な響きがあります。

「ご容赦いただけますでしょうか」との違い

「ご容赦いただけますでしょうか」の意味は、「容赦してもらえるだろうか」です。 「ご容赦いただけますでしょうか」は、品詞分解すると「ご」+「容赦」+「いただく」+「ます」+「でしょう」+「か」となります。 「容赦」についている「ご」は、尊敬を表す接頭辞です。 「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。 「ます」は、丁寧語です。 「でしょう」は、推量を表す「だろう」の丁寧語です。 「か」は、疑問の終助詞です。 「ご容赦いただけないでしょうか」と「ご容赦いただけますでしょうか」は、どちらも尊敬語と謙譲語、丁寧語を使った敬語表現なので敬意の度合いに違いはありません。 しかし、「ご容赦いただけますでしょうか」が「容赦してもらえるだろうか」という意味で、「ご容赦いただけないでしょうか」は「容赦してもらえないだろうか」という意味なので、意味合い的には「ご容赦いただけないでしょうか」のほうが謙虚で控えめな響きが強いです。

「ご容赦いただけませんでしょうか」はクドい

「ご容赦いただけませんでしょうか」は、品詞分解すると「ご」+「容赦」+「いただく」+「ません」+「でしょう」+「か」となります。 「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。 「ご〜いただく」で一つの謙譲表現と解釈する場合もあります。 「ません」は、丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」をつけています。 「でしょう」は、推量を表す「だろう」の丁寧語です。 「か」は、疑問の終助詞です。 「ご容赦いただけませんでしょうか」は、「ご容赦いただけないでしょうか」の「ない」を丁寧語「ません」にしているので、「ご容赦いただけませんでしょうか」のほうが丁寧な敬語表現です。 しかし、クドいので「ご容赦いただないでしょうか」を使う人が多いです。

「ご容赦いただきますでしょうか」は間違い

「ご容赦いただきますでしょうか」は、間違いです。 「ご容赦いただきますでしょうか」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」の連用形「いただけ」と、丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 丁寧語「ます」に接続するときは、連用形になる決まりがあるので、「いただきますでしょうか」でも文法上は問題ありません。 しかし、「ご容赦いただきますでしょうか」では、「容赦してもらうだろうか」という意味になるので仮定のニュアンスがなくなって一方的になってしまいますし、不自然な日本語です。

「ご容赦いただけないでしょうか」の敬語の言い換え

ご容赦ください

「ご容赦ください」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ご容赦くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。

ご容赦願います

「ご容赦願います」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご容赦願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。

ご容赦いただけると幸いです

「ご容赦いただけると幸いです」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」と「もらうと」の謙譲語「いただけると」と、「幸い」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「幸いです」は、そうしてもらえれると幸せですという気持ちを表します。 よって「ご容赦いただけると幸いです」は、「容赦してもらえると嬉しい」という意味の丁寧な表現になります。 「ご容赦いただけますと幸いです」としても意味は同じですが、より丁寧になります。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「ご容赦いいただければ幸いです」とすると仮定のニュアンスが加わり柔らかい表現になります。 「いただければ〜」の「れば」は仮定を表し、「してもらえれば嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 また、「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現です。

ご容赦いただきたく存じます

「ご容赦いただきたく存じます」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と思うの丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご容赦いただきたく存じます」で、「容赦してもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご容赦いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述したように「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。

ご容赦のほどよろしくお願いいたします

「ご容赦のほど」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、断定を避ける表現の「ほど」を使った敬語表現です。 「〜のほど」を用いることで相手に強制することなくお願いをすることができます。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、漢字にはしません。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 そこから転じて断定を避ける表現として用いられています。 このように、本来の意味とは違う使い方をする場合は、漢字ではなくひらがな表記にします。

ご容赦くださいますようお願い申し上げます

「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」は、「容赦してくれるようお願いする」という意味です。 「ご容赦くださいますよう」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」も補助動詞なので、本来は「お願いもうしあげます」と書くのが正しいですが、慣例的に「お願い申し上げます」と漢字で書くことが多いです。 「ご容赦くださいますよう〜」は「ご容赦いただきますよう」と言い換えることもできます。 「ご容赦いただきますよう」は、「容赦してもらうよう」という意味です。 「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。

ご容赦賜りますようお願い申し上げます

「ご容赦賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧な依頼表現です。 「賜りますよう」は、「もらう」の謙譲語に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「ご容赦賜りますようお願い申し上げます」で、「容赦してもらうようお願いします」という意味になり、丁寧にお願いをすることができます。 ちなみに、「賜れますよう」は誤用です。 「賜れますよう」の「れ」は助動詞「れる」の連用形です。 助動詞「れる」の意味は主に尊敬・可能で使います。 「賜る」が、敬語なので敬語の助動詞を使うのは不適切です。 「れる」が可能の意味ならば「してもらうことができますように・・・」という意味になります。 無理矢理、可能の意味で捉えることもできますが、このような使い方は一般的ではりません。

「ご容赦」を使ったビジネスメール

問い合わせにすぐに答えられないとき

【件名】 お問い合わせ頂いた件について 【本文】 株式会社お飲み物 営業部相澤様 この度は、弊社製品についてお問い合わせいただきありがとうございます。 お飲み物サポート担当の八百万と申します。 ご質問いただいた弊社製品「○○○」に含まれている成分についてですが、只今担当者が不在にしておりますので、担当者が戻り次第改めてご連絡いたします。 お待たせしてしまい大変恐縮ですが、お時間いただきますことをご容赦ください。 よろしくお願い申し上げます。 八百万

営業の断り

【件名】 新商品取り扱いについて 【本文】 サシスセソ株式会社 営業部綾瀬様 いつもお世話になっております。 株式会社SYATYOUの南です。 標題の件ですが、9月5日付けでご送付いただきました資料、確かに拝受いたしました。 新商品取り扱いのご提案をいただきまして、誠にありがたく光栄に存じます。 早速社内で検討させていだきましたところ、今回は誠に残念ではございますが、貴意に添いかねる結論となりました。 弊社は現在、経費の見直しを図っておりまして、社内で使う製品については現状維持という方向で動いております。 せっかくのお申し出にお応えすることができず誠に申し訳ございませんが、ご容赦いただければ幸いです。 今後とも末長いお付き合いを何卒よろしくお願い申し上げます。 南

メールの行き違い

【件名】 入金のご確認 【本文】 ハイホー株式会社  灰谷千鶴子様 いつも大変お世話になっております。 株式会社コビトの松野です。 9月末に8月ご利用分の請求書をお送りいたしましたが、ご確認いただいておりますでしょうか? 10月15日がお支払い期限となっておりましたが、本日10時現在、入金の確認がとれておりません。 お忙しい中お手数をおかけしますが、ご確認のうえ本日中にご対応いただければ幸いです。 なお、本メールと行き違いでご入金いただいていた場合は、失礼をご容赦くださいますようお願い申し上げます。 松野

事前に断りを入れる

【件名】 エレベーター点検のお知らせ 【本文】 株式会社HANATABA 各位 標題の件につきまして、下記の通り実地いたしますのでお知らせいたします。 日時:令和3年9月16日(木) 午前11:00〜12:00頃まで 点検中、エレベーターはご使用になれません。 ご不便をおかけしますが、何卒ご容赦いただきたく存じます。 よろしくお願い申し上げます。 株式会社エレベーター  担当 点検課 伊藤忠司 TEL 045-123-456

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【件名】 営業時間変更のお知らせ 【本文】 株式会社アイウエオ 芦戸真那様 いつもお世話になっております。 株式会社タチツテトの営業部桐島です。 このたびは、弊社営業時間変更のご連絡でメールをいたしました。 弊社営業時間(平日9:00〜19:00)につきまして、以下の通り変更いたします。 〈変更後の営業時間〉 平日8:00〜18:00 〈対象店舗〉 平塚店 藤沢駅前通り店 平戸店 緑谷駅東口店 ご迷惑をおかけしますが、ご容赦賜りますようお願い申し上げます。 桐島

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