「拝読させていただきました」は「読ませてもらった」という意味の敬語表現です。今回は「拝読させていただきました」の意味や、敬語、使い方、注意点などを解説します。
「拝読させていただきました」は「はいどくさせていただきました」と読みます。 「拝読させてもらった」の意味は「読ませてもらった」です。 「拝読」には「謹んで読むこと」という意味があります。 「させていただきました」の意味は「させてもらった」です。
「拝読させていただきました」は品詞分解すると「拝読」+「させていただく」+「ます」+「た」となります。 「拝読」は「読むこと」の謙譲語です。 自分の動作をへりくだり相手に敬意を示します。 「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「た」は過去を表す助動詞です。 「拝読させていただきました」は、謙譲語を二つ使用していますが二重敬語ではありません。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を重ねて使用してしまうことをいいます。 「拝読」は「読むこと」を謙譲語にしていて、「させていただく」は「させてもらう」を謙譲語にしています。 よって、この場合は別の語を謙譲語にしているため二重敬語ではなく正しい敬語表現です。 目上の人に対して使うことができます。
「拝読させていただきました」は、「読みました」の丁寧な表現のつもりで使うと、誤用になってしまうので注意が必要です。 「させていただく」を使用する場合は、
の2つの条件が必要です。 「拝読させていただきました」の場合、例えば上司が別の人に送った資料などを自分も読ませてもらう場面などであれば正しい使い方です。 しかし、上司から自分に送られてきたメールの返信などで使うと、読むことに対して許可を得るわけではないので不自然です。 自分が読むことをへりくだった丁寧な敬語表現として使われることもありますが、慇懃無礼(いんぎんぶれい)だと感じる人もいるので注意しましょう。
「拝読」は、その読み物を書いた本人に対して敬意を示す表現です。 例えば上司からのメールを「拝読しました」と言った場合、メールを作成した上司に敬意を示すことができます。 したがって、上司に対して自分の部下から送られてきたメールを読んだことを伝えるときに「拝読しました」を使ってしまうと、上司ではなく部下に敬意を示していることになるので誤りです。 この場合は、「メールを確認いたしました」などが正しいです。
「拝読しました」「拝読いたしました」も読んだことを伝える正しい敬語表現です。 「拝読しました」は「拝読」に「する」の連用形「し」と、丁寧語「ます」、過去を表す助動詞「た」をつけた正しい敬語表現です。 「拝読しました」を「拝読いたしました」とするとより丁寧な敬語表現になります。 「拝読いたしました」は「拝読」に「する」の丁重語「いたす」と丁寧語「ます」、過去を表す助動詞「た」をつけています。 丁重語は謙譲語Ⅱともいわれ、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示という点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは異なり聞き手・読み手に敬意を示します。 単に「読みました」の丁寧な表現にするなら、「拝読しました」「拝読いたしました」が適しています。
「拝読」に接頭辞の「ご」をつけて「ご拝読させていただきました」「ご拝読しました」「ご拝読いたしました」としてしまうのは、誤りです。 接頭辞「ご(お)」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合は、自分の動作に対して使っているので謙譲語です。 したがって、謙譲語の「拝読」にさらに謙譲語の接頭辞「ご」をつけているので二重敬語になってしまいます。 丁寧にしているつもりでも、二重敬語は慇懃無礼なので注意してください。
「読んでもらう」という意味で「拝読していただく」などと使うのも誤りです。 「拝読」は上述しているように「読むこと」の謙譲語です。 謙譲語は自分の動作をへりくだる敬語であり、相手の動作に対して使うことはできません。 相手の動作に対して使うのであれば「ご覧いただく」などと言い換えるのが正しいです。 「ご覧」は「見ること」の尊敬語なので、相手の動作を高めて敬意を示すことができます。
「拝読させていただきました」は、許可が必要のない場合でも、自分が読んだことをへりくだった謙虚な表現として使われることが多いです。 しかし、本来は相手の許可を得て相手が書いたものを読んだときに使います。 例えば、参考資料として上司が以前書いた報告書を許可を得て読ませてもらったときなどです。
例文
「拝見」は「はいけん」と読みます。 「拝見」は「見ること」の謙譲語です。 「拝読」と「拝見」はどちらも謙譲語ですが、意味が違います。 「拝読」は自分が読むことをへりくだるときに使い、「拝見」は自分が見ることをへりくだるときに使います。 例えば映画などの映像など、あきらかに「読む」とは言わない場合は「拝見」を使用します。 メールや資料を対象とするときなど、「読む」「見る」のどちらも使っても不自然でない場合は、どちらを使っても差支えありません。
例文
「お読み」は「およみ」と読みます。 「読む」に接頭辞「お」をつけた言葉です。 「拝読」は「読むこと」の謙譲語なので、意味は同じです。 しかし「読む」は敬語ではないので、目上の人に対して使う場合は接頭辞をつける必要があります。 例えば、読んだことを伝える場合には「お読みいたしました」などと使います。
「拝誦」は「はいしょう」と読みます。 「拝誦」は「読むこと」の謙譲語です。 「拝読」も「読むこと」の謙譲語なので、「拝誦」と言い換えることができます。
「拝受」は「はいじゅ」と読みます。 「拝受」は「受け取ること」の謙譲語です。 「拝受」には「読む」という意味はありませんが、メールの返信で「拝受いたしました」などと使うことができます。