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「井の中の蛙大海を知らず」の意味と使い方、由来の原文、四字熟語、類語、英語を例文つきで解説

「井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかをしらず)」の意味は「狭い見識にとらわれていること」です。自分の持っている見識だけで何でも推し量ってしまう浅はかさを、大きな海を知らない井戸の中の蛙に例えて言い表しことわざで、略して「井の中の蛙」ともいわれます。「鍵の穴から天覗く」などが類語です。

「井の中の蛙大海を知らず」の意味

読み方は「いのなかのかわずたいかいをしらず」

「井の中の蛙大海を知らず」は「いのなかのかわずたいかいをしらず」と読みます。 「かわず」は「かえる」とも読むこともできます。 「蛙」は日常語として使用するときは「かえる」、歌語として使用するときは「かわず」と使い分けられてきましたが、「いのなかのかえるたいかいをしらず」と読んでも間違いではありません。

意味は「狭い見識にとらわれていること」

「井の中の蛙大海を知らず」の意味は、「狭い見識にとらわれていること」です。 見識が狭いことや、自分の持っている見識だけで何でも推し量ってしまう浅はかさを、大きな海を知らない井戸の中の蛙に例えて言い表した言葉です。 「井の中」は「井戸の中」という意味で、「大海」は「大きな海」という意味です。 よって、「井の中の蛙大海を知らず」は「井戸の中の蛙は大きな海を知らない」という意味になります。

例文

例文

  • 彼女はいつも得意の自説を語っているが井の中の蛙大海を知らずだ。
  • 自分の専門分野だけにこだわっていると井の中の蛙大海を知らずになりがちである。
  • 井の中の蛙大海を知らずとならないように、色々な人の意見を聞きたい。

「井の中の蛙大海を知らず」の誤用に注意

「大海」を「大人物」の意味で使うのは誤り

「蛙」を小人物、「大海」と大人物(偉大な人)という意味で認識し、「過去に成功した大物には、これから活躍する我々の大望はとても理解できないだろう」という意味で使用するのは誤用です。 あくまでも「蛙」は「かえる」のことであり、「大海」は「大きな海」のことです。 ちなみに、「小人物には大人物の気持ちや考えはわからない」という意味のことわざは「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうのここざしをしらんや)」です。 「燕雀(えんじゃく)」は、つばめとすずめのことで小人物の例えです。 「鴻鵠(こうこく)」は、オオハクチョウのような大きい鳥のことで、大人物の例えです。

「池の中の蛙大海を知らず」も誤り

「池の中の蛙大海を知らず」も誤用です。 「池」も海ほど広くないので「池の中の蛙」でも意味が通じてしまいそうな気もしますが、「池の中の蛙大海を知らず」ということわざはありません。 「池の中」ではなく「井の中(井戸の中)」なので注意しましょう。

「井の中の蛙大海を知らず」の由来と原文

『荘子』が由来

「井の中の蛙大海を知らず」の由来は、中国戦国時代の思想家「荘子(そうし)」が書いた古典「荘子(そうじ)」であると言われています。 「荘子」には、

原文 「井蛙不可以語於海者、拘於虚也。」 訳:「井蛙は以て海を語るべからざるは、虚に拘ればなり所にとらわれているから」

という一文ががあります。 蛙に海を話をしても通じないのは、蛙が井戸という狭い所にとらわれているからということが書いてあります。これをさらに簡潔に言い表したものが「井蛙(せいあ)は以て海を語るべからず」です。 これが語源となって「井の中の蛙大海を知らず」ということわざが生まれました。

続き「されど空の蒼さを知る」は嘘?

「されど空の蒼さを知る」は「井の中の蛙大海を知らず」の続きであると言われています。 「井の中の蛙大海を知らず、されど空の蒼さを知る」は、「井戸の中の蛙は広い海を知らないが、井戸から見える空の蒼さを知っている」という意味です。 「長くその場にいるからこそ、見えてくることもある」という意味の例えで、「されど空の蒼さを知る」と後ろに続けることでポジティブな意味になります。 ただし、上述した「荘子」の原文には「されど空の蒼さを知る」という言葉はありません。 中国から日本に伝わってきたあとに付け加えられたものだと考えられています。 「されど空の蒼さを知る」の他にも

  • されど空の高きを知る
  • されど地の深さを知る
  • ただ天の広さを知る

などを付け加えて使用されることがあります。

「井の中の蛙大海を知らず」の略

略して「井の中の蛙」

「井の中の蛙大海を知らず」を略した「井の中の蛙」という形で使用されることもあります。 「〜は井の中の蛙だ」と略して使用しても意味は変わりません。

別の言い方は「井底の蛙」「井蛙」とも

「井の中の蛙大海を知らず」の別の言い方には「井底の蛙(せいていのあ)」、「井蛙(せいあ)」があります。 「井底」は「井戸の底」という意味で「狭い世界」のたとえでもあります。 よって「井底の蛙」は「狭い世界にいる蛙」という意味なので、「井の中の蛙大海を知らず」と同義になります。 「井蛙」は「井戸の中の蛙」という意味です。 「井戸の中」という意味の言葉には「井の内(いのうち)」もあり、「井の内(うち)の蛙大海を知らず」ということもできます。

四字熟語は「坎井之蛙」「井中之蛙」「井蛙之見」

「坎井之蛙」は「かんせいのあ」と読みます。 「坎井」は「壊れた古い井戸」という意味です。 よって「坎井之蛙」は「壊れた古い井戸の中の蛙」という意味で、「井の中の蛙大海を知らず」と同義になります。 「井中之蛙」は「せいちゅうのあ」と読みます。 「井中」は「井戸の中」という意味なので、「井中之蛙」は「井戸の中の蛙」という意味です。 「井の中の蛙」と同様に、狭い見識しかないことを言い表す四字熟語です。 「井蛙之見」は「せいあのけん」と読みます。 「井蛙」は「井戸の中にいる蛙」という意味で、「井蛙之見」で「井の中の蛙大海を知らず」です。

その他「世間知らず」「ガラパゴス」

その他の類語には「世間知らず」「ガラパコス」があります。 「世間知らず」は「見聞が狭く、世間の事情を知らないこと」です。 また、「世間知らず」は「何分にも世間知らずですが〜」というように自分や自分の子供などの見聞の狭さを謙遜して使用することもあります。 「見聞が狭いこと」を言い表す言葉なので、「井の中の蛙大海を知らず」と同義です。 「ガラパゴス」はビジネス用語で、「孤立した環境で製品やサービスの最適化が進化すると、外部の製品との交換性を失って取り残されてしまうだけではなく最終的に排除されてしまう危機に陥る」という意味です。 進化論におけるガラパコス諸島になぞらえた言葉で、「狭い世界・狭い見識だけで進化させていくのは危ない」という警句です。

「井の中の蛙大海を知らず」の類義語

慣用句なら「鍵の穴から天覗く」「葦の髄から天井を覗く」

慣用句であれば「鍵の穴のから天を覗く」「葦の髄から天井を覗く」が類語になります。 「鍵の穴から天を覗く」は「かぎあなからてんをのぞく」とよみます。 「鍵の穴から天を覗く」は「狭い見解で大きな問題を考える」という意味です。 「狭い見解」という意味があるので「井のなかの蛙大海を知らず」の類語になります。 ただし、「井の中の蛙大海を知らず」は見識が狭いことを言い表す言葉ではありますが、「大きな問題を考える」という意味合いはありません。 「葦の髄から天井を覗く」は「よしのずいからてんじょうをのぞく」と読みます。 「葦の髄から天井を覗く」は「葦の細い管を通して天井を見ても、全体を見渡すことができない」という意味で、「自分だけの狭い見識をもって広大な世界を判断しようとする様」を例えた言葉です。 「井の中の蛙大海を知らず」も、「狭い見識にとらわれ、他に広い世界があることを知らずにいること」なので類語であるといえます。

四字熟語なら「夏虫疑氷」「管窺蠡測」「区聞陬見」

「四字熟語」なら、「夏虫疑氷」「管窺蠡測」「区聞陬見」などが類語です。 「夏虫疑氷」は「かちゅうひぎょう」と読みます。 「夏の虫は氷を知らない」という意味で、見聞の狭い人は広い世界を知らないということを例えた四字熟語です。 「管窺蠡測」は「かんきれいそく」と読みます。 「管窺蠡測」は、「見識が非常に狭いこと」という意味です。 「管を通して空を見ること」という意味の「管窺」と「ほら貝の貝殻で海の水の量を計る」という意味の熟語を組み合わせた四字熟語です。 「管蠡」と略して使用されることもあります。 「区聞陬見」は「くぶんすうけん」と読みます。 「区聞陬見」の意味は「学問や見識が極めて狭く偏っていること」です。 「区」は「小さい」、「聞」は「見識」、「陬」は「かたよる」、「見」は「見識」という意味です。 「区聞陬見」は、自分の学問や見識を謙遜する意味で使用されることもあります。 その他にも、見識が狭いことを言い表す四字熟語には、

  • 甕裡醯鶏(おうりけいけい)
  • 尺沢之鯢(せきたくのげい)
  • 遼東之豕(りょうとうのいのこ)

などがあります。

「井の中の蛙大海を知らず」の英語

「井の中の蛙大海を知らず」は中国語のことわざとして英語圏では知られています。 下記のように英訳されます。

The frog in the well doesn't know the ocean.

The frog in the well knows nothing of the sea.

まとめ

「井の中の蛙大海を知らず」とは「自分が持っている狭い知識だけで何でも推測することの浅はかさ」をうたったことわざです。 「井」とは「井戸」のことで、「井戸の中にいるカエルが広い海を知らない」ことにかけています。

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