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「一石を投じる」の意味と使い方、類語、四字熟語、英語を例文つきで解説

「一石を投じる(いっせきをとうじる)」の意味は「反響を呼ぶ問題を投げかける」です。よい意味でも悪い意味でも使います。投じられることが大規模であったり、特に何の影響も与えていないという場合には使用することはできないので注意しましょう。

「一石を投じる」とは

「一石を投じる」の読み方は「いっせきをとうじる」

「一石を投じる」の読み方は「いっせきをとうじる」と読みます。 「一」は音読みで「イチ」、「石」は音読みで「セキ」、「投」は音読みで「トウ」と読みます。 「一石を投じる」は「一石を投ずる」ともいいます。 「一石を投ずる」は「一石を投じる」の文語的表現です。

「一石を投じる」の意味は「反響を呼ぶ問題を投げかける」

「一石を投じる」の意味は「反響を呼ぶ問題を投げかける」です。 「石」は体積の単位でもありますが、「一石を投じる」の「一石」はそれに当たりません。ちなみに「石」が単位の場合は「こく」と読みます。 「一石」は文字通り、一つの石のことです。 由来は、小さな一つの石でも水の中に投げると、水面に大きな波紋が広がる様子です。 つまり、投げかけられることは小さくても、それが徐々に広がっていき、社会的に大きなインパクトになるという意味合いで使います。

「波紋を投じる」は避けて「波紋を呼ぶ」

「波紋を投じる」は避けるべき表現です。 「波紋を呼ぶ」と「一石を投じる」を混合してうまれた表現だと言われています。 「波紋を投じる」は、「一石を投じる」結果として生じる「波紋」を目的語にとった言い方です。 言葉の理論としては「波紋を投じる」は誤用とはいえず、認める辞書もあります。 しかし、誤用とする言語学者もおり、新聞や公的文章では使用されません。 「波紋を投じる」といいたいのであれば、「波紋を呼ぶ」「波紋を広げる」「波紋を起こす」と言い換えるのが無難です。 ちなみに「一石を投じる」と「波紋を呼ぶ」は微妙にニュアンスが違います。 「波紋を呼ぶ」は「ある物事がきっかけとなって周囲に次々と影響を及ぼすこと」です。 「一石を投じる」は「反響を呼ぶ問題を投げかけること」ですが、「波紋を呼ぶ」は、周囲に影響を与えようと意図しなくても思いがけず大きな影響を与えてしまったというような場合も含みます。

「一石を投じる」の使い方と例文

よい意味でも悪い意味でも使う

「一石を投じる」は、反響を呼ぶような問題を投げかけることを指します。 ある言動が社会や組織によい影響を及ぼす、悪い影響を及ぼす、賛否両論を巻き起こす、どの意味でも使うことができます。 同じ業界や産業の中でも、その反響によって恩恵を受ける人もいれば、損する人もいますので、同時に複数の意味を持つこともあります。 「〜に一石を投じる」の形でよく使います。

「一石を投じる」の例文

  • その論文は宇宙の歴史に変革の一石を投じた。
  • その一件以降、法改正について議論されるようになったので一石を投じたと言える。
  • この提案で労働環境改善の一石を投じたい。
  • 今の学生の在り方について一石を投じた問題作。
  • 外出禁止令は外食産業に一石を投じることになった。

一石に破壊力をもたせて使うは誤り

「一石」というくらいなので、起こす行動は小さいことを指します。 大規模なことを仕掛けるときに「一石を投じる」と使うのは不自然です。 例えば、☓「巨額出資という一石を投じて、産業を盛り上げる」は不適切です。 また、「石」というイメージに引っ張られて「一石」に破壊力をもたせて使うのは誤りなので注意しましょう。 例えば、☓「必殺の一石を投じて、近隣店舗を閉店させた」という使い方はできません。 「一石」が投じられても、結果的に世間や業界でたいして話題にならなければ使うこともできないので注意しましょう。 例えば「一石を投じてみたが、何も起きなかった」などという使い方はできません。

「一石を投じる」の類語

問題提起

「問題提起」は「もんだいていき」と読みます。 「問題提起」の意味は「問題や課題を投げかけること」です。 問題や課題を認識してほしいという場合に使用する四字熟語です。 論文などでも使用されるかしこまった言葉です。

物議を醸す

「物議を醸す」は「ぶつぎをかもす」と読みます。 「物議を醸す」の意味は「世間の議論を引き起こす」です。 「物議」は「世間に取りざた、うわさ」、「醸す」は「生み出す」という意味です。 影響を及ぼすという意味では「一石を投じる」と類語であるといえます。 ただし、「物議を醸す」は、例えば失言が原因となって問題視されるなどネガティブな事に対して使用されることが多いです。 「物議を呼ぶ」は「議論を呼ぶ」「話題を呼ぶ」と混同した誤用なので注意しましょう。 「議論を醸す」も誤用です。 また、「醸す」を「醸し出す」とすると「ある気分や感じをそれとなく作り出す」という意味になってしまうので「物議を醸し出す」も誤用です。

センセーショナル

「センセーショナル」の意味は「人の興味や関心を強く惹く様子」となります。 人々の感情を煽ったり、世間を騒がせたりするさまを表します。 影響を与えるという意味では「一石を投じる」と同義です。 「センセーショナル」が単語と組み合わさって使用する言葉です。 例えば、「センセーショナルな事件」「センセーショナルな話題」という使い方です。 また、「センセーショナルな人」などと人物に対しても使うこともできます。

示唆に富む

「示唆に富む」は「しさにとむ」と読みます。 「示唆に富む」の意味は「教えられることが多い」「考えさせられる」です。 「示唆」は「それとなく教え示す」、「富む」は「多くある」という意味です。 例えば「示唆に富む話」という使い方をします。 「示唆に富む話」は、ためになることや勉強になることが多い話という意味になります。 「教えられるところを多く含む」という意味なので、「影響を与える」という意味の「一石を投じる」とはニュアンスが異なります。

突き付ける

「突きつける」は「つきつける」と読みます。 「突きつける」の意味は

  • 相手の体を突くようにして荒々しく差し出す
  • 強い態度で相手に差し出す

です。 問題となっていることを提示するということを言い表すときに「突きつける」を使用することもできます。 ただし、「相手に拒む余地を与えずに」というニュアンスがあるので「一石を投じる」よりも脅威的な意味になります。

風穴を開ける

「風穴を開ける」は「かざあなをあける」と読みます。 「風穴を開ける」の意味は「閉ざされた状況にある組織などに新風を吹き込む」です。 槍や銃で銅を貫くような穴をあけるということから転じて、組織全体に危機感を与えたり、新しい風を入れるという意味で使用されるようになりました。

「一石を投じる」の対義語

棚上げ

「棚上げ」は「たなあげ」と読みます。 「棚上げ」の意味は「問題の解決や処理を保留にしておくこと」です。 形の上では考慮・経緯を払いながら、実際上は無視することをいいます。 「一石を投じる」は、問題を投げかけることなので「棚上げ」は対義語になります。

店晒し

「店晒し」は「たなざらし」とよみます。 「店晒し」の意味は「未解決・未処理の問題が、いつまでも放置されていること」です。 一旦は検討の対象として取り上げられたものの、結局うやむやになってしまうことに対しても使用される言葉です。

塩漬け

「塩漬け」は「しおづけ」と読みます。 「塩漬け」は、食べ物を腐らないように、また味をつけるために、塩に漬けておいておくことです。 俗に、買った株券を高くなるまで長く持ち続けるという意味で使用されます。 「そのままにしておいておく」という意味で「一石を投じる」の対義語になります。

「一石を投じる」の英語

raise questions about

「一石を投じる」に最も近い英語表現は「raise questions about...」です。 「...に疑問を投げかける」という意味です。 この表現は、間違ったことを正すというニュアンスがあります。

Her paper raised questions about the prevailing view.

彼女の論文は広く普及した考え方に一石を投じた。

cause controversy over

「一石を投じる」は「controversy」という英単語で表現可能です。 「controversy」は「賛否両論」という意味です。 形容詞は「controversial」です。 「cause controversy over...」で「...に関して賛否両論を呼び起こす」という意味になります。 「賛否両論」という和訳からもわかるように、ポジティブ・ネガティブ両方の反響を呼ぶニュアンスです。

The policy has caused controversy over the medical use of drugs.

その政策はドラッグの医学的利用に関して一石を投じた。

まとめ

「一石を投じる(いっせきをとうじる)」の意味は「反響を呼ぶ問題を投げかける」です。 小さな一つの石でも水の中に投げると、水面に大きな波紋が広がるのが由来です。 投げかけられることは小さいのに、それが徐々に広がっていき社会的に大きなインパクトになるという意味で使います。

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