「辞退(じたい)」の正しい意味と使い方をご存知でしょうか。「辞退」は相手からの依頼などを断る場面で使われる言葉です。今回は「辞退」の意味と使い方を、類語や対義語などと合わせて紹介します。ぜひ参考にしてください。
「辞退」の読み方は、「じたい」です。 「辞退」の意味は、「他人の勧めや与えられた権利などを受け入れられないとして引き下がること」です。 「辞」は「やめる。ことわる。しりぞく」という意味があります。 「退」は「しりぞく。ひきさがる」という意味があります。 この同じ意味合いのある言葉を組み合わせることで、他人の勧めや権利などを自分にはふさわしくないとして断るという意味の熟語になります。
「辞退」は、自分にとって光栄なことや利益になるすすめや依頼などに何らかの理由で応じれない場合に使われます。 例えば、試合の出場を怪我などの理由により断るというときに「試合の出場を辞退する」「試合の出場を辞退させてもらう」などと使います。 また、就職活動における面接や内定、ビジネスシーンでの昇進、その他授与を自分にはふわさしくないとして断る場合にも多く使われます。 例えば「申し訳ありませんが、今回は面接を辞退します」などと使います。 「辞退」は敬語表現ではありませんが、「謙遜し遠慮している」意味合いがあるため、目上の人に「辞退します」と使っても問題はありません。 「辞退」は、接頭辞の「ご」をつけて「ご辞退」とすると敬語表現になります。 接頭辞の「ご(お)」の敬語は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなります。 この場合の接頭辞「ご」は、自分が辞退することをへりくだって相手に敬意を示すためにつけるので謙譲語になります。 目上の人に対して辞退する意向を伝えるときは、
とするとより丁寧です。
「辞退」の例文
「棄権」は「きけん」と読みます。 「棄権」の意味は「自分の意思で権利を放棄すること」です。 特に、選挙権を行使しないことをいいます。 例えば「彼はマラソンを途中棄権した」「棄権票を投じる」などと使います。 「棄権」は放棄するという意味であり、「辞退」のように謙遜してというニュアンスはありません。
「謝絶」は「しゃぜつ」と読みます。 「謝絶」の意味は「辞退して断ること」です。 相手の申し出に対して、都合が悪いからといって断ることをいいます。 例えば、「感染症予防のため面会を謝絶する」などと使います。 「謝絶」は丁寧かつきっぱりと断ることができる言葉です。
「拝辞」は「はいじ」と読みます。 「拝辞」は「辞退すること」の謙譲語です。 「引き下がる」という自分の行為をへりくだり相手に敬意を示すことができる表現です。 例えば「身体面での懸念があり、恐縮ながら拝辞させていただきます」などと使います。 ただし、古風な言い方なのであまり使われない表現です。 上位の相手や権威のある相手に対して使われることが多いです。
「固辞」は「こじ」と読みます。 「固辞」の意味は「かたく辞退すること」です。 どんなことが有っても受けるわけにはいかないという強い意思で辞退することをいいます。 例えば「監督就任の申し出を固辞する」などと使います。 これは、監督になってほしいという依頼を頑なに断るという意味です。 「固辞」は絶対にやらないという強い意思がある場合に使われます。 「辞退」のように謙遜して引き下がるという意味合いはありません。
願い下げ」は「ねがいさげ」と読みます。 「願い下げ」の意味は
です。 一つ目の「一度願い出たことを自分から取り下げること」という意味では、特に願書・訴訟などを引っ込めることをいいます。 例えば「訴訟を願い下げて示談にする」などと使います。 二つ目の「頼まれても断ること」という意味では、例えば「そんな依頼は願い下げだ」などと使います。 すすめや依頼などに応じないという意味では「辞退」と共通していますが、「願い下げ」は自分にとって不利益になったり、迷惑に感じたりする依頼に応じない気持ちや態度を表します。
「御免」は「ごめん」と読みます。 「御免」は、「拒否・拒絶の気持ちを表す語」です。 「御免」は「拒否」の丁寧語として使われます。 例えば、「サービス残業は御免だ」などと使います。 上述した「願い下げ」に比べてその気持が非常に強い場合に用いられることが多いです。
「拒否」は「きょひ」と読みます。 「拒否」の意味は「相手の要求・提案などを受け入れないで断ること」です。 「拒否」は、相手の願いや要求を強い態度でいやだといって承諾しないことを表します。 例えば「彼は、連絡先を教えることを拒否した」などと使います。 「辞退」のように謙遜し引き下がるという意味合いはなく、目上の人に直接「拒否します」などと言ってしまうと失礼になる場合があるので注意しましょう。
「承諾」は「しょうだく」と読みます。 「承諾」の意味は「相手の依頼・要求などを了解して、受け入れること」です。 相手から頼まれたり説得されたりして、承知したと引き受けることをいいます。 例えば「取引先からの依頼を承諾する」などと使います。
「快諾」は「かいだく」と読みます。 「快諾」の意味は「気持ちよく承諾すること」です。 相手の申し出(申し込み)を、「はい承知しました」と言って、その場で引き受けることをいいます。 例えば「管理人はこの場所を使用することを快諾してくれた」などと使います。
「志願」は「しがん」と読みます。 「志願」の意味は「自分から望んで願い出ること」です。 あることを、自ら進んで望み願うこと、また願い出ることをいいます。 例えば「海軍への入隊を志願する」などと使います。