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「掛かる」「懸かる」「架かる」「係る」の違いと使い分け

「掛かる(かかる)」の意味はひっかけられたり掲げられたりして落下が食い止められた状態であること、「懸かる(かかる)」の意味は宙吊りになってぶら下がった状態であること、「架かる(かかる)」の意味は片方から他方へまたくように渡すこと、「係る(かかる)」の意味は物事に関係することです。「掛かる」が最も広く一般的に使われます。

「掛かる」「懸かる」「架かる」「係る」の違い

掛かる(かかる)
ひっかけられたり掲げられたりして、落下が食い止められた状態であること。
懸かる(かかる)
①宙吊りになってぶら下がった状態であること。 ②心が落ちつかないこと。
架かる(かかる)
片方から他方へまたぐように渡すこと。
係る(かかる)
物事に関係すること。

「掛かる」の意味は、止められたりひっかけられたり掲げられたりして、落下が食い止められた状態にあることです。 例えば「フックにカバンを掛ける」「壁に掛かる絵画」などと使います。 転じて、作用や影響が及ぶ・装置が動いて機能が働く・液状または粉末状のものが身体の一部に浴びせられるなどの意味で使うこともできます。 「懸かる」の意味は、二つあります。 一つ目は、宙吊りになってぶらさがるです。例えば「電柱に飛来物が懸かる」などと使います。 二つ目は、物事が決着をみず、心が落ち着かないことです。例えば「彼の言葉が気に懸かる」などと使います。 「架かる」の意味は、片方から他方へまたぐように渡されるです。例えば「川をわたるための橋が架る」などと使います。 「係る」の意味は、物事に関係するです。例えば「建設に係る」「健康問題に係る」などと使います。 「掛かる」が最も意味が広く、「かかる」の漢字はすべて「掛かる」でまかなうことが可能です。 「懸かる」は、宙吊りになってぶらさがる・心にかかるという意味、「架かる」は「かけわたす」の意味、「係る」は、「かかわる」の意味で使われます。 しかし、「掛かる」の本来の意味と大きく違う「かかる」は、平仮名表記が一般的です。 迷った場合は「掛かる」または平仮名で「かかる」と書きましょう。

「掛かる」の意味と使い方

「掛かる」は「かかる」と読みます。 「掛かる」の意味は「止められたりひっかけられたり掲げられたりして、落下が食い止められた状態にある」です。 「掛」には「かける。かかる。吊り下げる」という意味があります。 「掛かる」は、かけられた状態であることを意味する語です。 例えば「壁にコルクボードが掛かってる」などと使います。 転じて、

  • 重みや重力の作用がそこに及ぶ(全体重が右足に掛かる)
  • 装置が動いて機能が働く(エンジンが掛かる)
  • 縄・ひもなどが物のまわりに渡される(荷物にロープを掛けて固定する。)
  • 液状または粉末状のものが身体の一部に浴びせられる(相手のツバが顔にかかる)
  • 相手の発した動作や言葉が身に及ぶ(飲み会に参加しないかと声が掛かる)
  • 迷惑や負担など、好ましくないことが身に及ぶ(親に迷惑が掛かる)
  • 時間・費用・労力を使うことが必要になる。特に、義務として税の負担を強いられる(時間が掛かる作業)
  • 医者の診察・治療を受ける(発作が出ていつもの病院に掛かる)

などの意味で広く一般的に使われます。 一般的に、止められたりひっかけられたり掲げられたりして、落下が食い止められた状態にあるという原義が薄れたものは「かかる」と平仮名で表記されることが多いです。

「掛かる」の例文

  • 椅子にリュックを掛けて座る。
  • 鍋を火に掛けたままで外出したことが原因で火事がおきた。
  • 発進したらまずブレーキが掛かるか確認してください。
  • 押入れのふすまにおしゃれな布を掛けて洋風にする。
  • 仕上げに粉チーズを掛けたら出来上がりです。
  • お目に掛かることができて光栄でございます。
  • 従業員の生活に負担を掛けるようなことはしたくありません。
  • この広さの部屋を掃除するのはかなり時間が掛かると思います。
  • 体調に不安がある人は、掛かりつけの医師に相談してみましょう。

「懸かる」の意味と使い方

「懸かる」は「かかる」と読みます。 「懸かる」の意味は、

  1. 宙吊りになってぶらさがる
  2. 物事が決着をみず、心が落ち着かない

です。 「懸」には「かける。かかる。つりさげる。ぶらさげる」という意味があります。 「懸」を含んだ熟語には「懸垂(けんすい)」「懸賞(けんしょう)」などがあります。 「懸かる」は、宙吊りになってぶらさがることや、空の中程に位置したり出現するという意味があります。 例えば「溶けた水がつららとなって窓の縁に懸かっている」「月が懸かる」などと使います。 また「物事が決着をみず、心が落ち着かない」という意味でも使われます。 例えば「離れた息子のことが気に懸かる」などと使います。 転じて、

  1. AにBを左右する決定権が負わされる(優勝できるかできないかは新メンバーに懸かっている)
  2. 霧や雲など、視界をさえぎるものが辺りを覆うように広がる(霧が懸かっていて前が見えない)
  3. 議案などが公の場で取り上げられる(連続殺人事件が裁判に懸かる)

という意味でも使うことができます。

「懸かる」の例文

  • 空に綺麗な月が懸かっている。
  • 屋根に飛んできたゴミ袋が懸かっているのを見つけた。
  • 体調を崩したという彼のことがどうも気懸かりだ。

「架かる」の意味と使い方

「架かる」は「かかる」と読みます。 「架かる」の意味は、「片方から他方へまたぐように渡される」です。 「架」には「かける。かけわたす」という意味があります。 「架」を含んだ熟語には「架橋(かきょう)」「架空(かくう)」などがあります。 「架かる」は、一方から他方にまたがるという意味で使われます。 例えば「橋を架ける」などと使います。 また、とめられたりひっかけられたり掲げられたりして、落下が食い止められた状態にあるという意味で使われることもあります。 例えば、「キリストが十字架に架けられた姿」などと使います。 この意味で「架ける」を使うのはまれです。

「架かる」の例文

  • 川に架かっている橋を渡ると駅が見えてくる。
  • 鉄橋の架かった川の下で電車が通るのを見つめる。
  • 高い崖に跨ってかかっている吊橋を渡るのはスリルがある。

「係る」の意味と使い方

「係る」は「かかる」と読みます。 「係る」の原義は「物事に関係する。かかわる」です。 「係」には「かかる。かかわる」という意味があります。 「係」を含んだ熟語には「係争(けいそう)」「関係(かんけい)」などがあります。 「係る」は、物事に関係するという意味で使われます。 例えば「事件に係る供述」などと使います。 転じて、「〜の」+サ変動詞の語幹(A)+「に〜」の形で「〜がAするところの」という意味で使うこともできます。 例えば「佐藤さんの所有にかかる物件が売りに出された」などと使います。 この場合、「かかる」と平仮名で表記されることも多いです。 また、「AがBに係っている」の形で、問題点AがBと深く関わっているという意味で使われることもあります。 例えば「計画通りに実行できるかは部長の判断に係る」などと使います。 この場合も平仮名で表記されることが多いです。 文法上で、上の語句が下の語句の意味や形の上で続いていく関係にあるという意味でも使います。 例えば「動詞に係る副詞」などと使います。

「係る」の例文

  • 住所など変更に係る手続きはこちらの窓口で承ります。
  • 偶然事件に係るであろう情報を耳にした。
  • スタッフには製作に係る人間として特別席が用意されている。

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