「勝手を申しまして申し訳ございません」は「勝手を言って申し訳ない」という意味の敬語表現です。自分の都合で相手に迷惑をかけてしまうような依頼をするときに使います。今回は「勝手を申しまして申し訳ございません」の意味や敬語、使い方などを解説します。
「勝手を申しまして申し訳ございません」は「かってをもうしましてもうしわけございません」と読みます。 「勝手を申しまして申し訳ございません」の意味は「勝手を言って申し訳ない」です。 「勝手」は「他人のことは考えず、自分のしたいようにふるまうこと」という意味があります。 「申しまして」の意味は「言って」です。 「申し訳ございません」は「言い訳や弁解の余地がない」という意味で、相手に対して謝罪の気持ちを表します。
「勝手を申しまして申し訳ございません」は品詞分解すると「勝手」＋「を」＋「申し」＋「まし」＋「て」＋「申し訳」＋「ござる」＋「ませ」＋「ん」となります。 「申し」は「申す」の連用形です。 「申す」は「言う」の謙譲語です。 自分の動作をへりくだり、相手に敬意を示します。 「まし」は丁寧語「ます」の丁寧語です。 「ござる」は「ある」の丁重語です。 丁重語とは謙譲語Ⅱともいわれ、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示すという点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは違い聞き手・話し手に敬意を示す敬語です。 「ませ」は丁寧語「ます」の未然形です。 したがって「勝手を申しまして申し訳ございません」は謙譲語＋丁寧語＋丁重語＋丁寧語の正しい敬語表現です。 社内の上司や取引先の相手など目上の人に対して使うことができます。 「勝手を申しまして申し訳ございません」は丁寧語を二つ使っていますが、二重敬語ではありません。 二重敬語とは一つの語に対して同じ種類の敬語を二つ以上重ねて使用してしまうことをいいます。 この場合の丁寧語「ます」は、「申す」と「申し訳ない」のそれぞれ別の語にかかっているので二重敬語にはなりません。
「勝手を申しまして申し訳ございません」は、依頼をするときの文末に「勝手を申しまして申し訳ございません。よろしくお願い申し上げます」などの形で使います。 「勝手を申しまして申し訳ございません」を使う場面は、自分の都合で相手に迷惑をかけてしまうような依頼をするときです。 例えば、納期を遅らせてほしいという依頼や自分の都合で打ち合わせの時間を変更してほしいと依頼をするときなどです。 「勝手を申しまして申し訳ございません」といれることで、勝手なお願いをして迷惑をかけてしまうことに対するお詫びの気持ちを伝えることができます。
【件名】 納期変更のお願い 【本文】 株式会社あいうえお 営業部 飯田様 平素よりお世話になっております。 株式会社かきくけこの山本です。 本日はお取引いただいております製品「△△△」の納期についてご相談があり、ご連絡いたしました。 大変恐縮ではございますが、12月5日の納期を12月7日に変更していただけないでしょうか。 天候不良の影響をうけ、必要部品が工場に到着しておらず、生産が遅れております。 勝手を申しまして申し訳ございません。 何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 山本
「勝手を申して申し訳ございません」は、「勝手を申して申し訳ございませんが」でクッション言葉として使うこともできます。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで直接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 「勝手を申して申し訳ございませんが、○○していただけないでしょうか」などの形で文中で使用したり、「勝手を申して申し訳ございませんが、よろしくお願いします」などの形で文末でも使用することができます。
【件名】 打ち合わせ日程変更のお願い 【本文】 株式会社AAA 営業部 浪川様 いつも大変お世話になっております。 株式会社BBB営業部の田中でございます。 次回のアポイントのお約束日時に関しまして日程変更のお願いがあり、ご連絡いたしました。 勝手を申しまして申し訳ございませんが、4月6日（月）に予定しておりましたお打ち合わせを以下のいずれかにご変更いただけませんでしょうか。 候補日 4月7日（火）14時〜15時 4月9日（木）11時〜12時 4月10日（金）11時〜12時 こちらの日程で難しいようでしたら、ご都合のよい日をご教示いただければと存じます。 ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。 よろしくお願い申し上げます。 田中
「勝手を言ってすみません」の「すみません」は動詞の「済む」に丁寧語の「ます」が入った「済まぬ」に、打ち消しの助動詞「ぬ」がつき「済みませぬ」となり、それが現代では「すみません」となりました。 要するに「すみません」は、「済まぬ」の丁寧語です。 「勝手を言ってすみません」は丁寧語を使った正しい敬語表現です。 「勝手を申しまして申し訳ございません」を「勝手を言ってすみません」としても意味は同じです。 しかし「勝手を言ってすみません」は丁寧語のみを使用した敬語表現なので、「勝手を申しまして申し訳ございません」のほうが丁寧な敬語表現です。 また、「すみません」話し言葉として使うことが多いくだけた表現であり、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使うには適しません。 ビジネスシーンでは「申し訳ございません」など堅い表現を使うのが望ましいです。 ちなみに「すいません」は「すみません」のさらにくだけた表現で、主に口語で使われます。 ビジネスシーンで使うことはできないので注意しましょう。
「勝手を申して申し訳ありません」は、品詞分解すると「勝手」＋「を」＋「申して」＋「申し訳」＋「あり」＋「ませ」＋「ん」となります。 「申して」は「言う」の謙譲語です。 「ませ」は丁寧語「ます」の未然形です。 したがって「勝手を申して申し訳ありません」は謙譲語＋丁寧語の正しい敬語表現です。 「勝手を申して申し訳ございません」と「勝手を申しまして申し訳ございません」は、どちらも「勝手も言って申し訳ない」という意味です。 しかし、「勝手を申して申し訳ございません」は謙譲語＋丁寧語の敬語表現なので、謙譲語＋丁寧語＋丁重語＋丁寧語の「勝手を申しまして申し訳ございません」のほうが丁寧な敬語表現です。
「勝手を申しまして」は「勝手を申し上げまして」とすると、より丁寧です。 「申し上げまして」は謙譲語「申し上げる」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。 「勝手を申しまして」の「申す」と「勝手を申し上げまして」の「申し上げる」はどちらも「言う」の謙譲語です。 しかし、「申し上げる」は「申す」より立場が上の者へ高い敬意をこめた謙譲語として使われます。 社外の人に使う場合やビジネスメールなど、かしこまった場面では「勝手を申し上げまして申し訳ございません」を使うことも多いです。
「申し訳ございません」は「恐れ入ります」や「恐縮です」と言い換えることもできます。 「恐れ入ります」は「恐れ入る」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「恐れ入る」は、相手に対して申し訳なく思ったり、恐縮する気持ちを表す言葉です。 「恐れ入ります」を「恐縮です」とすることもできます。 「恐縮です」は「恐縮」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「恐縮」は、相手からの厚意に対する恐れ多い感謝の気持ちや、相手に迷惑をかけた時の謝罪の気持ちを表します。 「勝手を申しまして恐れ入りますが」「勝手を申しまして恐縮ですが」の形で、クッション言葉として使うことが多いです。
「勝手なお願いだとは存じますが」は「勝手なお願いだとは思うが」という意味の敬語表現です。 品詞分解すると「勝手」＋「な」＋「お」＋「願い」＋「だ」＋「と」＋「は」＋「存じ」＋「ます」＋「が」となります。 「願い」についている「お」は謙譲語の接頭辞です。 この場合は自分の動作に対してつけているので謙譲語になります。 「存じ」は「思う」の丁重語「存ずる」の連用形です。 「ます」は丁寧語です。 したがって「勝手なお願いだとは存じますが」は、謙譲語＋丁重語＋丁寧語の正しい敬語表現です。 「勝手を申して申し訳ありませんが」と同じように、自分の都合で相手に迷惑をかけてしまうような依頼をするときに使えるクッション言葉として使用できます。
「ご無理を申しまして」は「ごむりをもうしまして」と読みます。 「ご無理を申しまして」の意味は「無理を言って」です。 「ご無理」は「無理」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 相手にとって無理なことに対して使うので、尊敬語になります。 「無理」には「行うのが難しいこと」という意味があります。 「ご無理を申しまして」も、相手に対して迷惑をかけてしまうようなことを依頼する場面で使うことができる敬語表現です。
「お手数をおかけして」は「おてすうをおかけして」とよみます。 「お手数をおかけして」の意味は「労力や時間をかけさせて」です。 「お手数」は「手数」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけた言葉です。 この場合の「手数」は、「ある物事を達成するために必要な労力、動作、手段の数」を意味します。 「ある物事」とは自分以外の第三者のために行う物事を指します。 「おかけする」の「かける」は「時間・費用・労力などをそのために使うこと」を意味していて、「〜を強いる」というニュアンスになります。 「お手数をおかけして申し訳ございませんが」などの形で、相手に労力や時間をかけさせてしまうことに対して申し訳ない気持ちを伝えることができます。
「お手間を取らせてしまい」は「おてまをとらせてしまい」と読みます。 「お手間を取らせてしまい」は「手間」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけた言葉です。 「手間」の意味は「ある事のために費やす時間、労力」です。 「手間を取る」で「ある事をするのに、予想以上に時間や労力がかかる」という意味になります。 「お手間を取らせてしまい申し訳ございません」などの形で、相手が自分のために時間や労力を割くことを謝罪するときに使います。
「ご迷惑をおかけして」は「ごめいわくをおかけして」と読みます。 「ご迷惑」は「迷惑」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 「迷惑」には「他人の行為などがもとで、不快な思いをしたり、不利益を被ること」です。 「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」などの形で、相手に迷惑とかけてしまうことに対して申し訳ない気持ちを伝えることができます。
「ご面倒をおかけして」は「ごめんどうをおかけして」と読みます。 「ご面倒」は「面倒」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 「面倒」には「手間がかかってわずらわしいこと」という意味があります。 「ご面倒をおかけして申し訳ございません」などの形で、相手に面倒なことをさせてしまうことに対する申し訳ない気持ちを伝えることができます。 「お手数」と「ご面倒」はほぼ同じ意味ですが、一般的には「お手数」を使うことが多いです。
「お手を煩わせて」は「おてをわずらわせて」と読みます。 「手を煩わせる」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけています。 「手を煩わせる」には「人に世話をかけたり、やっかいをかけること」という意味があります。 例えば、苦労や面倒をかけてしまったときに「お手を煩わせてしまい申し訳ございません」などと言うことで、申し訳なく思う気持ちを相手に伝えることができます。
