「勝手を申しますが」は「勝手を言うが」という意味の敬語表現です。自分の都合で相手に迷惑をかけてしまうような依頼をするときのクッション言葉として使います。今回は「勝手を申しますが」の意味や敬語、使い方、類語などを解説します。
「勝手を申しますが」は「かってをもうしますが」と読みます。 「勝手を申しますが」の意味は「勝手を言うが」です。 「勝手」には「他人のことは考えず、自分のしたいようにふるまうこと」という意味があります。 「申しますが」の意味は「言うが」です。
「勝手を申しますが」は品詞分解すると「勝手」+「を」+「申す」+「ます」+「が」となります。 「申す」は「言う」の謙譲語です。 自分の動作をへりくだり相手に敬意を示します。 「ます」は丁寧語です。 したがって「勝手を申しますが」は謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。 社内の上司や社外の相手など目上の人に使うことができます。
「勝手を申しますが」は、クッション言葉として口語や電話、ビジネスメールで使います。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで直接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 「勝手を申しますが」を使う場面は、自分の都合で相手に迷惑をかけてしまうような依頼をするときです。 例えば、納期を遅らせてほしいという依頼や自分の都合で打ち合わせの時間を変更してほしいと依頼をするときなどです。 「勝手を申しますが、○○していただけないでしょうか」などの形で文中で使用したり、「勝手を申しますが、よろしくお願いいたします」などの形で文末でも使用することができます。
【件名】 打ち合わせ日程変更のお願い 【本文】 株式会社AAA 営業部 浪川様 いつも大変お世話になっております。 株式会社BBB営業部の田中でございます。 次回のアポイントのお約束日時に関しまして日程変更のお願いがあり、ご連絡いたしました。 勝手を申しますが、4月6日(月)に予定しておりましたお打ち合わせを以下のいずれかにご変更いただけませんでしょうか。 候補日 4月7日(火)14時〜15時 4月9日(木)11時〜12時 4月10日(金)11時〜12時 こちらの日程で難しいようでしたら、ご都合のよい日をご教示いただければと存じます。 ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。 よろしくお願い申し上げます。 田中
【件名】 納期変更のお願い 【本文】 株式会社あいうえお 営業部 飯田様 平素よりお世話になっております。 株式会社かきくけこの山本です。 本日はお取引いただいております製品「△△△」の納期についてご相談があり、ご連絡いたしました。 大変恐縮ではございますが、12月5日の納期を12月7日に変更していただけないでしょうか。 天候不良の影響をうけ、必要部品が工場に到着しておらず、生産が遅れております。 勝手を申しますが、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 山本
【件名】 価格改定のお知らせ 【本文】 株式会社たちつてと 営業部 青木様 平素より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、本日はお取引いただいております製品「△△△」の価格を変更する運びとなりました。 これより価格維持のため努力を続けてまいりましたが、原材料の高騰にともない、下記の料金に金額を変更させていただきます。 商品名「△△△」 料金「1050円→1100円」 変更日 2022年2月1日 勝手を申し上げますが、何卒事情をご賢察いただきご理解いただきますようお願いいたします。 これからもサービスの向上に努めてまいりますので、今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。 金子
「勝手を言いますが」は、「言う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが、丁寧語のみを使用した敬語表現なので目上の人に対して使う場合は、尊敬語もしくは謙譲語を使って相手に敬意を見せるのが望ましいです。 ビジネスシーンでは「言う」を謙譲語にした「勝手を申しますが」のほうが適しています。
「勝手を申し上げますが」は「勝手を言うが」という意味の敬語表現です。 品詞分解すると「勝手」+「を」+「申し上げる」+「ます」+「が」となります。 「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 したがって「勝手を申し上げますが」は謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。 「勝手を申しますが」の「申す」と「勝手を申し上げますが」の「申し上げる」は、どちらも「言う」の謙譲語なので敬意の度合いは同じです。 しかし、「申し上げる」は「申す」より立場が上の者へ高い敬意をこめた謙譲語として使われます。 社外の人に使う場合やビジネスメールなど、かしこまった場面では「勝手を申し上げますが」を使うことも多いです。
「勝手を申しまして」は品詞分解すると「勝手」+「を」+「申す」+「ます」+「て」となります。 「申す」は「言う」の謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「恐れ入りますが」は、品詞分解すると「恐れ入る」+「ます」+「が」となります。 「恐れ入る」は、相手に対して申し訳なく思ったり、恐縮する気持ちを表す言葉です。 「ます」は丁寧語です。 したがって「勝手を申しまして恐れ入りますが」で「勝手を行って申し訳ない」と恐縮する気持ちを表す敬語表現になります。 「恐れ入りますが」は「恐縮ですが」とすることもできます。 「恐縮です」は「恐縮」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「恐縮」は、相手からの厚意に対する恐れ多い感謝の気持ちや、相手に迷惑をかけた時の謝罪の気持ちを表します。
「勝手なお願いだとは存じますが」は「勝手なお願いだとは思うが」という意味の敬語表現です。 品詞分解すると「勝手」+「な」+「お」+「願い」+「だ」+「と」+「は」+「存じ」+「ます」+「が」となります。 「願い」についている「お」は謙譲語の接頭辞です。 この場合は自分の動作に対してつけているので謙譲語になります。 「存じ」は「思う」の丁重語「存ずる」の連用形です。 「ます」は丁寧語です。 したがって「勝手なお願いだとは存じますが」は、謙譲語+丁重語+丁寧語の正しい敬語表現です。 「勝手を申しますが」と同じように、自分の都合で相手に迷惑をかけてしまうような依頼をするときに使えるクッション言葉として使用できます。
「ご無理を申しますが」は「ごむりをもうしますが」とよ見ます。 「ご無理」は「無理」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 相手にとって無理なことに対して使うので、尊敬語になります。 「無理」には「行うのが難しいこと」という意味があります。 「ご無理を申しますが」も、相手に対して迷惑をかけてしまうようなことを依頼する場面で使うことができる敬語表現です。
「お手数をおかけしますが」は「おてすうをおかけしますが」とよみます。 「お手数をおかけますが」の意味は「労力や時間をかけさせるが」です。 「お手数」は「手数」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけた言葉です。 この場合の「手数」は、「ある物事を達成するために必要な労力、動作、手段の数」を意味します。 「ある物事」とは自分以外の第三者のために行う物事を指します。 「おかけする」の「かける」は「時間・費用・労力などをそのために使うこと」を意味していて、「〜を強いる」というニュアンスになります。 「お手数をおかけしますが」で、相手に労力や時間をかけさせてしまうことに対して申し訳ない気持ちを伝えるクッション言葉として使うことができます。
「お手間を取らせてしまいますが」は「おてまをとらせてしまいますが」と読みます。 「お手間を取らせてしまい」は「手間」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけた言葉です。 「手間」の意味は「ある事のために費やす時間、労力」です。 「手間を取る」で「ある事をするのに、予想以上に時間や労力がかかる」という意味になります。 「お手間を取らせてしまいますが」で、相手が自分のために時間や労力を割くことを依頼するときのクッション言葉として使うことができます。
「ご迷惑をおかけしますが」は「ごめいわくをおかけしますが」と読みます。 「ご迷惑」は「迷惑」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 「迷惑」には「他人の行為などがもとで、不快な思いをしたり、不利益を被ること」です。 「お手数をおかけしますが」などの形で、相手に迷惑とかけてしまうことを依頼するときのクッション言葉として使うことができます。
「ご面倒をおかけしますが」は「ごめんどうをおかけしますが」と読みます。 「ご面倒」は「面倒」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 「面倒」には「手間がかかってわずらわしいこと」という意味があります。 「ご面倒をおかけしますが」で、相手に面倒なことを依頼するときのクッション言葉として使うことができます。 「お手数」と「ご面倒」はほぼ同じ意味ですが、一般的には「お手数」を使うことが多いです。
「お手を煩わせてしまいますが」は「おてをわずらわせてしまいますが」と読みます。 「手を煩わせる」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけています。 「手を煩わせる」には「人に世話をかけたり、やっかいをかけること」という意味があります。 「お手を煩わせてしまいますが」で、相手に苦労や面倒をかけてしまうことを依頼するときのクッション言葉として使うことができます。