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「無用の長物」の意味と読み方、語源、類語・言い換え、英語を例文つきで解説

「無用の長物(むようのちょうぶつ)」の意味は「あっても役立たないもの」です。今回は「無用の長物」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。業界別の使い方や類語、対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。

「無用の長物」とは

「無用の長物」の読み方は「むようのちょうぶつ」

「無用の長物」の読み方は「むようのちょうぶつ」です。 「無」は音読みで「ム」、「用」は音読みで「ヨウ」、「長」は音読みで「チョウ」、「物」は音読みで「ブツ」と読みます。

「無用の長物」の意味は「あっても役立たないもの」

「無用の長物」の意味は「あっても役立たないもの」です。 あると利益がないどころか、かえって邪魔になる、という意味合いです。 「無用」とは「役に立たないこと」という意味です。 「長物」とは「長すぎて役に立たないもの」のたとえです。「長すぎて」というのは物理的に大きかったり、価格が高かったり、苦労して手に入れたものを意味します。 例えば、ネット動画を視聴するだけなのに超高性能なノートパソコンを購入した場合、超高性能なノートパソコンはまさに「無用の長物」といえます。

「無用の長物」の語源は仏教

「無用の長物」の語源は仏教にあります。 仏教では、出家者が所持してもよいと認められていたものは6点に限られていました。 これを「六物(ろくもつ)」といいます。 仏教が中国などに伝わり大乗仏教になると、6点から18点まで増え「十八物(じゅうはちもつ)」になります。 この「六物」「十八物」に入らない不用なもの「長物」と呼んでいました。 「長」は、「数を超える」という意味で「長物」は本来「持つべき数を超えた物」という意味でした。 そこから転じて「持っていても役立たない」という意味で使用されるようになったと言われています。

「無用の長物」の使い方と例文

時間が経過し役に立たなくなったものに使う

「無用の長物」は、時間が経過し役に立たなくなったものに対して使用します。 例えば、パソコンなど当時は最新機種の電化製品であっても、時が経って古くなり、場所をとっているだけで役に立たなくなってしまう物を言い表すときです。 よく使用される言い回しは、

  • 無用の長物だ
  • 無用の長物と化する
  • 無用の長物でしかない

などです。

「無用の長物」の例文

  • 高額だった設備も、技術革新により短い期間で無用の長物と化した
  • 人口が減少し、いまではこの施設は無用の長物だ
  • 彼の持っているものはすべて無用の長物のように思われます。

このまま放置すれば役に立たないの意でも使う

「無用の長物」は、このまま放置すれば役に立たないの意でも使用することができます。 例えば、ダイエットのために大きなトレーニングマシーンを購入しても、放置すれば邪魔でしかありません。 このように、利用されることなく無駄なものになってしまうことに対して「無用の長物になる」「無用の長物として〜される」という言い回しで使用されます。

「無用の長物」の例文

  • せっかく留学に行っても帰国後に英語を話さないと無用の長物になる
  • 学生時代の楽器は無用の長物として実家の押入れに数十年放置されていた。
  • どんなに高性能のパソコンを持っていても使わなければ無用の長物だ。

「無用の長物」の業界別の使い方

建物に対して使うと芸術

「無用の長物」は、建物に対して使用すると赤瀬川源平らに発見された芸術上の概念になります。 特に不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物のことを「超芸術トマソン」といいます。 存在が芸術のようでありながら、その役立たなさや非実用において芸術よりももっと芸術らしいものを「当芸術」といい、その中でも不動産に属するものを「トマソン」といいます。 かつては役に立っていたものもありますが、そもそも作った意図がわからないものも多く存在します。

哲学も「無用の長物」といわれる一つ

哲学も「無用の長物」といわれるものの一つです。 「哲学」とは「世界・人間・事物などの根本原理を思索によって研究する学問」です。 「人生や世間の根本を明らかにしようとすることは役に立たない」という考えの人も多いということです。 科学技術を強化することがなによりも大切で、哲学教育に時間を割くくらいなら、科学教育を徹底し科学的な思考を育成するべきだとしています。

「無用の長物」の類語

熟語は「蛇足」「昼行燈」

「蛇足」は「だそく」と読みます。 「蛇足」の意味は「よけいなもの。なくてもよいもの」です。 蛇の絵を書く競争で、最初に描きあげた者がつい足を書き添えて失敗したことが語源となって、「よけいなもの」という意味で「蛇足」という言葉が使用されるようになりました。 「蛇足ですが...」という形で、他人のすぐれた仕事や発言の上に自分が何かを付け足すときの謙遜として使用されることもあります。 「昼行燈」は「ひるあんどん」と読みます。 「昼行燈」の意味は「ぼんやりした人。役にたたない人」です。 昼間にともす行燈(あんどん)は、ぼんやりとしていて何も役にたたないことから、いざというときに役に立ちそうもない人のたとえとして使用されています。

慣用句は「月夜に提灯」「宝の持ち腐れ」

「月夜に提灯」は「つきよにちょうちん」と読みます。 「月夜に提灯」は「無益・不必要なことのたとえ」です。 明るい月夜に提灯(ちょうちん)をともして歩く無駄にたとえた慣用句です。 「昼行燈」と混同して「昼間の提灯」としてしまうのは誤用です。 「放置すれば役に立たない」という2つ目の使い方では「宝の持ち腐れ」と同義です。 「宝の持ち腐れ」は「たからのもちぐされ」と読みます。 「宝の持ち腐れ」の意味は「役に立つ物や才能を持っていながら、利用しないでしまっておいたり発揮しないでいること」です。 「腐れ」は「腐ること」で、「持ち腐れ」は「価値のあるものを役立てないでダメになってしまうこと」です。 「宝の持ち腐り」は誤用なので注意しましょう。

四字熟語なら「夏炉冬扇」

四字熟語なら「夏炉冬扇」が類語になります。 「夏炉冬扇」は「かろとうせん」と読みます。 「夏炉冬扇」の意味は「時期外れで役に立たない物事のたとえ」です。 「夏炉」は「夏の火ばち」、「冬扇」は「冬の団扇」のことです。 「冬扇夏炉(とうせんかんろ)」ともいいます。 役に立たないものを言い表す四字熟語なので「無用の長物」の類語になります。

「無用の長物」の対義語

無用の用

「無用の用」は「むようのよう」と読みます。 「無用の用」の意味は「役立たないとされているものが、かえって非常に大切な役をすること」です。 「無用」は「役にたたないもの」という意味です。 ただし、まったく役にたたないという意味ではありません。 「無用の用」は、「老子(ろうし)」や「荘子(そうじ)」にみえる中国の道家の思想で、「役にたたない実用性のないようにみえるものに、実は真の有益な働きがある」ということを言い表しています。 「不用の用」ともいいます。 「無用の要」は誤用です。

枯れ木も山の賑わい

「枯れ木も山の賑わい」は「かれきもやまのにぎわい」と読みます。 「枯れ木も山の賑わい」の意味は「つまらないものでも、ないよりあったほうがよい」です。 「枯れ木」は「つまらないもののたとえ」です。 禿げ山では殺風景に過ぎるため、枯れた木でもあれば山に趣を添えることができるということから、「ないよりはあったほうがよい」という意味で使用されるようになりました。 「枯れ木も山の飾り」「枯れ木も森の賑やかし」ともいいます。 「枯れ木に花の賑わい」は誤用です。

蟻も軍勢

「蟻も軍勢」は「ありもぐんぜい」と読みます。 「蟻も軍勢」の意味は「つまらない人でもたくさんいたほうがよい」です。 取るにたらないものでも、大勢いれば何かの役にたつことを、「小さな蟻も沢山いれば力をもつ」ということにたとえた慣用句です。

「無用の長物」の英語

not useful anymore

時間が経過して使い物にならなくなったという意味なら「not useful anymore(もう有用ではない)」を使うことができます。 「anymore」は否定文で使い「今後はもう〜ない」という意味です。 「useful」の代わり、「使える」を意味する「usable」を使うこともできます。 「usable」のスペルを「useable」としないように注意しましょう。

This expensive software is not usable anymore as new technology emerges.

新しいテクノロジーが登場し、この高額だったソフトウェアは無用の長物となった。

useless

単に「(このまま放置すれば)価値がない」という意味なら「useless」「worthless」が使えます。

If you don't know how to use big data successfully, it's just useless.

ビックデータは、正しく使うことができないのなら、無用の長物だ。

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