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「内憂外患」の意味と使い方、由来、類語、対義語、英語を例文つきで解説

「内憂外患」は「ないゆうがいかん」と読みます。「内憂外患」の意味は「国内に生じる災いや心配事と、外国から受ける災いや心配事」で、「内外に問題が多く悩みが多いこと」を言い表します。会社の状況や組織などの様子を表す言葉として広く用いられます。

「内憂外患」とは

「内憂外患」の読み方は

「内憂外患」は「ないゆうがいかん」と読みます。 「内」音読みで「ナイ」、「憂」は音読みで「ユウ」、「外」は音読みで「ガイ」、「患」は音読みで「カン」と読みます。

「内憂外患」の意味は

「内憂外患」の意味は「国内に生じる災いや心配事と、外国から受ける災いや心配事」です。 「内外に問題が多く悩みが多いこと」を言い表します。 「内憂」には「国内に生じる心配事」、「外患」は、「外国から受ける災難」という意味です。 「憂」と「患」にも「憂える」という意味があります。 「憂える」とは、物事がよくないほうに展開するのではないかと心配をすることです。 会社の状況や組織などの様子を表す言葉として広く用いられます。

「内憂外患こもごも至る」が定型句

「内憂外患」は「内憂外患こもごも至る」が定型句です。 「内憂外患こもごも至る」は、「国内にある心配事や問題と、外国から受ける心配事や問題がたて続けに起こる」という意味です。 「こもごも至る」には「二つ以上の事柄が、入れ替わり立ち代わり表れ続ける」という意味があります。 「こもごも至る」の他の使い方には「悲喜(ひき)こもごも到る」「万感(ばんかん)こもごも至る」「悔懼(けく)こもごも至る」などがあります。

「内憂外患」の由来は范文子

「内憂外患」は、「春秋左氏伝(しんじゅうさしでん)」に記されている中国史575年に晋と楚の間で起こった「鄢陵(えんりょう)の戦い」において晋に仕えていた范文子が言った言葉が由来でできた四字熟語です。 范文子は、「鄢陵の戦い」で、晋が戦うべきかどうか議論していたときに「国内、国内外ともに問題がなくなることはありえないことで、国外に問題がなくなるということは国内に問題が起こるということ。あえて戦わずに、国内の安定を目指すべきだ」と言いました。 この范文子の考えが「内憂外患」の由来です。 出典元の春秋左氏伝では「内憂外患」とではなく、「聖人が国を治めれば、きっと国内も国外も問題はおきないだろう」という意味で「内外無患」という言葉がでてきます。 しかし、のちに「内外無患」は理想上の話であり、現実的には「内にも外にも問題があるものだ」ということで「内憂外患」という四字熟語に変化しました。

「内憂外患」の使い方と例文

政治では「内政と外交に問題がある」

「内憂外患」は、政治では「内政と外交に問題がある」という意味で使用されます。 国内の政情不安と合わせて、外国に対する交渉や運動、周旋などがうまくいっていない状態を「内憂外患」といいます。 例えば、国内の経済が不景気の中で、外国船が日本の北方領土に入り込み大きな問題になるなど国内と国内外で同時に問題を抱えてしまうことです。

例文

  • 日本の政治は常に内憂外患こもごも至る状態である。
  • しっかり内憂外患に立ち向かうことができる人に首相になってもらいたい。
  • 内憂外患の状況に国民は不安を抱いている。

会社では「社内と社外に問題がある」

「内政と外交に問題がある」という外交用語から転じて、会社では「社内と社外に問題がある」ということを意味します。 例えば、社内で採用がうまくいっていないなか、競合の企業が自分達の経営を脅かすような戦略をとってきたというように、社内と社外の問題に苦しんでいるという組織の状況・状態を言い表すときに使用されます。

例文

  • 我が社の内憂外患の状態には社長も頭を抱えている。
  • 取引先が減っていくなか離職率も高くなりまさに内憂外患の状況に直面している。

家庭では「家庭内と世間に問題がある」

外交用語から転じて、家庭では「家庭内と世間に問題がある」という意味で使用されます。 「夫婦仲が悪い」など家庭内の問題や不安に加えて、「景気が悪いせいで低賃金で働いている」など世間の問題で悩んでいたり苦しんでいる状態を「内憂外患」と言い表します。

例文

  • 母は内憂外患の状況に嫌気がさし家を出てしまった。
  • リストラされたうえに、妻に離婚を切り出されるなんてまさに内憂外患の状態だ。

「内憂外患」の類語・言い換え

内患外禍

「内患外禍」は「ないかんがいか」と読みます。 「内患外禍」の意味は「国内と国外に災いや問題があること」です。 「内憂外患」と同義であるといえます。 ただし、「内患外禍」はあまり使用されません。 「国内と国外に災いや問題があること」を言い表すのであれば「内憂外患」を使用するのが一般的です。

四面楚歌

「四面楚歌」は「しめんそか」と読みます。 「四面楚歌」の意味は「四方を敵に囲まれて孤立無援であること」です。 助けを求められないことを言い表した四字熟語です。 内にも外にも敵がいるという状況を「四面楚歌」と言い表すことができます。 「四面楚歌」と「内憂外患」は意味が異なるので言い換えることはできませんが、「内憂外患」も内にも外にも問題があって大変な状況を言い表す言葉なので類語であるといえます。

危急存亡

「危急存亡」は「ききゅうそんぼう」と読みます。 「危急存亡」の意味は「そのまま生き残るか、滅びてしまうかの重大な瀬戸際」という意味です。 「危急」は「危険が切迫すること」、「存亡」は「存続するか滅びるか」という意味です。 「危機存亡」はよくある誤用なので注意してください。 「内憂外患」も、内にも外にも問題を抱えている危機的状況を言い表す四字熟語なので類語であるといえます。

泣きっ面に蜂

「泣きっ面に蜂」は「なきっつらにはち」と読みます。 「泣きっ面に蜂」の意味は「苦痛の上に苦痛が重なること」です。 例えば、会社をリストラになったうえに、離婚をすることになったというような状況です。 「内憂外患」のように「内と外で」という意味はありませんが、不運なことや問題が重なって起きることを言い表す言葉として類語であるといえます。

「内憂外患」の対義語

天下泰平・内平外成・地平天成・舜日尭年

何も問題がなく平和であることを言い表す四字熟語が、「内憂外患」の対義語です。

  • 天下泰平
  • 内平外成
  • 地平天成
  • 舜日尭年

などがあります。 「天下泰平」は「てんかたいへい」と読みます。 「天下泰平」は、「天下がよく治まって平和なこと」です。 世の中が極めて平和に治まっていて、のんびりしている様子を言い表した四字熟語です。 「内平外成」が「ないせいがいせい」と読みます。 「内平外成」の意味は「国内がよく収まり、周辺の諸国と関係が良好に保てていること」です。 国内の情勢も外交もうまくいっていることを言い表す四字熟語なので、「内憂外患」の対義語です。 ちなみに「内平外成」は元号「平成」のもとになった四字熟語です。 「地平天成」は「ちへいてんせい」と読みます。 「地平天成」の意味は「世の中が平穏で、天知が収まること」です。 世の中が平穏に治まってることを言い表す四字熟語で、「地平天成」も元号「平成」の元になった四字熟語であるといわれています。 「舜日尭年」は「しゅんじつぎょうねん」と読みます。 「舜日尭年」の意味は「世の中が平和なこと」です。 「内憂外患」は世の中に問題が多いことを言い表した四字熟語なので、対義語であるといえます。

「内憂外患」の英語

both internal and external troubles

「内憂外患」の英語は直訳すれば「both internal and external troubles」となります。 「domestic and diplomatic」として「国内と外交の」としてもよいでしょう。 「at home and abroad」でも「国内外」という意味になります。 「within and without」で「中からも外からも」という意味です。

The Cabinet has the domestic and diplomatic problems at the same time.

内閣は内憂外患こもごも至る状態だ。

You can't fight enemies within and without simultaneously.

中からと外からの敵と同時に戦うのは無理だよ。

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