「なんて厚顔無恥な人だ!」といった言葉を聞いたことはあるでしょうか? あつかましい人に対して使う言葉です。 今回はそんな「厚顔無恥」について説明します。 正しい意味と使い方を例文付きで分かりやすく解説します。 また、類語と対義語、さらには英語表現も詳しく紹介します。 類語の中でも似た意味をもつ「傍若無人」と「傲岸不遜」との違いも説明します。 しっかりと覚えましょう!
「厚顔無恥」とは<こうがんむち>と読みます。 意味は「あつかましくて、恥を恥とも思わないこと」です。 「厚顔」とは「面の皮の厚いこと」です。 要するに、「恥知らずで図々しいこと、そのさま」ということです。 「無恥」とは、「恥を恥と思わないこと、そのさま」です。 恥知らずな人のことを「無恥な人」などといいます。 この2つが組み合わさり「恥知らず」を強調する言葉となりました。
よく、「厚顔無恥」を「厚顔無 "知" 」と誤用している人がいます。 「無知」という言葉もあり、これも「知識や知恵がないこと」を表すネガティブな意味です。 そのため、「厚顔無 "知" 」と書いてあってもあまり違和感はありません。 ですが、四字熟語として正しいのは「厚顔無恥」だけです。 「恥知らず」であることを表す言葉ですので「恥」を使うと覚えておきましょう。
「厚顔」の語源となったのは、中国最古の詩集である「詩経(しきょう)」が基になっています。 「詩経」には詩が305編収められています。 この中に「巧言くわうの如く、顔の厚きや」とあります。 これは「言葉巧みに乗り切り、外面を良く見せ内面の恥を隠すこと」といった意味の文章です。 日本には平安時代の頃に「漢文」を通して「厚顔」という言葉で伝わりました。 当時は、精神面の汚さや内面の醜さを意味する言葉として使われていました。
「厚顔無恥」とは「他の人のことを全く考えない行動をしたうえで、それに対して全く恥じることや申し訳なさそうに思う姿勢がない」ときに使用する言葉です。 日常生活やビジネスシーンなどどのような場面でも用いることができます。 言い回しもさまざまあります。 「厚顔無恥な〜」はよく使われている表現です。 「厚顔無恥な政治家」「厚顔無恥な女」「厚顔無恥な行い」と使います。 また「◯◯は厚顔無恥だ」「厚顔無恥も甚だしい」といった使い方もします。 詳しくは例文を参考にしてみてください。
「彼はひどい暴君ぶりを発揮し、たびたび厚顔無恥な態度までとる」 「無能で無責任で、なんとも厚顔無恥な政治家だ」 「プライドが高く厚顔無恥な女はモテませんよ」 「彼はどこまでも厚顔無恥で観ているこっちが恥ずかしくなる」 「いくら暑いからといって、サンダルで出勤なんて厚顔無恥でなければできない」 「過去の厚顔無恥な非道の生活を思い出しては、おそろしい自己嫌悪に陥る」
○得手勝手(えてかって) 意味:他人に構わず自分の都合ばかり考えて、わがまま放題にするさま ○勝手気儘 意味:他人のことは気にせず、自分のしたいように行動すること ○寡廉鮮恥(かれんせんち) 意味:心に悪意があって恥知らずなさま、節操がなく恥を知らないさま …「寡」と「鮮」はどちらも「少ない」という意味を持つ漢字。 「廉」は「心が清く正しいこと」という意味をもつ漢字。すなわち、 清く正しい心も、恥だと思う心も少ないという意味の言葉です ○独断専行 意味:自分だけの判断に基づき、勝手に行動すること ○傍若無人(ぼうじゃくぶじん) 意味:人前をはばからず勝手気ままにふるまうこと ※詳しくは下記にて「厚顔無恥」との違いを説明します。 ○傲岸不遜(ごうがんふそん) 意味:おごりたかぶって人を見下すさま、思いあがって謙虚さのないさま ※詳しくは下記にて「厚顔無恥」との違いを説明します。
○鉄面皮(てつめんぴ) 意味:面(つら)の皮がまるで鉄で出来ているように、恥知らずで厚かましいこと ○恥知らず 意味:恥ずべき事を平然とすること、またそういう人 ○図々しい 意味:人に迷惑をかけても平気でいる、あつかましい ○厚かましい 意味:人の迷惑も考えず、行動や態度に慎みがないこと ○不遜(ふそん) 意味:思い上がった態度のこと、へりくだる気持ちのないこと ○不埒(ふらち) 意味:道理に外れていてけしからぬこと、不届きなこと ○分別がない 意味:道理をわきまえていないこと
「これは彼の得手勝手であり、他のみんなは何もしていません」 「汚職事件を起こしても自ら進退を決めないなんて、寡廉鮮恥な政治家だ」 「部長の前であんな発言をするなんて恥知らずにも程がある」 「いきなり押しかけてきて泊めてくれだなんて、図々しい人だ」 「彼女の態度を無愛想とも不遜とも思わないとは、なんとも不思議だ」
○遠慮会釈 意味:つつましく控えめにして、他人のことを思いやること …主に「遠慮会釈なく」と否定的な意味で使います ○平身低頭 意味:ひれ伏して頭を下げ、恐れ入ること ○温厚篤実(おんこうとくじつ) 意味:温かで情が厚く、誠実なさま ○温柔敦厚(おんじゅうとんこう) 意味:人柄が穏やかで優しく、情が深いこと
○慎ましい 意味:遠慮深い態度で控えめなこと ○しおらしい 意味:おとなしくて控えめでいじらしいこと ○いじらしい 意味:幼い子供や弱い者などの振る舞いが、心打たれる感じであること ○謙虚 意味:控えめで、素直に相手の意見などを受け入れること
「遠慮会釈もなくソファに腰をおろし、冷たい口調で話す彼とはもう仕事をしたくない」 「姉の旦那さんは思っていたままの温厚篤実な方だった」 「さすがの彼女も社長には慎ましい態度をとった」 「あいつは帰りを待っているような、そんなしおらしい女じゃない」 「謙虚さと誠実さがなければ、国民の信頼も協力も得られない」
先ほども説明しましたが、「傍若無人」は「人前をはばからず勝手気ままにふるまうこと」といった意味です。 それに対して「厚顔無恥」とは「恥知らずで図々しいこと」です。 「傍若無人」に「図々しい」という意味はなく、「自分勝手」なふるまいをすることです。 要するに、 「厚顔無恥」は、内面の図々しさ、厚かましさを指す 「傍若無人」は、自分勝手なふるまいを指す といった違いがあります。
先ほども説明しましたが「傲岸不遜」は「おごりたかぶって人を見下すさま、思いあがって謙虚さのないさま」といった意味で、端的に言うと上から目線な人を表す言葉です。 「傲岸不遜」にも「恥知らずで図々しい」といった意味はなく、「人を見下し謙虚さがない」ことを表します。 要するに、 「厚顔無恥」は、意識あるなしに関係なく、他人に迷惑をかけても恥じない様子 「傲岸不遜」は、自ら人を見下し思い上がっている様子 といった違いがあります。
「厚顔無恥」の英語表現を見ていきます。 「厚顔無恥」は英語で、
などの形容詞を使うといいでしょう。「恥知らずの」「厚かましい」という意味です。
He is such an impudent politician.
彼はなんとも厚顔無恥な政治家だ。
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「厚顔無恥」について理解できたでしょうか? ✔「こうがんむち」と読む ✔意味は「あつかましくて、恥を恥とも思わないこと」 ✔他人に迷惑をかけても恥じずに反省もしない様子に対して使う言葉 ✔広い場面で用いることが出来る あまり普段使うことは少ないですが、正しい意味をしっかりと覚えておきましょう。