「お引き取り」の意味は「その場から去る」と「自分の所へ受け取る」の2つです。「お引き取りください」など耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は「お引き取り」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。類語との違いや英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「引き取り」の意味は「その場から去る」と「自分の所へ受け取る」の2つです。 「引き取る」のもとの意味は「引き受けて自分の手もとに置く」です。 他人が所有権を放棄したものを引き受け手のもとに置いたり、預かって世話をすることをいいます。 自分自身を引き取ることから「退く」という意味が生まれ、「その場を去る」という意味でも使用されるようになりました。 ちなみに公用文での送り仮名は「引取り」となります。
「お引き取り」は「引き取り」に接頭辞の「お」をつけた言葉です。
接頭辞の「お(ご)」の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなります。
「お引き取り」の接頭辞「お」は、相手の「引き取る」という動作を高めて敬意を示すためにつけているので尊敬語になります。
「お引き取り願います」は「帰れ」を間接的にいう表現です。 お店が訪問客への対応を拒否する場合などに使用します。 ただし、「願います」は「願う」に丁寧語の「ます」をつけた敬語です。 丁寧語のみでは相手に対する敬意を示すことができないので、丁寧さに欠けます。 取引先の相手や目上の人など敬意を示すべき相手に使用するのであれば、より丁寧な敬語表現を使用するのが望ましいです。 「お引き取り願います」以外の敬語表現には、
などがあります。
「お引き取り」の例文
「お引き取りありがとうございました」と、相手にお礼を伝える場面で使用することもあります。 「お引き取りありがとうございました」は、物事を引き受けてくれてお礼する時の言い回しです。 例えば、余っている在庫を引き取ってくれた取引先に対してお礼をいう場面などで使用することができます。 「お引き取りありがとうございました」は、「退去してくれて感謝」ではないので注意しましょう。 その他にも
などの敬語表現があります。
「お引き取りありがとうございました」の例文
「受け取り」の意味は
です。 「自分のほうへ来るものや渡されるものを手に入れる」という意味で「引き取り」と共通しています。 ただし、「受け取る」は瞬間的な動作に対して使用できるという点で「引き取る」とは異なります。 「引き取る」は、他人から受け取ったのち、その物品等を自分の管理化に置いたり世話をすることです。 例えば、友人が育てられなくなってしまったペットを自分が飼うことになったという場合は、「友人からペットを受け取る」より「友人からペットを引き取る」というほうが適しています。 また、「受け取る」は「その場から去る」という意味はありません。
「引き受け」の意味は、
「お帰りください」は、「帰る」に接頭辞「お」と「くれ」の丁寧語「ください」をつけた敬語表現です。 「帰る」は「もといた場所に戻る」という意味なので、「お引き取りください」は「お帰りください」と言い換えることができます。 「お帰りください」は、例えば来客があったときに相手が帰宅する場面で使用することが多いです。
「出て行ってください」は、「出ていく」に「くれ」の丁寧語「ください」をつけた敬語表現です。 「出て行く」は「その場から立ち去ること」という意味です。 よって、「出ていってください」で「その場から立ち去ってください」という意味になります。 「お引き取りください」と「出ていってください」は同じ意味です。 ただし、「出て行ってください」という言い方では丁寧さに欠けます。 「出ていってください」を使用する場面は非常に限られているので、必ずしも「お引き取りください」と言い換えられるわけではありません。
「お引き取り願います」の英語は「I must ask you to leave.」です。 直訳は「あなたに去るように私はお願いしなければなりません」です。