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「お引き取りいただけますか」の意味と使い方、敬語、言い換えを例文つきで解説

「お引取りいただけますか」は「引き取ってもらえるか」という意味の敬語表現です。「帰れ」の婉曲表現や、「受け取って欲しい」と依頼をするときに口頭で使います。

「お引取りいただけますか」とは

意味は「引き取ってもらえるか」

「お引取りいただけますか」は「おひきとりいただけますか」と読みます。 「お引取りいただけますか」の意味は「引き取ってもらえるか」です。 「引き取る」には

  • その場から立ち去る
  • 引き受けて自分の手もとに置く
  • 息が絶える。死ぬ

という意味があります。 「いただけますか」は「もらえるか」という意味です。 よって、「お引取りください」は「その場から立ち去ってもらえるか」「受け取ってもらえるか」いう意味になります。 ただし、「死んでもらえるか」という意味では使われないので注意しましょう。

敬語は尊敬語+謙譲語+丁寧語

「お引取りいただけますか」は、品詞分解すると「お」+「引き取る」+「いただく」+「ます」+「か」となります。 「引き取る」についている「お」は尊敬を表す接頭辞です。 接頭辞の「お(ご)」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合は、相手の動作を高めて敬意を示すためにつけているので尊敬語です。 「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 謙譲語は、自分の動作をへりくだり相手に敬意を示します。 「お(ご)〜いただく」で一つの謙譲語として解釈する場合もあります。 「ます」は丁寧語です。 「か」は、疑問の終助詞です。 よって「お引取りいただけますか」は、尊敬語+謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。 上司や取引先の相手など目上の人に使うことができます。

「お引取りいただけますか」の使い方と例文

「帰れ」の婉曲表現

「お引取りいただけますか」は、帰れの意を遠回しに伝えるときに口頭や電話で使います。 例えば、訪問客への対応を拒否する場合などです。

  • 誠に申し訳ないのですが
  • 大変残念ではございますが
  • 勝手を申し上げますが

などのクッション言葉と併せて使うとより丁寧です。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで、より丁寧で柔らかい印象を与えることができます。

例文

  • 恐れ入りますが、今日のところはお引き取りいただけますか。
  • 混雑を避けるため、受け取りが済んだ方は速やかにお引取りいただけますか。
  • 大変申し訳ありませんが、閉店時間をすぎておりますのでお引取りいただけますか。

類語には「門前払い」「立ち去る」「失せる」などがあります。 「門前払い」は「もんぜんばらい」と読みます。 「門前払い」の意味は「訪問者を、会わないで帰すこと」です。 広い意味では、訴え・応募・提案・参加などを受け付けないという意味でも使われます。 「立ち去る」は「たちさる」と読みます。 「立ち去る」の意味は「立ってその場から去る」です。 「失せる」は「うせる」と読みます。 「失せる」の意味は「なくなる。消える」という意味ですが、「去る。行く」という意味の俗語でもあります。

「荷物を受け取ってほしい」と依頼

「お引取りいただけますか」は、荷物などを受け取ってほしいと依頼をするときに使います。 例えば、帰るときに受付に預けている荷物を受け取ってほしいと伝えるときなどです。 ただし、使い方としては間違いではありませんが、受取依頼は「お受け取りいただけますか」「ご査収いただけますか」などと言い換えるほうが自然です。 「お受け取り」としても、「引き取る」と意味は同じです。 「ご査収」は、「査収」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけています。 「査収」には、「物品・書類・金額などをよく調べて受け取る」という意味があり、「しっかり内容を精査してほしい」という場合に使われます。 単に受け取ってほしいという場合には、「お引取りいただけますか」と言い換えることができないので注意しましょう。 ちなみに、自分が「受け取る」という場合は「拝受(はいじゅ)」を使います。 「拝受」は「受け取る」という意味の謙譲語です。 受け取る自分をへりくだり、相手に敬意を示すことができます。

例文

  • 保管期間を過ぎている在庫は、お引取りいただけますか。
  • お手数をおかけいたしますが、集荷センターにございますお荷物をお引取りいただけますか。
  • 破損商品を返送いたしましたので、恐れ入りますがお引取りいただけますか。

類似表現との違い

お引取りいただけますでしょうか

「お引取りいただけますでしょうか」は、品詞分解すると「お」+「引き取る」+「いただく」+「ます」+「でしょう」+「か」となります。 「引き取る」についている接頭辞「お」は尊敬語です。 「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「でしょう」は推量の「だろう」の丁寧語です。 「か」は疑問の終助詞です。 「お引取りいただけますか」に、推量の「だろう」の丁寧語「でしょう」をつけることで、より謙虚で丁寧な依頼表現になります。 「お引取りいただけますでしょうか」を二重敬語だと思う人も多いですが、正しい敬語表現です。 二重敬語とは、一つの言葉に対して同じ種類の敬語を使ってしまう事をいいます。 例えば、「14時にお伺いします」は、「行く」謙譲語「伺う」にさらに、謙譲語の接頭辞「お」をつけているので二重敬語です。 「お引取りいただけますでしょうか」に使われている「ます」と「でしょう」は、どちらも丁寧語ですが、「ます」は「いただく」を丁寧にするために使われていて、「でしょう」は「だろう」を丁寧にするために使われています。 よってこの場合は、かかっている語が違うため二重敬語にはなりません。

「お引取りいただきますか」は間違い

「お引取りいただきますか」は、間違いです。 「お引取りいただきますか」は、「引き取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」の連用形「いただけ」と、丁寧語「ます」、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 丁寧語「ます」に接続するときは、連用形になる決まりがあるので、「いただきますか」でも文法上は問題ありません。 しかし、「お引取りいただきますか」では、「引き取ってもらうだろうか」という意味になるので仮定のニュアンスがなくなって一方的になってしまいますし、不自然な日本語です。

「お引取りくださいますか」との違いは?

「お引き取りくださいますか」の似た敬語表現には「お引取りくださいますか」もあります。 「いただけますか」は、上述したように「もらえるか」という意味で、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と、疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「くださいますか」は、「くれるか」という意味で、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 まず「いただけますか」は謙譲語であり、「くださいますか」は尊敬語であるという違いがありますが、謙譲語と尊敬語に敬意の度合いの違いはありません。 自分の動作に対してなら謙譲語を、相手の動作に対してなら尊敬語を使います。 また、「いただけますか」は「もらえるか」、「くださいますか」は「くれるか」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださいますか」が「くれ」の尊敬語を使用した命令形であるため「いただけますか」の方が丁寧な響きがあります。 ちなみに、こちらも「お引取りくださいますでしょうか」とすることもできます。

「お引取りいただけますか」の敬語の言い換え

お引取りください

「お引取りください」は、「引き取る」に尊敬を表す接頭辞「お」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「お引取りくださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。

お引取り願います

「お引取願います」は、「引き取る」に尊敬を表す接頭辞「お」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お引取願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。

お引取りいただきたく存じます

「お引取りいただきたく存じます」は、「引き取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お引取りいただきたく存じます」で、「引き取ってらいたいと思います」と柔らかくお願いをする表現になります。 「お引取りいただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述した通り「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。

お引取りいただけますと幸いです

「お引取りいただけますと幸いです」の「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「幸いです」は、そうしてもらえれると幸せですという気持ちを表します。 よって「お引取りいただけますと幸いです」は、「引き取ってもらえると嬉しい」という意味の丁寧な表現になります。 「お引取りいいただければ幸いです」とすると仮定のニュアンスが加わり柔らかい表現になります。 「いただければ〜」の「れば」は仮定を表し、「してもらえれば嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 また、「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現 です。

お引取りくださいますようお願いいたします

「お引取りくださいますようお願いいたします」は、「引き取ってくれるようお願いする」という意味です。 「お引取りくださいますよう」は、「引き取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語、「ます」は丁寧語です。 「お願いいたします」の「いたす」も補助動詞なので「お願いいたします」と書くのが正しいです。

お引取りいただけますようお願い申し上げます

「お引取りいただきますようお願い申し上げます」は「引き取ってもらうようお願いする」という意味です。 「お引取りいただきますよう」は、「引き取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「いただきますよう〜」で、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。

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