「お引取りいたします」は「引き取る」という意味です。「引き取る」に謙譲語の接頭辞「お」と「する」の丁重語「いたす」、丁寧語「ます」をつけた正しい敬語表現で、荷物を受取るときなどに使います。
「お引きとりいたします」は「おひきとりいたします」と読みます。 「お引きとりいたします」の意味は「引き取る」です。 「引き取る」には
という意味があります。 「いたします」は「する」という意味です。 よって、「お引取りいたします」は「その場から立ち去ります」「受け取ります」いう意味になります。 ただし、「死にます」という意味では使われないので注意しましょう。
「お引取りいたします」は、品詞分解すると「お」+「引き取る」+「いたす」+「ます」となります。 「引き取る」についている接頭辞「お」は謙譲語です。 接頭辞の「お(ご)」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合は、自分の動作をへりくだり相手に敬意を示すためにつけているので謙譲語です。 「いたす」は「する」を意味する補助動詞の丁重語です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱとも言われ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で通常の謙譲語と同じですが、動作の対象ではなく、聞き手・読み手に対する敬意を示す敬語です。 「いたす」は漢字で「致す」と書きますが、補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあるので、「お引取りいたします」と書くのが正しいです。 「ます」は丁寧語です。 したがって「お引取りいたします」は、謙譲語+丁重語+丁寧語の正しい敬語です。
「お引取りいたします」は、二重敬語ではありません。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使用することを指します。 「引き取る」という一つの語に対して、「お」と「いたす」の2つの謙譲語が使われているため二重敬語といわれることがありますが、「いたす」は丁重語であり、謙譲語ではないので、二重敬語にはあたりません。
「お引取いたします」は、荷物などを受取ることを相手に伝えるときに使います。 例えば、不用品を持ってきてほしいときなどです。 ただし「お引取りいたします」は、使い方としては間違いではありませんが、「お受け取りいたします」「拝受いたします」などと言い換えるほうが自然です。 「お受け取りいたします」としても、「引き取る」と意味は同じです。 「拝受(はいじゅ)」は、「拝受」は「受け取る」という意味の謙譲語です。
【件名】 不良品の返品・交換の件 【本文】 株式会社あいうえお 総務部 高橋琥珀 様 平素よりお世話になっております。 株式会社かきくけこ、商品部の上原です。 11月11日付けで納品いたしました商品「△△△」に、不良品が入っていたとのこと、誠に申し訳ございませんでした。 代替品を早急にご送付させていただきます。 該当商品はお引取りいたします。 お手数ですが、お手すきの際に返送いただければ幸いです。 お忙しいとは存じますが、よろしくお願いいたします。 ご迷惑をおかけしてしまったこと重ねてお詫び申し上げます。 以後、不良品をお届けするようなことがないよう、商品チェック体制を徹底してまいります。 今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。 上原
【件名】 サンプル品について 【本文】 株式会社ABC 広報部 飯田圭佑様 いつもお世話になっております。 株式会社CDE営業部の近藤と申します。 この度は、新商品のサンプル品をご送付いただいたとのこと、誠にありがとうございます。 本日は担当の長谷川が12月25日まで休暇で不在のため、私がお引取りいたします。 商品が届きましたら、ご報告のご連絡をさせていただきます。 今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 近藤
【件名】 新サービスのお知らせ 【本文】 いつも当店をご利用いただきありがとうございます。 今回は、新サービス開始のお知らせでご連絡たしました。 この度、ご自宅にある不用品の査定がメールでてきるようになりました。 webサイトから必要事項を記入し、商品の写真をご送付いただくだけで簡単に査定し、お引取りいたします。 24時間無料で申し込みすることができるので、ぜひお気軽にご利用くださいませ。 ご不明な点や質問がございましたら、お問合せフォームからお気軽にご連絡ください。 今後も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。 株式会社OTAKARA
「お引取りいたします」と似た敬語表現に、「お引取りさせていただきます」があります。 「お引取りさせていただきます」は、「引き取る」に謙譲語の接頭辞「お」をつけて、「させてもらう」の謙譲語「させていただく」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「いただく」は「もらう」という意味で、自分が何らかの利益を得ることを表します。 「させていただく」の「させる」は許容を表します。 「させていただく」を使用するには、
の2つの条件が必要です。 「お引取りさせていただきます」の場合は、直接的に許可を得ているわけではないので、やや大袈裟な表現といえますが謙虚な表現として使われることが多いです。 しかし、クドい印象があるのでシンプルに「お引取りいたします」を使う人が多いです。
「お引取り申し上げます」は、「おひきとりもうしあげます」と読みます。 「お引取り申し上げます」の意味も「伝える」です。 「申し上げる」は「する」の謙譲語です。 本来は「言う」の謙譲語ですが、「ご(お)〜申し上げる」で「する」という意味の補助動詞になります。 補助動詞は平仮名で表記する決まりがあるので、本来は「もうしあげます」と平仮名で書くのが正しいですが、「申し上げます」の場合は慣用的に漢字で表記されることのほうが圧倒的に多いです。 「お(ご)〜申し上げる」は、「お(ご)〜する」よりも敬意の度合いが高いので「お引取りいたします」よりも「お引取り申し上げます」のほうが丁寧で改まった敬語表現です。 しかし、「お引取り申し上げます」は一般的にあまり使われない敬語表現です。
「お引取りいたします」は、「お引取りします」とすることもできます。 「お引取りします」は、「引き取る」に謙譲語の接頭辞「お」をつけて「する」の連用形「し」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お引取します」も正しい敬語表現で目上の人に使うことができますが、「する」を丁重語「いたす」にした「お引取りいたします」のほうが丁寧です。