「お忙しいところありがとうございます」は、忙しい状態にありがとうという意味です。相手が自分のために時間を割いてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えるときに使います。例えば「お忙しいところご参加いただきありがとうございます」などと使うことができます。
「お忙しいところありがとうございます」は、「あなたが忙しい状態にもかからわず◯◯してくれて感謝します」という意味です。 忙しい状態の中で対応してくれた相手に対して感謝の気持ちを伝える言葉です。 「お忙しいところありがとうございます」は、目上の人に使える敬語表現です。 「お忙しいところありがとうございます」の「忙しいところ」についている「お」は、尊敬を表す接頭辞です。 接頭辞「お(ご)」は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりますが、目上の人に関係する事物や状態、行動に対して使う場合は尊敬語です。 「お忙しい中」の「お」は丁寧語と解釈しても間違いではありません。 「ありがとうございます」は、「ありがとう」に「ある」の丁重語「ござる」に丁寧語「ます」をつけています。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示す敬語で、謙譲語Ⅱともいわれます。 丁寧語は、文末につけることで文章全体を丁寧する敬語です。
「お忙しいところありがとうございます」の使い方を場面別に例文つきで解説していきます。
「お忙しいところありがとうございます」は、相手が自分のために時間を割いてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えるときに使います。 例えば、商品に関する説明を聞いてくれるなどの場面です。
例文
「ありがとうございます」は、継続していることに対するお礼の表現なので、今時間を割いてもらっている状態にお礼を伝えるときに使います。 「ありがとうございました」は、過去のできことに対するお礼の表現です。 時間を割いてもらった翌日などにお礼を伝える場合に使います。 「誠に」は「本当に」のかしこまった表現です。 「お忙しいところ〜誠にありがとうございます」とするとより丁寧です。
相手が会議に参加してくれたなど、自分の元にへ訪問してくれたことに対するお礼を伝える場面でも使うことができます。 その場合は、「ご参加」「ご出席」「ご臨席(ごりんせき)」「おいでくださる」「お立ちより」「お越しになる」「ご来訪」「ご光臨(ごこうりん)」などを使います。 「ご臨席」は、身分の高い人が会合・式典に出席することです。 「ご来訪」「ご光臨」は、相手が訪ねることを敬っていう語です。
例文
その他にも、何か対応をしてもらったときや、確認してもらったとき、教示してもらったとき、送付してもらったときなど、様々なことへのお礼で使うことができます。
例文
「お忙しい中」は、「おいそがしいなか」と読みます。 「お忙しい中」の「中」は、物事が起こっている、その状況下という意味です。 「ところ」と「中」が同義語なので、「お忙しい中」と「お忙しいところ」の意味は全く同じです。 「お忙しい中」も依頼・感謝の文章で用いられ、使い方も同じです。
「ご多忙のところ」は、「ごたぼうのところ」と読みます。 「お忙しいところ」を、フォーマルにすると「ご多忙のところ」になります。 「多忙」の意味は、非常に忙しいことです。 「お忙しい」と「ご多忙」は敬意の度合いは同じですが、「多忙」の方が相手がより忙しいと想定しているので、謙虚な印象を与えます。 また、和語ではなく漢語であるため、かたい印象を与えます。 「ご多忙の中」「ご多忙のところ」を、「ご多忙の折」とするとよりフォーマットな表現になります。 「折」とは、時の流れの中で、他と区別して区切った、そのときという意味です。 少しややこしいですが「時」と同義です。他と区切ったという意味なので、「今まさに(他の時期よりも)忙しい時なのに」というニュアンスを含み、より謙虚な印象を相手に与えます。
「多忙」の類語に「多用(たよう)」があります。 「多用」の意味は、用事が多くて忙しいことです。 「多用」より「多忙」の方が忙しさの度合いが高いですが、特に使い分けは必要ではありません。
「お急ぎのところ」は、「おいそぎのところ」と読みます。 「お急ぎのところ」は、「急いでいる状態に」という意味です。 「お急ぎのところ恐れ入りますが」などの形で、相手が忙しい状態に時間を割かせたり量力を使わせることを詫びるクッション言葉として使うことができます。
「感謝いたします」は、礼をいうときに「ありがとう」の意味で使う丁寧な言葉です。 「感謝いたします」は、「感謝」に「する」の丁重語「いたす」と丁寧語「ます」を使った敬語表現です。 「感謝いたします」の「いたします」は平仮名表記です。 平仮名表記の「いたします」は補助動詞、漢字表記「致します」は本動詞として使う決まりあるため「感謝致します」は誤りです。 「感謝申し上げます」ということもできます。 「申し上げる」は「言う」の謙譲語(自分の動作をへりくだり相手に敬意を示す敬語)です。 「感謝いたします」の前に「心より」「心から」「衷心より(ちゅうしんより)」をつけるとより丁寧になります。
「御礼(おれい)」は、恩恵や贈り物を受けたのに対して、感謝の意を表すことを意味します。 「御礼申し上げます」は口頭で使うことはあまりなく、手紙など書き言葉として使うことがほとんどです。手紙の中でも、年賀状や暑中見舞いなど、改まった場面で感謝の言葉として使われます。 「御礼申し上げます」の前に「厚く」「重ねて」「心より」を付けると、より気持ちを強調することができます。 また、「御礼の言葉もございません」「御礼の申し上げようもございません」とすることで、感謝の度合いが強すぎて上手く言い表せる言葉が見つからない、言葉で表せないほど深く感謝している、または、感謝のあまり言葉がでないという意味になります。
「感謝の念に堪えません(かんしゃのねんにたえません)」は、抑えきれないほど沸き上がる感謝の気持ちという意味です。 「念」には「思い・気持ち」という意味があり、「感謝の念」でありがたいと感謝する気持ちを表すことができます。
「拝謝(はいしゃ)」は、礼を述べることの謙譲語です。 「拝」は「拝む(おがむ)」ことを表す言葉なので、謙遜の気持ちを表すときによく使います。 「拝謝」は書き言葉として使われることがほとんどで、ビジネスメールなどで使うのに適しています。
「深謝(しんしゃ)」の意味は、深く感謝することです。 「深謝」は「深い」という字を使って感謝することを強調しているので、「ありがとうございます」「感謝申し上げます」と言うよりも、深く感謝しているということを伝えられます。 お礼状などで多く使われます。
「幸いです(さいわいです)」は、ありがたいことですという意味です。 「幸いに存じます」などの形で使われることが多いです。 「幸いに存じます」は、「幸い」に「思う」の丁重語「存ずる」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現で、ありがたく思いますという意味になります。
「幸甚(こうじん)」は、非常にありがたく、幸せに思うことという意味です。 「幸甚」の「甚」は「普通の程度をはるかに超えているさま」を表し、「幸甚」でこの上ない幸せ・幸せの極みを表します。 「幸いです」と同じように用いることができますが「幸いです」よりも丁寧な表現です。
「お忙しいところ」は社交辞令に近く、謙遜する気持ちを表現するものです。 相手が実際には忙しくなく暇な場合でも「お忙しいところ〜」の形で依頼することができます。 どうしても気になる方は、「大変恐縮ですが」など「お忙しいところ」を省略した形で使いましょう。
「お忙しいところ」は、上述したように相手が忙しくても忙しくなくても使うことができます。 しかし、相手が時間に余裕があることが明らかな場合に、「お忙しいところ〜」と言うと嫌味に聞こえます。 そのような場面では使用するのはやめましょう。
ビジネスシーンで同じ言葉を何度も繰り返し使用するとしつこく、相手に不快な思いをさせてしまう場合があるので注意しましょう。 「お忙しいところ申し訳ありませんが」などを多用すると、本当に申し訳なく思っているのか?と疑問に感じる方もいらっしゃいます。 上記で紹介した言い換え表現を使用したり、ある程度関係が築けたら使用を停止する、などして対応しましょう。