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「お貸し」の意味と使い方、敬語、類語、「お借り」との違いを例文つきで解説

「お貸し」の意味は、自分の物を(時間を限って)他人に使わせるです。何かを相手から借りたいときに「お貸しいただきますようお願いいたします」などと使ったり、お礼を伝えるときに「お貸しいただきありがとうございます」などと使うことができます。

「お貸し」とは

意味

「お貸し」は「おかし」と読みます。 「お貸し」の意味は「自分の物を(時間を限って)他人に使わせる」です。 また、自分の能力・労力などを相手に提供するといいう意味でも使われます。

敬語

「お貸し」は「貸す」に接頭辞「お」をつけた言葉です。

接頭辞「お(ご)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。

  • 相手の動作を高めて敬意を示すためにつける接頭辞「お」は、尊敬語
  • 自分の動作をへりくだって相手に敬意を示すためにつける接頭辞「お」は、謙譲語
  • 言葉をただ丁寧にいうだけにつける接頭辞「お」は、丁寧語

相手が貸すことに対してつける場合の接頭辞「お」は尊敬語になり、自分が貸すことに対してつける接頭辞「お」は謙譲語になります。

「お貸しいただく」と「お貸しくださる」の違い

「お貸しいただく」は「(自分が)貸してもらう」という意味です。 「いただく」は「もらう」という意味の敬語表現です。 「お貸しくださる」は「(相手が)貸してくれる」という意味です。 「くださる」は「くれ」という意味の敬語表現です。 「自分が貸し手もらう=相手が貸してくれる」なので、表現方法が違うだけで意味は同じです。 また、「いただく」は「もらう」の謙譲語、「くださる」は「くれ」の尊敬語です。 謙譲語と尊敬語のどちらがより丁寧かというのはありません。 謙譲語は、自分の動作・状態・物事をへりくだることで相手に敬意を示します。 尊敬語は、相手の動作・状態・物事についてその人を高めることで敬意を示します。 ただし、「くださる」が命令形「くれ」の尊敬語を使用した敬語表現であるため、「いただく」のほうが謙虚で丁寧な響きがあるといえます。 したがって、迷ったときは「お貸しいただく」を使うとよいでしょう。

「お貸し」の使い方

依頼

「お貸し」は、ビジネスシーンで相手に何かを貸してほしいと依頼をするときに使います。 例えば、取引先の相手に商品のサンプルを貸してほしいとお願いをするときなどです。 また、協力をしてほしいという意味で「力をお貸しください」などと使うこともできます。 依頼で使うときには、

  • お忙しいところ恐れ入りますが
  • 大変恐縮なのですが
  • ご迷惑をおかけしますが

などのクッション言葉と併せて使うとより丁寧です。 クッション言葉とは相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。ビジネスシーンでは様々な状況で使われます。 クッション言葉を使うことで直接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 また、相手に強く依頼したり感嘆する気持ちを表す「どうぞ」「何卒」「よろしく」などを併用することも多いです。 依頼するときに使う敬語表現には、

  • お貸しください
  • お貸しくださいませ
  • お貸しいただけますか
  • お貸しくださいますようお願いいたします
  • お貸しいただきますようお願い申し上げます
  • お貸しいただきたく存じます
  • お貸しいただければ幸いです

などがあります。 「お貸しください」は、貸してくれという意味です。 「ください」は命令形「くれ」の尊敬語です。 正しい敬語表現ですが、命令文なので上司や社外の人に使うには丁寧さに欠けます。 「お貸しくださいませ」とすると、柔らかい響きになります。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」を男性は使えないと認識している人も多いですが、男性も使うことができます。 「お貸しいただけますか」は、貸してもらえますかといいう意味です。 「いただけますか」は「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけています。疑問文にすることで、柔らかい依頼表現になります。 「お貸しくださいますようお願いいたします」は、貸してくれるようお願いするという意味です。 「くださいますよう」は、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「くださいますよう〜」とすることで、直接的な表現を避けることができるので、ただ「お願いします」とお願いをするよりも柔らかい印象になります。 「お貸しくださいますよう〜」は「お貸しいただきますよう〜」とすることもできます。 「いただきますよう」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「お貸しいただきたく存じます」は、貸してもらいたく思うという意味です。 「いただきたく存じます」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に願望の「たく」、「思う」の丁重語に丁寧語「ます」を付けた敬語表現です。 「お貸しいただければ幸いです」は「貸してもらえれば嬉しい」という意味です。 「いただければ」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に仮定の「れば」をつけています。 「幸い」ですは「〜してもらえれば嬉しい。ありがたい」という意味です。 「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすると、より丁寧でかしこまった印象になります。

感謝

「お貸し」は、貸してもらったことに対するお礼を伝えるときにも使います。 例えば、取引先から備品などを借りたときなどです。 また、協力してもらったことに対するお礼で「力をお貸しいただきありがとうございます」などと使うこともできます。 感謝を伝える敬語表現には、

  • お貸しいただきありがとうございます
  • お貸しくださいまして感謝申し上げます
  • お貸しいただき恐縮です

などがあります。 「お貸しいただきありがとうございます」は、貸してもらいありがとうというい意味です。 「お貸しいただき」は、「お貸し」に「もらう」の謙譲語「いただく」をつけています。 「お貸しいただき」は、「お貸しくださり」とすることもできます。 「くださり」は、「くれ」の尊敬語「くださる」です。 「ありがとうございます」は「感謝申し上げます」「お礼申し上げます」とするとより丁寧です。 「感謝」は、ありがたく感じている謝意を表す言葉です。 「感謝申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 「お礼申し上げます」は、「礼」を丁寧に言い表すためにつける美化語「お」をつけて、「する」の謙譲表現「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お礼」は、感謝の気持ちを表す言葉や金品を指す言葉です。 「お礼を申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 また、「ありがとうございます」を「恐縮です」「恐れ入ります」でお詫びのニュアンスになります。 「恐縮です」は、「恐縮」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「恐縮」は、相手からの厚意に対して恐れ多い感謝の気持ちや迷惑をかけたときの謝罪の気持ちを表します。 「恐れ入ります」は、「恐れ入る」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「恐れ入る」は、相手の厚意に対して恐縮するという意味で、相手の厚意に対して恐縮する気持ちを表します。 自分の事情で相手に迷惑をかけてしまった場合には、「ありがとうございます」よりも「恐縮です」「恐れ入ります」のほうが適しています。

意思

「お貸し」は、自分が相手に何かを貸すという意思表示をするときにも使うことができます。 例えば、取引先の相手が何かがなくて困っているときなどに使います。 「よろしければ」などと併せて使うとより、丁寧になります。 「よろしければ」は、「よかったら」といういう意味で、相手に何かの選択肢を選んでもらうときに使います。 「よろしければ」を使うことで、謙虚な表現になります。 意思表示で使うときの言い回しには、

  • お貸しします
  • お貸しいたします
  • お貸ししております
  • お貸しいいたしております
  • お貸ししましょうか
  • お貸しいたしましょうか

などがあります。 「お貸しします」は、「貸す」に謙譲語の接頭辞「お」をつけて、「する」の連用形「し」と丁寧語「ます」をつけています。 「お貸しします」は、「お貸したします」とすると、より丁寧になります。 「お貸しいたします」は「お貸し」に「する」の丁重語「いたす」と丁寧語をつけた敬語表現です。 「お貸ししています」は、「貸している」という意味です。 「お貸ししています」は、「お貸し」に「する」の連用形「し」と接続助詞「て」、「いる」丁寧語「います」をつけた敬語表現です。 「います」は、「いる」を丁重語にして「おります」とするとより丁寧になります。 例えば「宿泊者の皆様に無料でドライヤーをお貸ししております」などと使います。 「お貸ししましょうか」「お貸しいたしましょうか」とすると、疑問形になるのでより柔らかい印象になります。

「お貸し」のビジネスメール例文

サンプルを貸してほしい

【件名】 サンプル品貸出のお願い 【本文】 株式会社あいうえお 営業部 大橋様 先日は展示会にて新しい機材についてご丁寧に説明いただきありがとうございます。 早速ですが、新しい機材○○のことを上司に説明しましたところ、実際に見て確認したいと申しております。 先日のご説明で、サンプル品の貸し出しが可能とのことでしたので、可能なときに○○をお貸しいただきたくお願い申し上げます。 こちらから受け取りに伺いますので、貸出可能な日程をご連絡いただければ幸いです。 ご多忙の中恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。 長谷川

社内で物品や備品などを貸してほしい

【件名】 備品拝借のお願い 【本文】 大川事務長 お疲れ様です。営業部の青木です。 標題の件、12月12日(水)に行われます会議にて使用したく、お貸しいただきたく存じます。 貸出物品名:テレビモニタ 1つ 有線マイク:1つ 借用者の所属・氏名:営業部 青木俊 貸出期間:平成31年12月12日(水) 13時〜15時 上記の通り申請いたします。 許可のほどよろしくお願い申し上げます。 青木

上司に知恵を貸してほしい

【件名】 新規プロジェクトに関するご相談 【本文】 三ツ谷課長 お疲れ様です。 標題の件、新プロジェクトの開始にあたり、先日三ツ谷課長にご指摘いただいた件でご相談がございます。 1.プロジェクトメンバー増員について 2.プロジェクト費用の減額について 3.全社員に配布する資料について 添付した資料に詳細と対策案を記載してあります。 お時間ある時でかまいませんので、ご一読の上ご返信くださいますようよろしくお願いいたします。 ご多忙中にも関わらず恐縮ですが、○○課長のお知恵をお貸しいただけないでしょうか。 よろしくお願い申し上げます。 松野

貸してもらったお礼

【件名】 サンプル品の拝借の御礼 【本文】 株式会社ABC 営業部 谷本様 いつもお世話になっております。 株式会社CDEの仲間です。 先日はお忙しい中、貴重なお時間をとっていただき、またサンプル品をお貸しいただきありがとうございます。 おかげさまで滞りなく会議を行うことが出来ました。 厚く御礼申し上げます。 明日、予定通り返却をしに貴社へ伺います。 お忙しいところ大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。 仲間

貸すことを伝える

【件名】 新商品「△△△」について 【本文】 柿本商事  総務部 藤沢様 お世話になっております。 株式会社PONEY営業部の立川です。 本日は弊社新商品「△△△」のご案内で連絡いたしました。 この度、12月1日(月)に新商品「△△△」を発売することが決定いたしました。 商品資料を添付いたしますので、ご確認いただければ幸いです。 ご希望であればサンプル品をお貸しいたします。 遠慮なくご連絡いただければと存じます。 よろしくお願いいたします。 立川

「お貸し」の類語と対義語

類語は「貸し出し」「貸与」

「貸し出し」は「かしだし」と読みます。 「貸し出し」の意味は「金銭、本などの品物、その他を貸すこと」です。 例えば、依頼をするときに「貸し出し可能でしょうか」などと使うことができます。 「貸与」は「たいよ」と読みます。 「貸与」の意味は「貸し与えること」という意味です。 「備品を貸与する」などと使うことができます。

対義語は「お借り」「拝借」

「お借り」は「おかり」と読みます。 「お借り」の意味は「あとで返す約束で、他人のものを一時的に自分のものとして借用する」です。 「○○をお借りしたいです」などと使います。 「拝借」は「はいしゃく」と読みます。 「拝借」の意味は「借りること」の謙譲語です。 例えば「備品を拝借します」などと使います。

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