1. TOP
  2. 日本語
  3. 敬語
  4. お貸し「いただく」と「くださる」の違い

お貸し「いただく」と「くださる」の違い

「お貸しいただく」と「お貸しくださる」は、言い方が違うだけで意味は同じです。「お貸しいただく」は謙譲語、「お貸しくださる」は尊敬語という違いもありますが、敬意の度合いも同じです。

「いただく」と「くださる」の違い

言い方が違うだけで意味は同じ

「お貸しいただく」は「(自分が)貸してもらう」という意味です。 「いただく」は「もらう」という意味の敬語表現です。 「お貸しくださる」は「(相手が)貸してくれる」という意味です。 「くださる」は「くれる」という意味の敬語表現です。 「自分が貸してもらう=相手が貸してくれる」なので、表現方法が違うだけで意味は同じです。

敬語の種類は違うが、敬意の度合いは同じ

「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。 「くださる」は、「くれ」の尊敬語です。 「いただく」は謙譲語、「くださる」は尊敬語という違いがありますが、謙譲語と尊敬語のどちらがより丁寧かというのはありません。 謙譲語は、自分の動作・状態・物事をへりくだることで相手に敬意を示します。 尊敬語は、相手の動作・状態・物事についてその人を高めることで敬意を示します。 ただし、「くださる」が命令形「くれ」の尊敬語を使用した敬語表現であるため、「いただく」のほうが謙虚で丁寧な響きがあるといえます。 したがって、迷ったときは「お貸しいただく」を使うとよいでしょう。

「お貸し」の敬語の言い換え

お貸しください

「お貸しください」は、「貸す」に尊敬を表す接頭辞「お」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「お貸しくださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。

お貸しいただけますか

「お貸しいただけますか」は、「貸す」に尊敬を表す接頭辞「お」と、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「お貸しください」では丁寧さに欠けますが、「貸してもらえますか?」と疑問形にすることで、柔らかい依頼の表現になります。 「お貸しいただくことは可能でしょうか」という敬語表現もあります。 「お貸しいただくことは可能でしょうか」は、「貸してもらうことはできるだろうか?」と可否を確認する表現で、依頼をするときに使用される正しい敬語表現です。 しかし、やや強意的であるためビジネスシーンでは使用を避ける人もいます。

お貸しいただきたく存じます

「お貸しいただきたく存じます」は、「貸す」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と思うの丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お貸しいただきたく存じます」で、「貸してもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「お貸しいただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。

お貸しいただけますと幸いです

「お貸しいただけますと幸いです」の「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「幸いです」は、ありがたく思う気持ちや嬉しいという気持ち表します。 したがって、「お貸しいただけますと幸いです」で「貸してもらえると嬉しい」という意味の依頼表現になります。 「お貸しくださいますと幸いです」とすることもできます。 「くださいますと」は「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」を使った敬語表現です。 「お貸しくださいますと幸いです」で「貸してくれると嬉しい」という意味になります。 「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現です。

クッション言葉

「お貸しいただく」「お貸しくださる」は、クッション言葉と合わせて使われることが多いです。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで直接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 クッション言葉には、

  • お忙しいところ恐れ入りますが
  • ご多忙の中大変恐縮ですが
  • ご多用の折申し訳ありませんが
  • お手数をおかけしますが
  • ご迷惑をおかけしますが

などがあります。

「お貸し」のビジネスメール例文

社内で物品や備品などを貸してほしい

【件名】 備品拝借のお願い 【本文】 大川事務長 お疲れ様です。営業部の青木です。 標題の件、12月12日(水)に行われます会議にて使用するため、お貸しくださいますようお願いいたします。 貸出物品名:テレビモニタ 1つ 有線マイク:1つ 借用者の所属・氏名:営業部 青木俊 貸出期間:平成31年12月12日(水) 13時〜15時 上記の通り申請いたします。 許可のほどよろしくお願い申し上げます。 青木

サンプルを貸してほしい

【件名】 サンプル品貸出のお願い 【本文】 株式会社あいうえお 営業部 大橋様 先日は展示会にて新しい機材についてご丁寧に説明いただきありがとうございます。 早速ですが、新しい機材○○のことを上司に説明しましたところ、実際に見て確認したいと申しております。 先日のご説明で、サンプル品の貸し出しが可能とのことでしたので、可能なときに○○をお貸しいただきますようお願いいたします。 こちらから受け取りに伺いますので、貸出可能な日程をご連絡いただきたく存じます。 ご多忙の中恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。 長谷川

協力を仰ぐ

【件名】 新商品開発について 【本文】 営業部各位 お疲れ様です。 商品開発部の麗日です。 商品開発部では現在、12月発売予定の新製品を開発中でございます。 しかし、ありきたりな商品ばかりで新鮮味が足りないのではないかという声が上がっております。 つきましては、お客様の声を身近で聞いている営業部の皆様にご意見をちょうだいしたく存じます。 日頃耳にするお客様の声や「こんな商品があったら良いのでは」という意見があれば、ぜひお聞かせいただきたく存じます。 お忙しいところ恐れ入りますが、お力をお貸しいただけないでしょうか。 よろしくお願い申し上げます。 麗日

トレンド

カテゴリーランキング

  1. TOP
  2. 日本語
  3. 敬語
  4. お貸し「いただく」と「くださる」の違い