「重きを置く」の意味は「重大なことと考える」です。「〜に重きを置く」の形で論文やビジネス文書で、いくつかあるものの中の一つを重要と考えて取り扱うことをいい表します。「重要視する」「重点を置く」などと言い換えることが可能。
「重きを置く」の読み方は「おもきをおく」です。 「重きを置く」の意味は「重大なことと考える」です。 いくつかあるものの中で、一つを重要と考えて取り扱うことをいいます。 「重き」は、形容詞「重し」の連体形が名詞化したもので、「重いこと。重み」という意味です。 「置く」は「ある状態にする」という意味です。 言語学ではイントネーションでアクセントを付けることを「重きを置く」という場合もあります。
「重きを置く」は、「〜に重きを置く」の形で論文やビジネス文書で使います。 「重き」には古めかしい響きがあり、やや堅苦しい印象をあたえるため、日常会話ではあまり使用されません。 例えば、ビジネスでは「人材育成に重き置く」など、何に重点をおいて取り組むかを伝えるときに使用されます。 「重きを置かれる」「重きを置かない」という形で使用することもできます。 「重きを置かれる」は受け身の助動詞「れる」をつけた表現で、「他から重要だと考えられている」ということを言い表します。 「重きを置かない」は、「重きを置く」に打ち消しの「ない」をつけた言葉です。 「重要だと考えていない」ということを言い表します。
例文
「趣を置く」は誤用です。 「趣」は「おもむき」と読みます。 「趣」の意味は、
です。 「趣を置く」という言葉は存在しません。 「重きを置く」と響きが似ていることから混合されて誤用されるようになったと考えられます。
「重きを置く」の尊敬語は「重きを置いていらっしゃる」または「重きを置かれる」です。 「重きを置いていらっしゃる」の「いらっしゃる」は「〜している」の尊敬語です。 「重きを置かれる」は、「置く」に尊敬の助動詞「れる」をつけた言葉です。 助動詞「れる」には他にも「自発」「受身」「可能」の意味もありますが、目上の人の動作を高めるために使用している「れる」は「尊敬語」になります。 尊敬語は相手の動作を高めることで相手に敬意を示す敬語表現です。 よって、自分が重きを置くということを言い表す場合には使用することはできません。 相手が重きを置くこと・重きを置いていることを言い表すときに使用します。
「重きを置かせていただきます」は、「重きを置く」に「〜させてもらう」の謙譲語「させていただく」と使用しています。 謙譲語は、自分の動作をへりくだって表現することで相手に敬意を示すことができます。 ただし、「させていただく」は本来、相手からの許可が必要で、またそれを実行した場合こちら側に恩恵のある行為をさせてもらう時に使用する敬語表現です。 許可が必要というのは、許可を得てからではないと使えないという意味ではありません。 相手からの許可が必要なことを自分がするときに使用するということです。 例えば、「日程をさせていただきます」などが正しい使い方になります。 「重きを置かせていただきます」のように、本来許可を得る必要のないことに「させていただきます」を使用してしまうと意味的に不自然ですし、「慇懃無礼」にあたります。 「慇懃無礼」とは、言葉や態度が丁寧すぎてかえって無礼であることです。
「重きを置きます」は、「重きを置く」に丁寧語「ます」をつけた丁寧語です。 丁寧語は文末につける「です」「ます」のように、文章全体を丁寧にする敬語表現で目上の人に使用することができます。 自分が何かに重きを置くことを伝えるのであれば、上述した「重きを置かせていただきます」ではなく「重きを置きます」が良いです。
「重んじる」は「おもんじる」と読みます。 「重んじる」の意味は「尊重する」です。 価値のあるものとして、大切に扱うことをいいます。 「重く見る」の意味は「重要なものとしてみる」です。 「重んじる」と「重く見る」は「重きを置く」と同義で、言い換えることができます。
「重き」を二字熟語に言い換えて、「重点を置く」「重視する」などと言い換えることができます。 「重点」は「物事の重要な点」という意味です。 「重視」は「ある事柄を重大なこととして重く見る」という意味です。 「重心を置く」「比重を置く」「主眼を置く」「力点を置く」なども、「重要なものとして取り扱う」という意味なので、「重きを置く」と言い換えることができます。 「重要視する」も「重きを置く」と同義です。 日常会話では「重視する」「重要視する」と言い換えられるのが一般的です。 ちなみに、「重きを置く」という意味の熟語はありません。
「軽視する」は「軽視する」と読みます。 「軽視」の意味は「物事の価値を軽くみること」です。 たいしたものではないと、それほど注意して扱わないことをいいます。 よって、「重要なものとして扱う」という意味のある「重きを置く」の対義語になります。
「蔑ろにする」は「ないがしろにする」と読みます。 「蔑ろ」の意味は「侮って軽視するさま」です。 あってないもののように物事を軽んじる様子をいいます。 例えば「学業を蔑ろにする」というように使います。
「一目置く」の読み方は「いちもくおく」です。 「ひとめおく」ではないので注意しましょう。 「一目置く」の意味は「自分よりすぐ売れている人に敬意を払う」という意味です。 相手がすぐれていることを認めて一歩譲るということを言い表していて、目上の人・同等の立場の人・目下の人のいずれに対しても使用することができます。 ただし、相手に対する評価なので目上の人に対して使用すると失礼に当たることもあります。 人に対して使用することがほどんどですが、人に対してだけではなく物に対しても使用することができます。 「一目も二目(にもく)も置く」は、「一目を置く」をさらに強調した言葉です。
「念頭に置く」は「ねんとうにおく」と読みます。 「念頭に置く」の意味は「おぼえていて心にかける」です。 忘れずにいつも考えおくことをいいます。 「念頭」は「考える場所としての心」という意味があります。 「○○を念頭に置いて〜する」というように使用します。 「念頭に入れる」はよくある誤用なので注意しましょう。
「間を置く」は「まをおく」と読みます。 「間を置く」の意味は「間隔をあける」です。 主に「時間を隔てる」という意味で使用されます。
「胸に手を置く」は「むねにてをおく」と読みます。 「胸に手を置く」の意味は「よく思考する」です。 心を静め、落ち着いて考えるために両手を胸にあてがう様子を言い表しています。 「胸に手をあてる」ともいいます。
「重きを置く」に一番近い英語表現は「put emphasis on」です。 「emphasis」は「強調」という意味です。 「put」の代わりに「place」「lay」などを使ってもよいでしょう。 「much emphasis」「great emphasis」などと強調することもできます。
I believe we should put emphasis on speaking and communication with respect to language education in this AI era.
このAI時代では、言語学習においてスピーキングとコミュニケーションに重きを置くべきだと私は思います。
「focus on」は「〜に集中する」という意味ですが、この表現を「重きを置く」という意味で使っても不自然ではありません。 「focus on」の類語に「concentrate on」があります。 これらは意味の違いはほとんどなく、言い換えが可能です。
「value」は名詞では「価値」を意味しますが、動詞では「〜に価値を見出す」という意味があります。 「価値を見出す」ということは、「大切なものである」と認識することなので、「重きを置く」の英訳として使用することが可能です。
「重きを置く」の意味は「重大なことと考える」です。 論文やビジネス文書などで、「いくつかあるものの中で、一つを重要と考えて取り扱うこと」を言い表します。 主な言い回しは「〜に重きを置く」です。 尊敬語にすると「重きを置いていらっしゃる」「重きを置かれる」 謙譲語「重きを置かせていただく」は不自然。 丁寧語「重きを置きます」でも目上の人に使用することができます。