「ピンキリ」は「ピンからキリまで」の略で、物事のクオリティーや値段などの程度を示す際に、「最上のものから最低のものまで」「最初から最後まで」という幅広い範囲のものがあることを表現することができる言葉です。ポルトガル語の「pinta(ピンタ)」と「cruz(クルス)」が語源になってできた言葉です。
「ピンキリ」の意味は「良いものから悪いものまで」です。 物事のクオリティーや値段などの程度を示す際に、「最上のものから最低のものまで」「最初から最後まで」という幅広い範囲のものがあることを表現することができます。 言い換えると色々なものがある、ということです。
「ピンキリ」の上下が分からなくなって「どっちがいいんだっけ?」と思う人も多いかと思います。 広辞苑などの国語辞典を調べると「ピンキリ」は「ピンからキリまで」の略であることが記載されています。「ピンからキリまで」が昭和後期から「ピンキリ」と略されるようになりました。 そうすると、自然と「ピン」が上で、「キリ」が下だということがわかります。 わからなくなったら「ピンからキリまで」という言葉を思い出しましょう。
「ピン」は広辞苑によると、ポルトガル語の「pinta(ピンタ)」という単語からきています。 「pinta」の意味は「かるたや采の目などの1の数」「はじめ・最上のもの」です。 貿易が盛んだった16世紀のはじめの頃に、ポルトガルから伝えられた「天正カルタ」が日本で流行りました。「天正カルタ」は12枚で一組となってるカードゲームで、この1枚目のカードを「ピン」と呼んでいたことから、転じて「最初」「最上の」という意味で使用されるようになったと言われています。 「キリ」の語源には諸説あります。 まず、ポルトガル語の「cruz(クルス)」が語源となっている説です。 「cruz」は、十字架のことです。「クルツ」が訛って「キリ」と言われるようになり、「十」を表す言葉とて使われるようになりました。 そこから「一から十まで」という意味で「ピンからキリまで」という表現をされるようになったと言われています。 また、花札の12月の絵札である「桐に鳳凰」の「桐」からきているという説もあります。 12月が一年の終わりの月であることから、「終わり」という意味で「キリ」が使われるようになったとも言われているのです。 「ピン」の語源となっている天正カルタでは「ピン」は最低点なので、「ピン」が最低で、「キリ」が最高という見方もできるが、江戸時代に「ピンからキリまで」という表現が定着したときには意味が逆転しており、現代でも「ピン」が最高で「キリ」が最低として使われています。 「ピンキリ」は方言ではありません。全国区共通で使われている言葉です。 ちなみに、ポルトガル語の「pinta」が語源になっている言葉には、「ピンはね」「ピン芸人」などもあります。 「ピンはね」は「他人に渡すべき金銭などから一部をとって自分のものにしてしまうこと」という意味です。 「ピン芸人」は「一人で活動する芸人」(筆者が好きなもう中学生さんなど)を指す言葉です。 これらは「かるたや采の目などの1の数」を意味する「pinta」から、「一」を意味する言葉として「ピン」という言葉が使われています。
「ピンキリ」は差別用語ではありません。 しかし、失礼にあたる場合もあるので注意しましょう。 例えば、誰がが手間をかけて作った作品に対して「ピンキリだ」というのは、「クオリティの高いものから低いものまである」という意味になってしまいます。 評価として素直な意見であっても、本人に対して「ピンキリですね」というのは失礼です。
「ピンキリ」は、物の質に対して使用する言葉です。 物に対して使用する場合、あるカテゴリーのなかにおいて「いろいろなレベルのものがある」という意味合いで使用されます。 ただ「この通りの飲食店はピンキリだ」のように、料理のクオリティを指しているのか、値段を差しているのかわかりにくいこともあります。 そういった場合は「味はピンキリだ」というように、何がピンキリなのかわかるように伝えましょう。 ビジネス用語なわけではないので日常会話でも使うことができる表現です。
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また、「ピンキリ」は物の値段に対しても使うことができます。 値段に対して「ピンキリ」を使うと「高価な物から安値まで」という値段の範囲を言い表すことができます。 お店の商品に対してや、持っている物の値段などに対してなど日常的に使われています。
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「ピンキリ」の類語・言い換え表現には「当たり外れ」「色々」「玉石混交」などがあります。 「当たり外れ」は「当たることと外れることがあること」を意味します。 また、物に対して「良い物もあれば悪い物もある」という意味で使用することもできます。 「色々」は「様々な色・各種の色」「様々な種々」という意味です。 「幅広い範囲のものがある」ということを伝えるのに「色々」と使われます。 「大小様々」は「大きさが色々あること」を伝える表現です。 「大きいものから小さいものまで」という範囲を言い表す類語になります。 「玉石混交(ぎょくせきこんこう)」は「良いもの悪いもの、すぐれたものとつまらないものが混ざっていること」という物の質を言い表す言葉です。
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「良し悪し」「一か八か」は類語ではありません。 「良し悪し」の意味は「よいことと悪いこと」です。 「良いこともあれば悪いこともある」という意味ではなく、「良いか悪いか」という意味で使われます。 意味は近いですが微妙に違い、使い方も全く異なるので類語とは言えません。 「一か八か」は、「結果がどうなるか予想のつかないことを、運や天にまかせること」です。 「ピンキリ」の語源が「一から十まで」だったことを考えると、「一か八か」も類語なのではないかと考える人もいるかもしれませんが、「一か八か」は「一から八まで」という意味ではありません。
「ピンキリ」には、これと言える対義語がありません。 しいて言うのであれば、ピンキリは質や値段などの程度を示す言葉なので、程度の差がないことを意味する「一定」「安定」「画一」などが対義語にあたると言えます。 「一定」の意味は、「一つに定まって動かないこと」「ある基準や範囲が決められていること」です。 「一定のレベル」「一定の値段」という使い方で変動がないことを言い表すことができます。 「安定」の意味は「物事が落ち着いていること」です。 激しい変化のない状況にあることを「安定」といいます。 「画一」の意味は「一本の先をひいたように正しく整っていること」です。 全てを一様に統一することを「画一」といいます。
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「sort」は「種類」を意味する英語です。 「種類」を意味する英語には、他にも「kind」「type」などがあります。 違いを知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。 「all sorts of...」とすると「様々な種類の...」という意味になり、「ピンキリ」という日本語を表すことができます。
There are all sorts of private schools even in Tokyo.
東京にある私立学校でもピンキリだ。
That bookstore has millions of kinds of books, including bad ones.
あの本屋の本はピンキリだ。
「good ones and bad ones」で「良いものも悪いものも」という意味です。 「one」は「1」という意味ではなく、「もの」「人」という意味です。
Although it's all called wine, there are good ones and bad ones.
一口にワインと言っても、ピンキリだ。
日本には「ピンキリ」以外のポルトガル語が沢山存在しています。なぜポルトガル語由来の日本語が多いのでしょう? 実は、1543年に日本人が初めて接触したヨーロッパ人がポルトガル人でした。 当時マカオにポルトガルの拠点地があったため、ポルトガル人が日本に来航するようになったのです。 そのため、日本に最も早く伝来した言語がポルトガル語だったと言われています。 ポルトガル語以外にも、鉄砲やキリスト教など様々なものが日本に伝えられていて、日本人はポルトガル人の影響を大きくうけています。 当時、ポルトガルから伝わり日本にはなかった物の名前には、そのままポルトガル語が使われることが多かったため現在でもポルトガル語由来の日本が沢山残っているのです。 ポルトガル語由来の日本語には、
などがあります。
いかがでしたか?「ピンキリ」について理解していただけがでしょうか。 簡単にまとめると...
などとなります。