「玉石混交」は玉(価値のあるもの)と石(無価値なもの)が入り混じっている様子を表す四字熟語です。「玉石混交」は昔のエピソードを元に言い伝えられた故事成語です。それでは「玉石混交」の詳しい意味と使い方、類語、対義語、英語表現を見ていきましょう。
「玉石混交」は「ぎょくせきこんこう」と読みます。 「玉石混交」はすべて音読みで読みます。
「玉石混交」は、「すぐれたものと、つまらないものが入り混じっている様子」を言い表しています。 「玉石混交」は、「玉石」と「混交」という2つの熟語からできている四字熟語です。 「玉石」は、「玉と石」のことで「価値のある物とないもの」を意味しています。 「混交」は、「異なるものが入り交じること」「ごちゃごちゃになること」という意味です。 したがって、この2つの熟語を組み合わせて「価値のあるものや、ないものが入り混じっている」というニュアンスのある四字熟語であるということがわかります。 価値のあるものや、ないものが入り混じってごちゃごちゃとしてしまっている様子を「玉石混交」という四字熟語を使用して表現することができます。
「玉石混交」は、昔の逸話を元にしてできた言葉です。 「玉石混交」の語源は、葛洪という人間が記した故事「抱朴子」に由来します。 「抱朴子」には、「昔は内容の善し悪しを見極める人がいたけれど、今はいなくなってしまって本物と偽物が逆になって入り混じってしまっている」と述べている文章があります。 それを「真偽顛倒し(しぎてんとう)し、玉石混淆す」と書き記しているのです。 ここから、「価値のあるものやないものが入り混じっている」という意味で「玉石混交」という言葉が使用されるようになりました。 本来は「玉石混交」ではなく「玉石混淆」という表記されていました。
「玉石混交」は「価値のあるものと無価値なものが混ざっていて区別がつかない」という意味で、「整理されていなくて分かりにくい」というネガティブな響きのある言葉です。 「このフリーマーケットは玉石混交で興味深い」と言えないこともないですが、これは本来の使い方とは違います。 ただ「入り混じっていてわかりにくい」という意味で使用されているものではなく、「価値のあるものないもの」「優れているもの、優れていないもの」が入り混じってしまっていることに対して使用する言葉であるということを頭に入れておくと良いでしょう。
例文
「玉石混交」を人に対して使うこともできるが、 ①人に優劣を付けるのはそもそも失礼 ②人をモノのようにいうさまが失礼 の2点に注意しなければいけません。 例えば、働いている人材に対して「玉石混交」という言葉を使ったとします。 頑張って働いているであろう人達を「優れている人」と「優れていない人」や、「価値のある人」「価値のない人」とわけるのは失礼だと思いませんか? 働いている会社の社長が「うちの社内は玉石混交だ」なんて言ったら、働きたくなくなってしまうのではないでしょうか。 極力人に対して使用するのは避けるべきでしょう。
「玉石混交」も元々は誤用でしたが、「淆」が常用漢字から外れたので、現代表記では「玉石混交」も許容されました。 しかし、「玉石混合」「玉石混同」は明らかな誤記となります。 「混合」は、「異なるものが一緒になるもの」 「混同」は、「異なるものを同じものと間違えること」 となります。 確かに「混じっている」というニュアンスで言えば「混交」よりも「混合」や「混同」のほうが聞き慣れている言葉でしっくりくる感じもしますが、「玉石混交」が正しい四字熟語です。 また、「珠玉混合」もよくある誤用です。 「珠玉」は、「真珠や宝石」を指す言葉で「尊いものや美しいもの」に対して使用する言葉です。 つまり、「珠玉混合」としても「価値が異なるものが混じり合っている」という意味にはならないのです。 日常生活では聞き慣れない言葉だからこそ、誤用も多いので注意しましょう。
「玉石」を使った他の慣用句に「玉石倶に焚く」があります。 「玉石倶に焚く」は「ぎょくせきともにたく」と読みます。 「玉石倶に焚く」とは「良いものも悪いものも一緒に滅びる」という意味のことわざです。 語源は『書経』にあります。 「書経」とは、中国古代の歴史書です。 この「書経」に「崑崙火を失して玉石倶に焚く」という一文があります。 これは「崑崙山で火災が起きてしまったら、貴重な玉もそうではないない玉も、一緒に焼けて失ってしまうことになる」ということを言い表しています。 ここから、「どんなに価値のあるものや反対に価値のないものであっても同じようになくなってしまう」という意味のことわざとして使われるようになりました。 また、「善人も悪人も関係なく災いを受ける」ということを喩えているとも言われています。 「玉石同砕」も「価値のないものも、あるものも、ともに砕けてなくなる」という同じ意味なので、「玉石倶に焚く」と同義になります。
「玉石雑糅(ぎょくせきざつじゅう)」は「良い物と粗悪なものが入り混じっていること」という意味があります。 「雑糅」は「雑然と入り混じっている様子」を表す言葉です。 「玉石同架(ぎょくせきどうか)」は、「価値のあるものをないものを、同じ台の上に乗せる」ということを意味していて、「価値のあるものと無いものが一緒にされて置いてある」という意味の四字熟語になります。 「玉石同匱(ぎょくせきどうき)」は、「玉石」と「同匱」という熟語からできています。 「同匱」は、大きな木箱のことで「価値のあるものとないものが同じ箱に入れられて入り混じっている」様子を表現しています。 「玉石雑糅」「玉石同架」「玉石同匱」はどれも「玉石混交」の同義語です。
例文
「魚目混珠(ぎょくもくこんしゅ)」は、「本物と偽物が混じっていて区別ができないこと」です。 「魚目」とは、漢字の通り「魚の目」のことです。 「混珠」には、中国の言葉で「入り交じる」という意味があります。 「魚の目」は、光輝く宝石と見間違えてしまうことがあるということから、「魚の目と宝石のように価値のあるものとないものの区別がつかない」という意味で「魚目混珠」という言葉が使用されるようになりました。 「魚目混珠」は「区別ができない」というニュアンスが強いです。
例文
「種種雑多(しゅしゅざった)」は、「色々な種類のものが入り混じって多くあること」です。 「種々雑多」は「種々」と「雑多」という2つの熟語を組み合わせてできている四字熟語です。 「種々」は「いろいろ・さまざまな異なる種類」 「雑多」は「いろいろなものがたくさんあること」という意味があります。 「価値のあるもの、ないものが交じる」という意味ではなく、「色々な種類のものが入り混じっている」という意味なので、「玉石混交」とはニュアンスの違いがあります。 しかし、「ごちゃごちゃと混じっている」という点で類語になると言えるでしょう。
例文
「珠」と「玉」はどちらもすぐれたものであり「珠玉」で「尊いもの」「美しいもの」という意味になります。 「珠玉」で「真珠のように美しく優れているもの」という意味があります。 そこから転じて、「素晴らしい」「とても優れている」という意味で「珠玉の◯◯」といった使い方をすることができます。 「玉石」は、「玉」と「石」という価値のあるものとないものをかけ合わせている言葉なので、 どちらも価値のあるものを意味する「珠玉は」対義語に当たるでしょう。
例文
「瓦礫」は「がれき」と読みます。 「瓦」と「礫」はどちらも役に立たないものであり「瓦礫」で「役に立たないもの」という意味になります。 上述した「珠玉」は「どちらも価値のあるもの」でしたが、反対に「どちらも価値のないもの」を組み合わせている言葉なので、「玉石混交」とは対義語になります。
例文
「玉石混交」の英語表現には、
などがあります。 「a mix of good and bad」という表現をネイティブは最もよく使います。
Health information on the Internet is a mix of good and bad.
インターネット上の健康に関する情報は玉石混交だ。
Products that flood the huge shopping mall are a mix of good and bad.
巨大ショッピングにあふれる商品は玉石混交である。
いかがでしたか? 「玉石混交」について理解していただけたでしょうか。 ✓「玉石混交」の読み方は「ぎょくせきこんこう」 ✓「玉石混交」の意味は「すぐれたものと、つまらないものが入り混じっている様子」 ✓「玉石混交」はネガティブなニュアンスで使うのが普通 ✓「玉石混合」「玉石混同」「珠玉混合」は誤記なので注意