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「知らなかった」の敬語は?上司への使い方をメール例文つきで解説

「知らなかった」の敬語表現をご存知でしょうか。「知らなかった」の尊敬語は「ご存知でなかった」「お知りでなかった」、謙譲語は「存じ上げなかった」「知っておりませんでした」です。今回は「知らなかった」の敬語表現について詳しく解説します。

「知らなかった」の尊敬語

尊敬語とは、相手や相手側の人物、話題の中の人物の動作・状態・ものごとを高めて言うことで、相手に敬意を示す敬語表現のことをいいます。

「ご存知でなかった」

「知らなかった」を尊敬語にすると「ご存知でなかった」になります。 「ご存知」は「知っていること」の尊敬語です。 「ご存知」に「ない」という打ち消しの過去形「なかった」をつけて「知らなかった」という意味になります。 「ご存知でなかった」は、上司や目上の相手など敬意を示すべき相手が「知らなかった」ということを言い表します。 自分が知らなかったということを言い表す場合には使用できません。

例文

  • 操作方法をご存知でなかったようなので、取り扱い説明書をわたしておきました。
  • 先生は無許可で画像を転載してはいけないことをご存知でなかった。
  • ご存知でなかったと思いますが、実はスポーツ大会は来月に延期になりました。

「お知りでなかった」

「お知りでなかった」も「知らなかった」の尊敬語です。 「お知りでなかった」は、品詞分解すると「お」+「知る」+「なかった」となります。 「知る」についている「お」は接頭語です。 接頭語「お」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「お知りでなかった」の場合、知らなかったのは相手なので接頭語の「お」は尊敬語になります。 「お知りでなかった」で相手が知らなかったということを高めて敬意を示す表現になります。 自分が知らなかったことを「お知りでなかった」ということはできません。

例文

  • 斎藤部長はA社の営業部長をお知りでなかった。
  • 娘さんの深刻な病状をご両親はお知りでなかったのですか?
  • 予定が変更されたことをお知りでなかったのなら、仕方がないですよね。

「知らなかった」の謙譲語

謙譲語とは、自分や自分側の人物から、相手や相手側の人物、あるいは話題の人物に向かう動作・ものごとについて、それが及ぶ人物を高める敬語表現です。

「存じ上げなかった」

「知らなかった」を謙譲語にすると「存じ上げなかった」となります。 「存じ上げる」が「知る」の謙譲語です。 例えば「Aさんのことを存じ上げています」で、Aさんのことを知っているということについてAさんを高めることができます。 「存じ上げる」を過去形にすると「存じ上げなかった」になり、「知らなかった」という意味になります。 相手が知らなかったということを「存じ上げなかった」と言い表すことはできません。

例文

  • 彼のことはよく存じ上げなかったので、先生の息子さんだったなんて気がつきませんでした。
  • 申し訳ありませんが、A社の社長の名前までは存じ上げなかったです。

「承知してなかった」

「承知してなかった」も「知らなかった」の謙譲語です。 「承知」とは文字通り「承って知る(うけたまわってしる)」の意味です。 「承る」は「つつしんで聞く」の意で「聞く」の謙譲語です。 謙譲語とは自分をへりくだることで相手に敬意を示す敬語表現です。 「承知」を謙譲語と捉えるどうかは意見が分かれますが、「うけたまわって知る」ことなので「承知」も謙譲語と考えるのが自然です。 「承知」に打ち消しの「ない」をつけると「承知しない」になります。 さらに、過去形にすると「承知してなかった」となり、「知らなかった」という意味になります。

例文

  • その件につきましては、事情を承知してなかった私の責任でもあります。
  • そこまではさすがに承知してなかったので、今後は全体を把握できるように努めます。

「知らなかった」の丁重語

丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している丁重語です。 丁重語は、自分のことをへりくだることで相手に敬意を示す謙譲語の一種で、「謙譲語Ⅱ」ともいわれます。

「存じなかった」

「存じる」は「知る」「思う」の丁重語です。 話の聞き手や読み手に対する改まった気持ちを表すことができます。 「存じる」に打ち消しの「ない」をつけて過去形にすると「存じなかった」となります。 「存じ上げておりませんでした」などと謙譲語と丁重語を組み合わせて使うこともできます。 「存じ上げておりませんでした」は品詞分解すると「存じ上げる」+「おる」+「ませんでした」となります。

  • 「存じ上げる」は「知る」の謙譲語
  • 「おる」は「いる」の丁重語
  • 「ませんでした」は丁寧の打ち消し「ません」の過去形

です。 「存じ上げておりませんでした」は二重敬語のように感じてしまうかもしれませんが、「存じ上げる」は謙譲語、「存じる」は丁重語なので混合しないように注意しましょう。

例文

  • 弟の勤務態度が悪いなんて今日まで存じなかったです。
  • ○○さんが入院されたなんて存じ上げておりませんでした。

「知っておりませんでした」

「知っておりませんでした」も「知らなかった」丁重語です。 「知っておりません」は、「知る」に「いる」の丁重語「おる」と、丁寧の打ち消し「ません」の過去形「ませんでした」をつけた言葉です。 丁重語+丁寧語の正しい敬語表現であるといえます。 ただし、少しクドい言い回しであるため「知っておりませんでした」の使用は避けたほうがよいでしょう。

「知らなかった」の丁寧語

丁寧語とは、文末に「です」「ます」をつけることで、文章全体を丁寧にする敬語表現です。 ただし、尊敬語や謙譲語のように相手に対する敬意を示すことはできません。 なので、上司など敬意を示すべき相手に対して使用する場合は、尊敬語や謙譲語を使用する敬語表現に言い換えましょう。 同等の立場の人間や、親しい間柄であれば丁寧語でも問題ありません。

「知りませんでした」

「知りませんでした」は品詞分解すると、「知る」+丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」と丁寧語「です」+過去を表す助動詞「た」となります。 丁寧語「です」を使用しているので「知りませんでした」は丁寧語です。 目上の人に使用することもできますが、上述したように丁寧語では敬意が示せないので丁寧さに欠けるため注意が必要です。

例文

  • まさか毎週新商品が出ているなんで知りませんでした。
  • ○○さんが東京大学に行っていたなんて全く知りませんでしたよ。

「知らなかったです」

「知らなかった」ですは、「知らない」の過去形「知らなかった」に丁寧語の「です」をつけた表現です。 「です」を使用しているので丁寧語であり、目上の人に使用することも可能です。 ただし、ビジネスシーンでの使用は避けたほうが良いでしょう。 丁寧語であるため敬意が示せませんし、幼稚です。 ビジネスシーンでは特により丁寧でかしこまった表現をするべきです。 「存じませんでした」「存じ上げておりませんでした」などを使用しましょう。

例文

  • 梅の花からバナナの匂いがするなんて知らなかったです。
  • 昨日まで知らなかったのですが、佐藤さんは来週から本社に戻られるんですね。

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