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「親しき仲にも礼儀あり」の意味と使い方、語源、類語、対義語、英語を例文つきで解説

「親しき仲にも礼儀あり」は「親密な間柄にも守るべき礼儀がある」です。度をすぎて礼儀を欠くようなことがあると関係が壊れる元になるという戒めの意味をもったことわざです。今回は「親しき仲にも礼儀あり」の意味や使い方、類語・対義語を紹介します。

「親しき仲にも礼儀あり」とは

意味は「親密な間柄にも守るべき礼儀がある」

「親しき仲にも礼儀あり」の意味は、「親密な間柄にも守るべき礼儀がある」です。 仲が良くなると気が緩んでしまいますが、度をすぎて礼儀を欠くようなことがあると関係が壊れる元になるという戒めの意味をもったことわざです。 「親しき仲にも礼儀あり」は親子・家族にも当てはまりますが、友達や職場の人間に対して使うのが自然です。 「守るべき礼儀」は具体的には、敬語を使う、挨拶をする、「ありがとう」の言葉を忘れないなどです。

漢字は「仲」の代わりに「中」も

「親しき仲にも礼儀あり」の「仲」は「中」でもよいです。 「仲」は「人と人の間柄」という意味です。 「中」は、「ある範囲内の内側、ある物の内部、ものとものの間」という意味があります。 よって、「中」のほうが「仲」より意味が広く「親しき中にも礼儀あり」でも問題ないといえます。 他にも「親しき仲にも礼儀あり」と同義になることわざには

  • 親しき仲(中)に礼儀あり
  • 親しき仲(中)に礼あり
  • 親しき仲(中)に垣をせよ
  • 思う仲(中)には垣をせよ
  • 近しき仲(中)にも礼儀あり
  • 良い仲(中)も笠を脱げ

などがあります。 「垣をせよ」とは「節度を守れ」という意味です。 「垣」は、区画を区切る仕切りや囲いのことで、間を隔てるもののたとえとして使用されています。 「笠を脱げ」は、現代でいう「帽子を脱げ」ということです。 挨拶をするときは笠を脱ぐのが礼儀だということを言い表していて、「良い仲(中)も笠を脱げ」で「親しい間柄であっても礼儀は守るべきだ」という意味になります。

語源は

「親しき仲にも礼儀あり」の語源ははっきりとはわかっていませんが、中国の孔子と弟の言行を記録した「論語」にあるといわれています。 「論語」の中に、「有子曰く、禮(礼)の用は和を貴しと為す。先王の道も、斯を美と為す。小大之に由るも行われざる所あり。和を知りて和して禮を以て之を節せざれば、赤行はるべからざるなり」という記述があります。 これを訳すと「和があっても礼儀がなかったら関係を保てない」という礼儀の大切さを説いている文章であることがわかります。 これが語源となって「親しき仲にも礼儀あり」ということわざが生まれたとされています。

座右の銘にするのは少しおかしい

「親密な間柄にも守るべき礼儀がある」は、「親しくなりすぎると遠慮がなくなりかえって仲が悪くなる」という意味のことわざなので、座右の銘にするのは少し違和感があります。 ですが、「どんなに仲の良い間柄でも礼儀を忘れてはいけない」という戒めとして座右の銘にする人はいます。

「親しき仲にも礼儀あり」の使い方

「親しき仲にも礼儀ありだ」の形で使う

「親しき仲にも礼儀あり」は、「親しき仲にも礼儀ありだ」「親しき仲にも礼儀ありというが」の形で使います。 人間関係を良好に保つための秘訣や、「仲良くても度をすぎて礼儀を欠くようなことをしないようにする」という自分の意思を表現するときや、親しい間柄だからといって礼儀を欠いている人に対しての注意の言葉として使用されることもあります。 「親しき仲にも礼儀ありというが」 「親しき仲にも礼儀ありということわざがあるが」 などという使い方もします。

「親しき仲にも礼儀あり」の例文

例文

  • 親しき仲にも礼儀ありだ。きちんと感謝の言葉を伝えよう。
  • 上司に対してタメ口はよくない。親しき仲にも礼儀ありだ。
  • 親しき仲にも礼儀ありとはよく言ったもので、仲が良くでも踏み込んではいけない領域があることを忘れてはいけない。
  • 親しき仲にも礼儀ありの気持ちを忘れずに、人間関係を良好に保つ。
  • 親しき仲にも礼儀ありなので、式典ではきちんとした言葉で祝辞を述べましょう。
  • 親しき仲にも礼儀ありの姿勢でいれば、相手に不快な思いをさせることはないだろう

「親しき仲にも礼儀あり」の類語

親しき仲は遠くなる

「親しき仲は遠くなる」は、「仲が良いほど遠慮がなくなり疎遠になる」という意味です。 「仲がよくなればなるほど遠慮がなくなりかえっていさかいが起こりやすい」ということを言い表したことわざです。 「親しき仲にも礼儀あり」と同様に、どんなに仲がよくても礼儀を欠いてはいけないという戒めの意味があります。

心安きは不和の基

「心安きは不和の基」は「こころやすきはふわのもと」と読みます。 「心安きは不和の基」は、親しくなればなるほど遠慮がなくなり仲が悪くなる原因を作りやすいという意味のことわざです。 どんなに仲がよくても最低限の遠慮や礼儀は必要だという戒めの意味があり、「親しき仲にも礼儀あり」の類語であるといえます。

一言で表す熟語はない

「どんなに仲の良い間柄でも礼儀は必要である」ということを、一言で表す熟語はありません。

「親しき仲にも礼儀あり」の対義語

礼も過ぎれば無礼となる

「礼もすぎれば無礼となる」は、「度が過ぎた礼儀はかえって失礼」という意味のことわざです。 何度も何度もお礼に行くなど、度がすぎた礼儀は相手のご機嫌や顔色をうかがっているだけであり「礼儀ではない」ということを言い表したことわざです。 「どんな間柄でも礼儀が必要」ということを伝えている「親しき仲にも礼儀あり」とは対義語になります。

慇懃無礼

「礼も過ぎれば無礼となる」と同義語の四字熟語に「慇懃無礼」があります。 「慇懃無礼」は「いんぎんぶれい」と読みます。 「言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって無礼であるさま」以外にも、「表面の態度はきわめて礼儀正しく丁寧だが、実は尊大で相手を見下げているさま」という意味もあります。 ビジネスシーンで敬語を使う時、必要以上に自分をへりくだったり(謙譲語の誤用)した時にも慇懃無礼と表現する場合があります。

「親しき仲にも礼儀あり」の英語

「親しき仲にも礼儀あり」は一般的に、

A hedge between keeps friendship green.

間に垣根があることが友情を新鮮に保つ。

と訳されます。 決まった言い方ではありませんが、

You should be polite even to your close friends.

親友にさえ礼儀正しくあるべきだ。

Politeness is not only for strangers.

礼儀正しさは知らない人にだけ示すものではない。

などというのが一番シンプルでわかりやすいでしょう。

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